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435雑念の入る余地なし

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マッサージを行う兵士も決まり魔力同調を始めたが、合わせるのが非常に難しい。
裸で横になっている兵士から「あっ」等と時々色っぽい声が漏れる。

「すみません。何だか体をまさぐられている様な感じが妙に気持ちよくて、うっ。」

俺は真剣に行っている。集中している為、兵士の状態を楽しむ余裕も無い。
それなのに、浩司からは変な目で見られてしまう。

『ハッハッハ。思った通りじゃな。
 今までは魔力の鍛錬を行ってきたメンバーを相手にして来たからな。
 魔力の流れに無駄がなく安定しているから、同調させるのは容易じゃった。
 しかし、鍛錬が足らない者の場合、魔力が安定せず難しい。
 まぁ、拓なら35名を行えるじゃろう。これも良い訓練じゃ。
 浩司は安心しろ。拓に余裕なんて有る訳がない。
 後で拓のマッサージでもしてやってくれ。』

グリムは笑いながら嬉しそうに言うが、大変過ぎる。
今まで以上に、繊細な魔力制御と集中力が必要だった。
今夜の5名を終え、浩司のマッサージを受けている所にバラン将軍とオリバー隊長が顔を出してくれた。

「拓殿、お疲れ様です。飲み物をどうぞ。」

オリバー隊長が用意してくれたお茶を飲んでゆっくりさせてもらった。

「きつ過ぎるなら、明日の人数を減らす様に部下達に話を通すがどうする。」

バラン将軍が提案してくれるが、兵士達の喜び方を見ると止めるのは可哀想だろう。
それに、俺自身魔力制御を上達させたいし、簡単に出来るようになれば楽しみも増える。
少々、邪な考えも有るが、そのまま対応する事にした。
疲れも少し回復した所で

「バラン将軍、オリバーさん、良ければ2人の魔力の流れを確認させてもらえませんか。」

2人の了解を得て先ずはバラン将軍の両手をとり、魔力同調を試してみると簡単に出来た。
オリバー隊長も手間もかからずに同調が出来た。

『簡単に同調できるとは、さすが将軍と大隊長と言う所じゃな。
 この2人なら魔力操作の基本が完全に出来ているじゃろう。
 拓、浩司、魔力操作の訓練方法を教えてみてはどうじゃ。』

この2人が強くなるのは賛成だ。
次の日は浩司が2人に魔力の訓練方法を教える間、ガラが俺の手伝いをしてくれている。
何時もなら俺が変な事をしないか見張りも兼ねているが、今回は俺が無理をしないか心配で付き合ってくれているみたいだ。
1日掛かりで兵士20人への魔力同調が終わった頃には、バラン将軍とオリバー隊長の訓練も終わり、皆で風呂に浸かった。
他の兵士達は気を使ってくれたのか俺達だけの貸し切り状態。
浩司にバラン将軍とオリバー隊長の訓練について聞いてみると

「指導させてもらったけど、2人に対しては特別に教える事は無かった。
 ただ、魔力の流れを意識してみる事だけを教えて終わりだ。
 才能って凄いな。」

浩司の話では、教える前から戦いながら体の中で魔力を循環させていたみたいだ。
俺達がグリムの特訓で身に付けた技術を、実践で自然に身に着けていたと言う事か。
グリムにしごかれていた自分達を思い返すと本当に凄いと思う。

「2人に才能と言われると、変な感じがするな。しかし、指導してくれて有難かった。
 意識するのと、しないのでは結果に差が出るからな。
 これからも精進させてもらう。」

改めて頭を下げられると、照れてしまう。
風呂上がりに2人の魔力の流れを確認したが乱れは無かった。
素直に魔力同調も出来るので、最後に2人の体の感触を楽しみながらマッサージを施しておいた。


******(バラン将軍)

拓殿のマッサージを受けて、体の調子が良い。
部下達が、拓殿のマッサージを受けたがるのも分かる。
拓殿なら、マッサージ師として生計を立てる事も可能だろう。本人が望むかは分からないが。
浩司殿、拓殿と別れて、残っている書類の始末をしながらオリバーに話しかける。

「拓殿と浩司殿は、本当に凄いな。あれだけの力を持ちながら努力を怠らない。」
「そうですね。あの歳であれだけの力を持っているのに驕る事もありません。
 2人は本当に素晴らしい師匠に付かれていたのでしょう。一度、お会いしてみたかったですね。」
「そうしたら、グリム大魔道師と言ってしまった事を謝らないといけなかったな。」
「そう言えば、その様な事を言っていましたね。更には、拓殿がグリム大魔道師本人ではないかとも。」

遺跡の中での発言を思い出し笑ってしまった。
グリム大魔道師が師匠であれば、2人の様な弟子は育たないだろう。
きっと、知識、力、人格を備えた高潔な師匠だったに違いない。
お会いできないのが、本当に残念だ。
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