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第三章
134ーディーユ殿下
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さて、私はお部屋でモモちゃんに抱きついて癒されています。なんだか伯父様のお話を聞くとね、重くなっちゃうわよね。
――コンコン
「ルル、どうした?」
「ピー」
「レオン様、なんでもないですよ」
「こんな時にはモモにくっつくのではなくて、俺にくっつく様になってくれると嬉しいんだがな」
レオン様が隣に座って頭を撫でてきます。
「ルルが気にする事じゃないぞ」
「分かっています」
「二人の王子は確かに被害者かも知れないが、それでも俺や義母上から見ると甘いからな」
「レオン様、そうなのですね」
「ルル、いるか?」
「ラウ兄様、どうしました?」
「父上から魔道具で連絡があって、レオンとルル、それにユリウスを連れて城に来る様にと」
「俺もですか?」
「ああ、レオン。二人共支度しなさい。俺も同行するからサロンで待っている」
それから大慌てで準備して、久しぶりにドレスを着せられお城へ向かいました。
「ラウ、何なんだ? 俺もか?」
「ああ、ディーユ殿下がお呼びらしい」
「ラウ兄様、いったい何でしょう?」
「俺も分からない。行くしかないさ」
「ラウ様、ルル様、レオン殿下お話があります」
「ユリウス、どうした?」
そうこうしているうちにお城に着きました。従者の方に案内されて、陛下の執務室に来ました。
「急に呼び出してすまない」
陛下の執務室には、勿論陛下がいらっしゃいました。それに王妃様、ディーユ殿下、そしてお祖父様とお父様です。
ラウ兄様に習ってご挨拶します。
「ああ、ルルーシュア、レオン、ディーユ殿下がお前達に頼みがあるそうだ。ユリウス、此方へ」
「義父上、私とルルにですか?」
「レオン殿下、我が王国の恥ずかしい事をお願いする事になります。ご迷惑をお掛けして申し訳ない」
「ディーユ殿下、堅苦しいのは辞めましょう。今、私はルルーシュア嬢の婚約者として来ております。近い将来王国民になります。どうか気楽にお話下さい。私もそうさせて頂きます」
「レオン、ラウ、ルル、ユリウスこの部屋での事は他言無用だ」
「はい父上」
「レオン、ルル、陛下と王妃様を鑑定してくれないか?」
陛下と王妃様、反応もなく大人しく座っておられます。
「お父様、鑑定ですか?」
「ああ、ディーユ殿下にお前達から聞いた話をした。確実な事をお知りになりたいそうだ。鑑定なら何か分かるかと思ってな」
私とレオン様はディーユ殿下を見た。
「ああ、勘違いしないで下さい。疑っているのではないのです。ただ、今はどんな状態なのか一つでも確実な事が知りたいのです」
「お祖父様、お父様……」
「ああ、お話はした」
「ディーユ殿下、鑑定をしてどんな確実な事をお知りになりたいのですか?」
レオン様が一歩前に出られます。私は下がってラウ兄様とユリウスと一緒に控えます。
レオン様が話されている間、部屋を見渡し、陛下、王妃様、ディーユ殿下と順にゆっくりと目をやります。
「レオン殿下、それは……本当に父が余命が少ないのか。本当に父が、邪神に関わっていたのか。でしょうか」
「先程、ディーユ殿下は疑っているのではないと、仰いましたが?」
「レオン殿下……疑ってはおりません。ただ、話が想像も出来ない事で信じ難いのです」
「なるほど。少し、私の考えをお話させて頂きます。私はルルとティシュトリアの皆と一緒にこの数ヶ月王国を旅しました。第2王子殿下の婚約破棄から令嬢を救う為、魅了から王国の民を救う為、邪神から王国そのものを救う為。あなたより多くの民や貴族と触れ合ったかも知れません。ディーユ殿下、あなたは王国を出られた事がありますか? あなたは王国をどう思っておられますか? あなたは王家としてどう在るべきだとお考えですか?」
「レオン殿下、私も何も考えていない訳ではありません。しかしいつも陛下が……」
「それは違いませんか? 本当に行動しようとするならば、出来た筈です。多くの民の上に立つ者としての責任です。あなたが甘い事を仰っている間にどれだけの民達が飢えていたか分かりますか? またモーガン殿が陛下を叱って下さるだろうと待っておられましたか?」
