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選ばない選択
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円も耀も暫く、忙しいながらも充実した日々を過ごしたが翌年から既に、綻びが見え始める、円15歳の頃
重い税と、厳しい法律の施行、特に法の部分は公正とかそんなんでなく「お上に逆らうと死刑だよ」的な事だ、単なる弾圧法である
通貨の統一から両替で富の均等化を図ったはいいがそこにこの税で、一方的に資産や富を失う者も多数出る
次に始まったのは皇帝の趣味というか、最大権力者が大抵求める「秘薬」の研究、宮中学者を集めて製薬施設を作る
皇帝の寿命を大幅に縮めた原因とされる「不死の秘薬」の研究である
更に翌年には内政を破壊し政権瓦解のキッカケに成ったとも言われる、大規模公共工事が始まる
これも民衆を徴用、つまり、無理矢理連れて来たり地元宦史や太守に命じて、何人集めろとノルマの様にされた為事業に耐えられるかどうかの餞別すら行われずしかも奴隷に近い扱いであった、つまり、強制労働に近い
しかも施行した法もあり「逆らったら殺すから」がある
本来の経済学的「公共事業」は政府が金を払って事業者や労働者に給与を出し、不景気時や世間で金が動かなくなった場合にそれを強制的に回す効果と所得を政府から民に移して使わせる効果があるが
紀元前、特に大陸の皇帝が何度か行ったこの質の事業は、大抵この様に、強制的に集めて扱いも奴隷、飯は出るが、給与なんざ碌に出ない、だから大抵民衆反乱に結びつく
早い話、犯罪者の罰とかタダ働きに近い
しかも理由がインフラ整備とか民間が使える物ですらない事が大体、宮殿とか砦とかに一方的に傾倒する
これには当事者、官の側に居た円も唖然に近い、文、学のある円からすれば余計そう思うだろう「正気なの‥」と思った。
これは宮中の学者に関わらず、学のある者、良識のある者なら大抵そうだろう、民を軽視して上手く行った国等ありはしないのだから
ただ、円自身はこれに直接、国の瓦解に付き合う事も巻き込まれる事も無かった
どちらかと云えば「趣味」の部分だろう。尤も趣味の範囲だが、皇帝肝いりの国策には違い無い、そう、「不死の秘薬」への関わり
関わりと言っても、研究に抜擢される訳ではない
これは、倭との繋がりからそうなった
「神国」へそれを求めるという馬鹿馬鹿しい発想と命令だ、これで責任者が調査隊を組織し、各地へ派遣するが円には「倭」との取り成しと何れ派遣の通知がされる
別に彼女はそれでもいい、都に居る事自体既に苦痛でしか無くなっていた為改めてここで「帰る」の道があるなら、としか思わなかった
が、これを聞いた黄耀祁は強硬に反発した
「そんな物がある訳がなかろう!」と全うな見識であるそれは円も同じだ
それが可能なら、既にそういうモノがあるハズだし、そういう人間も居る、まして円が故郷に居た間そんな話も聞いた事も無い、まだこの時代はそういうモノが可能だと信じられていた
耀は理由を付けて一時都に戻り円と宮中の外宿で兎に角会った
「円だって分っているだろ?!君の故郷にそんなモノがあるかどうかなど」
「はい、少なくとも私は聞いた事がありません、そもそも作るにしても製法のキッカケすらありません」
「それでも受けるのか?!」
「いえ、そうでは無くて、どうせ無いのだから今改めて故郷に戻る道があるなら、と思っただけです」
「だが、それでは此処には帰れないだろう!」
「それは何とも‥ですがどの道、命令です断れないなら断れない也に自分の利益、良い方に展開を図るしかありません」
「グ‥、冗談じゃない」
「しかし、耀様‥どうする事も出来ません」
「それだけじゃない‥この政治ではまた国が崩れる」
「それも分ります、民を軽視して国が発展した例など一つもありません、が‥」
「いや、手段はある」
「どうするのです?」
「別の国へ行こう」
「?別と言っても‥」
「異民族の所なら、こちらから追えない」
