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第二章
46ー命名『ピア』
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「えぇー、岩盤があるから無理よ。あの隙間からどうやって向こう側に行くの?」
よく見ないと分からない様な、本当にわずかな隙間しかありません。
「あの隙間、亀裂か? あそこ壊せないか? 此処まで来て行かない選択肢はないだろ!?」
「モモ、どうかしら?」
「この先は岩盤が厚くなってるわ。無理に壊したら崩れた岩盤で流れを堰き止めてしまうから駄目よ。二人共、マップで確認よ」
そうでした。マップを見てみます。
「モモ、この先ってもしかして……」
「そうね」
「何? 俺のマップ、先を表示しないんだけど!」
「レオン様はまだレベル不足ね。ルルは、先まで辿れたかしら?」
「モモさん、そんなにハッキリ言わなくても……俺、気にしてるのに」
「ええ、辿れたわ。でもあそこに魔素はない筈よ」
「深い洞窟の中から、地表に流れ出る間にかなり薄まったのね。地層がフィルターの役目をしているのじゃないかしら? でも、魔素が全くない訳じゃないわ。とても微細なバランスなのね。だから、あの水で作物がよく育つんだわ」
成る程。自然て凄いわね。人が無闇に手を出してはいけないのね。
「あの水は人が飲んでも、ポーションを作っても効果が高い筈よ」
なんですって!? 凄いわ!
「それは、ディアナが喜ぶわ。モモ、じゃあこの湖の周りって貴重な薬草があるんじゃない?」
「そうね、普通ではないものがあるみたいね」
「何? 何だよ? 俺、全然分からんぞ!」
「この湖ね、領内にあるリッシュ湖に流れ出しているのよ。リッシュ湖の水源がこの湖てことね」
「スゲー! 何だよ、それ!」
「それに魔素の影響で、この湖の周りに貴重な薬草があるらしいわ」
「ふふ、そうね。さ、戻りましょう。あら? え?」
「飛んできたのー」
「モモ、どうしたの?」
「ピー! ピュピュー!」
どこから来たのか? ポスン! とモモに、小さいそれは抱きつきました。
「あなた、まさか……」
モモさん、その小ちゃいのは何でしょう? もう普通じゃない感満載なんですけど! 飛んでるし。翼があるし。
「ピー、ピピュー」
「ルル、何て言ってるんだ?」
「私も分からないわよ。モモ?」
「一緒に連れて行ってほしいって」
「いいじゃん」
「ピーー!」
あ、レオン様の頭に抱きついちゃった。こっちが話してる意味は理解できるのね?
もうレオン様は。何なのか全然分からないのに即答なの?
「ルル、仕方ないわね。カーバンクルもいるし、もう今更でしょ?」
「モモさん、この子念の為に確認したいんだけど」
「白いドラゴンの赤ちゃんね。この子は湖龍かしら?」
「えぇーー!!」
レオン様、連れて行ってもいいと言ったのは貴方だからねッ!
「マジかぁー!」
モモに抱きついてきた小さい其れは、全身真っ白な鱗に覆われた爬虫類を思わせる体、背には蝙蝠の様な翼があり、鋭い爪と牙を具えていて、目が大きくてクリックリと……やだ、とっても可愛い!
「あなたは一人で此処にいたの?」
モモが話しています。
「ピー、ピピュー、ピー……」
なんか悲しそうな感じなんだけど。大きな目がうりゅうりゅしてるんだけど。
「そんな事があるのね、一人で寂しかったのね」
「ピー……」
「食事はどうしてたの?」
「ピュー、ピー、ピピュー」
「そうなの。あなた男の子?」
「ピー」
「どうして出てきたの?」
「ピピー、ピーピュー」
「ルルと私?」
「ピー」
モモが聞いた内容によると……
この白い湖龍の赤ちゃん。母龍が卵だったこの子を湖畔に落としてしまったらしい。でも湖の濃い魔素のお陰で無事に卵から孵ったら母龍は既にいなかった。
それからズッと一人だった。まだ小さいから岩盤の上まで飛ぶ力もなく、湖の濃い魔素水と周りに自生している植物だけで生きてきたと言う。
一人で寂しくて隠れていた所に、私達がやって来た。モモの眷属である魔力と、私の魔力を感じて出てきた。もう、一人は寂しいから一緒に連れて行って欲しい……とな。
「モモ、この子念話もできないの?」
「小さ過ぎてまだ無理ね」
「湖の水が必要なら、無限収納に沢山入れて行くか」
レオン様、前向きー! レオン様の頭をカジカジして喜んでるのも可愛い。何で齧るの?
