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第二章
101ーいい歳して!!
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朝からお祖父様とお父様、お兄様達もバタバタされています。解呪もやっと落ち着いた事もあり、とうとうアレイ・モルドレッドの実家に、当主であるクロウリー・モルドレッドとマーリソン様のお父上であるサクソン・モルドレッドの捕縛に向かう事になりました。第1王子のディーユ殿下が、兵士を3分隊出され邸の周りを取り囲みます。
私はお留守番なのです。残念そうって?そりゃあ、残念ですよ。一緒に踏み込みたいじゃないですか!
「父上、もう若くはないのですから大人しくされてはどうです?」
伯父様、辛口だわ。
「何を言う、モルゴース! 現場に出なくてどうする!」
「モーガン殿、さすがです! カッコいいです!」
「レオン殿下、そうですかな? ハハハ!」
「事件は○○で起きている!」
レオン様、握り拳を作ってドヤってるけどまたパクッた。馬鹿な事言ってるわ。レオン様もお留守番なんだけどね。なんせ帝国の第3皇子殿下ですからね。忘れがちだけど。危険な事はさせられません。
「お祖父様お父様お兄様、お気をつけて下さい。解毒薬は持たれましたか? 何が起こるか分かりませんよ」
「ルル、大丈夫だ。安心して待っていてくれ」
「お祖父様、無茶なさらないで下さいね。一番先に突っ込んだりしたらダメですよ。お父様、お兄様お願いしますね」
「ハハハ。ルル、母上みたいな事を言ってるぞ」
ラウ兄様に突っ込まれました。
「だって、お祖父様は何をなさるか分からないんですもの。毒に注意して下さい! 絶対に毒を持ってますよ!」
て、何度も毒に注意して下さい。て、言ったのに! 私は言ったよ!?
「ルル! ディアナ! 大変だ!!」
「ジュード兄様! どうされました!?」
ジュード兄様がお祖父様を抱えて戻ってこられました。
「お祖父様が、真っ先に突っ込んで行かれて毒矢にやられた!」
「へっ!? だから気をつけて下さいって、あれ程言ったのに! ディアナ! ディアナ!!」
「ルル様!」
ディアナが走ってきました。
「ディアナ、お祖父様を解毒してちょうだい!」
「毒ですか!? ルル様、取り敢えずアンチドーテをお願いします!」
「分かったわ! アンチドーテ!」
お祖父様の身体が光りました。
「ジュードさま、解毒薬を飲ませて下さい!」
「分かった!」
ジュード兄様がお祖父様の口を開けて持っていた解毒薬を飲ませます。
「ジュード様、ベッドへお連れしましょう」
お祖父様の部屋に行きベッドへ寝かせます。
「ジュード兄様、どうしてこうなったんですか?」
話している間にもディアナが傷口にも解毒薬をかけて、処置しています。
「邸について、さぁ、入るぞ! て時にお祖父様が一人真っ先に突っ込んで行かれてたんだ。邸の中に数名のならず者がいて、切り掛かって来られて。お祖父様は切り返しておられたんだが、なんせお一人で突っ込まれたもんだから囲まれてしまい弓で狙われて避けきれなかったんだ。幸い擦り傷なんだが、矢に毒が塗ってあったんだろう、倒れられたんだ。直ぐに持っていた解毒薬は飲ませたんだが、意識が戻らなかったので先にお連れした」
お祖父様、なんて無鉄砲なの!?