この時代で云う所の異民族、越とか月とか色々あるベトナムやモンゴルやら、まだ「世界の外」の話で、そもそも国交もないし、幾度か争って「敵」の位置ではある、故に、そちらへ逃れれば良いと考えた
「でも、そうするとして‥どうやって」
「西安から北は其れほど遠くない、行けなくはない」
耀祁も結局、そうして譲らない、彼にしてみれば円を失うのは耐えられない、ましてこんな政治では暴政にしか見えなかった
だから、二人で何処かへ行って1からやろうと持ちかけた、自分にも円にも生きる能力も才能もある、こんな馬鹿な命令で一生会えなくなる等ありえないと思った。そしてまた「転機」「選択」だった、それも最悪の
円はこれも拒否しなかった、耀とそういう道を選んでも良いかな?と思った
彼の事も好きだし頼りになる、まだどちらも20前どうとでもなる。まして確かに、馬鹿な命令と暴政だった、秦国に拘る必要も無いなと思った
これまでの経過見る限り、円が自分で選んで道を決める事は殆ど無い、必ず誰かの勧めあって「じゃあ、そうする」が殆どだ、だからこの耀の勧めも同じ形で「行く」としたのである
が、これは時期が早すぎる、後の事を予知出来る訳ではないので仕方無いのだが、この後、更に国内情勢は悪化する、そこからでも良かったと云えた。
すれば、今よりは楽な脱出となっただろう。だが彼女、彼は、それが良いとしたのだ、その時の最善の判断だと感じたのである
円、16歳の事である
耀も無策に脱出を図った訳ではない、内政、各地の状況の動きを見ながら計画を進める
まず、この時、公共事業の一つで都の宮中、つまり宮殿の補修事業というより、一新事業が始まる、これで一部施設が閉じた事もあり円や女中も一部、外に暇を出された
これは地下まで作る一大事業計画の一つで過去の誰もやっていない宮殿を造ろうとした為である
ここで耀は自身も暇を取る、そこで任地に戻る際、ついでに「円には何もしてやれてない、後の事も考えて一緒に東の都市と自身の関わる事業を見せてやりたい」と将軍や皇帝に許可を取り、それを容易に認めてもらう
「まあ、どうせ円も暫く暇を与えたし、いいのではないか?」という事だ
ここで、円と耀は共に一旦彼の元々の任地に向かう
まだ後の話だが、東から西に展開、事業として始まる万里の長城である、これの東の事業、地元治安維持の責任者という立場である
洛陽から東に着いて「自称観光」が始まって更に1ヶ月。この建造物が作られた理由も元は北からの騎馬民族への防衛でその事情でも判る通り、ここから北へ向け、逃げるのはそう無謀ではない
向こうが来てるのだからこちらかも当然行けるが、この「自称観光」は円には面白いものでもあった。国家の一大事業であるし見た事も無い様な、凄まじい長さの建造物である。
何しろ当時から中世くらいまで総距離八千キロとも一万キロとも言われてる東西の城壁。日本を縦断しても足りないくらいの建造物なのだから円の常識からすれば開いた口が塞がらない事業だ
都程でもないが、東の都市も素晴らしい栄えぶりと大きさ、二人はそこでちゃんと観光をした
ただ、其れほどの大町であるにも関わらず先の内政の圧迫から雰囲気は暗い
それも其のはずで、民をこれも含めたアチコチからかなり大規模に徴集から事業を行う予定で既に、かなりの人数を取られている
この現地の町の宿を取ってその時を待った
三日後には再び計画は進む、休暇を終えた耀は、その場で自身の仕事に付く、円をそのまま手元近くに残したまま何食わぬ顔で官舎や城に戻らず、円の宿へ帰る
周囲も「美人の恋人が居るからなぁ」と彼の行動を不審に思う者も居なかった
これを更に一週間続けた後何時もの様に、恋人の下へ帰る耀、そう周りからも見えた
ここで、夜、深夜といかないウチに、二人は任地から用意した旅の整えと、これも事前に用意した馬で危険はあるが、彼が主導して北へ逃れる
この際、どこでもいい誰も追って来れないなら、それでいいのだ、こうして二人はこの国を出る
同じ日の深夜、闇に紛れてこの辺りを俳諧している子供が居た
「あー‥めんどくさい、めんどくさい、めんどくさい、めんどくさい」