「レオン殿下」
「モーガン殿、私は第3ですが同じ皇子としての立場で言わせて頂きます。甘えは早く取り去る方が良いのです。いつまでも城の中から出る事のない王子ではダメなのです」
レオン様が続けられます。
「あなたは最後までご自身で確かめに出て来られなかった。私達がしてきた事をモーガン殿から聞いていらしただけだ。北に派遣された兵達の実情をご存知ですか? ティシュトリアの兵に食料を分けてもらわなければならなかった兵の気持ちが分かりますか? 魅了された民達の現状をその目で見られましたか? 着る物も食べる物もなくボロボロになり痩せ衰えて、助けてくれと訴えている民をご覧になられましたか? 陛下がおられるから無理ですか? ご自分は第1王子だから態々出向く必要はありませんか? 宜しいですか? 先程も申しましたが、上に立つ者の責任です。陛下が間違っていると分かっておられるなら、何故精一杯反抗しない! 何故、抵抗しない! 何故、自分で歩き出さない! いつまでも被害者振ってるんじゃない! いつまでも王家と言う身分に甘えているんじゃない!」
レオン様は最初から、王家は甘いと言ってらした。普段は柔かな気さくなレオン様だけど、やっぱり確実に皇子様だった。
私が深く考えなさすぎなのかな? 徐にレオン様が振り向かれた。
「ルル、ルルはそのままでいいんだ」
あ、また心を読んだ。コラッ。
「ハハハ、ディーユ殿下、失礼を申しました。ルル、もういいか?」
「はい、レオン様」
私はユリウスに合図を送り二人同時に、陛下、王妃様、ディーユ殿下に手を向け徐に解呪した。
「「ディスエンチャント」」
「「ルル! ユリウス!」」
お祖父様とお父様が驚いてます。白い光が陛下と王妃様とディーユ殿下を包み、御三方の身体が光りました。
「ルル、やはりか?」
「はい、レオン様」
「ルル、どうする?」
「ラウ兄様、ユリウス、これを飲ませて下さい。お三人共です」
放心状態になっておられる陛下と王妃様。そして呆気に取られてられるディーユ殿下。
私が無限収納から取り出したディアナ特製の解呪薬を飲んで頂いた。
「ディーユ殿下、ご気分は如何ですか?」
軽く頭を振られていたディーユ殿下にお声を掛けます。
「ルルーシュア嬢、一体どうなっているのですか?」
「御三方は邪神に呪いを掛けられておりました」
――コンコン
「ルル、どうした?」
「ピー」
「レオン様、なんでもないですよ」
「こんな時にはモモにくっつくのではなくて、俺にくっつく様になってくれると嬉しいんだがな」
レオン様が隣に座って頭を撫でてきます。
「ルルが気にする事じゃないぞ」
「分かっています」
「二人の王子は確かに被害者かも知れないが、それでも俺や義母上から見ると甘いからな」
「レオン様、そうなのですね」
「ルル、いるか?」
「ラウ兄様、どうしました?」
「父上から魔道具で連絡があって、レオンとルル、それにユリウスを連れて城に来る様にと」
「俺もですか?」
「ああ、レオン。二人共支度しなさい。俺も同行するからサロンで待っている」
それから大慌てで準備して、久しぶりにドレスを着せられお城へ向かいました。
「ラウ、何なんだ? 俺もか?」
「ああ、ディーユ殿下がお呼びらしい」
「ラウ兄様、いったい何でしょう?」
「俺も分からない。行くしかないさ」
「ラウ様、ルル様、レオン殿下お話があります」
「ユリウス、どうした?」
そうこうしているうちにお城に着きました。従者の方に案内されて、陛下の執務室に来ました。
「急に呼び出してすまない」
陛下の執務室には、勿論陛下がいらっしゃいました。それに王妃様、ディーユ殿下、そしてお祖父様とお父様です。
ラウ兄様に習ってご挨拶します。
「ああ、ルルーシュア、レオン、ディーユ殿下がお前達に頼みがあるそうだ。ユリウス、此方へ」
「義父上、私とルルにですか?」
「レオン殿下、我が王国の恥ずかしい事をお願いする事になります。ご迷惑をお掛けして申し訳ない」
「ディーユ殿下、堅苦しいのは辞めましょう。今、私はルルーシュア嬢の婚約者として来ております。近い将来王国民になります。どうか気楽にお話下さい。私もそうさせて頂きます」
「レオン、ラウ、ルル、ユリウスこの部屋での事は他言無用だ」
「はい父上」
「レオン、ルル、陛下と王妃様を鑑定してくれないか?」
陛下と王妃様、反応もなく大人しく座っておられます。
