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三章 王都オリーブ編2 周辺地域道中

164 怪鳥ロックバード出現

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 ≪ 時はカズがクリムの所へ向かった直後 ≫



「イノボアを追って来たのは『バンブースネーク』か!」

「カズさんが向かった方に、ヘビーベアが居る感じがするわ」

「ラスラは凄いな! オレはクリムの行った方に意識を向ければ、気配は感じ取れるが、何かまでは分からないぞ」

「魔法で調べただけよ。私も気配は感じ取れるけど、魔法を使わないと何かまでは分からないから」

「探索系の魔法?」

「ええ、そんなところよ」

「じゃあ取りあえず、バンブースネークを片付けてたら、オレ達もカズを追って行くか?」

「それは無理のね」

「どういう事だ? オレとラスラなら、バンブースネークの十体や二十体どうってことないだろ。それともラスラはニャロニョロ系は苦手か?」

「得意でもなければ、苦手でもないわ。ただ…」

「ただなん……んっ?」

「気付いたかしら?」

「向こうの方角から何か来る!?」

 アイガーとラスラが遠くの空を見ると、雲と雲の間から二人の居る草原に向かって来る、鳥のような影が見えた。

「本命が登場か!」

「そうみたいね」

 遠くに見えていた鳥の影が三つに増え、みるみる内に大きくなり、二人居る草原へと近付いて来た。

「一体だけでも面倒なのに、三体の『ロックバード』は洒落にならねぇぞ!」

「ロックバードもそうだけど、バンブースネークも近寄って来てるわよ」

「ラスラはロックバードを警戒していてくれ。オレはバンブースネークを先に片付ける。上と下から同時に攻撃されたら、対処するのはさすがにキツいからな」

「分かったわ(やむを得ない時は……)」

 ラスラは上空の高い場所を旋回しているロックバードを警戒して、アイガーは草木に隠れながら近寄ってくる、バンブースネークと戦っている。
 竹のように節のついた長い体を鞭のように使い、攻撃してくるバンブースネークを剣で斬り倒そうとするアイガーだったが、バンブースネークの鱗は竹の繊維のように締まっており、そう簡単には斬れなかった。
 アイガーは自分自身に《筋力強化》と、剣に《斬撃強化》を施して、再度バンブースネークを攻撃した。
 すると今度は、いとも容易くバンブースネークを斬り倒す事が出来た。

「アイガーさん、ロックバードが一体下りてきます!」

「一旦引く」

 アイガーはラスラの居る近くまで、一旦後退してきた。

「オレが倒したバンブースネークを食ってやがるのか!」

「なるほど。すぐに下りて来ない訳ね」

「やはりオレ達だけで討伐はキツいか?」

「ロックバードが三体はちょっとね」

「今回はそれ食ったら、飛び去ってくれれば良いんだが。そうすれば今度は人数増やして、討伐に来れるんだがな」

「そうね。でもそう上手くはいかないようよ」

「だな」

 草原に下り立ったロックバードが、アイガーとラスラの方をじっと見ていた。

「やれやれ、調査だけでは終われないようだな。全力で一体ずつ倒すしかないか!」

「そうみたいね」

「援護を頼むぞラスラ」

「任せて(もう少し様子を見てから……)」

 草原に居たロックバードが飛び上がり、二人を標的に定めたまま、低い場所で旋回を繰り返している。
 下りて来なかった二体のロックバードは、更に上空を旋回して様子を伺っている。



 ≪ そして時は戻り、カズがアイガーとラスラの居る草原に向かってる所 ≫



 数体のモンスター反応が消えたけど、高速でぐるぐると回ってるモンスター反応はそのままか。
 草原が見えて来たけど二人は……居た! 戦闘体制をとって上を見てる? ロックバードが現れたのか!?


 カズはすぐに二人に駆け寄り状況を聞く。

「二人共大丈夫ですか?」

「カズ! クリムはどうした?」

「もう村に戻りました」

「ヘビーベアが出たんでしょ? 片付いたの?」

「ええ、ヘビーベアは倒しましたけど、よく分かりましたねラスラさん」

「おっと今はそんな話してる暇は無いぞ!」

「状況はどうなってるんですか?」

「地上からはバンブースネーク、空からはロックバードだ。バンブースネークは数体倒したが、草木に隠れてまだ居るだろう。あと残念な報告だが、一番低い所を飛んでるロックバードが、オレ達を標的にしたらしい」