「ルル、名前をつけてあげて」
「ピー!」
「私が!? モモちゃん、私センスないわよ?」
「分かってるけど、いいんじゃない?」
もう、仕方ないなー。一人でこんな所に置いてくのは可哀想だしね。うん。
「じゃあ、ピア!」
「ピー!」
ブフッ! 顔に抱きつかないで。
「いいじゃない、可愛いわ」
「相変わらず、まんまだな」
「レオン様、失礼ね。今回は少し捻ったわよ」
「でも、アレだろ? 白から連想してピュア→ピアだろ?」
なんで分かるのよ? その通りだわよ。
ドラゴンも、ラノベのファンタジー物の定番っちゃあ定番かぁ……。
勇者とかはいないけど。何処かアニメに出てくる、ロン毛のイケメン魔王と名前が一緒の王子はいるけどね。ククク。レオン・クロ◯ム◯ルだっけ?
「皇子様には白いドラゴンが似合うわね」
「お、そうか? ピア宜しくな、俺はレオンだ」
「ピー!」
「お、手を上げてるぞ! 可愛いじゃん!」
「私はルル、この子はフェンリルのモモよ。こっちはカーバンクルのルビ。宜しくね」
「ピー! ピピー!」
私に頭を擦り付けて喜んでるみたい。
「わかった、わかった! それにしてもピア、臭うし汚いわね。クリーン」
「ピーッ!!」
「おっ、驚いてるぞ! ピア、キレイになったぞ」
真っ白になったわね。生臭かったのよ。
「ピー!」
クルクルと嬉しそうに飛びまわってます。
「ルルー! レオン! 大丈夫かー!」
「あ、ジュード兄様が呼んでるわ。行きましょう。ピア、モモに乗って」
「ピー!」
「………………!?」
そぅ、ジュード兄様達の反応です。勿論、モモに乗ってるピアを見た反応よ。
「ピ」
「その、モモに乗ってる白い其れはなんだ?」
「ジュード兄様、この子はドラゴンで湖龍の赤ちゃんです。先程ピアと名付けました。ピア、私のお兄様でジュード兄様よ」
「ピー!」
片手を上げてる。挨拶してるつもりなのかな?
「……ッ!? ドラゴン! 湖龍!」
「あー、ジュード様。ルル様ですし……ね」
あら、ノトス。それ、どう言う意味かしら?
「そ、そうだな。なんでも有りだな」
ジュード兄様まで……!
「素晴らしい! 流石ルルーシュア様ですッ!」
はい、マーリソン様です。この人はどんな時でもこのテンションなのね。
「ジュード兄様、取り敢えずお腹がすきました」
「お、おお。そうだな。食事にするか。食事休憩にするぞー!」
よく見ないと分からない様な、本当にわずかな隙間しかありません。
「あの隙間、亀裂か? あそこ壊せないか? 此処まで来て行かない選択肢はないだろ!?」
「モモ、どうかしら?」
「この先は岩盤が厚くなってるわ。無理に壊したら崩れた岩盤で流れを堰き止めてしまうから駄目よ。二人共、マップで確認よ」
そうでした。マップを見てみます。
「モモ、この先ってもしかして……」
「そうね」
「何? 俺のマップ、先を表示しないんだけど!」
「レオン様はまだレベル不足ね。ルルは、先まで辿れたかしら?」
「モモさん、そんなにハッキリ言わなくても……俺、気にしてるのに」
「ええ、辿れたわ。でもあそこに魔素はない筈よ」
「深い洞窟の中から、地表に流れ出る間にかなり薄まったのね。地層がフィルターの役目をしているのじゃないかしら? でも、魔素が全くない訳じゃないわ。とても微細なバランスなのね。だから、あの水で作物がよく育つんだわ」
成る程。自然て凄いわね。人が無闇に手を出してはいけないのね。
「あの水は人が飲んでも、ポーションを作っても効果が高い筈よ」
なんですって!? 凄いわ!
「それは、ディアナが喜ぶわ。モモ、じゃあこの湖の周りって貴重な薬草があるんじゃない?」
「そうね、普通ではないものがあるみたいね」
「何? 何だよ? 俺、全然分からんぞ!」
「この湖ね、領内にあるリッシュ湖に流れ出しているのよ。リッシュ湖の水源がこの湖てことね」
「スゲー! 何だよ、それ!」
「それに魔素の影響で、この湖の周りに貴重な薬草があるらしいわ」
「ふふ、そうね。さ、戻りましょう。あら? え?」
「飛んできたのー」
「モモ、どうしたの?」
「ピー! ピュピュー!」
どこから来たのか? ポスン! とモモに、小さいそれは抱きつきました。
「あなた、まさか……」
モモさん、その小ちゃいのは何でしょう? もう普通じゃない感満載なんですけど! 飛んでるし。翼があるし。
「ピー、ピピュー」
「ルル、何て言ってるんだ?」
「私も分からないわよ。モモ?」
「一緒に連れて行ってほしいって」
「いいじゃん」
「ピーー!」
あ、レオン様の頭に抱きついちゃった。こっちが話してる意味は理解できるのね?
