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四章 W5・砂漠エリアです!
二十三話 ピアスの魔力です!
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橙赤色のピアス、この見た目は艶の深さで人を魅了しそうだ。いや、単に俺たちが手に入れた達成感でそう見えているだけだろうか。
「しかし、いかんせん効果が分からないですね。」
「どうしてだろう。……ん、あ、そうか!」
「何かわかったんですか? 」
「使わないと分からないんだ。アクセサリーの効果ってのは。」
他の防具や武器などは、装備する前から攻撃力や防御力などのステータス、特殊効果などが分かっている。しかし、アクセサリーだけは、何が起きるか装備してからのお楽しみになっているとのことだった。
「これ、装備してみるかい? 」
「え、嫌です。」
あれ、予想外の答えが返ってきた。
「ええ何でよ? 」
「ピアスつけるの怖いですもん。」
そうか、ピアスだったなこれ。
ミヤビはピアスをつけたことがないのか。
「ロータスさんがつけてくださいよ。」
「いやいや、俺だってつけたことないし、怖いよ。それに、ピアスって女の子がつけてるイメージなんだけど。」
「今どきそれは古いし、よくないですよ。」
ミヤビはふくれた。
その後も押し問答は続いたが、結局俺が「砂漠の涙」を装備することになった。
「くそ! もうどうなっても知らないぞ。」
装備画面を開いた。
一覧から「砂漠の涙」を選ぶと
「装備しますか? 」
の表示。「はい」を選ぶと、装備済みのテロップが出た。
「あれ、装備済みって……。」
「ロータスさん、耳についてますよ。」
言われて右耳に手を当てると、ジャラジャラと手触りがする。
「え、俺ってピアスの穴なんて開けてなかったはずだけど。」
「ロータスさん、これゲームですよ? 」
「あ……。そんなメタな。」
耳には特に痛みもなかった。
ミヤビは突然立ち上がった。
「どうしたの? 」
「どうしたも、こうしたもないでしょう! せっかく新しい装備を手に入れたんです。試すしかないでしょ。そのピアスも、大剣も。」
というわけで、試し斬りのために街から出た。俺の装備だって言うのに、ミヤビの方がテンション上がっている。
「さあさあ! 早くぶっ飛ばしにいきましょう! 」
ミヤビは杖をブンブン回している。いや、お前が暴れるために来ているわけじゃないからな?
モンスターはすぐにエンカウントする。
「さあロータスさん! 戦ってみて下さいよ。」
ミヤビはめちゃくちゃテンションが高い割に、後ろに下がっていた。
敵は化けコブラが五匹。なんでもない敵だ。しかし、試し斬りにはちょうどいい。
「おりゃ! 」
一番近くの化けコブラに斬りかかった。
「ズドドドドドドドドドドドドドドドド!!! 」
「「は? 」」
横向きに渦巻く衝撃波が疾風のごとく駆け抜けた。砂漠の砂は一斉に巻き上げられて半円柱の大溝ができた。
狙わなかったはずの他の四体のコブラたちも消し飛んでしまっていた。
「おいおい! 何なんだこれ。」
「え、いや、ちょっと……。」
二人して唖然とした。
とんでもない威力。いや、これはもう剣の力ではない。
「『デザートストーム』とはよく言ったものですね。」
「単なる『サンドストーム』の強化バージョンだと思っていたけれど、こりゃすごいな。」
コブラどころじゃない。前方五十メートルが吹き飛んでしまった。
振り返るとミヤビがさっきよりも俺と距離をとっていた。
「ちょっと! さっきまでノリノリだったじゃんよ! 」
「いや、ここまでは正直求めてないです……。」
明らかに引いている。一番衝撃を受けたのが、装備している本人なのだと分かって欲しいところだ。
サンドディザスターの討伐報酬なのだから、高威力だとは予想していたが、まさかこれほどまでとは思わなかった。
今までの武器とは明らかに異質なのだ。数字上の攻撃力もそうだが、何よりこの暴風。狙っていない相手まで巻き込んでしまうのだから恐ろしい。
経験値の量もおかしい値になっている。明らかに化けコブラ五匹の経験値ではない。
「他のモンスターも巻き込んでいるのか。」
そして、戦闘をしたことで、気になっていた『砂漠の涙』の効果を知ることができた。ステータスの装備欄に書いてある情報によると、
「装備時、プレイヤーのレベルに応じて攻撃速度が上昇する。」
「変わり種な効果だな。」
言われてみれば、さっきも少し剣が軽くなった気がする。
これって、もしかしたら俺にピッタリの効果かもしれない。大剣をもっともっと速く振り回せるかもしれないのだ。ノロノロと攻撃するストレスもなくなるから、相当なアドバンテージになる。
いま、俺のレベルは22。まだちょっと軽くなるだけの感覚だが、これがどんどんレベルを上げた日にはどうなることか。
ミヤビはそろりそろりと近づいてきた。
「あの、どうでした? 」
「凄かったよ! 結構な収穫だったかもしれない。」
俺はミヤビに「砂漠の涙」の効果のことを話した。
「ロータスさんのためにあるようなものじゃないですか! 」
