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82. お茶会へ

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 ジーク様と喧嘩のようなことをしてから1週間、私は彼や侍女さん達と王都に行く準備をしている。


「これ、似合ってるかな?」

「いいと思う。念のため上から羽織れるものも持っていこう」


 今は私の服を選ぶためにジーク様と二人きりで衣装部屋にいる。
 ここにはまだ私が知らないお洋服がたくさんあるから、私だけでは選びきれないのよね……。

 ちなみに、東方の国で着られている和服というものもいくつか用意されていた。
 何に使うのか聞いたら、東方の国に旅行に行く時に着るのだと教えてくれた。


 私の服を選び終えたら、今度はジーク様の服を選ぶことになったのだけど、1分かからずに選び終えたみたいで私の出番はなかった。




 翌朝、私達は最近会っていなかったアルディアさんに乗って王都へ向けて出発した。

 アルディアさん、少し見ない間に大分大きくなっていて驚いたわ。


『成長期だから大きくもなるよ』

「えっ⁉︎ なんで考えてることが分かるの?」

『なんとなく予想しただけだよ。僕を見た時に驚いてるのが分かったからね』

「そうなのね……」


 アルディアさんが嘘をついてるとは思えないけど、大人の黒竜は人の考えていることが分かると聞いたから、人よりもそういうのに敏感なのかもしれないわね。



 出発から1時間くらい経った時だった。突然ジーク様がこんなことを聞いてきた。


「フィーナ、疲れたりしてない?」

「まだ1時間しか経ってないよ? ジーク様こそ疲れてない……?」

「俺は大丈夫だ。今回は直接乗ってるから心配だっただけだ」

「羽毛が柔らかくて座り心地いいから大丈夫よ」


 実は、今回は夜営が難しいらしく、1日で王都に行くために荷物を軽くすることになって、私達はアルディアさんの上に直接乗っている。
 鱗は硬いからお尻が痛くなりそうだと思っていたのだけど、私達が乗る場所は羽毛でフサフサだったから心配の必要はなかった。


「疲れたら寄りかかっていいからな」

「ありがとう……」


 耳元で囁かれ、恥ずかしくなった私は小さい声でそう答えた。



 途中で抱きしめられたりキスをされたりしながら移動を続け、夕方には王都に到着した。
 アルディアさんの上に乗っていたけどほとんど疲れていないからジーク様に寄りかかることはなかった。


「「おかえりなさいませ!」」


 使用人さん達に出迎えられて中に入った私達。
 移動用の貴族らしくない服から着替えをしていたらすぐに夕食に呼ばれてしまった。


「あと5分で完成するので、それまでにお越しください!」

「分かったわ」


 5分前に呼んでくれたのは、ちょうどいいタイミングで行けるようにする配慮なのかな……?
 
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