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214紫疸病

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紫檀病
全身に紫色の膿ができ、魔力の流れが乱れ、徐々に体力を失い、放置すれば死に至る病気だ。
昔はかかれば必ず死ぬ病気だったが、薬が開発され治療可能な病気となっている。
血液により感染するが、それ以外での感染は認められない。

ピース医師が入ってくるのを見ると、メイドはお辞儀をすると続き部屋へと移動した。
何だか、ロボットの様な感じがする。

「奥様、体調は如何ですか。」

「体調は何時もの通りですよ。良くもならないのに、毎日通って頂き申し訳ありません。」

『拓、お前の魔力で強制的に魔力の流れを安定させるんじゃ。話はそれからじゃ。』

「ピース医師、少し私に魔力の流れを整えさせてもらえませんか。」

ピース医師は俺を見て、女性に話しかける。

「彼は、子供ですが、技術は私も認めています。宜しければ、試させて頂けないでしょうか。」

「未だ小さいのに凄いわね。申し訳ありませんが宜しくお願いしますね。」

女性の了解を得て、お腹に水晶の玉を当て、頭に手をかざして魔力を流していく。
魔力の流れを感じる事が出来るが、酷い状態だ。
こんな状態だったら辛いだろうに、そんなそぶりも見せないなんて…
それにしても魔力がほとんど流れない。

『これは酷い。患者は苦しいかも知れんが、先ずは魔力が流れる道を作るんじゃ。』

「苦しいかも知れませんが、少しだけ耐えて下さい。」

体全体の魔力の流れをイメージし強力な魔力を女性の体に流し途切れた魔力を繋いで線にしていく。
出来る限り早く丁寧に優しく魔力の流れを正常の状態にしていく。
水晶の玉には、1人から取られたとは思えないほどの濁った気が蓄積されていた。
女性は初めは苦しがっていたが、徐々に顔色が良くなっていくと、そのまま眠ってしまった。

「拓殿、如何ですか。」

「とりあえず、魔力の流れを正常にしただけです。痛みが緩和されて寝てしまったんだと思います。
 紫檀病の薬は試しましたか。」

「先に受診した医者によると、途中から効果が無くなり症状が悪化したそうです。」

薬の話を伺ったが、グリムの知っているのと変わりなかった。
俺自身が出来る事って本当に無いな。
ピース医師と別れた後、図書館で使えそうな薬や魔道具が無いか調べる事にした。
俺の話を聞いて、OZのメンバーも一緒に探してくれたが、新しい薬についての記述は発見できなかった。
その代わり、培養槽という魔道具を見つける事ができた。
俺達の様子を見に来てくれたセバスチャンが培養槽のページを見ると、直ぐに部屋を出て行き暫くしてトリス練成術師と一緒に必要な材料を持ってきてくれた。

「拓殿、必要な材料はこれだけで良いですか。」

「これで、十分です。後、紫檀病の薬の材料は持っていないでしょうか。」

「少し待っていて下さい。直ぐに用意します。」

トリス練成術師はそう言うと、セバスチャンやOZのメンバーと一緒に部屋を飛び出して行ってしまった。
俺は、用意してもらった材料で、培養槽を練成していく。
癖が有り、錬成しずらいが何とか、ピンポンボールサイズの白い球を作り上げた。
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