46 / 68
オペレーション『Water Side Angel』(水辺の天使作戦)
第46話 「くくく。この俺様をよくもここまで追い詰めたものだ。褒めてやろう。だがそれもここまでだ。ここがお前たちの墓場と知るがよい!」
しおりを挟む
俺を狙った射撃は、しかしトリガーを引くときに手元がブレたせいで、ミリアリアの胸に当たってしまう。
際どいビキニに覆われた谷間を、水がヌルりと流れ落ちた。
……なんだろう。
別に何の問題もないシーンなのに、なんだかとてもイケナイものを見てしまった気がした。
あと、何のためらいもなく、さも当然であるかのように俺を狙ったような?
これも気のせいか?
ミリアリアより、俺の方が雑に絡みやすいとか?
「あらら、やられちゃいました。カケルパパの右腕と呼ばれるこのわたしを仕留めるとは、やりますねサファイア」
「あれ? むらさめ、ねらった、よ?」
サファイアがこてんと小首をかしげる。
「手元がブレちゃってたな」
「ブレる……って? わかんない、かも」
「ふふっ、ではわたしが簡単に撃ち方を教えるわね。片手だと発砲時に手が動いちゃうの。だからこうやって両手で構えて、後はよーく狙って……はい、撃ってみて」
ミリアリアの手ほどきでサファイアが引き金を引くと、
ビュッ!
見事、水弾は俺の胸に直撃した。
「やった! あたった!」
「ナイスシュート♪」
「やるな、サファイア。教えてもらってすぐにハートショットするなんて、サファイアには射撃の才能がありそうだ」
「ふふっ、将来有望ですね」
「人事課に俺の名前で推薦状を出しておくか」
「むふふ! サファイアは、できるおんな、なので!」
「じゃあ撃ち方も分かったところで早速、水鉄砲で遊ぶか」
俺は海パンの後ろに差し込んで隠し持っていた水鉄砲で、サファイアを抜き打ちでヘッドショットした。
「わぷっ! いきなり、うたれた!?」
「油断したなサファイア? 俺が水鉄砲を持っていないと思っていただろう?」
「すごく、おもってた!」
「こう見えて俺はイージスの誇る強襲攻撃部隊アサルト・ストライカーズのエース。やられたままではいないのだ!」
「むらさめ、なんか、カッコいい、かも!?」
「一緒に過ごすようになって知ったんですが、カケルパパって結構、子供っぽいところありますよね」
一見、呆れたような言葉を言ったミリアリアだが、その顔はなぜか嬉しそうだ。
俺同様にミリアリアも、普段は見ない俺の一面を見られたことを、楽しんでいるのかもしれない。
「でも、つめたいおみず、きもちいー! あははっ! びゅー! びゅー!」
お返しとばかりにサファイアが撃った水弾が、俺の顔に2連発で直撃する。
「けほっ、やるなサファイア。射撃のコツは完全に掴めたみたいだな」
「ママが、おしえて、くれたから!」
「ではわたしとサファイアで正義の味方チームを組んで、凶悪犯のカケルパパを砂浜に追い詰めたという設定で遊びましょう」
「……無駄に設定が細かいな」
「設定の作り込みは、ごっこ遊びに欠かせませんから」
「OK、とても納得した」
その後、3人で水鉄砲で撃ち合いをして遊んだ。
「くくく。この俺様をよくもここまで追い詰めたものだ。褒めてやろう。だがそれもここまでだ。ここがお前たちの墓場と知るがよい!」
「むらさめ、なんか、すごく、わるものっぽい!?」
「カケルパパ、ノリノリですね」
「今の俺はムラサメでもカケルパパでもない! 世界を統べることを神に許された、神の代行者ホーリーキング・カケル様だ!」
「むふーっ!」
俺の演技に、サファイアはとても興奮していた。
もちろん俺は犯人役だったので、適度に反撃しつつ、サファイアの射撃には全部当たってあげて、最後はやられて砂浜に倒れ伏した。
「くくく、これで勝ったと思うなよ。俺が死んでも第2、第3のホーリーキングが現れるだろう……」
「むらさめ、まけおしみ!」
「難しい言葉を知っているな。偉いぞサファイア……ぐふっ」
「こうして神の代行者を名乗る、自称ホーリーキング・カケルことカケル・ムラサメの世界征服の野望は、砂浜に潰えたのでした」
ミリアリアの締めのナレーションが入って、この物語は正義が勝って完結した。
やっぱり物語の最後は、正義が勝って終わらないとな。
その後は、水鉄砲で砂浜に置いたペットボトルを狙ったり、2丁拳銃でカッコよく乱射したり。
初めての水鉄砲に大興奮のサファイアにいろんな遊び方を教えながら、家族3人で楽しく遊んでいたのだが――、
ブブッ。
俺が海パンの腰につけていた小型の無線機が突然、小さく震えた。
際どいビキニに覆われた谷間を、水がヌルりと流れ落ちた。
……なんだろう。
別に何の問題もないシーンなのに、なんだかとてもイケナイものを見てしまった気がした。
あと、何のためらいもなく、さも当然であるかのように俺を狙ったような?
