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第2章 朝5時にピンポン連打する金髪ネコ耳公務員さん

第30話 ふよん。ふよふよん。

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 ふよん。
 ふよふよん。

「あっ♡ い、いきなりは……だ、だめ……♡」

 それはとても大きくて柔らかく、ずっと揉み続けていたくなる2つの悪魔の実……!
 こ、これはまさか!?

 ふよん。
 ふよふよん。
 ふよん。
 ふよふよん。
 ふよふよふよふよふよふよふよふよふよふよふよふよん。

「あっ……♡ んっ……♡ はぅん♡ 先っぽは、だめぇん♡」

 そこにいたって。
 血流が猛烈に活性化したことで俺の意識がはっきりとしはじめた。
 即座に俺の頭に強制わいせつという言葉がよぎる。

 や、ヤバくね!?
 俺は慌てて金髪メイドお姉さんのおっぱいから手を離して立ち上がった。

 俺から少し遅れて立ち上がると、頬を羞恥に染めて胸元をそそくさと直し始める金髪メイドお姉さん。

「す、す、すみません。あの、寝起きでフラッとしてしまって。それで……わ、悪気はなかったんです。今のは事故であって、決して故意ではなく!」

 それを見た俺は必死に謝罪と言い訳をした。

「え、ええ。そのような感じでしたのは、わたくしも分かっておりますので。どうぞお気になさらず……ちょっと入念に胸を揉まれた気もしましたけど」

「はい、もう正直に告白します。最初は本当に不可抗力だったんですけど、ついつい流されて金髪メイドお姉さんの胸を揉んでしまいました……」

 と、そこで金髪メイドお姉さんが「おや?」という顔をした。

「あら、わたくしとしたことが、これはこれは大変失礼をいたしましたわ。自己紹介がまだだったせいもあって、拉致だのなんだのといらぬ勘違いをさせてしまったようですわね」

「勘違い……?」

 エリカを守ろうと主人公ムーブしていたはずが、強制わいせつ犯罪者になりかけて涙目の俺を尻目に。
 優雅に微笑んだ金髪ネコ耳メイド癒し系お姉さんは、腰のポーチから名刺入れを取り出した。

「初めまして遊佐トールさん。わたくしは法務省外局・難民審査庁・難民審査局・異世界召喚課・特命担当官の西園寺ヒナギクと申します。これからどうぞよろしくお願いいたしますわね」

 そして丁寧に両手で名刺を差し出しながらぺこりと頭を下げる。

「あ、これはこれはご丁寧にどうも、西園寺さんですね。お名刺頂戴いたします。柔らかくて素敵なお名前ですね」

「ふふっ、どうもありがとうございます」

「……じゃねーよ! 俺はなにを呑気に名刺を受け取ってんだよ! 悪いが相手が誰だろうとエリカは渡さないぞ! 法務省――えっと、なんだっけ?」

 ついこの間まで社会人をやっていた習性でなかば本能的に、腰を折り曲げて平身低頭しながら両手でお名刺を頂戴してから。
 俺は自分にノリツッコミを入れると、頭を再び危機管理モードへと切り替えた。

「法務省外局・難民審査庁・難民審査局・異世界召喚課・特命担当官の西園寺ヒナギクですわ」

 しかし2度聞いても俺のアホな頭では、その長すぎる肩書きは認知することができなかった。

「法務省…………の西園寺さん」

 俺は早々と理解を諦めて「なんか偉い人」というポイントだけを抑えて会話することにした。
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