転生公爵令嬢の婚約者は転生皇子様

撫羽

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第三章

122ー出発前日

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 次の日……出発前日です。早朝からお邸の中はごった返していました。食料庫の物だけでは足らないのか使用人達が買付けに走り、ニコラが畑と調理場を畑用の小さな荷車を押しながら何度も往復し、食料を積んで来た商人達も列を作って荷下ろしを待っています。
 マジックバッグを手にした使用人達が回収にまわります。ガイウスが走り回って指示しています。その上、自分達も連れて行って欲しいと、何人ものセイバー隊員達がラウ兄様とジュード兄様に願い出ています。

「あー、だから! お前達の気持ちも分かるが、領地を守る事も大事な事だろ!」

 ラウ兄様が声を張り上げています。
 ユリウスとマーリソン様が追加で状態異常を無効化する魔道具を配っています。一体いつ作ったの?

「ルル様、まだ足らないので行きの馬車の中でも作りますよ」
「ユリウス、皆どうしたの? 張り切っちゃって……」
「ルル様……」

 え? 何? 分かっていないのは私だけ?

「皆、今迄の経緯を知っているんですよ。怒っているんです。舐めるなと」

 そうなの?

「ティシュトリアの民の良い所ですね。私はこの民達を隊員達を使用人を誇りに思いますよ」
「そうね……守らなきゃ」
「はい、ルル様」

 昼食後、皆やっと少し落ち着いた様です。

「ルルはいつも通りだなー」
「ジュード兄様、何ですか?」
「いや皆バタバタしてるのに、ルルは変わらないなぁと思ってな」

 あれ? 私は暇してるって事かしら?

「ルル、違うぞ。ルルはいつもと変わらず落ち着いていると言う意味だ」
「ラウ兄様。今更慌てても仕方ないですし。やると決めたら後は勝つだけです。モモやルビもピアだっています。お兄様達やお父様もお母様、ユリウスもマーリソン様も。私には心強い味方がいますから」
「ルル……俺は?」
「レオン様、勿論レオン様もですよ。でもシャーロットはレオン様狙いでしょう? 気をつけて下さい」
「それはルルもだろう?」
「え? レオン様でしょう?」
「いや、二人共だろ!?」
「ジュード兄様、そうですか?」
「ルル、お前も逆恨みされてるんだからね。気をつけな」
「はい。ラウ兄様」

 すっかり忘れてたわ、その件。

「わふ……」

 モモちゃん呆れないで!

 午後から私も魔道具作成を手伝いましたよ。私だってね、やる時はやるのよ。

「ユリウス殿、今回はマジックバッグに魔石も入れて持って行きましょう」
「マーリソン殿、そうですね。マジックバッグなら荷物になりませんしね」
「そんなに作るの?」
「ルル様、どんな事態にも対処できる様にですよ」

 そうなのね。

「そうです。モモちゃんも言ってましたからね。何が起こるか予想がつきませんし」
「でも、マーリソン様。楽しそうですよ?」
「ルルーシュア様! 分かりますか! そうなんですよ!」

 お父様の事があるのに……

「ルルーシュア様、そうなんです。父を捕まえに行くと言うのに、何故か楽しいんです。私は魔法馬鹿です。魔法が好きで、魔導士団に入団しました。研究もしました。嫡男だと言うのにです。しかし、王都では何をやっても、こんなに心が震える事はありませんでした。王都では、他人の足を引っ張って自分の得になるようと考える輩が何処にでもおりましたから。ですので、ティシュトリアに押し掛けてきて本当に良かった。この領地は素晴らしい。毎日が楽しいのです。ま、流石にあまり父の情けない姿は見たくありませんがね」

 マーリソン様……

「ルル様、大丈夫です」

 ええ、ユリウス。大丈夫ね。

「ルル? いるか?」

 あら、レオン様。

「ピ?」
「ユリウスもマーリソン殿も、そろそろ夕食だぞ」
「おや、もうそんな時間ですか。ではルル様。後は馬車の中で頑張りましょう」
「ユリウス、分かったわ。今夜はユリウスもマーリソン様もゆっくり休んでね」
「はい、ルル様」
「ルルーシュア様! 有難うございます!」

 そして、夕食です。

「ピー!」
「ピア、まだ飲むのか?」
「ピ!」
「ほら」
「ンギュ……ンギュ……プハー!」

 本当にこのコンビは緊張感のない。

「このパスタ美味いな」
「ええ、この味付けは料理長ね」
「お? ルル、分かるのか?」
「イワカムはどっちかと言うと、ガッツリなのよ。料理長は繊細」
「ほぉー。うまっ!」

 聞いてないし。まぁ、レオン様はどっちでもいいみたいね。

「明日はレオン様は馬車ですか?」
「いや、俺は馬で行く」
「大丈夫ですか?」
「おいおい、これでも帝国から単独でティシュトリア迄来たんだぞ」
「そうじゃなくて、ピアよ」
「ピ?」
「ああ、ダメそうならルルの馬車に乗せてやってくれ」
「勿論、それは構わないけど。ピア、飛んで行くの?」
「ピ?」
「飛んだり、乗ったりだな。今日少し練習してみたんだ。器用に馬に乗ってるよ」

 へぇー、そうなんだ。

「ルビも飛べるのー」
「わふっ」
「いいのよ。ルビはモモや私と一緒に馬車で行きましょう」
「分かったの」
「私は時々馬で走るけど」
「は? なんで?」
「だって走りたいじゃない? ずっと馬車だと飽きちゃうし」
「はぁー、ルルらしいと言うか…… 」

 何かしら?

「皆、明日は出立だ!」

 お父様、張り切ってますねー。

「しっかり寝ておくんだぞ!」

 はーい! まるで遠足の前日みたいね。
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