「なんでウチがこんな事しなきゃならんのじゃ」
そう、ずーーと一人でグチと独り言を言いながら夜の街を歩き回っていた「何か」を探して、誰もその声を聞かない、誰も気がつかないまま
重い税と、厳しい法律の施行、特に法の部分は公正とかそんなんでなく「お上に逆らうと死刑だよ」的な事だ、単なる弾圧法である
通貨の統一から両替で富の均等化を図ったはいいがそこにこの税で、一方的に資産や富を失う者も多数出る
次に始まったのは皇帝の趣味というか、最大権力者が大抵求める「秘薬」の研究、宮中学者を集めて製薬施設を作る
皇帝の寿命を大幅に縮めた原因とされる「不死の秘薬」の研究である
更に翌年には内政を破壊し政権瓦解のキッカケに成ったとも言われる、大規模公共工事が始まる
これも民衆を徴用、つまり、無理矢理連れて来たり地元宦史や太守に命じて、何人集めろとノルマの様にされた為事業に耐えられるかどうかの餞別すら行われずしかも奴隷に近い扱いであった、つまり、強制労働に近い
しかも施行した法もあり「逆らったら殺すから」がある
本来の経済学的「公共事業」は政府が金を払って事業者や労働者に給与を出し、不景気時や世間で金が動かなくなった場合にそれを強制的に回す効果と所得を政府から民に移して使わせる効果があるが
紀元前、特に大陸の皇帝が何度か行ったこの質の事業は、大抵この様に、強制的に集めて扱いも奴隷、飯は出るが、給与なんざ碌に出ない、だから大抵民衆反乱に結びつく
早い話、犯罪者の罰とかタダ働きに近い
しかも理由がインフラ整備とか民間が使える物ですらない事が大体、宮殿とか砦とかに一方的に傾倒する
これには当事者、官の側に居た円も唖然に近い、文、学のある円からすれば余計そう思うだろう「正気なの‥」と思った。
これは宮中の学者に関わらず、学のある者、良識のある者なら大抵そうだろう、民を軽視して上手く行った国等ありはしないのだから
ただ、円自身はこれに直接、国の瓦解に付き合う事も巻き込まれる事も無かった
どちらかと云えば「趣味」の部分だろう。尤も趣味の範囲だが、皇帝肝いりの国策には違い無い、そう、「不死の秘薬」への関わり
関わりと言っても、研究に抜擢される訳ではない
これは、倭との繋がりからそうなった
「神国」へそれを求めるという馬鹿馬鹿しい発想と命令だ、これで責任者が調査隊を組織し、各地へ派遣するが円には「倭」との取り成しと何れ派遣の通知がされる
別に彼女はそれでもいい、都に居る事自体既に苦痛でしか無くなっていた為改めてここで「帰る」の道があるなら、としか思わなかった
が、これを聞いた黄耀祁は強硬に反発した
「そんな物がある訳がなかろう!」と全うな見識であるそれは円も同じだ
それが可能なら、既にそういうモノがあるハズだし、そういう人間も居る、まして円が故郷に居た間そんな話も聞いた事も無い、まだこの時代はそういうモノが可能だと信じられていた
耀は理由を付けて一時都に戻り円と宮中の外宿で兎に角会った
「円だって分っているだろ?!君の故郷にそんなモノがあるかどうかなど」
「はい、少なくとも私は聞いた事がありません、そもそも作るにしても製法のキッカケすらありません」
「それでも受けるのか?!」
「いえ、そうでは無くて、どうせ無いのだから今改めて故郷に戻る道があるなら、と思っただけです」
「だが、それでは此処には帰れないだろう!」
「それは何とも‥ですがどの道、命令です断れないなら断れない也に自分の利益、良い方に展開を図るしかありません」
「グ‥、冗談じゃない」
「しかし、耀様‥どうする事も出来ません」
「それだけじゃない‥この政治ではまた国が崩れる」
「それも分ります、民を軽視して国が発展した例など一つもありません、が‥」
「いや、手段はある」
「どうするのです?」
「別の国へ行こう」
「?別と言っても‥」
「異民族の所なら、こちらから追えない」
この時代で云う所の異民族、越とか月とか色々あるベトナムやモンゴルやら、まだ「世界の外」の話で、そもそも国交もないし、幾度か争って「敵」の位置ではある、故に、そちらへ逃れれば良いと考えた
