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オペレーション『Water Side Angel』(水辺の天使作戦)
第47話 海より来たる者たち
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「サファイア、ほらあそこを見て? 大きなカモメさんが飛んでるわよ?」
「わわっ、ほんとだ! カモメさーん! おーい! カモメさーん! おーい!」
ミリアリアがさりげなくサファイアの注意を俺から逸らす。
俺はその間に手早く無線機で交信を始めた。
「俺だ。どうした?」
問いかけた先にいるのは、アサルト・ストライカーズの部下のエージェントだ。
彼らはサファイアを狙う敵の襲撃に備えて、陸地側を秘密裏に警戒していたのだ。
『海中に投下していたセンサーに侵入者の反応あり。武装など詳細は未確認。指示を仰ぐ』
端的に敵の情報が伝えられる。
「海から3名の侵入者、了解。侵入ポイントは?」
『アルファ・スリーからエンジェルに向かって、潜水で進行中』
「アルファ・スリーから潜水で進行中、了解。そいつらはこっちで対処する。陽動の可能性がある。各員は警戒を厳に。そちらの指揮は任せる」
『各員は陽動に備え、警戒を厳に。陸上部隊の指揮権をこちらに委譲。了解』
「それと船で回収班を回してくれ。敵を制圧した後、サファイアに見られないように海上で受け渡す」
『船で回収、海上で受け渡し、了解。ご武運を』
「ありがとう。通信を終了する」
俺は無線でのやりとりを終えると、無線機を腰につけ直した。
「敵ですか?」
カモメに向かって懸命に手を振るサファイアに気付かれないように、音もなく俺の隣に並んだミリアリアが、小声で尋ねてくる。
「海から3名の侵入者だ。俺が対応する。ミリアリアはサファイアの側で護衛を頼む」
「サファイアは車に避難させますか?」
今日もここまで乗ってきたファミリーカーは、希少金属オリハルコン製。
魔法にも物理攻撃にも極めて高い耐性がある。
車の中はそんじょそこらのシェルターよりもはるかに安全だ。
しかも乗ったまま逃げることもできる。
よってミリアリアの提案はもっともなのだが、
「いや、このまま遊んでいてくれ。サファイアに変に心配させたくない。ミリアリアが付いてくれていれば、俺としては十分安心だ」
俺はそう判断した。
それくらい俺は、エージェントとしてのミリアリアを信頼している。
「了解です」
車の運転の時とは違って、ミリアリアは素直にうなずいた。
そして俺との短いやりとりを終えると、
「あー、カモメさん、いっちゃった……しょぼん」
サファイアが振り返った時には既に、ミリアリアはサファイアのすぐ隣に戻っていた。
「あらら、残念だったね」
何事もなかったかのように、優しい笑顔で、しょんぼりサファイアの頭を撫でている。
本当に有能な副官だ。
さてと、サファイアはミリアリアに任せて、俺も仕事を始めるか。
「なんかひと泳ぎしたくなってきたな。サファイア、俺はちょっと泳いでくるから、ミリアリアママと遊んでいてくれるか?」
「わかった!」
サファイアが元気に返事をする。
「じゃあちょっと泳いでくるよ」
「いってらっしゃい!」
「いってらっしゃい」
「いってきます」
答えるが早いか、俺は沖に向かって浅瀬を走り出した。
泳げる深さになるとスイムに移行。
ポイントアルファ・スリーへと潜水していく。
すぐに潜行する3人の敵影を確認した。
敵は全員がスイムスーツに足ビレ。
一人は酸素ボンベを背負っていないので、少なくともそいつは魔法使いだ。
魔法使いは水や空気から、酸素を産み出すことができる。
アクアブリーズという名前で――その辺のチンピラ魔法犯罪者は別として――過酷な任務にあたるエージェントには、敵味方問わず必須の魔法だ。
もちろん、今の俺もアクアブリーズを使用している。
おかげで息継ぎをする必要はないし、声も出せる。
