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第2章 朝5時にピンポン連打する金髪ネコ耳公務員さん
第42話 誇らしげな中野さん(すごく可愛い)
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「ええぇぇ……」
「公安から提供された資料によると、この異世界セクステットというアニメも異世界啓蒙活動の一環のようですわね」
「でも公安って、スパイとか暴力団を監視してる国家公安委員会のことですよね? そこに資料があるってことは、つまり公安からから危険な組織としてマークされてるってことですよね?」
「割と大きな秘密結社なので念のため調べたようですわね。ですが一部、外からは見えないブラックボックスはあるものの、基本的には安全な団体であると結論付けたみたいですわ」
「ああうん。そうなんだ……」
「今やメンバーの中には、政財界の名だたる名士や有名な科学者や哲学者など、社会的地位が非常に高い方々も多くいらっしゃいますの。きっと中野さんも人気声優という将来性を買われたのでしょうね」
ヒナギクさんが真面目な顔をしてすごくアホみたいなことを言っているな、と。
俺はなんとも微妙な気持ちになっていた。
どうやら世界の裏側は、俺たち庶民の想像が及ばない世界のようだ……。
「へえ、そうなんだな」
俺は少し眠たかったのもあって、微妙な気持ちのまま適当に相づちを打ったんだけど――、
「日本国内で特に有名な人ですと、今の総理大臣がそうですわね」
「マジかよ!?」
その一言で一発で目が覚めました。
まさか真面目が取り柄の現職総理が、異世界に行きたくて行きたくてしょうがない人たちが集う秘密結社のメンバーなのかよ?
最初は冗談かとも思ったが、ヒナギクさんは真顔で冗談を言うタイプにはとても見えない。
「他にも大手自動車メーカーの社長。東京五輪金メダリスト。人気ユーチューバーも現役のメンバーですわよ。異世界召喚には、彼らトップエリートをも駆り立ててやまない大きな魅力があるのでしょうね」
「すごいじゃないですかトール。これからはそんな偉い人たちがトールにかしずくんですよ。いっそのこと日本を裏から牛耳ってやりましょう!」
エリカがどこまで本気なのか、そんなアホなことを言って口を挟んでくる。
「牛耳らないから。俺はごくごく普通の善良な一般市民だから」
「トールは欲がないですねぇ。世界征服とかもできそうですのに。でもそういう控えめなところも素敵だと思います♡」
「あはは、ありがとエリカ」
「そういうわけなので環太平洋・秘密宗教結社『アトランティック・サモン』は全然怪しくなんてないんですよ」
ここまでの話をまとめるように中野さんが言った。
「各界の名だたる名士や権力者がたくさん在籍している組織だってのは分かったよ」
現役女子大生・人気アイドル声優もメンバーだしな。
アニオタ的にはぶっちゃけそれが一番納得がいきますが、なにか?
「ちなみにですが中野さんは今回の教祖様発見の件を高く評価され、最高幹部への推薦とともに、サモンネームが送られることが緊急幹部会議にて決定しております」
しばらく黙っていたリーダー格の男が、補足するように言った。
「私もサモンネームを貰えるんですか!? しかも最高幹部だなんて!」
「もちろんですとも、これからは良き指導者として教団を引っ張っていってください。期待していますよ」
「ありがとうございます、期待に応えられるようにがんばります!」
「サモンネームって、そんなに欲しいものなんだね……」
「それはそうですよ、幹部しかつけることが許されない特別な名前なんですから♡」
中野さんはとても誇らしげだ。
そしてとても可愛かった。
「あ、うん、そうみたいだね……よかったね、サモンネームを貰えて」
「それもこれも教祖様が隣にいてくれたおかげです♡ でもまさかですよね♡ 私の隣の部屋に、異世界召喚を行う人物が住んでいるなんて思ってもみませんでしたから♡」
「俺からしてもそうだよ。なんで俺の隣の部屋にたまたま偶然メンバーがいるんだよ。天文学的な確率だろ? こんな展開をアニメやラノベでやったら、ご都合主義とか言われて脚本家や作者はフルボッコに批判されるぞ?」