多分ミヤビが装備してもなかなかの強さだったはずだが、弱点を克服すると言う点においては俺が装備する方がいい。
『砂漠の涙』、このぶっ壊れ性能のピアスを、俺は持て余しはしないだろうか。
「しかし、いかんせん効果が分からないですね。」
「どうしてだろう。……ん、あ、そうか!」
「何かわかったんですか? 」
「使わないと分からないんだ。アクセサリーの効果ってのは。」
他の防具や武器などは、装備する前から攻撃力や防御力などのステータス、特殊効果などが分かっている。しかし、アクセサリーだけは、何が起きるか装備してからのお楽しみになっているとのことだった。
「これ、装備してみるかい? 」
「え、嫌です。」
あれ、予想外の答えが返ってきた。
「ええ何でよ? 」
「ピアスつけるの怖いですもん。」
そうか、ピアスだったなこれ。
ミヤビはピアスをつけたことがないのか。
「ロータスさんがつけてくださいよ。」
「いやいや、俺だってつけたことないし、怖いよ。それに、ピアスって女の子がつけてるイメージなんだけど。」
「今どきそれは古いし、よくないですよ。」
ミヤビはふくれた。
その後も押し問答は続いたが、結局俺が「砂漠の涙」を装備することになった。
「くそ! もうどうなっても知らないぞ。」
装備画面を開いた。
一覧から「砂漠の涙」を選ぶと
「装備しますか? 」
の表示。「はい」を選ぶと、装備済みのテロップが出た。
「あれ、装備済みって……。」
「ロータスさん、耳についてますよ。」
言われて右耳に手を当てると、ジャラジャラと手触りがする。
「え、俺ってピアスの穴なんて開けてなかったはずだけど。」
「ロータスさん、これゲームですよ? 」
「あ……。そんなメタな。」
耳には特に痛みもなかった。
ミヤビは突然立ち上がった。
「どうしたの? 」
「どうしたも、こうしたもないでしょう! せっかく新しい装備を手に入れたんです。試すしかないでしょ。そのピアスも、大剣も。」
というわけで、試し斬りのために街から出た。俺の装備だって言うのに、ミヤビの方がテンション上がっている。
「さあさあ! 早くぶっ飛ばしにいきましょう! 」
ミヤビは杖をブンブン回している。いや、お前が暴れるために来ているわけじゃないからな?
モンスターはすぐにエンカウントする。
「さあロータスさん! 戦ってみて下さいよ。」
ミヤビはめちゃくちゃテンションが高い割に、後ろに下がっていた。
敵は化けコブラが五匹。なんでもない敵だ。しかし、試し斬りにはちょうどいい。
「おりゃ! 」
一番近くの化けコブラに斬りかかった。
「ズドドドドドドドドドドドドドドドド!!! 」
「「は? 」」
横向きに渦巻く衝撃波が疾風のごとく駆け抜けた。砂漠の砂は一斉に巻き上げられて半円柱の大溝ができた。
狙わなかったはずの他の四体のコブラたちも消し飛んでしまっていた。
「おいおい! 何なんだこれ。」
「え、いや、ちょっと……。」
二人して唖然とした。
とんでもない威力。いや、これはもう剣の力ではない。
「『デザートストーム』とはよく言ったものですね。」
「単なる『サンドストーム』の強化バージョンだと思っていたけれど、こりゃすごいな。」
コブラどころじゃない。前方五十メートルが吹き飛んでしまった。
振り返るとミヤビがさっきよりも俺と距離をとっていた。
「ちょっと! さっきまでノリノリだったじゃんよ! 」
「いや、ここまでは正直求めてないです……。」
明らかに引いている。一番衝撃を受けたのが、装備している本人なのだと分かって欲しいところだ。
サンドディザスターの討伐報酬なのだから、高威力だとは予想していたが、まさかこれほどまでとは思わなかった。
今までの武器とは明らかに異質なのだ。数字上の攻撃力もそうだが、何よりこの暴風。狙っていない相手まで巻き込んでしまうのだから恐ろしい。
経験値の量もおかしい値になっている。明らかに化けコブラ五匹の経験値ではない。
「他のモンスターも巻き込んでいるのか。」
そして、戦闘をしたことで、気になっていた『砂漠の涙』の効果を知ることができた。ステータスの装備欄に書いてある情報によると、
「装備時、プレイヤーのレベルに応じて攻撃速度が上昇する。」
「変わり種な効果だな。」
言われてみれば、さっきも少し剣が軽くなった気がする。
これって、もしかしたら俺にピッタリの効果かもしれない。大剣をもっともっと速く振り回せるかもしれないのだ。ノロノロと攻撃するストレスもなくなるから、相当なアドバンテージになる。
いま、俺のレベルは22。まだちょっと軽くなるだけの感覚だが、これがどんどんレベルを上げた日にはどうなることか。
ミヤビはそろりそろりと近づいてきた。
「あの、どうでした? 」
「凄かったよ! 結構な収穫だったかもしれない。」
俺はミヤビに「砂漠の涙」の効果のことを話した。
「ロータスさんのためにあるようなものじゃないですか! 」
多分ミヤビが装備してもなかなかの強さだったはずだが、弱点を克服すると言う点においては俺が装備する方がいい。
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