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三章 王都オリーブ編2 周辺地域道中

163 大熊 と 大猿の群れ

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 クリムが放った煙幕玉の煙が晴れてくると、そこには三匹のヘビーベアが居た。
 先に煙で怯んでいた三匹のヘビーベアを合わせると、全部で六匹のヘビーベアが確認出来た。
 カズは念の為に【マップ】を見て確認すると、ヘビーベアの他に森の奥からは、何かのモンスターが迫っていた。
 カズは攻撃を仕掛ける前に、1番近い所に居る一匹ヘビーベアを《分析》してステータスを調べた。



 名前 : ヘビーベア
 種族 : 大熊
 ランク: C
 レベル: 33
 力  : 627
 魔力 : 115
 敏捷 : 330
 全長 : 4m
 補足 : 体毛の下はとても硬い皮膚がある。
 ・獣の中では最大クラスで、大きい個体になると5mにもなる。
 ・視力は低いが鼻が効く為に、匂いで獲物を見つけ、強い力と鋭い爪で捕らえて捕食する。
 ・岩場の多い所に生息している事が多い。



 武器屋の店主に聞いた通り、硬そうだな。
 刀に武器強化と斬撃強化を使えば、斬れる事は出来るだろう。

 カズは腰にある刀に、強化のスキルを使用して、正面から向かって来てるヘビーベアに、抜刀し斬りかかった。
 刃は止まる事なく振り抜かれ、目前に居たヘビーベアの体は真っ二つになった。
 その勢いのまま、カズは近くに居た二匹のヘビーベアも斬り倒した。
 それを匂いで感じ取った他のヘビーベアが、一斉にカズ目掛けて突っ込んで行く。
 三匹のヘビーベアを斬り倒したあたりから、周囲に血の匂いが漂い始めた。


 あの数を斬るのは少し面倒だな。
 このままだと血の匂いに誘われて、肉食のモンスターが集まってくるかも知れないから、攻撃をいつも通りの魔法に切り替えよう。
 早くヘビーベアを倒さないと、森の奥からンスターが迫って来てるからな。
 スノーベアの時は、皮下脂肪のせいで電撃の効きが弱かったが、今回はどうだ? 〈ライトニングショット〉!


 カズは残りのヘビーベアに向けて、電撃魔法のライトニングショットを放った。
 すると二匹はその場に倒れたが、大きなヘビーベア一匹は電撃に耐え、止まる事なくカズの方へと向かって行く。

「一匹残ったか! ならば〈ライトニングボルト〉だ!」

 残った一匹のヘビーベアに狙いを定め、カズはライトニングボルトを放った。
 すると大きなヘビーベアは、避ける事も耐える事も出来ず、高速の電撃に貫かれて倒れた。


 このまま放置すると、後から来たモンスターの餌になりかねんから、取りあえず倒したヘビーベアを全部アイテムボックスに放り込んでおこう。
 森の奥から迫ってるモンスターが、ここに来るまでには間に合うだろう。


 カズは倒したヘビーベア全てを回収して【アイテムボックス】に入れていった。
 全て回収し終わりった頃《気配感知》に反応があり【マップ】を見て確認すると、離れた所から、カズを囲むように散らばっていた。


 囲まれてるのか……まだ姿を現さないって事は、それなりに知恵のあるモンスターか、さてどう動く?


 カズが止まって様子を伺いっていると『ウキャァー』と甲高い鳴き声が聞こえた。
 すると一斉に鳴き出したモンスターの内数体が、カズの居る方へと向かって来た。
 カズは木々の間から姿を現したモンスターの一体を目視すると、即座に《分析》してステータスを調べた。



 名前 : レッドヒヒ
 種族 : 大猿
 ランク: B
 レベル: 38
 力  : 784
 魔力 : 335
 敏捷 : 631
 スキル: テレパシー
 全長 : 2m30㎝
 補足 : 全身赤い体毛でおおわれ、群れで行動するモンスター。
 ・普段は人の来ない山奥に生息しているが、山に食料が少なくなると、人里に下りて食料を奪い、人を襲う事もある。
 ・集団戦闘を得意とし、群れのボスが《テレパシー》を使い指示を出す。(モンスターレベルが40以上になった、一部のレッドヒヒしかテレパシーは使えない)
 ・普段は森の奥に生息している。


「! なんだ? 石か?」

 レッドヒヒの群れは周囲の木々を巧みに使い、カズの死角に回り込み石を投げてくる。
 カズが右を向けば左からと、常にカズの向いている逆の方から投石がくる。
 カズが疲れるのを待っているのか、未だに数体しか姿を現さない。
 このまま時間を掛けられても面倒だと、カズは周囲一帯に対して、スキル《威圧》を使った。
 すると投石が止み、レッドヒヒの動きも止まった。