「調査だけじゃ終わらないって事ですか」

「覚悟決めろよカズ」

「カズさん死なないように」

「はい。やれる事はやります(CランクだとかAランクだとか、言ってる状況じゃないか。取りあえずモンスターの情報を得ないと。《分析》してステータスを確認だ)」

 カズは見え隠れしているバンブースネークと、一番低い所を旋回している、ロックバードを分析してステータスを確認する。


 名前 : バンブースネーク
 種族 : 節蛇(ふしヘビ)
 ランク: C
 レベル: 35
 力  : 692
 魔力 : 280
 敏捷 : 515
 全長 : 3m60㎝
 補足 : 最大で5mになる節を持つ蛇のモンスター。
 ・体の鱗は、竹の繊維のように締まっており硬い。
 ・巻き付いたり、体を鞭のようにしならせて攻撃してくる。(毒は無い)
 ・竹林で生息しており、竹に擬態している。



 名前 : ロックバード
 種族 : 怪鳥
 ランク: A
 レベル: 52
 力  : 1248
 魔力 : 1040
 敏捷 : 1419
 全長 : 4m30㎝
 スキル: 千里眼
 魔法 : エアースラッシュ エアーバースト
 補足 : 最大で6mにはなり、翼を広げると20m以上にもなる大型のモンスター。
 ・高い鳴き声を上げて威嚇してくる。
 ・個体によっては、鳴き声を振動させて攻撃するスキルを持つ。
 ・風系統の魔法が使える。
 ・岩山の高い所に生息している。
 ・千里眼のスキルで、数十㎞離れた所からでも対象を認識できる。



「バンブースネークはともかく、ロックバードは厄介だな。スキルで遠くからでも認識されてるんじゃ、逃げるのは難しそうだ。更に風系統の魔法を使えて、個体によっては鳴き声で攻撃するのか」(ボソボソ)

「バンブースネークとロックバードを分析したのか? カズ」

「えっ? あ、はい(しまった。声に出てた)」

「更にカズに興味が湧いたぞ。終わったら色々話してくれよ」

「え、あ、いや……」

「今はそれどころじゃないでしょ!  何が分かったか説明してカズさん! ロックバードが攻撃してくる前に」

「あ、はい(仕方ない調べた事を教えるか)」

 カズは自分が見たロックバードのステータスを、アイガーとラスラに教えた。

「風系統の魔法か。最初にこの草原でラスラが見た傷痕は、それに間違いなさそうだな」

「ええ。魔法を使いそうになったら、距離をとりましょう。ロックバードはに大きいから、魔法の範囲も広いでしょうしね」

「しかし鳴き声で威嚇をするのは分かるが、振動で攻撃とはなんだ?」

「さぁなんでしょう? 低空を旋回してるロックバードには、千里眼のスキルしかありませんでしたけど」

「今はまだ使えないってところか。それでカズの使ってるその剣は、バンブースネークを斬れそうか?」

「スキルで強化してヘビーベアを斬りましたから、大丈夫だと思います」

「ならバンブースネークは任せたぞ。オレとラスラはロックバードに集中する。いいなラスラ」

「ええ分かったわ(これでカズさんの戦闘が見られるわね)」

 カズは一人で、周囲に潜んでいるバンブースネークを倒しに草原の中を走って行き、アイガーとラスラは、ロックバードに攻撃する準備をしている。
 アイガーの強化スキルを使い戦闘体制を整えると、ラスラが魔法で攻撃をして、ロックバードを地上まで誘き寄せる。

「なんとかオレの攻撃が届く所まで高度を下げさせてくれ」

「やってみるわ〈アイスブレット〉」

 ラスラは一番低い所を飛んでいるロックバードに、氷の散弾を放った。
 ロックバードまでは距離あり、命中したのは数発だけだった。

「当たりはしたが、効果無さそうだな」

「この距離でダメージを与えるのは難しいでしょうね。でも今の攻撃で十分よ。ほらっ」

 攻撃をされたロックバードは、ラスラ目掛けて急降下してきた。

「アイガーさん来たわよ」

「任せろ!」

 アイガーは急降下してきたロックバードの翼目掛けて、タイミング良く剣で斬りかかった。
 高速で飛んできたロックバードは勢いがあり過ぎて避ける事は出来ず、アイガーの剣がロックバードの翼に当たったと思えた瞬間、突風が吹きアイガーが吹き飛ばされた。
 ロックバードは再び上空へと戻って行った。

「アイガーさん大丈夫ですか?」

「ああ大丈夫だ。タイミングはドンピシャだったんだかな」

「剣が当たる瞬間に、ロックバードがエアーバーストを使ったみたいね」

「こいつは攻撃を当てるのも骨だな。何か良い手はないか?」

「違う方向から同時に攻撃すれば、どちらかは当たると思うけど」

「ならオレは左から翼を攻撃する。ラスラは右から反対の翼を攻撃してくれ」

「分かったわ。やってみましょう」
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