もうレオン様は。何なのか全然分からないのに即答なの?
「ルル、仕方ないわね。カーバンクルもいるし、もう今更でしょ?」
「モモさん、この子念の為に確認したいんだけど」
「白いドラゴンの赤ちゃんね。この子は湖龍かしら?」
「えぇーー!!」
レオン様、連れて行ってもいいと言ったのは貴方だからねッ!
「マジかぁー!」
モモに抱きついてきた小さい其れは、全身真っ白な鱗に覆われた爬虫類を思わせる体、背には蝙蝠の様な翼があり、鋭い爪と牙を具えていて、目が大きくてクリックリと……やだ、とっても可愛い!
「あなたは一人で此処にいたの?」
モモが話しています。
「ピー、ピピュー、ピー……」
なんか悲しそうな感じなんだけど。大きな目がうりゅうりゅしてるんだけど。
「そんな事があるのね、一人で寂しかったのね」
「ピー……」
「食事はどうしてたの?」
「ピュー、ピー、ピピュー」
「そうなの。あなた男の子?」
「ピー」
「どうして出てきたの?」
「ピピー、ピーピュー」
「ルルと私?」
「ピー」
モモが聞いた内容によると……
この白い湖龍の赤ちゃん。母龍が卵だったこの子を湖畔に落としてしまったらしい。でも湖の濃い魔素のお陰で無事に卵から孵ったら母龍は既にいなかった。
それからズッと一人だった。まだ小さいから岩盤の上まで飛ぶ力もなく、湖の濃い魔素水と周りに自生している植物だけで生きてきたと言う。
一人で寂しくて隠れていた所に、私達がやって来た。モモの眷属である魔力と、私の魔力を感じて出てきた。もう、一人は寂しいから一緒に連れて行って欲しい……とな。
「モモ、この子念話もできないの?」
「小さ過ぎてまだ無理ね」
「湖の水が必要なら、無限収納に沢山入れて行くか」
レオン様、前向きー! レオン様の頭をカジカジして喜んでるのも可愛い。何で齧るの?
「ルル、名前をつけてあげて」
「ピー!」
「私が!? モモちゃん、私センスないわよ?」
「分かってるけど、いいんじゃない?」
もう、仕方ないなー。一人でこんな所に置いてくのは可哀想だしね。うん。
「じゃあ、ピア!」
「ピー!」
ブフッ! 顔に抱きつかないで。
「いいじゃない、可愛いわ」
「相変わらず、まんまだな」
「レオン様、失礼ね。今回は少し捻ったわよ」
「でも、アレだろ? 白から連想してピュア→ピアだろ?」
なんで分かるのよ? その通りだわよ。
ドラゴンも、ラノベのファンタジー物の定番っちゃあ定番かぁ……。
勇者とかはいないけど。何処かアニメに出てくる、ロン毛のイケメン魔王と名前が一緒の王子はいるけどね。ククク。レオン・クロ◯ム◯ルだっけ?
「皇子様には白いドラゴンが似合うわね」
「お、そうか? ピア宜しくな、俺はレオンだ」
「ピー!」
「お、手を上げてるぞ! 可愛いじゃん!」
「私はルル、この子はフェンリルのモモよ。こっちはカーバンクルのルビ。宜しくね」
「ピー! ピピー!」
私に頭を擦り付けて喜んでるみたい。
「わかった、わかった! それにしてもピア、臭うし汚いわね。クリーン」
「ピーッ!!」
「おっ、驚いてるぞ! ピア、キレイになったぞ」
真っ白になったわね。生臭かったのよ。
「ピー!」
クルクルと嬉しそうに飛びまわってます。
「ルルー! レオン! 大丈夫かー!」
「あ、ジュード兄様が呼んでるわ。行きましょう。ピア、モモに乗って」
「ピー!」
「………………!?」
そぅ、ジュード兄様達の反応です。勿論、モモに乗ってるピアを見た反応よ。
「ピ」
「その、モモに乗ってる白い其れはなんだ?」
「ジュード兄様、この子はドラゴンで湖龍の赤ちゃんです。先程ピアと名付けました。ピア、私のお兄様でジュード兄様よ」
「ピー!」
片手を上げてる。挨拶してるつもりなのかな?
「……ッ!? ドラゴン! 湖龍!」
「あー、ジュード様。ルル様ですし……ね」
あら、ノトス。それ、どう言う意味かしら?
「そ、そうだな。なんでも有りだな」
ジュード兄様まで……!
「素晴らしい! 流石ルルーシュア様ですッ!」
はい、マーリソン様です。この人はどんな時でもこのテンションなのね。
「ジュード兄様、取り敢えずお腹がすきました」
「お、おお。そうだな。食事にするか。食事休憩にするぞー!」
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