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三章 王都オリーブ編1 王都オリーブ

106 トレカの使い方 と 魔法古書

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 カズは急に鼻がムズムズし、くしゃみが出た。

 また誰かに、噂でもされてるのかな?
 しかし屋敷も大きければ庭も広いし、どうしたらこんな所に住めるんだ?
 通された客間だって、十畳以上はあったもんな。
 これは掃除をするメイドさん達も、休む暇なく大変だろうに。
 俺は今日、その屋敷に泊まるのか……落ち着かなそうだ。
 さてと、取りあえずあの人形が埋まっていた所を、調べてみるか。
 証拠になるような事は、発見出来ないだろうけど。

 カズは裏庭にある木の根元に行き、先程掘り返した穴を更に堀広げ、変わった物がないか調べた。
 だか思った通り、他に埋まっている物は無く、これといって変わった事もなかった。
 カズは次に、木の方を調べる事にした。
 特に何の変哲もない木だが、ただナイフか何かで、付けた傷が何本かあるのが分かる。
 どうも子供の身長を、測っていたようだ。
 見るからに新しいのは、デイジーとダリアを測った時に付けた傷で、古い傷はマーガレットを測った時のものだと思う。
 この傷以外には、特に変わった所はないので、掘り返した穴を埋め戻し〈クリア〉の魔法を使って、汚れた衣服をキレイにしてから、屋敷に戻った。

 こちらの世界も寒くなってくると、日が短くなるのか。
 四季なんてあるなかな?

「何か手がかりは、見つかりましたか?」

「アキレアさん。マーガレットさんに付いてなくて、いいんですか?」

「ええ。お食事をされた後に、奥様と少しお話をしまして、今は休まれてます」

「そうですか。病み上がりですし、今は静養された方が良いですね」

「はい。それでは、お部屋に案内しますので、こちらへどうぞ」

 アキレア付いて行き、一室に案内されて入ると、予想した通り広い部屋だった。

「こちらがカズさんに、泊まっていただく部屋になります」

「ひ、広いですね。俺もっと狭い部屋で、いいんですけど……」

「こちらより狭い部屋がお望みですか? それですと、私達メイドの部屋か倉庫になります。ですがカズさんを倉庫に泊める訳にはいかないので、私達メイドが倉庫に移り、カズさんさんには私達の部屋を…」

「いやいや! そういう訳にはいきません。俺はここで十分ですから。無理を言ってごめんなさい」

「そうですか? 恩人であるカズさんの頼みならば、私達は構いませんが」

「駄目です! 無理を言った俺が悪かったです。ごめんなさい」

「うふふっ! カズさんは変わった方ですね」

「それはよく言われます。俺にそんな気を使わないでください。大した者じゃないですから」

「うふふっ! 分かりました。それではゆっくりとくつろいでください。お腹が空きましたら、言ってください。何か用意しますから」

「はい。ありがとうございます」

「それでは、何かあったら呼びますので、その時はお願いします」

「分かりました」

 ハァ、広い部屋に大きなベッドあれに寝るのか……落ち着かなそうだな。
 寝つけなさそうならソファーがあるから、そっちで寝るか。
 一応【マップ】の範囲を、敷地全体が入る程度に広げて、人の出入りをいつでも確認出来るようにしておこう。
 日も暮れたばかりだし、昼食も遅かったからお腹は空いてないし、また新しい魔法を覚える為に、あの本でも見るか。

 カズは【アイテムボックス】から、アヴァランチェの路地裏にあった店で、手に入れた魔法が書かれている古書を取り出し、読むことにした。

 何度か読んで気が付いたが、この本は右開きに読み進めるもので、半分が過ぎた辺りからは、白紙になっていたのが解った。
 ただ、白紙手前のページに書いてある魔法を理解し、使用出来るようになると、次のページにある魔法が、浮かび上がる仕掛けになっていた。
 しかもこの本は、読んでいる者の魔力が弱いと、殆どが白紙の状態に見えるようだ。
 書いてあるのが、この国の文字でもないようなので、この本を持っていたお爺さんは、その事もあり、読めなかったのかも知れないと思った。
 一応何か書いてあるとは言ってたから、見えてはいたんだろけど。
 俺はなどと思いながら本を読み進める。