これも気のせいか?
ミリアリアより、俺の方が雑に絡みやすいとか?
「あらら、やられちゃいました。カケルパパの右腕と呼ばれるこのわたしを仕留めるとは、やりますねサファイア」
「あれ? むらさめ、ねらった、よ?」
サファイアがこてんと小首をかしげる。
「手元がブレちゃってたな」
「ブレる……って? わかんない、かも」
「ふふっ、ではわたしが簡単に撃ち方を教えるわね。片手だと発砲時に手が動いちゃうの。だからこうやって両手で構えて、後はよーく狙って……はい、撃ってみて」
ミリアリアの手ほどきでサファイアが引き金を引くと、
ビュッ!
見事、水弾は俺の胸に直撃した。
「やった! あたった!」
「ナイスシュート♪」
「やるな、サファイア。教えてもらってすぐにハートショットするなんて、サファイアには射撃の才能がありそうだ」
「ふふっ、将来有望ですね」
「人事課に俺の名前で推薦状を出しておくか」
「むふふ! サファイアは、できるおんな、なので!」
「じゃあ撃ち方も分かったところで早速、水鉄砲で遊ぶか」
俺は海パンの後ろに差し込んで隠し持っていた水鉄砲で、サファイアを抜き打ちでヘッドショットした。
「わぷっ! いきなり、うたれた!?」
「油断したなサファイア? 俺が水鉄砲を持っていないと思っていただろう?」
「すごく、おもってた!」
「こう見えて俺はイージスの誇る強襲攻撃部隊アサルト・ストライカーズのエース。やられたままではいないのだ!」
「むらさめ、なんか、カッコいい、かも!?」
「一緒に過ごすようになって知ったんですが、カケルパパって結構、子供っぽいところありますよね」
一見、呆れたような言葉を言ったミリアリアだが、その顔はなぜか嬉しそうだ。
俺同様にミリアリアも、普段は見ない俺の一面を見られたことを、楽しんでいるのかもしれない。
「でも、つめたいおみず、きもちいー! あははっ! びゅー! びゅー!」
お返しとばかりにサファイアが撃った水弾が、俺の顔に2連発で直撃する。
「けほっ、やるなサファイア。射撃のコツは完全に掴めたみたいだな」
「ママが、おしえて、くれたから!」
「ではわたしとサファイアで正義の味方チームを組んで、凶悪犯のカケルパパを砂浜に追い詰めたという設定で遊びましょう」
「……無駄に設定が細かいな」
「設定の作り込みは、ごっこ遊びに欠かせませんから」
「OK、とても納得した」
その後、3人で水鉄砲で撃ち合いをして遊んだ。
「くくく。この俺様をよくもここまで追い詰めたものだ。褒めてやろう。だがそれもここまでだ。ここがお前たちの墓場と知るがよい!」
「むらさめ、なんか、すごく、わるものっぽい!?」
「カケルパパ、ノリノリですね」
「今の俺はムラサメでもカケルパパでもない! 世界を統べることを神に許された、神の代行者ホーリーキング・カケル様だ!」
「むふーっ!」
俺の演技に、サファイアはとても興奮していた。
もちろん俺は犯人役だったので、適度に反撃しつつ、サファイアの射撃には全部当たってあげて、最後はやられて砂浜に倒れ伏した。
「くくく、これで勝ったと思うなよ。俺が死んでも第2、第3のホーリーキングが現れるだろう……」
「むらさめ、まけおしみ!」
「難しい言葉を知っているな。偉いぞサファイア……ぐふっ」
「こうして神の代行者を名乗る、自称ホーリーキング・カケルことカケル・ムラサメの世界征服の野望は、砂浜に潰えたのでした」
ミリアリアの締めのナレーションが入って、この物語は正義が勝って完結した。
やっぱり物語の最後は、正義が勝って終わらないとな。
その後は、水鉄砲で砂浜に置いたペットボトルを狙ったり、2丁拳銃でカッコよく乱射したり。
初めての水鉄砲に大興奮のサファイアにいろんな遊び方を教えながら、家族3人で楽しく遊んでいたのだが――、
ブブッ。
俺が海パンの腰につけていた小型の無線機が突然、小さく震えた。
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
転生したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる