効率厨魔導師、第二の人生で魔導を極める

謙虚なサークル

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290 外の世界へ③●

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「んふふ、どーおゼフ? 新しい服よ♪」

着替え終わったミリィは、ワシに見せつけるようにくるりと一回転した。
新調した服は細かいデザインは変わっているようだが、色合いなどはいつもと似たようなものだ。
ぶっちゃけ大して変わらないように見える。

「……まぁいいのではないか? 似合っているぞミリィ」
「えへへ、ありがとっ♪」

上機嫌で笑うミリィ。ちょろい。
デザインは細かい部分しか変わらないが、装備のレベルは二段階は上のものだ。
魔法繊維を編み込まれた布は非常に丈夫で、金属程ではないが高い防御力を誇る。
ちなみにワシの買った装備も似たような感じである。
軽鎧も考えたが、やはり重いと動きにくいといざという時に集中力を乱すからな。
せいぜい肘や膝にプロテクターを付ける程度だ。

「そうそう♪ 慣れたものが一番ってね」
「……レディアはもう少し厚着でもいいのではないか」

レディアの衣服は相変わらずの露出度だ。
いくらなんでも掠っただけでダメージを受けそうな格好はどうかと思うのだが。



「んー私はギリで躱す事も多いから、服に引っかかって逆にヤバくなったりもするのよねぇ。下手に掠ると、服が巻き込まれて動けなくなることもあるし」
「なるほどな」

確かに、そういう考えもあるのか。
回避力のある者が前衛を張る場合、妙に露出度が高い鎧を着ていることがあるが、そんな理由だったとは。

まぁ本人がいいならいいのだろう。
そもそもレディアがまともに攻撃を受けた事など、殆んどないしな。
目に毒なのが玉にキズだが。

「さて、目当てのものも買ったし、私はケーキ買いに行ってくるー♪」
「おぉ、いいねぇ~じゃあ私もついてこっかな~せっちんも行こうよ!」
「……別に構わない。やることも無いしな」

ミリィとレディア、セルベリエはケーキを食べに行くらしい。
先刻、ここのデパートには美味いケーキ屋があるとレディアが言っていたのだ。

「ボクも少し行きたい所があるので失礼します。シルシュさんも一緒にね」
「うぅ……行ってきます……」

シルシュの手を握り締め、ほほ笑むクロード。
どうやら二人は用事があるそうだ。
ワシもちょっと見たいものがあったからな。丁度よかった。

「ではしばし自由行動にしよう。夕方にデパートの入り口集合だ」
「さんせーっ♪」
「わかりました、それではまた後で」

皆と別れ、目当てのものを探しに行く。
ここの品揃えなら多分あるだろう。だが広いな……どこから探したものやら。

デパートガールに訪ねようと探していると、何やら遠くからこちらに向かって来る者がいる。
あれは……げっ、アードライだ。

「やぁやぁこんにちは、お久しぶりです。ゼフ君」
「……よう、久しぶりではないか」

ネクタイを締め直したアードライは、落ち着きなく周囲をキョロキョロと見渡している。

「えぇと……ところでその、ミリィさ……じゃなくて他の皆さんはどちらにいらっしゃるので?」

やはり目当てはミリィか。
この男、やり手の商人ではあるがロリコンで、ミリィにご執心なのである。
時折、ミリィ目当てでレディアの店に行っているのを何度か見たことがあるのだ。
ちなみにそれをレディアに利用され、色々と買わされていた。

