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第2章
第118話 昔話
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カナロアが語っているのは前回の勇者の話だ。昔あるお姫様が悪い奴に攫われ、国の勇者と言われる猛者達が救助に向かうも、全て返り討ちにされていた。
しかし、見知らぬ土地から来た若者が不思議な力を駆使して救助に向かった。お姫様を生贄とし捧げる為、今正に心臓をくり抜かれんとしている所を危機一髪で救い出した。それは悪魔を封印から目覚めさせる為だった。已に肉体を得る直前にまで封印が解除された悪魔だった。
「これで勝ったと思うな!我は1000年後に再び現れるぞ、覚悟しておけ!その時には貴様らの身内に今回の代償を払って貰うぞ」
そして捨て台詞と共に再び封印された。
その後2人は恋に落ち、やがて結ばれた。その後生まれた子供が初代皇帝になったと。
ふーん程度に聞いていたが、首を傾げなら違和感があった。
「普通なら再び封印し、めでたしめでたして終わらないか?何でそんな結末なんだ?また何故にこの若者が皇帝にならなかったんだい?」
俺はカナロアに聞いた。
「単なる物語に思われますか?」
「いや、話がおかしい。多少なりとも脚色が入っているんだろうが、事実なのではないのか?」
「ええ、この男は礎を築き上げたのですが、選択を誤り元の世界に飛ばされたのですよ」
「ちょっと待って。何故元の世界なの?私も知っている伝記よ。伝記によると勇者様は、お姫様を助ける時に掛けられてしまった呪いの所為で、子が生まれる前に亡くなった筈よ。事実として知っているの?それともあなたの見た書物にでも書いてあるの?」
ミリアが珍しく熱く問うた。
「事実としてだ」
ミリアが愕然としていた。何かを悟ったようだ。
俺もカナロアには思う所があった。装備がギターなのだ。それもエレキギターだ。
俺の頭にあるデザインが反映されていたのだと思っていたが違うようだ。
「カナロア、君は何年生まれで何県出身だ?」
「ようやくそこに辿り着きましたか。聞かぬ方が良ろしいかと思いますよ」
「大体の予測がついたよ。お前の母親は誰だ?」
皆が静まった。
「残念ながらここにはおりませぬ。しかも貴方は日本に帰らなかった。いや、帰れなかったはずです。私の本名は早見 友和。出身は」
俺は手で制した。
「何故だ?俺がお前の父親だとでも言うのか?しかもお前もムネチカも一度死んでいるから今この場にいるんだぞ?時間軸がおかしいぞ」
「時間はあってないが如し。ただ、この世界が今後どうなっていくのかについて、その結果を知りません」
「後な、お前がさっきの話の皇帝の父親だろう?違うか?それと母親のフルネームは?」
「ええ。伝記にある前回の勇者の一人は私ですよ。開いた先は日本で、私が向こう側を閉める選択をしたんだ。そして完全に閉めた直後にミサイルを撃ち込まれ死んだんだ。多分ゲート内に向けて撃ち込んだのだが、ゲートが閉まったから私は巻き込まれたのだろう。ただ、私はこの世界に息子がいたのは知らなかったんだ。あいつが身籠ったとは知らなかったんだ。貴方に召喚され、伝記を調べるまではな。たった1度愛し合っただけだったんだ。それと母の名前は美弥子だ」
カナロアの口から出たその名前に、俺は衝撃を受けたのであった。
しかし、見知らぬ土地から来た若者が不思議な力を駆使して救助に向かった。お姫様を生贄とし捧げる為、今正に心臓をくり抜かれんとしている所を危機一髪で救い出した。それは悪魔を封印から目覚めさせる為だった。已に肉体を得る直前にまで封印が解除された悪魔だった。
「これで勝ったと思うな!我は1000年後に再び現れるぞ、覚悟しておけ!その時には貴様らの身内に今回の代償を払って貰うぞ」
そして捨て台詞と共に再び封印された。
その後2人は恋に落ち、やがて結ばれた。その後生まれた子供が初代皇帝になったと。
ふーん程度に聞いていたが、首を傾げなら違和感があった。
「普通なら再び封印し、めでたしめでたして終わらないか?何でそんな結末なんだ?また何故にこの若者が皇帝にならなかったんだい?」
俺はカナロアに聞いた。
「単なる物語に思われますか?」
「いや、話がおかしい。多少なりとも脚色が入っているんだろうが、事実なのではないのか?」
「ええ、この男は礎を築き上げたのですが、選択を誤り元の世界に飛ばされたのですよ」
「ちょっと待って。何故元の世界なの?私も知っている伝記よ。伝記によると勇者様は、お姫様を助ける時に掛けられてしまった呪いの所為で、子が生まれる前に亡くなった筈よ。事実として知っているの?それともあなたの見た書物にでも書いてあるの?」
ミリアが珍しく熱く問うた。
「事実としてだ」
ミリアが愕然としていた。何かを悟ったようだ。
俺もカナロアには思う所があった。装備がギターなのだ。それもエレキギターだ。
俺の頭にあるデザインが反映されていたのだと思っていたが違うようだ。
「カナロア、君は何年生まれで何県出身だ?」
「ようやくそこに辿り着きましたか。聞かぬ方が良ろしいかと思いますよ」
「大体の予測がついたよ。お前の母親は誰だ?」
皆が静まった。
「残念ながらここにはおりませぬ。しかも貴方は日本に帰らなかった。いや、帰れなかったはずです。私の本名は早見 友和。出身は」
俺は手で制した。
「何故だ?俺がお前の父親だとでも言うのか?しかもお前もムネチカも一度死んでいるから今この場にいるんだぞ?時間軸がおかしいぞ」
「時間はあってないが如し。ただ、この世界が今後どうなっていくのかについて、その結果を知りません」
「後な、お前がさっきの話の皇帝の父親だろう?違うか?それと母親のフルネームは?」
「ええ。伝記にある前回の勇者の一人は私ですよ。開いた先は日本で、私が向こう側を閉める選択をしたんだ。そして完全に閉めた直後にミサイルを撃ち込まれ死んだんだ。多分ゲート内に向けて撃ち込んだのだが、ゲートが閉まったから私は巻き込まれたのだろう。ただ、私はこの世界に息子がいたのは知らなかったんだ。あいつが身籠ったとは知らなかったんだ。貴方に召喚され、伝記を調べるまではな。たった1度愛し合っただけだったんだ。それと母の名前は美弥子だ」
カナロアの口から出たその名前に、俺は衝撃を受けたのであった。
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