 これまで載っていた魔法で、カズが使えそうとおもった魔法は、空間移動の魔法と、飛翔魔法それに重力魔法くらいだった。
 しかしどれも魔法名は、書かれていない。
 カズはパラパラと本をめくっていると、数ヶ所文字が浮かび上がってるページがあった。
 今までは、右から順番に読んでいかないと、先のページは出てこなかったのに、今回は何故だかページを飛ばして、文字が浮かび上がっていた。
 カズはそのページを読んで、書いてある魔法を確かめた。
 すると三つの魔法が浮かび上がっていた。
 やはり魔法名は書かれてはいない。
 だが、どんな魔法かすぐに解った。

 一つ目の魔法は、対象者にある属性の耐性を与えて、守るような魔法だった。
 二つ目の魔法は、対象物に掛けられた効果を、打ち消す魔法と書かれていた。
 三つ目の魔法は、黒色の属性や闇属性に対して、有効な効果を与えることができ、呪いを消し去る魔法と書かれている。

 これを読んで解った事だが、どれもカズが使ったトレカの効果に類似していた。
 一つ目が『プロテクション』で、二つ目は『解呪』で、そして三つ目が『浄化』のトレカだろう。
 つまり使ったトレカで、同じような効果があれば、本に掲載されているページの文字が浮かび上がり、読めるようになるようだ。
 うまくすれば、トレカを無駄にしなくてすむとカズは思った。
 カズは本を【アイテムボックス】に戻し入れ、代わりに試してみようとトレカを出した。
 試しようなので、カズはレア度の低いダブってるトレカを出した。
 何故なら使ったら消滅してしまうからだ。
 試しに使うトレカを仕分けしていたら、夜も更けてきたので、寝る前に【マップ】を確認した。
 屋敷内の人達は、各部屋に戻って寝たようだ。

 カズは寝る前に【万物ノ眼】で『警報装置』のトレカを《分析》して、効果を確めた。
 実際にゲームで使う効果は『自分の手札が、相手が使う効果の対象にならい』だけど、魔力を流してこれを使うと『効果が持続している間に、一定の範囲に何者かが侵入したら、報せてくれる』と表示された。
 効果がどう発動するかは、実際に何者かが侵入しないと分からないようだ。
 分析して発動する効果が解るのであれば、他のトレカも使う前に、調べて見れば良かったと思っていた。

 あの時(呪いの対処をした)は、そんな余裕なかったからな。

 カズは寝る前に『警報装置』のトレカを使用した。
 すると【マップ】の端に『ベル』のマークが表示された。
 どうやらこのベルのマークが、発動してるということらしい。
 一応これで警戒出来てると思ったカズは、もう寝ることにした。
 カズがベッドに入って横になったが、大きく柔らかいベッドでは寝つけなく、結局ソファーに移動して寝た。


 ◇◆◇◆◇


 カズは慣れない所で寝たせいか、夜明け前に目が覚めた。
  そして起きてすぐに【マップ】を確認した。
 ベルのマークはまだ表示されており、特に問題は起きてない。
 屋敷の人達もまだ寝ているのか、表示されている人のマークは、各部屋から動いていない…と思ったが、一人だけ部屋から出て移動しはじめたのが分かった。
 カズは気になり、起きている人を確認する為に、行ってみることにした。
 【マップ】を頼りに、起きている人の居る部屋に入ると、そこは厨房だった。

「アキレアさん?」

「! カズさん」

「おはようございます。驚かせてしまってすいません」

「おはようございます。こんなに朝早くから、どうしたんですか?」

「いえ、なんか目が覚めてしまって。アキレアさんは?」

「私はいつも、このくらいの時間に起きて、お仕事を始めてますよ」

「一人だけこんなに早くから?」

「奥様には、もっと遅くからでいいと、言われてるんですけど、いつもこの時間に、目が覚めてしまうんですよ」

「アキレアさんは働き者で、偉いですね」

「そ、そんな。褒めても何もでませんよ」

 アキレアは頬を赤くして、嬉しそうにしていた。





 《トレーディングカード説明》

 ・今回使用したトレカ。
 ・実際に書かれているレア度と、カード名と効果。


 R【警報装置】 :  このカードを場に出して置くと、自分の手札は、相手が使う効果の対象にならない。
 ・このカードが場に出たとき、カードを1枚引く。
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