(今回の敵は、イヨンモールの時の奴らよりは手強そうだな。
ま、そうは言っても俺の相手にはなりえないが)
「わわっ、ほんとだ! カモメさーん! おーい! カモメさーん! おーい!」
ミリアリアがさりげなくサファイアの注意を俺から逸らす。
俺はその間に手早く無線機で交信を始めた。
「俺だ。どうした?」
問いかけた先にいるのは、アサルト・ストライカーズの部下のエージェントだ。
彼らはサファイアを狙う敵の襲撃に備えて、陸地側を秘密裏に警戒していたのだ。
『海中に投下していたセンサーに侵入者の反応あり。武装など詳細は未確認。指示を仰ぐ』
端的に敵の情報が伝えられる。
「海から3名の侵入者、了解。侵入ポイントは?」
『アルファ・スリーからエンジェルに向かって、潜水で進行中』
「アルファ・スリーから潜水で進行中、了解。そいつらはこっちで対処する。陽動の可能性がある。各員は警戒を厳に。そちらの指揮は任せる」
『各員は陽動に備え、警戒を厳に。陸上部隊の指揮権をこちらに委譲。了解』
「それと船で回収班を回してくれ。敵を制圧した後、サファイアに見られないように海上で受け渡す」
『船で回収、海上で受け渡し、了解。ご武運を』
「ありがとう。通信を終了する」
俺は無線でのやりとりを終えると、無線機を腰につけ直した。
「敵ですか?」
カモメに向かって懸命に手を振るサファイアに気付かれないように、音もなく俺の隣に並んだミリアリアが、小声で尋ねてくる。
「海から3名の侵入者だ。俺が対応する。ミリアリアはサファイアの側で護衛を頼む」
「サファイアは車に避難させますか?」
今日もここまで乗ってきたファミリーカーは、希少金属オリハルコン製。
魔法にも物理攻撃にも極めて高い耐性がある。
車の中はそんじょそこらのシェルターよりもはるかに安全だ。
しかも乗ったまま逃げることもできる。
よってミリアリアの提案はもっともなのだが、
「いや、このまま遊んでいてくれ。サファイアに変に心配させたくない。ミリアリアが付いてくれていれば、俺としては十分安心だ」
俺はそう判断した。
それくらい俺は、エージェントとしてのミリアリアを信頼している。
「了解です」
車の運転の時とは違って、ミリアリアは素直にうなずいた。
そして俺との短いやりとりを終えると、
「あー、カモメさん、いっちゃった……しょぼん」
サファイアが振り返った時には既に、ミリアリアはサファイアのすぐ隣に戻っていた。
「あらら、残念だったね」
何事もなかったかのように、優しい笑顔で、しょんぼりサファイアの頭を撫でている。
本当に有能な副官だ。
さてと、サファイアはミリアリアに任せて、俺も仕事を始めるか。
「なんかひと泳ぎしたくなってきたな。サファイア、俺はちょっと泳いでくるから、ミリアリアママと遊んでいてくれるか?」
「わかった!」
サファイアが元気に返事をする。
「じゃあちょっと泳いでくるよ」
「いってらっしゃい!」
「いってらっしゃい」
「いってきます」
答えるが早いか、俺は沖に向かって浅瀬を走り出した。
泳げる深さになるとスイムに移行。
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すぐに潜行する3人の敵影を確認した。
敵は全員がスイムスーツに足ビレ。
一人は酸素ボンベを背負っていないので、少なくともそいつは魔法使いだ。
魔法使いは水や空気から、酸素を産み出すことができる。
アクアブリーズという名前で――その辺のチンピラ魔法犯罪者は別として――過酷な任務にあたるエージェントには、敵味方問わず必須の魔法だ。
もちろん、今の俺もアクアブリーズを使用している。
おかげで息継ぎをする必要はないし、声も出せる。
(今回の敵は、イヨンモールの時の奴らよりは手強そうだな。
ま、そうは言っても俺の相手にはなりえないが)
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