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第三章

133ー王都へ

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「で、帰りなんだがな」

 お父様、何でしょう? その片手に持ったお肉はこれから食べるのですね? 何個目ですか?

「王都の父上の邸へ寄る事になった」

 ええー、早く領地に帰りたいー!

「ルル、顔」

 あら、レオン様。ごめんなさい。

「このまま西に向かえば王都だからな。陛下の話をしに行かなければならない」

 あー、忘れてたわ。

「それに、サクソン・モルドレッドだ」

 マーリソン様が2度の解呪魔法を掛け、解呪薬を飲ませたマーリソン様のお父上。あれからまだ目を覚ましておられません。
 お父様はこのまま目を覚まされなかったら、領地迄お連れするつもりみたいだけど。ディアナに見せるつもりなんだろうな。

「父上、お祖父様にはもう話を?」
「ラウ、ああ。兄上に魔道具を渡してあるからな。兄上に大まかな話はした。それで王都に寄れと言う事だ」

 超面倒じゃない。ま、仕方ないか。

「そうだルル、仕方ないんだ」

 あら、読まれてるわ。お父様にまで。

「では父上、セイバーが戻り次第出発ですか」
「そうだな」
「明日の夜にはセイバーが戻ります」
「では、明後日出発だ」
「分かりました」

 ……て、事で王都に向かってます。馬車ですが、来る時同様に早く進みます。街中ではこんなに早くは進めないので、今のうちに距離を稼ぐらしいです。
 どっちにしろ、面倒だわ。早く領地に帰りたいわ。ね、モモちゃん。

「わふぅ」
「ルビもなのー」
「ピ……」

 あら、この子達分かっているのね。

「ピア、レオン様の馬に乗らないの?」

 ピアがお向かいに座っているリアンカの横に大人しく座ってます。

「ピ」

 あら、片手を上げたわ。そうなの? おネムかしら?

「ピア、こっち来る? 横になっても良いわよ」
「ピピ」

 フワフワとピアがやってきました。私の膝に乗り横になって抱きついてきます。
 あら、いつものお腹に両手を置いて寝るのじゃないのね。

「ピ……ピピ……」
「どうしたの?」

 ピアをナデナデします。

「わふ、ピアはピアで、ルルとレオン様を危険な目に合わせたと思っているのよ」
「なんだ、ピアそんな事ないわ。ピアがオヴィオさんを呼んでくれたから助かったのよ。お手柄よ」 
「ピ……?」
「ピア、有難う」
「ピー」

 あら、起きて抱き着いてきたわ。ピアが少し泣きました。大きな瞳に大粒の涙を溜めて。
 ピアが責任を感じる事なんてないのよ。ピアはまだ赤ちゃんなんだから、甘えていれば良いのよ。泣かないで。
 背中を優しくトントンしていたら、ピアは寝てしまいました。本当に赤ちゃんを抱っこしている様です。

 ピーヒュルヒュル……ピーヒュルヒュル……

「ピア、まだまだ馬鹿なの」
「ルビちゃん、そんな事ないわよ」
「でも少し賢くなったの」
「そうね。少しね……」

 ルビちゃん厳しいわね。皆んな充分、お利口さんよ。


「なんだとっ! あの馬鹿が! 正に愚王がッ!!」

 すっ飛ばして、王都のお祖父様のお邸です。お父様が説明されました。その後のお祖父様の反応です。

「父上、第1王子殿下には話しておかれる方が」
「ああ、アーデス。城へ行くぞ」
「はい、父上」

 お祖父様、お伺いも立てずに直ぐに行かれました。怒り心頭て感じですね。

「ルル、あれから陛下の奇行が目に付く様になってきてしまってね。父上も早い方が良いと判断されたんだろう」
「伯父様、そうだったんですか」
「ああ、陛下だけでなく王妃様もなんだ。ディーユ殿下と宰相殿が困っておられた」
「王妃様まで……伯父上、どうなるのですか?」
「ラウ、父上が動いたからね。もう早急に譲位されるだろう。そして王太后様も表に出て来れない様に、干渉できない様になるだろうね。王太后様も表には出てこられないが、裏でディーユ殿下の邪魔をされていたらしいから。バッカス王子は真面目にされているそうだよ」
「しかし伯父上、ディーユ殿下にとって陛下は実の父親です」
「ああ、ジュードそうだね。複雑な気持ちはお有りだろうが、ディーユ殿下は割り切られると思うよ。殿下は小さな頃から少し不憫だったからね」
「伯父様、もしかして王妃様が第2王子殿下を可愛がっておられた事とか……?」
「ルル、何か知っているのかい?」
「いえ、以前ディーユ殿下とお話した時にそう感じた事があったのです」

 お城でお話した時のディーユ殿下のお言葉が……

『第2王子バッカスとの婚約話が出た時に、私が先に見つけた子なのに! と両親に言い寄った事があります。まあ、弟に甘い両親に却下されましたが。それ以来、私の細やかな反抗心で婚約者を決めずにきました』

 どんな、幼少期を送って来られたのでしょう? お祖父様の事が好きだと仰ってらした。

「それに伯父様、第1王子殿下が今迄婚約者が居られないのは異例ではないですか?」
「ルルその通りだね。お可哀想なお方でもあるんだ。小さい頃から父上にとても懐かれていて、ディーユ殿下にとって父上は親代わりだったのかも知れないな。ルルの事も大好きだった様だしね」

 伯父様、余計な一言を付けないで。

「小さい頃、ルルに会いによくティシュトリア迄来られていたよな?」
「ジュード兄様、そうなんですか?」
「ルル、お前覚えてないのか?」
「ラウ兄様、全く覚えていません」
「ルル、それはディーユ殿下がお可哀想だ」

 伯父様……だから余計な一言言わないで。

「第2王子殿下とルルの婚約の話が出た時に初めて反抗されたんだ。僕が先に見つけた子だ! てね。あの子は絶対にバッカスには渡さない! て、凄い剣幕だったね」

 知らないし……

「でも母上が、その頃にはルルはレオンとの婚約が決まっていたと」
「ラウ、よく知っているねー。そうなんだよ。偶然にね。まあ、それがなくても君達の母上は王家にルルはやらないだろう。絶対にね。陛下と王妃様も最初からおかしかった訳じゃないんだよ。君達の両親が結婚する事にとても嫉妬したそうだ。嫉妬する意味が分からないけど。それからだよ。その頃に陛下は邪神に喰われていたんだろう? お二人の王子殿下はある意味被害者だね」
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