「お父様、鑑定ですか?」
「ああ、ディーユ殿下にお前達から聞いた話をした。確実な事をお知りになりたいそうだ。鑑定なら何か分かるかと思ってな」
私とレオン様はディーユ殿下を見た。
「ああ、勘違いしないで下さい。疑っているのではないのです。ただ、今はどんな状態なのか一つでも確実な事が知りたいのです」
「お祖父様、お父様……」
「ああ、お話はした」
「ディーユ殿下、鑑定をしてどんな確実な事をお知りになりたいのですか?」
レオン様が一歩前に出られます。私は下がってラウ兄様とユリウスと一緒に控えます。
レオン様が話されている間、部屋を見渡し、陛下、王妃様、ディーユ殿下と順にゆっくりと目をやります。
「レオン殿下、それは……本当に父が余命が少ないのか。本当に父が、邪神に関わっていたのか。でしょうか」
「先程、ディーユ殿下は疑っているのではないと、仰いましたが?」
「レオン殿下……疑ってはおりません。ただ、話が想像も出来ない事で信じ難いのです」
「なるほど。少し、私の考えをお話させて頂きます。私はルルとティシュトリアの皆と一緒にこの数ヶ月王国を旅しました。第2王子殿下の婚約破棄から令嬢を救う為、魅了から王国の民を救う為、邪神から王国そのものを救う為。あなたより多くの民や貴族と触れ合ったかも知れません。ディーユ殿下、あなたは王国を出られた事がありますか? あなたは王国をどう思っておられますか? あなたは王家としてどう在るべきだとお考えですか?」
「レオン殿下、私も何も考えていない訳ではありません。しかしいつも陛下が……」
「それは違いませんか? 本当に行動しようとするならば、出来た筈です。多くの民の上に立つ者としての責任です。あなたが甘い事を仰っている間にどれだけの民達が飢えていたか分かりますか? またモーガン殿が陛下を叱って下さるだろうと待っておられましたか?」
「レオン殿下」
「モーガン殿、私は第3ですが同じ皇子としての立場で言わせて頂きます。甘えは早く取り去る方が良いのです。いつまでも城の中から出る事のない王子ではダメなのです」
レオン様が続けられます。
「あなたは最後までご自身で確かめに出て来られなかった。私達がしてきた事をモーガン殿から聞いていらしただけだ。北に派遣された兵達の実情をご存知ですか? ティシュトリアの兵に食料を分けてもらわなければならなかった兵の気持ちが分かりますか? 魅了された民達の現状をその目で見られましたか? 着る物も食べる物もなくボロボロになり痩せ衰えて、助けてくれと訴えている民をご覧になられましたか? 陛下がおられるから無理ですか? ご自分は第1王子だから態々出向く必要はありませんか? 宜しいですか? 先程も申しましたが、上に立つ者の責任です。陛下が間違っていると分かっておられるなら、何故精一杯反抗しない! 何故、抵抗しない! 何故、自分で歩き出さない! いつまでも被害者振ってるんじゃない! いつまでも王家と言う身分に甘えているんじゃない!」
レオン様は最初から、王家は甘いと言ってらした。普段は柔かな気さくなレオン様だけど、やっぱり確実に皇子様だった。
私が深く考えなさすぎなのかな? 徐にレオン様が振り向かれた。
「ルル、ルルはそのままでいいんだ」
あ、また心を読んだ。コラッ。
「ハハハ、ディーユ殿下、失礼を申しました。ルル、もういいか?」
「はい、レオン様」
私はユリウスに合図を送り二人同時に、陛下、王妃様、ディーユ殿下に手を向け徐に解呪した。
「「ディスエンチャント」」
「「ルル! ユリウス!」」
お祖父様とお父様が驚いてます。白い光が陛下と王妃様とディーユ殿下を包み、御三方の身体が光りました。
「ルル、やはりか?」
「はい、レオン様」
「ルル、どうする?」
「ラウ兄様、ユリウス、これを飲ませて下さい。お三人共です」
放心状態になっておられる陛下と王妃様。そして呆気に取られてられるディーユ殿下。
私が無限収納から取り出したディアナ特製の解呪薬を飲んで頂いた。
「ディーユ殿下、ご気分は如何ですか?」
軽く頭を振られていたディーユ殿下にお声を掛けます。
「ルルーシュア嬢、一体どうなっているのですか?」
「御三方は邪神に呪いを掛けられておりました」
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