盗賊だけど大剣しか使えません! 〜VRゲームで盗賊になったのに、大剣しか装備することが出来ず絶望していたけど、それはそれで最強だった! 〜

中島菘

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五章 ドリーム・リゾートです!

四十三話 快進撃です!

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 ミヤビが不機嫌なまま二回戦が始まってしまった。

「どうするんですか?」

「身を隠す時間を俺が稼ぐから、二人ともその間に『隠密』を使ってくれ。」

「分かりました!」

「…………。」

二人とも俺の後ろに下がってから、それぞれ『隠密』で身を隠した。怒っていても、言うことは聞いてくれるらしい。

 二回戦の相手は、武闘家三人に僧侶一人という、不思議なパーティーだった。

「私さえいればいつでも回復できるから、安心して行ってきて!」

相手の僧侶が司令塔になっている。なるほど、あの僧侶が回復役にまわって、武闘家たちが倒れてしまわないようにしているのか。

 しかし、それは愚策だろう。こちらは火力全振りなんだぞ? もしも最初に武闘家を狙ったとしても簡単に崩せるだろう。まあ、実際はあの僧侶から狙うのだけども。

 俺たちの見た目が盗賊だから、持久戦に持ち込めると思っているのだろうが、それは無理な話だ。むしろ逆だ。超短期決着にしてやる。

 ミヤビがすでに相手の僧侶のもとまでたどり着いていた。

「!!」

「バキン!」

怒っているので、掛け声もなしに杖を振り抜いた。今度は相手の腹に当てた。体が飛んでいくこともなく、僧侶はその場で倒れ込んでしまった。

 まったく、人間相手だとエグいことになるな。それにしても杖の頑丈さには驚かされる。ゲームだからと言ってしまえばそれまでなのだが、あのコブラの装飾が壊れないのがなんとも不思議だ。

 
 僧侶は一撃で倒れてしまった。前に出ていた武闘家三人は後ろを振り返った。

「なに!」

「どういうことだ?」

 そこでさらに隙が生まれる。今度は右にいた武闘家が突然上に殴り上げられた。

「ドゴン!!」

こちらはリングアウトだ。

 残った後二人は、俺がまたまた吹き飛ばした。今度はミヤビとトルクを巻き込まないように、横向きに竜巻を起こした。

 そして相手はリングアウトで全滅。今度は苦もなく勝つことができた。

「おいおい、またあいつらやったぞ。」

「この感じじゃ優勝するんじゃないのか?」

「いや、でも三人しかいないぞ。数的に不利じゃないのか?」

ギャラリーの声も聞こえて来る。

 二回も完封して勝ったのだから、騒がれるのも自然なことだ。悪い気分じゃないな。

 俺たちは三人とも控室に戻った。

「順調ですね。」

「そうだね、三人だから不利かもと思ったけど、上手くいくもんだね。」

「あ! あれ見てくださいよ!」

へそを曲げていたはずのミヤビが高めの声を出して、控室の奥を指さした。

 彼女が指した先には、色とりどりの料理の山が並んでいた。

「ええ! さっきまでこんなのありませんでしたよ?」

「いつのまに? これ食べてもいいのかな?」

ゲームの中での飲食にもう疑問を持たなくなってしまっている。

 これは、いわゆるケータリングというやつだろう。勝ち進むにつれて時間が経っていってしまっているので、軽食を食べられるようにという計らいだろう。

 本来は不要なのかもしれないが、こういうところが粋というか、このゲームのおもしろいところでもある。

 さあ、次はいよいよ準々決勝だ。

「次に勝てば、次のエリアへの進出権を獲得できるんですよね?」

「そうだよ、あと一つ。大事に戦って確実に勝ちに行こう!」

「え、何言ってるんですか?」

ミヤビが肉まんを頬張りながら振り向いた。

「ロータスさんたち目標が低すぎますよ? 」

「え?」

「『え?』じゃないですよ。トーナメントですよ? 優勝狙うしかないじゃないですか! 最低ラインが見えてきたからって、そっちに気を取られてちゃダメです!」

 ミヤビは、ケータリングのおかげで機嫌を直していた。いや、前よりむしろ元気になっている。

「さあさあ、これの勝った方とやるんですよ。」

肉まんをもう二つ持ってからモニターの前に座り込んだ。

 二回戦も俺たちの試合のあとに六試合あったので、中々に時間がかかっていた。

「一回戦のときからそうですけど、特に見映えのするパーティーはありませんね。」

「前の優勝パーティーが気になりますよね。」

二人は、アクシズのことを話題に出した。

 アクシズは前回大会、昨日開かれたアリーナトーナメントで優勝して早くも次のエリアに進んだらしい。

「どんな戦い方をするんだろうね?」

「私は会ったことありませんから。ロータスさんのほうが分かるんじゃないですか? 会ったことあるんでしょ?」

「リーダーにだけだよ。実際パーティーの構成がどうなっているかなんて分からない。」

リーダーをやっているリーチはどうやら戦士のようだった。

 そのような、他と一線を画するような強さのパーティーはこの大会にはいなかった。

「なんか、みんな同じ戦い方をしますよね。」

「まだ初心者って呼んでもいいくらいのプレイヤーばっかだからな。」

テンプレのような戦い方なのだろう。

 その点、俺たちの戦い方は特殊の極みである。搦め手、その末に火力押しという不思議な作戦だ。

 ただ、それが意外とウケているようだ。その後あった準々決勝でも、相手を思いっきり吹き飛ばしたのだが、ギャラリーからは一際大きく歓声が上がっていた。
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