「丁度いい、探しものがあるのだ」
「そ、それよりミリィさんは……」
「今は別行動中だ。ワシの用事が終わったらだな」
「本当でございますねっ!」

なんという食いつき具合。
こいつとミリィは絶対会わせてはならない。ワシはそう強く確信した。
……後で適当にはぐらかそう。

「それで何をお探しでしょうかっ!?」
「うむ……えぇとだな」

アードライに案内させようとすると、遠くからデパートガールが駆け寄ってきた。
思わず目を奪われる美しい女性だ。走るたび豊かな胸が揺れている。

「会長! そのようなお仕事は私たちが!」
「いいから、君たちには自分の仕事に戻りなさい」
「は、はい!」

だがそんな彼女たちに、厳しい表情で言い放つアードライ。
ミリィを見る時のような下心に満ちた感じは全くない。
この男……生粋のロリコンである。

「では行きましょうか、ゼフさん!」
「う、うむ……」

きり、とした顔でワシを見るアードライ。
ある意味すごい男なのかもしれない。やはり絶対に会わせるわけにはいかないな。
ともあれ用事を済ませるとするか。

「実は使い魔用の装備が欲しくてな……」
「わーいっ! 私の武器、買ってくれるのっ!?」

呼んでいないのにいきなりアインが飛び出してくる。
おい人前で出て来るのは止めろ。周りの人がびっくりしているではないか。

「それはゼフさんの使い魔ですかな? ふむ、中々可愛らしいではありませんか」

と、いいつつアインを見るアードライの目は冷ややかなものだ。
どうやらアインは好みではなかったようである。
成長する前のアインだったら危なかったかもしれないが。

「でもさ、私を呼んでからおじいが武器を渡してくれるの? めんどくない?」
「使い魔専用の装備は特殊な素材で出来ていてな。普段から持たせておけば召喚の際、同時に具現化されるのだ」
「へぇ~すごいねぇ……」

異界から呼び出した鉱物や、様々な物質を加工して作られた特殊な素材である。
余談だがこれらの特殊素材もある意味では使い魔であり、こういった特殊な使い魔を呼び出せる魔導師は戦闘力こそないものの重宝されているのだ。

「成程、それならばこちらでございます」

アードライに連れて行かれた先には、沢山の使い魔用装備が置かれていた。
それを見て、アインはキラキラと目を輝かせている。

「わぁ~っ! この中から好きなの選んでいいのねっ! 私この剣がいいっ! おっきいしカッコイイ!」
「馬鹿者、そんな予算があるものか。お前はこっちだ」

アインの首根っこを掴み、アクセサリーのコーナーへ連れて行く。
使い魔は主に身体能力向上系のアクセサリーを付ける場合が多い。
汎用性が高いし、そもそも使い魔用の武器防具は特殊素材を使う量が多く、恐ろしく高いのだ。
余程の金持ちでもないと幾つも買えない。

「こちらなどどうでしょう? ラミアの髪飾りといい、魔力が向上しますが」
「攻撃力や敏捷性が上がるものがいいな」
「なるほど、意外と肉弾系なのですね。……でしたら丁度よいものが」

ショーケースを開け、ゴソゴソと中を漁り取り出したのは金色のリングである。
これはエーギルリングといい、攻撃力を中心に全ての能力が向上するもので、その中でも効果が高いものである。

「ちなみにお値段は……こんなものですが」
「……高いな」

七百万ルピ、ワシの全身装備の合計より高いぞ。
うーむ、だがカラードアインは結構強いからな。
これを買えばしばらくは何も買わずに済むか。

「おおーキレーっカッコイー♪」

アインも気に入っているようだ。
腕に嵌めて角度を変え、リングが光るのを楽しんでいる。

「こちらをお買い上げですね……えぇと、ではミリィさんの所へ……」
「ねぇおじい、他のも見てもいーい?」

アードライの言葉を、アインが遮る。
まだまだ物足りないといった顔だ。
カラードサーバントの時もやたら楽しげだったし、こういうのが好きなのだろう。

「好きなだけ見るといい」
「わーい!」
「…………」

喜ぶアインを見て、無言になるアードライ。
早く終わらせてミリィの所に案内させようとするとしたのだろうが、甘かったな。
くっくっと笑いながら、色々と付け替えしているアインを眺めるのであった。
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