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81. 王太子side 望む復縁
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「殿下、サーペンス公爵家の処遇が決まったようです」
自室で書類に目を通していると、執事がそう口にした。
詳細を聞くために振り返って尋ねる。
「どうなった?」
「取り潰しになりました。公爵は島流し、公爵夫人は無罪ですが公爵について行くことを望んだようです」
「そうか。レイラは?」
「反逆罪の刑について審議中ですが、別件で訴えられているのでどうなるかは分かりません」
「別件?」
「はい。アストリア侯爵様が『嘘を用いて娘に濡れ衣を着せ、故意にアストリア家の権威を落とした』として提訴されました」
貴族はそんなことで裁判に訴えたりすることはあまりない。
というのも後々報復が待っているからなのだが、アストリア家は公爵家に引けを取らないーー下手をすればそれをも凌駕する強さを持つから抵抗はなかったのだろう。
元より我が国では嘘の証言をして冤罪へと導く事は禁止されている。
だから彼女が裁判に勝てる可能性はほとんど無いだろう。
執事から情報を聞いていると、侍女がやってきてこう口にした。
「殿下、陛下がお呼びです! 急ぎではありませんが、玉座の間へお願いします」
「分かった。すまない、少し席を外す」
執事にそう言って、玉座の間へ向かった。
護衛の騎士数人と父様がいる玉座の間で、僕は端の方にあるソファに腰掛ける彼の向かいに腰を下ろした。
「クラウス、王太子に戻りたいとは思わないか?」
「それは、思いますけど……」
「薬を盛られてたのが今回の騒動の原因だと分かったから、信頼出来る家の令嬢と婚約出来れば王太子に戻すことも考えている。
全てはお前次第だ。頼んだぞ」
「わかりました。それは、フィーナと婚約し直すのでも大丈夫ですか?」
「ああ、もちろん」
今のところフィーナに男の気配があるという噂は聞いたことがないから、彼女に許してもらうことさえ出来れば希望はあるだろう。
僕はすぐに隣国の辺境伯領を訪問する計画を立てることにし、自室へと急いだ。
「すぐに隣国の辺境伯領に訪問する計画を立ててくれ」
「急にどうされたんですか?」
「フィーナと直接会って話をする」
「はぁ、分かりました……」
渋い顔をしながら頷く執事。
フィーナが僕を受け入れないとでも思っているのだろうが、僕は王子で婚約すれば王太子になる。
そんな僕が婚約して欲しいと頼めば嬉しくない筈が無い。王妃というこれ以上ない立場が約束されるのだからな。
もちろん、二度と離さないことも伝えないといけないだろが、それは容易いことだ。もうフィーナ以外愛せなくなっているのだから、僕の嘘を全て見抜いていた彼女には本気だと分かる筈だ。
「殿下、視察の理由はどうなさいますか?」
「魔物対策の協議にしておいてくれ。我が国にも溢れた魔物で被害が出ているからな」
「分かりました。では、今月の半ばに出発する方向で調整いたします」
「分かった。任せるよ」
ようやくフィーナに会える希望が見えて、気分が高まってきた。
フィーナ、すぐに迎えに行くからな。待っていてくれ。
自室で書類に目を通していると、執事がそう口にした。
詳細を聞くために振り返って尋ねる。
「どうなった?」
「取り潰しになりました。公爵は島流し、公爵夫人は無罪ですが公爵について行くことを望んだようです」
「そうか。レイラは?」
「反逆罪の刑について審議中ですが、別件で訴えられているのでどうなるかは分かりません」
「別件?」
「はい。アストリア侯爵様が『嘘を用いて娘に濡れ衣を着せ、故意にアストリア家の権威を落とした』として提訴されました」
貴族はそんなことで裁判に訴えたりすることはあまりない。
というのも後々報復が待っているからなのだが、アストリア家は公爵家に引けを取らないーー下手をすればそれをも凌駕する強さを持つから抵抗はなかったのだろう。
元より我が国では嘘の証言をして冤罪へと導く事は禁止されている。
だから彼女が裁判に勝てる可能性はほとんど無いだろう。
執事から情報を聞いていると、侍女がやってきてこう口にした。
「殿下、陛下がお呼びです! 急ぎではありませんが、玉座の間へお願いします」
「分かった。すまない、少し席を外す」
執事にそう言って、玉座の間へ向かった。
護衛の騎士数人と父様がいる玉座の間で、僕は端の方にあるソファに腰掛ける彼の向かいに腰を下ろした。
「クラウス、王太子に戻りたいとは思わないか?」
「それは、思いますけど……」
「薬を盛られてたのが今回の騒動の原因だと分かったから、信頼出来る家の令嬢と婚約出来れば王太子に戻すことも考えている。
全てはお前次第だ。頼んだぞ」
「わかりました。それは、フィーナと婚約し直すのでも大丈夫ですか?」
「ああ、もちろん」
今のところフィーナに男の気配があるという噂は聞いたことがないから、彼女に許してもらうことさえ出来れば希望はあるだろう。
僕はすぐに隣国の辺境伯領を訪問する計画を立てることにし、自室へと急いだ。
「すぐに隣国の辺境伯領に訪問する計画を立ててくれ」
「急にどうされたんですか?」
「フィーナと直接会って話をする」
「はぁ、分かりました……」
渋い顔をしながら頷く執事。
フィーナが僕を受け入れないとでも思っているのだろうが、僕は王子で婚約すれば王太子になる。
そんな僕が婚約して欲しいと頼めば嬉しくない筈が無い。王妃というこれ以上ない立場が約束されるのだからな。
もちろん、二度と離さないことも伝えないといけないだろが、それは容易いことだ。もうフィーナ以外愛せなくなっているのだから、僕の嘘を全て見抜いていた彼女には本気だと分かる筈だ。
「殿下、視察の理由はどうなさいますか?」
「魔物対策の協議にしておいてくれ。我が国にも溢れた魔物で被害が出ているからな」
「分かりました。では、今月の半ばに出発する方向で調整いたします」
「分かった。任せるよ」
ようやくフィーナに会える希望が見えて、気分が高まってきた。
フィーナ、すぐに迎えに行くからな。待っていてくれ。
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