 今ので退散してくれれば良いんだがな。
 威圧する前に【マップ】を見たら、アイガーさんとラスラさんが居る方に、高速で移動するモンスター反応があったからな。
 かなりのスピードだったから、おそらく飛んでるだろうから、予測していた『ロックバード』の可能性が高いよな。
 相手するのも時間掛かるし面倒だから、コイツら(レッドヒヒ)退いてくれないかな?
 ……ん? 一ヶ所に集まり出した!? よし、そのまま退散してくれ。

「ウキャ! ウキャァ! ウキャァーー!!」

 レッドヒヒ達が撤退してくれると思っていカズだったが、それとは逆に十体以上居るレッドヒヒが、木々の間から姿を現し、一斉にカズに襲い掛かった。
 しかもどのレッドヒヒも、手には2m程の太い木の棒を持っている。


 やばっ! アイスフィールドで凍らせるか……いや、それだど後々周りの木が枯れてしまうかも知れないし……
 向かって来てるレッドヒヒを、全部斬るか、それはそれでこの辺りが血塗れになるだろうし……試しに『バリア・フォールド』のトレカを使おう! 効果範囲は俺から1mくらいで良いだろ。


 カズはポケットに入れて常備しておいた『バリア・フォールド』のトレカを出し使用した。
 するとトレカは消滅し、その後カズを中心として、そこから半径1m程の所に、薄いガラスのような半球状の壁が現れた。
 そこにレッドヒヒ達が、持っていた太い木の棒を全力で叩き付ける。
 しかし半球状の薄い壁は、びくともしない。
 カズの元に集まってくるレッドヒヒは、何度も何度も持っている太い木の棒で叩き付けるが、カズには一切届かず、全て半球状の薄い壁に弾き返されていた。


 おお! バリアと言うだけの事はあって頑丈だ。
 よし、バリア・フォールドのトレカが使える事も分かったから、目の前に居るレッドヒヒの群れをなんとかしないとな。
 森の中だから火系の魔法は、火事になる恐れがあるから使えないし……あれにするか!


 カズはバリア・フォールドの中から、魔法を唱えた。

「〈プラントバインド〉」

 カズがプラントバインドを使うと、周りの植物から蔓が伸び、太い木の棒で攻撃を繰り返しているレッドヒヒに絡み付いていった。
 レッドヒヒの中には、持っている太い木の棒で迫る蔓を振り払おうとする者もいたが、何本も迫り来る蔓を払う事は出来ずに、次々と縛り上げられていった。
 そうしている内に五分が経過し、バリア・フォールドの効果が切れた。
 するとそれを見計らった様に、隠れていた一体のレッドヒヒが、カズの後方木の上から襲い掛かった。
 しかしカズは【マップ】で確認して分かっていたうえに《気配感知》でも気付いていたので、レッドヒヒが後方の木の上から襲い掛かった瞬間に振り向き〈ライトニングボルト〉を撃ち込んだ。
 すると襲い掛かったレッドヒヒは、叫び声を上げる事も出来ずに落下し、地面に叩き付けられた。
 群れのボスと思われるレッドヒヒが倒されたのを見ていた他のレッドヒヒは、ジタバタとしていたのを止め、おとなしくなった。
 倒したレッドヒヒのボスを【アイテムボックス】に入れた後、身動きがとれなくなっている十数体のレッドヒヒを見て、カズはどうしたものかと考えた。


 もう戦意は無い様だけど、このまま解放しても数を増やして戻って来るだろうし、やっぱり討伐してしまった方が良いか?
 あっ! それより向こうはどうなった?


 カズが【マップ】を見ると、アイガーとラスラが居る草原に、二十体ものモンスター反応があった。
 その内三体は、広い範囲を高速で移動していた。
 カズはさっき思った通り『ロックバード』が現れたのだと確信した。
 目の前で縛り上げられているレッドヒヒを放置して、急いで二人の居る草原へと戻って行った。





 ≪トレーディングカード説明≫


 ・実際に書かれているレア度と名前と効果。
 ・コストは《》内に表示。
 ・主人公の持つトレカの種類は複数ある為、コストや効果の表示が違うものもある。(モンスターとクリーチャーの表記の違い等)



 R《白・4》【バリア・フィールド】: コストを支払ってこのカードを場に出したら、このカードの上にコインを3枚置く。
 ・自分ターン開始時に、このカードの上にあるコインを1枚取り除く。
 ・このカードの上にコインが無くなった場合、このカードを破棄する。
 ・ このカードが場に出ている場合、あなたのコントロールするクリーチャーは、ダメージを受けず与えない。
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