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第三章

121ー北上ルート

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「さて、ユリウスがルートを突き止めてくれた。では、我々はどうする?」
「父上、打って出るに決まっているでしょう!」
「兄貴、勿論だ!」
「ユリウス、そうなるとどう北東の山脈近辺まで向かうのが1番だ?」
「はい、モーガン様に知らせが入るまで、早くて1週間掛かっていたとしましょう。早馬より早く移動出来ているとは考えられません。ですので、まだ最初の町を過ぎた辺りではないかと予測します。ティシュトリアから一旦帝国寄りにある北側の街道に出て北上するよりも、斜めに北上して最短最速で向かいましょう。意表を突いてやりましょう」
「ユリウス、そうか!」
「はい、アーデス様。シャーロットは王国どころか、この世界を舐めています。私は許してはいけないと考えます」

 あ……珍しくユリウスが激キレしてる。穏やかだから分かり辛いけど、ユリウスが激キレしたら恐ろしい……!

「ルル? どうした?」
「レオン様、ユリウスが珍しくキレてるわ」
「あれで? いつもと変わりない様に見えるぞ」
「分かりにくいけど、アレはかなりキレてるわ。あー、怖い怖い」
「ルル様、何か仰いましたか?」
「いいえユリウス、何でもないわ」

 怖い怖い。ニッコリしておこう。

「ラウ、ジュード。セイバーは何人連れて行く?」
「父上、各10名は多いですか?」
「ラウ、領地の守備もあるからな。私のセイバーは残す」
「では、俺とジュードのセイバーを各10名、いや15名にしますか」
「兄貴、ついでに山の方も行きたいんだ!」
「ジュード。ついで、てなんだ?」
「兄貴、こっちにはいない魔物もいるだろ? いい素材になるだろ!」
「ジュード、素材を集めをしている場合ではないぞ?」
「兄貴知ってるか? 雪山にいるビッグホワイトベアがいい武装になるんだよ。その毛皮は寒くないらしいぞ。白いからきっとルルにお似合いだぞ」
「ルルにか? そうだな…… 」
「ラウ、ついでに狩るか?」
「父上まで」
「父上、狩りましょう!」
「父上、セイバーは各15名でいいですか?」
「あ、ああラウ。明日1日で準備できるのか?」
「俺達は大丈夫です。問題はイワカムですね。どれだけ食料を用意できるか」
「そうだな」
「じゃあ兄貴、俺聞いてくるわ」
「ジュード頼む。それ次第ですね」
「ラウ、これで魅了騒ぎは最後にするぞ。これ以上、振り回されるのはゴメンだ」
「ええ、父上。ルルの為にも」
「ああ、そうだな」
「父上、セイバーの装備もどこまで出来ているか確認しておきます」
「アーデス様、状態異常無効の魔道具も追加で必要ですね」
「ああ、ユリウス頼む。では、具体的なルートだが……」
「お父様」
「ルル、どうした?」
「お腹がすきました」
「……そうだな、夕食にするか」
「ブハッ! ルル今クッキーめっちゃ食べてたろ?」

 だって、お腹がすいたんだもの。仕方ないじゃない。

「ピー。」
「ああ水か。ほら」
「ピ。ンギュ……ンギュ……プハー!」

 はい、食事中ですよ。ピアが魔素水飲んでますね。
 最近、行ったり来たりで落ち着きませんね。私は領地でゆっくりのんびりしたいのに。

「ルル、どうして温室に薬草を植えないんだ?」
「わふっ」

 うん、モモちゃん分かってるわよ。

「レオン様、薬草て意外とデリケートなんですよ。それに温室に魔素水の池を作って人工的に魔素濃度を高くするのも初めてでしょう? だから、もっと落ち着いてから継続的にデータが取れる状態で始める方が良いのよ」

 でしょ? モモちゃん。

「わふん」
「よし、デザートはサロンだ。移動するぞ」

 お父様、食べるの早いから。

「まず、ジュード」
「はい、イワカムに確認しました。明日1日で用意してくれるそうです。料理人が何故か皆やる気になってましたよ」

 どうしたんだろ? 前回の肉まん騒動で限界突破したのかしら? へのへのカッパなのかしら?

「セイバーの装備も大丈夫です。俺とジュードのセイバー各15名連れて行きます。全員ミスリルの剣に新しい武装です。何故かセイバーも皆行きたがってましたね」

 どうした? 何があった?

「では、ルートです」

 ユリウスさん、軍師ですね。官兵衛さんと呼ぼうかしら?
 前世だと地図とは言えない様な大まかな王国の地図を広げて、ユリウスからルートが発表されました。本当に王国を斜めに北上する様です。
 街道が通ってない所は逆に時間が掛かるだろうと予想して、道がある限り斜めに進みます。そして一気に北上。

「ユリウスの予測では、どの辺りでぶつかりそうだ?」
「アーデス様、この辺でしょう」

 ユリウスが示した場所は、丁度王都から真横に山脈側へ延ばした辺りでした。それだけこっちが早く移動出来ると言う事?

「ルル様、それだけではありませんよ。この時期、北から南下してくる方が最初はキツイのです。街道の状態も気候もです。恐らく向こうは動けない日もあるでしょう」

 成る程ねー。ユリウスは何でも良く知ってるわねー。

「何より、馬が違います」

 馬? 

「サクソン・モルドレッドは北の修道院に行く迄に、何処かの街で幌馬車と馬を用意したのでしょう。こっちは毎日森の中を疾走している訓練され管理された馬です。元々の馬力が違います」

 ほぉー。凄いわね。

「それに今回は馬車の数も少ないですしね」
「そっか、お父様とお兄様達も馬なのね」
「はい。私とマーリソン殿は魔道具も作りたいので馬車ですが」
「ユリウス、私もよ。でも私の馬も連れて行って欲しいわ」
「わふっ」
「モモちゃんどうしたの? 普通に喋ったら?」
「わふぅ、出発前に、一つだけ」
「モモ、どうした?」
「一つだけ皆さんに。邪神が神の目を掻い潜ったとは言え、神の不手際で皆さんに危険な事をさせてしまう事に対して……神は心を痛めておられます。そして、邪神は人知を超えた存在です。何が起こるか分かりません。その様なものに、果敢に挑む貴方方を誇りに思います。どうか、全員無事に戻って来て下さい。そしてどうか……ルルを守って下さい」

 モモ……

「モモちゃん、当然よ」

 お母様……

「ああ、当然だ! このまま好きにはさせない! 全員そうだろ!? さっさと片をつけて皆揃って無事に戻ってくるぞ!」
「「「「はいッ!」」」」
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