そんな俺の疑問に答えてくれたのはやはりエリカだった。
「これはいわゆる『異世界主人公における運命交差理論』ですね」
「公安から提供された資料によると、この異世界セクステットというアニメも異世界啓蒙活動の一環のようですわね」
「でも公安って、スパイとか暴力団を監視してる国家公安委員会のことですよね? そこに資料があるってことは、つまり公安からから危険な組織としてマークされてるってことですよね?」
「割と大きな秘密結社なので念のため調べたようですわね。ですが一部、外からは見えないブラックボックスはあるものの、基本的には安全な団体であると結論付けたみたいですわ」
「ああうん。そうなんだ……」
「今やメンバーの中には、政財界の名だたる名士や有名な科学者や哲学者など、社会的地位が非常に高い方々も多くいらっしゃいますの。きっと中野さんも人気声優という将来性を買われたのでしょうね」
ヒナギクさんが真面目な顔をしてすごくアホみたいなことを言っているな、と。
俺はなんとも微妙な気持ちになっていた。
どうやら世界の裏側は、俺たち庶民の想像が及ばない世界のようだ……。
「へえ、そうなんだな」
俺は少し眠たかったのもあって、微妙な気持ちのまま適当に相づちを打ったんだけど――、
「日本国内で特に有名な人ですと、今の総理大臣がそうですわね」
「マジかよ!?」
その一言で一発で目が覚めました。
まさか真面目が取り柄の現職総理が、異世界に行きたくて行きたくてしょうがない人たちが集う秘密結社のメンバーなのかよ?
最初は冗談かとも思ったが、ヒナギクさんは真顔で冗談を言うタイプにはとても見えない。
「他にも大手自動車メーカーの社長。東京五輪金メダリスト。人気ユーチューバーも現役のメンバーですわよ。異世界召喚には、彼らトップエリートをも駆り立ててやまない大きな魅力があるのでしょうね」
「すごいじゃないですかトール。これからはそんな偉い人たちがトールにかしずくんですよ。いっそのこと日本を裏から牛耳ってやりましょう!」
エリカがどこまで本気なのか、そんなアホなことを言って口を挟んでくる。
「牛耳らないから。俺はごくごく普通の善良な一般市民だから」
「トールは欲がないですねぇ。世界征服とかもできそうですのに。でもそういう控えめなところも素敵だと思います♡」
「あはは、ありがとエリカ」
「そういうわけなので環太平洋・秘密宗教結社『アトランティック・サモン』は全然怪しくなんてないんですよ」
ここまでの話をまとめるように中野さんが言った。
「各界の名だたる名士や権力者がたくさん在籍している組織だってのは分かったよ」
現役女子大生・人気アイドル声優もメンバーだしな。
アニオタ的にはぶっちゃけそれが一番納得がいきますが、なにか?
「ちなみにですが中野さんは今回の教祖様発見の件を高く評価され、最高幹部への推薦とともに、サモンネームが送られることが緊急幹部会議にて決定しております」
しばらく黙っていたリーダー格の男が、補足するように言った。
「私もサモンネームを貰えるんですか!? しかも最高幹部だなんて!」
「もちろんですとも、これからは良き指導者として教団を引っ張っていってください。期待していますよ」
「ありがとうございます、期待に応えられるようにがんばります!」
「サモンネームって、そんなに欲しいものなんだね……」
「それはそうですよ、幹部しかつけることが許されない特別な名前なんですから♡」
中野さんはとても誇らしげだ。
そしてとても可愛かった。
「あ、うん、そうみたいだね……よかったね、サモンネームを貰えて」
「それもこれも教祖様が隣にいてくれたおかげです♡ でもまさかですよね♡ 私の隣の部屋に、異世界召喚を行う人物が住んでいるなんて思ってもみませんでしたから♡」
「俺からしてもそうだよ。なんで俺の隣の部屋にたまたま偶然メンバーがいるんだよ。天文学的な確率だろ? こんな展開をアニメやラノベでやったら、ご都合主義とか言われて脚本家や作者はフルボッコに批判されるぞ?」
そんな俺の疑問に答えてくれたのはやはりエリカだった。
「これはいわゆる『異世界主人公における運命交差理論』ですね」
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