「お父様達は?」
「ああ、父上と兄貴は大丈夫だ。セイバーも連れて行っているからな。もう捕縛が済んでいる頃だろう」
「ルル様、ヒールをお願いします」
ディアナの指示です。
「ヒール」
もう一度お祖父様の身体が光りました。
「……ん」
気がつかれたみたいです。
「お祖父様、お祖父様! 大丈夫ですか!?」
お祖父様はゆっくりと目を開けられました。
「ああ、ルルか。……私はどうした?」
「お祖父様を掠めたならず者の放った矢に毒が塗られてあって倒れられたのですよ。私が連れ帰りました」
「ジュードか。世話をかけたな」
「お祖父様」
「ルルか。解毒してくれたのか」
「はい、私とディアナで直ぐに解毒しました」
「そうか、助かった」
「お祖父様、私言いましたよね。毒に気をつけて下さいと。何度も言いましたよ」
「あー、そうだな」
「一番先に突っ込まないで下さいとも言いましたよ」
「ルル、済まない。気が急いてな」
「お祖父様! もうお若くないんですよ!」
「ルル、そんな……」
「お祖父様!!」
「はい、すまん」
「直ぐに解毒して間に合ったから良かったものの、もし間に合わなかったらどうするんですかっ!!」
「フハハッ! ルル、母上みたいだぞ」
「ジュード兄様、茶化さないで下さい」
「ルル様、薬湯を作って参りますね。今日と明日は安静にして1日3回薬湯を飲んで頂きます」
「ディアナ、有難う。お願いね」
「はい。では失礼します」
「お祖父様、もう二度とこんな事はしないで下さい!」
「ああ、ルル。済まない」
バンッ!! と、ドアが開きました。
「あなたッ!!」
「「お義父様!!」」
はい、お祖母様に、伯母様、お母様の登場です。しっかり叱られるといいわ。
「あー、すまん」
お祖父様、しょんぼりなさってます。そりゃそうだわ。反省してもらわなくちゃ。
「あなた! いい歳をして何をなさってるんですか!?」
「ジュード、どうしてこうなったの?」
お母様がジュード兄様に聞かれました。
そこからはまたさっきの繰り返しです。私にも怒鳴られ、お祖母様、伯母様、お母様にまた叱られ。お祖父様、ちっちゃくなってしまわれました。
「ルル、解毒は済んだの?」
「はい、お母様。直ぐにディアナと解毒しました。今ディアナが薬湯を作ってくれています」
「あなたはお義父様に似たのかしら」
え、なんで?
「あなたも真っ先に突っ込んで行くでしょう?」
やだお母様。心外だわ。
「ルル、母上の言う通りだぞ」
やだ、ジュード兄様、矛先が私に向いちゃったじゃない。
「お母様、ディアナを見てきます」
「あ、ルル逃げた」
ジュード兄様、煩いわ。
夕方になってお父様とラウ兄様が戻って来られました。皆、サロンに集まってます。お祖父様以外ね。オヤツがあるので、モモとルビとピアもいます。早速、オヤツをもらって食べてます。今日はマカロンです。マカロンを両手で持って齧っているルビが超可愛い! 屑だらけだけど。
「結論を言うと、サクソン・モルドレッドはいなかった」
「公爵様、どう言う事でしょう? では父はどこに?」
「マーリソン殿、全員解呪薬を飲ませてから尋問したのだが、サクソンは私達が此方
に着いた翌日に王都を出たらしい。王都にも私達が魅了を解呪してまわっていた話が届いていたそうだからな」
「逃げたと言う事ですか」
「多分、そうだろう」
「それで全員魅了に掛かっていたんですか?」
「ああルル、邸にいたならず者達も使用人も全ての者が魅了されていた」
「とんでもないな…… 」
レオン様、本当にね。
「父はどこへ行ったのでしょう?」
「シャーロットのいる修道院に向かっているんじゃないか?」
「レオン様、そう思いますか?」
レオン様は持っていたティーカップを置かれました。
「ああルル。それしかないだろう」
「まだこれから今日捕縛した者達の取調べがある。しかし、魅了とはこんなに人の心を操るものなのか?」
「お父様、どう言う事ですか?」
「ルル、私の知識が浅いからなのだろうが、私が知識として知っていた魅了とは強制力が段違いだ」
「お父様、それは私もそう感じます。レオン様、帝国で魅了が発見された時はどうだったのかお分かりになりますか?」
「文献で読んだ程度の知識だからな、リアルではないだろう。しかし文献では、ただ皇家の権力を得たくて、皇家に魅了をかけようとした。としかなかった。だから多分、未然に防いだのだろうと思う」
「そうですわね。帝国では、今回の様に低位貴族の男爵令嬢ごときが、簡単に皇族に近づく事など出来る訳がありませんから。少しでも怪しい言動をしたら即拘束されます。万が一、近づく事ができ魅了をかけようとしても、きっと怪しまれて拘束されるでしょう」
お母様、留学されるまで帝国の御令嬢でしたものね。
「わふ」
「モモ、食べたの?」
「わふっ」
「なぁに? 喋りなさいよ」
ホントに……、何わふわふ言ってるのよ、モモちゃん。
「普通、魅了に強制力などないわ。魅了をかけられた者はその人が一番、その人が大好き、その人の為に……て、思うようにはなるけれど本人が躊躇したり嫌がったりする事は普通は出来ないものよ。今回はルルが鑑定した時に確認したのだけど、魅了のスキルレベルだけが異様に高かった事、そしてやはり邪神の眷属の加護が魅了スキルを強力なものにしているわ」
「まるで邪神そのものだな……」
この時は、お父様のこの一言が後に事実へと変わる事等、想像も出来ませんでした。
私はお留守番なのです。残念そうって?そりゃあ、残念ですよ。一緒に踏み込みたいじゃないですか!
「父上、もう若くはないのですから大人しくされてはどうです?」
伯父様、辛口だわ。
「何を言う、モルゴース! 現場に出なくてどうする!」
「モーガン殿、さすがです! カッコいいです!」
「レオン殿下、そうですかな? ハハハ!」
「事件は○○で起きている!」
レオン様、握り拳を作ってドヤってるけどまたパクッた。馬鹿な事言ってるわ。レオン様もお留守番なんだけどね。なんせ帝国の第3皇子殿下ですからね。忘れがちだけど。危険な事はさせられません。
「お祖父様お父様お兄様、お気をつけて下さい。解毒薬は持たれましたか? 何が起こるか分かりませんよ」
「ルル、大丈夫だ。安心して待っていてくれ」
「お祖父様、無茶なさらないで下さいね。一番先に突っ込んだりしたらダメですよ。お父様、お兄様お願いしますね」
「ハハハ。ルル、母上みたいな事を言ってるぞ」
ラウ兄様に突っ込まれました。
「だって、お祖父様は何をなさるか分からないんですもの。毒に注意して下さい! 絶対に毒を持ってますよ!」
て、何度も毒に注意して下さい。て、言ったのに! 私は言ったよ!?
「ルル! ディアナ! 大変だ!!」
「ジュード兄様! どうされました!?」
ジュード兄様がお祖父様を抱えて戻ってこられました。
「お祖父様が、真っ先に突っ込んで行かれて毒矢にやられた!」
「へっ!? だから気をつけて下さいって、あれ程言ったのに! ディアナ! ディアナ!!」
「ルル様!」
ディアナが走ってきました。
「ディアナ、お祖父様を解毒してちょうだい!」
「毒ですか!? ルル様、取り敢えずアンチドーテをお願いします!」
「分かったわ! アンチドーテ!」
お祖父様の身体が光りました。
「ジュードさま、解毒薬を飲ませて下さい!」
「分かった!」
ジュード兄様がお祖父様の口を開けて持っていた解毒薬を飲ませます。
「ジュード様、ベッドへお連れしましょう」
お祖父様の部屋に行きベッドへ寝かせます。
「ジュード兄様、どうしてこうなったんですか?」
話している間にもディアナが傷口にも解毒薬をかけて、処置しています。
「邸について、さぁ、入るぞ! て時にお祖父様が一人真っ先に突っ込んで行かれてたんだ。邸の中に数名のならず者がいて、切り掛かって来られて。お祖父様は切り返しておられたんだが、なんせお一人で突っ込まれたもんだから囲まれてしまい弓で狙われて避けきれなかったんだ。幸い擦り傷なんだが、矢に毒が塗ってあったんだろう、倒れられたんだ。直ぐに持っていた解毒薬は飲ませたんだが、意識が戻らなかったので先にお連れした」
お祖父様、なんて無鉄砲なの!?
「お父様達は?」
「ああ、父上と兄貴は大丈夫だ。セイバーも連れて行っているからな。もう捕縛が済んでいる頃だろう」
「ルル様、ヒールをお願いします」
ディアナの指示です。
「ヒール」
もう一度お祖父様の身体が光りました。
「……ん」
気がつかれたみたいです。
「お祖父様、お祖父様! 大丈夫ですか!?」
お祖父様はゆっくりと目を開けられました。
「ああ、ルルか。……私はどうした?」
「お祖父様を掠めたならず者の放った矢に毒が塗られてあって倒れられたのですよ。私が連れ帰りました」
「ジュードか。世話をかけたな」
「お祖父様」
「ルルか。解毒してくれたのか」
「はい、私とディアナで直ぐに解毒しました」
「そうか、助かった」
「お祖父様、私言いましたよね。毒に気をつけて下さいと。何度も言いましたよ」
「あー、そうだな」
「一番先に突っ込まないで下さいとも言いましたよ」
「ルル、済まない。気が急いてな」
「お祖父様! もうお若くないんですよ!」
「ルル、そんな……」
「お祖父様!!」
「はい、すまん」
「直ぐに解毒して間に合ったから良かったものの、もし間に合わなかったらどうするんですかっ!!」
「フハハッ! ルル、母上みたいだぞ」
「ジュード兄様、茶化さないで下さい」
「ルル様、薬湯を作って参りますね。今日と明日は安静にして1日3回薬湯を飲んで頂きます」
「ディアナ、有難う。お願いね」
「はい。では失礼します」
「お祖父様、もう二度とこんな事はしないで下さい!」
「ああ、ルル。済まない」
バンッ!! と、ドアが開きました。
「あなたッ!!」
「「お義父様!!」」
はい、お祖母様に、伯母様、お母様の登場です。しっかり叱られるといいわ。
「あー、すまん」
お祖父様、しょんぼりなさってます。そりゃそうだわ。反省してもらわなくちゃ。
「あなた! いい歳をして何をなさってるんですか!?」
「ジュード、どうしてこうなったの?」
お母様がジュード兄様に聞かれました。
そこからはまたさっきの繰り返しです。私にも怒鳴られ、お祖母様、伯母様、お母様にまた叱られ。お祖父様、ちっちゃくなってしまわれました。
「ルル、解毒は済んだの?」
「はい、お母様。直ぐにディアナと解毒しました。今ディアナが薬湯を作ってくれています」
「あなたはお義父様に似たのかしら」
え、なんで?
「あなたも真っ先に突っ込んで行くでしょう?」
やだお母様。心外だわ。
「ルル、母上の言う通りだぞ」
やだ、ジュード兄様、矛先が私に向いちゃったじゃない。
「お母様、ディアナを見てきます」
「あ、ルル逃げた」
ジュード兄様、煩いわ。
夕方になってお父様とラウ兄様が戻って来られました。皆、サロンに集まってます。お祖父様以外ね。オヤツがあるので、モモとルビとピアもいます。早速、オヤツをもらって食べてます。今日はマカロンです。マカロンを両手で持って齧っているルビが超可愛い! 屑だらけだけど。
「結論を言うと、サクソン・モルドレッドはいなかった」
「公爵様、どう言う事でしょう? では父はどこに?」
「マーリソン殿、全員解呪薬を飲ませてから尋問したのだが、サクソンは私達が此方
に着いた翌日に王都を出たらしい。王都にも私達が魅了を解呪してまわっていた話が届いていたそうだからな」
「逃げたと言う事ですか」
「多分、そうだろう」
「それで全員魅了に掛かっていたんですか?」
「ああルル、邸にいたならず者達も使用人も全ての者が魅了されていた」
「とんでもないな…… 」
レオン様、本当にね。
「父はどこへ行ったのでしょう?」
「シャーロットのいる修道院に向かっているんじゃないか?」
「レオン様、そう思いますか?」
レオン様は持っていたティーカップを置かれました。
「ああルル。それしかないだろう」
「まだこれから今日捕縛した者達の取調べがある。しかし、魅了とはこんなに人の心を操るものなのか?」
「お父様、どう言う事ですか?」
「ルル、私の知識が浅いからなのだろうが、私が知識として知っていた魅了とは強制力が段違いだ」
「お父様、それは私もそう感じます。レオン様、帝国で魅了が発見された時はどうだったのかお分かりになりますか?」
「文献で読んだ程度の知識だからな、リアルではないだろう。しかし文献では、ただ皇家の権力を得たくて、皇家に魅了をかけようとした。としかなかった。だから多分、未然に防いだのだろうと思う」
「そうですわね。帝国では、今回の様に低位貴族の男爵令嬢ごときが、簡単に皇族に近づく事など出来る訳がありませんから。少しでも怪しい言動をしたら即拘束されます。万が一、近づく事ができ魅了をかけようとしても、きっと怪しまれて拘束されるでしょう」
お母様、留学されるまで帝国の御令嬢でしたものね。
「わふ」
「モモ、食べたの?」
「わふっ」
「なぁに? 喋りなさいよ」
ホントに……、何わふわふ言ってるのよ、モモちゃん。
「普通、魅了に強制力などないわ。魅了をかけられた者はその人が一番、その人が大好き、その人の為に……て、思うようにはなるけれど本人が躊躇したり嫌がったりする事は普通は出来ないものよ。今回はルルが鑑定した時に確認したのだけど、魅了のスキルレベルだけが異様に高かった事、そしてやはり邪神の眷属の加護が魅了スキルを強力なものにしているわ」
「まるで邪神そのものだな……」
この時は、お父様のこの一言が後に事実へと変わる事等、想像も出来ませんでした。
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