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四章 W5・砂漠エリアです!

二十四話 不意のキングコブラです!

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 自分の攻撃だと言うのに、すっかり圧倒されてしまっていた。こんなの災害だ。下手したらプレイヤーも巻き込んでしまうぞ。

「これ、危ないよな? 」

「でも今のところはプレイヤー同士でダメージは与えられないみたいですよ。」

「それならまだいいかな。」

でも一回攻撃するたびにヒヤヒヤしてしまうな。



 しばらく砂漠の真ん中でぼーっとしているときだった。

「ズドカーン! 」

「シャァァァァァァ!! 」

無風の空をつんざくような地響きと鳴き声。

「なんだ! 」

「あそこです! あれは……。」

ミヤビが指さした方にはコブラがいた。

 しかし、サイズがおかしい。明らかに普通のコブラよりも巨大なのだ。首を上げると二階建ての建物ほどある。

「これってもしかして? 」

「ええ、特別指定です。」

「やっぱり。見るからにそうだもん。」

 こんなのが道端で急に現れたら失禁してしまいそうだ。

「これは、特別指定モンスター『キングコブラ』です。懸賞は9,000ゴールドです。」

 化けコブラをたくさん狩ったから、親玉として出てきたのだろう。真っ直ぐ俺のところへと向かってくる。

「あ、ヤバいじゃん。俺が戦うしかないの? これ。」

「そりゃあそうでしょうよ。確実にロータスさんがトリガー引いてますからね。多分あなたしか狙われませんよ。」

ミヤビは岩に腰掛けて休んでいた。

「お前! 他人事だと思いやがって。」

 キングコブラは思いっきりこっちに噛み付いてきた。

「のわっと! 」

「よそ見してる暇ないですよー? 」

「お前ー! 」

頑張って避けたがバランスを崩した。

「まずい! 」

と、思ったが

「あれ? 」

キングコブラは俺の方ではなく、岩で休んでいるミヤビの方へと飛んでいった。

 当然ミヤビは慌てる。

「ちょっと! なんで私の方に来るの? 」

「はっはっは! 人を放って高みの見物をきめこんだバチが当たったんだよ。」

「あなたって人は! 」

形勢逆転である。どうやら、コブラを攻撃した俺だけでなく、同じパーティーのミヤビもキングコブラのターゲットに入っているらしい。

 ミヤビは暴れ回るキングコブラから逃げていた。

「ちょっと! 見てないで助けてくださいよ。」

流石のミヤビでも、一人で特別指定を相手にするのは難しいらしい。

 ちょっとは反省したと思うし、もう助けに入ってやるか。

「ミヤビ! しゃがめ! 」

「ええ! あ、はい! 」

「うぉりゃあ! 」

今回は俺がフルスイング! 直撃させるには間合いが遠すぎたものの、「デザートストーム」の衝撃波を走らせてキングコブラに命中させた。

「キシャオ! 」

キングコブラは大きくのけぞった。その間にミヤビは後ろに下がってきた。

 やはりすごい威力だ。あの巨体を突き飛ばしてしまった。

「俺が相手しないとな。」

キングコブラは俺を目当てに現れたのだ。倒すのも俺じゃなくてはならないだろう。

 キングコブラはまた標的を俺に戻した。真っ直ぐ俺のいる方へと向かってくる。

「よし来い! 」

おれはすでに剣を振りかぶっている。

「シャァァァ! 」

飛び込んできたコブラの頭に

「ズドン! 」

今度は直撃だった。実体の剣でキングコブラの脳天をとらえた。

「スババババ!! 」

剣から走った竜巻のような衝撃波が、たちまちコブラの体を切り刻んでしまった。切り刻まれたキングコブラの体は四散している。

 つまり、倒してしまったのだ。一撃で沈むとは思わなかった。四方八方に飛び散ったコブラの体はどんどん消えていってる。

「あっけないな。」

 後ろではミヤビがちょっと遠くで見ている。

「もう大丈夫でしょ? 」

彼女は一旦下がってから、ずっとそこにいたらしい。キングコブラを避けているのか、はたまた俺を避けているのか。

「いやあ、凄いですねー、その大剣。」



 キングコブラがいたところには、毒牙が残っていた。これが討伐証明になるのだろう。三体目ともなれば慣れてくるものだ。すぐにでも換金しに行きたい。

 ゴールドは余りに余っているのだが、だからといってワクワクしないなんてことはない。今どのくらいお金があるかじゃない。9,000ゴールドもらえるというだけで嬉しいものなのだ。

 

 ミヤビもようやく落ち着いて俺と話してくれるようになった。大剣を仕舞ったからだろうか。

「じゃあ、換金にいきましょうか。特別指定ですし。」

「この間のサンドディザスターはめちゃくちゃ大変だったのにね。実際ミヤビの機転がなかったら勝ててなかったし。」

「いやあ、褒めてもなにもでませんよ? でもそうですよね。キングコブラだって9,000ゴールドの特別指定なわけですから、弱いはずはないんですよ。」

「それほどこの大剣が強いってことなのかな? 」

「もしかしたら、盗賊が装備していることで何かが起きてるのかも。」

そんなことがあり得るのかはさておき、めちゃくちゃ強いからオーケーと、単純に考えていても構わないのだろうか? まあ今は深く考えても仕方のないことだけど。

 換金所でいつもの手続きをとって9,000ゴールドを受け取ったのだが、またまた渡されたのはゴールドだけではなかった。

 ゴールドを受け取るときに、換金の男性から言われた。

「特別報酬ですが、剣か、杖かをお選びください。」
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