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オペレーション『Water Side Angel』(水辺の天使作戦)
第48話 水中戦
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俺は敵の予想進路近くで、潜水停止しながら待ち伏せすると、
「リジェクト!」
魔法を無効化するアンチ魔法リジェクトで、敵の魔法使いが使用しているアクアブリーズ――酸素を産み出す魔法を無効化する。
すぐに酸素ボンベを背負っていない一人が、ゴボゴボと口から泡を吐き出しながら苦しみ始めた。
俺は酸欠でもがき苦しむ魔法使いに高速で近づくと、魔力のこもった拳をぶち当てた。
過剰な魔力を叩き込まれた敵・魔法使いは意識を失い、水中で力なく身体を弛緩させる。
「まずは一人。アクアブリーズ」
俺は敵・魔法使いが呼吸ができるように、酸素発生魔法をかけてやると、残る2人の撃破へと移行する。
他の2人は呆然としたようにこっちを見ていたが、事態を理解したのか慌てたように俺から距離を取る。
向こうはスイムスーツに足ビレ。
俺は海パン一丁。
機動力の面では、俺の方が圧倒的に分が悪い。
だから距離を取ろうとした判断は、間違ってはいない。
ま、普通のエージェントならそうだろうが、悪いが俺は並のエージェントとは違うんでな。
俺は体内で魔力を活性化させると、足に魔力のヒレを作り出す。
魔力の物質化だ。
魔力でバリアを張ることの応用だが、体表面を覆うだけよりも消耗が大きいし、形状を維持し続けるのが難しい。
さらに水中呼吸魔法アクアブリーズを常に使いながらの並行発動となると、さらに難易度が上がる。
だが俺は、イージスの誇る強襲攻撃部隊『アサルト・ストライカーズ』のエース。
これくらいの魔法併用なんぞ、息を吸うのとなんら変わらない。
俺は魔力で作った足ヒレで泳ぎ出すと、さらに魔力を後方に噴射することで高速移動して、一気に距離を詰めた。
残る2人に魔力のこもった拳を叩き込む。
3人のダイバーたちを無力化するのに、初擊から1分とかかりはしなかった。
俺は釣り船に偽装した小型ボートでタイミングよくやってきた部下のエージェントに、気絶させた3人の敵ダイバーを引き渡すと、何食わぬ顔で砂浜に戻った。
「むらさめ、おかえり!」
「おかえりなさい、カケルパパ」
サファイアが手を大きく振って、ミリアリアは穏やかな笑顔で迎えてくれる。
「2人とも、ただいま」
「いっぱい、およいだ?」
「いっぱい泳いだぞ。大満足ってくらいに満喫した。やっぱり海はいいな。プールとは解放感が違うよ」
「それはよかったですね」
俺の言葉で、ミリアリアは秘密裏の撃退ミッションが成功したことを、当然のように理解してくれる。
「サファイアも、およげるように、なりたいな……」
つぶやきながら、少し寂しそうに、どこか羨ましそうに海を見つめるサファイア。
サファイアは地下の檻の中で閉じ込められていたので、水泳の経験がない。
浅いところでイルカに掴まりながらバタバタして遊ぶ程度ならまだしも、さすがに本格的に海で泳がせるわけにはいかなかった。
「夏になったら、水泳の練習をしよう。泳げると海がもっと楽しくなるぞ」
「サファイア、およげるかな?」
「もちろんさ。サファイアは物覚えがいい。コツを掴んだらすぐに泳げるようになるさ」
「カケルパパとママが、1からちゃーんと教えてあげるからね」
「うん! がんばる!」
サファイアの顔に再び笑顔が戻る。
「さて、まだまだ時間はある。海辺遊びを続けようぜ」
その後は、「砂のお城」を作ったり「砂山くずし」をしたり、夕方になるまで家族3人で海辺遊びを楽しんだ。
「リジェクト!」
魔法を無効化するアンチ魔法リジェクトで、敵の魔法使いが使用しているアクアブリーズ――酸素を産み出す魔法を無効化する。
すぐに酸素ボンベを背負っていない一人が、ゴボゴボと口から泡を吐き出しながら苦しみ始めた。
俺は酸欠でもがき苦しむ魔法使いに高速で近づくと、魔力のこもった拳をぶち当てた。
過剰な魔力を叩き込まれた敵・魔法使いは意識を失い、水中で力なく身体を弛緩させる。
「まずは一人。アクアブリーズ」
俺は敵・魔法使いが呼吸ができるように、酸素発生魔法をかけてやると、残る2人の撃破へと移行する。
他の2人は呆然としたようにこっちを見ていたが、事態を理解したのか慌てたように俺から距離を取る。
向こうはスイムスーツに足ビレ。
俺は海パン一丁。
機動力の面では、俺の方が圧倒的に分が悪い。
だから距離を取ろうとした判断は、間違ってはいない。
ま、普通のエージェントならそうだろうが、悪いが俺は並のエージェントとは違うんでな。
俺は体内で魔力を活性化させると、足に魔力のヒレを作り出す。
魔力の物質化だ。
魔力でバリアを張ることの応用だが、体表面を覆うだけよりも消耗が大きいし、形状を維持し続けるのが難しい。
さらに水中呼吸魔法アクアブリーズを常に使いながらの並行発動となると、さらに難易度が上がる。
だが俺は、イージスの誇る強襲攻撃部隊『アサルト・ストライカーズ』のエース。
これくらいの魔法併用なんぞ、息を吸うのとなんら変わらない。
俺は魔力で作った足ヒレで泳ぎ出すと、さらに魔力を後方に噴射することで高速移動して、一気に距離を詰めた。
残る2人に魔力のこもった拳を叩き込む。
3人のダイバーたちを無力化するのに、初擊から1分とかかりはしなかった。
俺は釣り船に偽装した小型ボートでタイミングよくやってきた部下のエージェントに、気絶させた3人の敵ダイバーを引き渡すと、何食わぬ顔で砂浜に戻った。
「むらさめ、おかえり!」
「おかえりなさい、カケルパパ」
サファイアが手を大きく振って、ミリアリアは穏やかな笑顔で迎えてくれる。
「2人とも、ただいま」
「いっぱい、およいだ?」
「いっぱい泳いだぞ。大満足ってくらいに満喫した。やっぱり海はいいな。プールとは解放感が違うよ」
「それはよかったですね」
俺の言葉で、ミリアリアは秘密裏の撃退ミッションが成功したことを、当然のように理解してくれる。
「サファイアも、およげるように、なりたいな……」
つぶやきながら、少し寂しそうに、どこか羨ましそうに海を見つめるサファイア。
サファイアは地下の檻の中で閉じ込められていたので、水泳の経験がない。
浅いところでイルカに掴まりながらバタバタして遊ぶ程度ならまだしも、さすがに本格的に海で泳がせるわけにはいかなかった。
「夏になったら、水泳の練習をしよう。泳げると海がもっと楽しくなるぞ」
「サファイア、およげるかな?」
「もちろんさ。サファイアは物覚えがいい。コツを掴んだらすぐに泳げるようになるさ」
「カケルパパとママが、1からちゃーんと教えてあげるからね」
「うん! がんばる!」
サファイアの顔に再び笑顔が戻る。
「さて、まだまだ時間はある。海辺遊びを続けようぜ」
その後は、「砂のお城」を作ったり「砂山くずし」をしたり、夕方になるまで家族3人で海辺遊びを楽しんだ。
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