「でも、そうするとして‥どうやって」
「西安から北は其れほど遠くない、行けなくはない」
耀祁も結局、そうして譲らない、彼にしてみれば円を失うのは耐えられない、ましてこんな政治では暴政にしか見えなかった
だから、二人で何処かへ行って1からやろうと持ちかけた、自分にも円にも生きる能力も才能もある、こんな馬鹿な命令で一生会えなくなる等ありえないと思った。そしてまた「転機」「選択」だった、それも最悪の
円はこれも拒否しなかった、耀とそういう道を選んでも良いかな?と思った
彼の事も好きだし頼りになる、まだどちらも20前どうとでもなる。まして確かに、馬鹿な命令と暴政だった、秦国に拘る必要も無いなと思った
これまでの経過見る限り、円が自分で選んで道を決める事は殆ど無い、必ず誰かの勧めあって「じゃあ、そうする」が殆どだ、だからこの耀の勧めも同じ形で「行く」としたのである
が、これは時期が早すぎる、後の事を予知出来る訳ではないので仕方無いのだが、この後、更に国内情勢は悪化する、そこからでも良かったと云えた。
すれば、今よりは楽な脱出となっただろう。だが彼女、彼は、それが良いとしたのだ、その時の最善の判断だと感じたのである
円、16歳の事である
耀も無策に脱出を図った訳ではない、内政、各地の状況の動きを見ながら計画を進める
まず、この時、公共事業の一つで都の宮中、つまり宮殿の補修事業というより、一新事業が始まる、これで一部施設が閉じた事もあり円や女中も一部、外に暇を出された
これは地下まで作る一大事業計画の一つで過去の誰もやっていない宮殿を造ろうとした為である
ここで耀は自身も暇を取る、そこで任地に戻る際、ついでに「円には何もしてやれてない、後の事も考えて一緒に東の都市と自身の関わる事業を見せてやりたい」と将軍や皇帝に許可を取り、それを容易に認めてもらう
「まあ、どうせ円も暫く暇を与えたし、いいのではないか?」という事だ
ここで、円と耀は共に一旦彼の元々の任地に向かう
まだ後の話だが、東から西に展開、事業として始まる万里の長城である、これの東の事業、地元治安維持の責任者という立場である
洛陽から東に着いて「自称観光」が始まって更に1ヶ月。この建造物が作られた理由も元は北からの騎馬民族への防衛でその事情でも判る通り、ここから北へ向け、逃げるのはそう無謀ではない
向こうが来てるのだからこちらかも当然行けるが、この「自称観光」は円には面白いものでもあった。国家の一大事業であるし見た事も無い様な、凄まじい長さの建造物である。
何しろ当時から中世くらいまで総距離八千キロとも一万キロとも言われてる東西の城壁。日本を縦断しても足りないくらいの建造物なのだから円の常識からすれば開いた口が塞がらない事業だ
都程でもないが、東の都市も素晴らしい栄えぶりと大きさ、二人はそこでちゃんと観光をした
ただ、其れほどの大町であるにも関わらず先の内政の圧迫から雰囲気は暗い
それも其のはずで、民をこれも含めたアチコチからかなり大規模に徴集から事業を行う予定で既に、かなりの人数を取られている
この現地の町の宿を取ってその時を待った
三日後には再び計画は進む、休暇を終えた耀は、その場で自身の仕事に付く、円をそのまま手元近くに残したまま何食わぬ顔で官舎や城に戻らず、円の宿へ帰る
周囲も「美人の恋人が居るからなぁ」と彼の行動を不審に思う者も居なかった
これを更に一週間続けた後何時もの様に、恋人の下へ帰る耀、そう周りからも見えた
ここで、夜、深夜といかないウチに、二人は任地から用意した旅の整えと、これも事前に用意した馬で危険はあるが、彼が主導して北へ逃れる
この際、どこでもいい誰も追って来れないなら、それでいいのだ、こうして二人はこの国を出る
同じ日の深夜、闇に紛れてこの辺りを俳諧している子供が居た
「あー‥めんどくさい、めんどくさい、めんどくさい、めんどくさい」
「なんでウチがこんな事しなきゃならんのじゃ」
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