桜子さんと書生探偵

里見りんか

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第四幕 解明

32 犯行の経緯

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 新伍が貞岡さだおかしをに向けて発した言葉。

「だからんですね?」

 驚いたのは、桜子だけではない。その場にいたものは、大なり小なり皆が戸惑いの顔をした。

 特に困惑したのは、トワだった。

「いえ、あの……先程申し上げたように、有朋さんは私が………」

 新伍がトワの言葉を遮る。

「トワさんと貞岡さん。正直、僕は、つい先程まで、どちらが最終的に手を下したのか迷っていました。ですが、トワさんの話を聞いて、ハッキリしました。」

「私の話を聞いて……?」
「トワさん。先程、有朋さんを鉢で殴り倒したあと、その鉢をどうした、と言いましたか?」

 新伍の確認に、トワは慎重に思い出すように、

「えっと……床に置いて……」
「そこが違う。」

 口を挟んだのは、藤高貢ふじたか みつぐだった。
 思わず呟いてしまったという様子でハッとして、「申し訳ない。」と謝ると、新伍も「その通りです。」と、頷く。

「藤高少尉も現場をご覧になったから、分かるでしょう、この食い違いに。ですよね、勝川警部補?」

 それまで不機嫌そうに黙りこくっていた勝川警部補が、ゆらりと動いた。

「あぁ、そうだ。そこの探偵気取りと少尉の仰るように、園枝有朋氏は頭部を殴打され、その周りにはと土、そして菊の花が散らばっていた。」

「そう、鉢は割れていたんです。なぜか。それは、トワさんよりも後に温室に入った人間がいたからとしか考えられません。」

「それが………私だって言うつもりか? そこの女が嘘をついたって可能性もあるんじゃないか?」

 しを乃は、先程より落ち着きを取り戻したようで、斜に構えてフンッと鼻を鳴らした。

「可能性はありますが、その嘘には意味がないでしょう? トワさんは犯行を認めているのだから。」

 新伍が肩をすくめた。

「そもそも、僕が最初に引っかかったのは、貞岡さんの楽屋を訪れたときに言った、園枝さんに対する『気に入れば、女中にさえ手を出す』という言葉です。」
「それが、なんだって言うんだ? そのとおりだったろう?」

 しを乃がトワに向かって顎を突き出し、睨みつける。

「貞岡さんのおっしゃる『女中』というのは、トワさんのことですか?」
「あぁ、そうさ。現に有朋と関係をもっているだろう?」
「貞岡さん、トワさんの話を聞いていましたか? 彼女は、夜会のために臨時で雇われただけで、園枝家の女中ではありせん。」
「小さな違いだね。」
「いえ、全然違います。」

 新伍が、キッパリと断じた。

「貞岡さんから、園枝さんが女中に手を出すと聞いたとき、少し違和感がありました。確かに園枝さんは、女性関係には、やや……浮ついたところのある方ですが、僕が見た印象では、園枝家は主従関係の線引が、かなりしっかりされていた。」

「だから、女中には手を出さない、とでもいうのかい?」

 しを乃は、「男女のイロハも知らない坊っちゃんだこと。」と、鼻で嗤った。

「えぇ。おっしゃる通り、僕はまだ恋愛の機微を心得ない若輩者なので、念のため、園枝家に聞きに行ったわけです。」

 確かに、しを乃に会った翌日、どこかから戻ってきた新伍に、桜子が、どこに出て掛けたのかと尋ねたとき、「園枝家に行った」と言っていた。

「そこの家令さんと、それから有朋さん付きの女中を中心に、何名かにお話を聞きました。そしたら皆さん、口を揃えて、有朋さんが使用人に手を出したなどという話は聞いたことがない、と。女中の皆さんは、有朋さんのことを恋慕の対象として見ていない、と言っていました。」

 確かに、園枝家の女中たちの有朋への対応は、皆、主人に対するのものだった。そして、桜子を女主人に迎えることにも好意的だった。

「ですよね?」

 老家令が、新伍の証言を裏付けるように。「五島さんのおっしゃる通りです。」と肯定した。

「お坊っちゃまは、基本的に使役者と使用人の立場をキッチリ区別なさってきました。それに私達も、お坊っちゃま好みの方は近くに配置しないようにしていましたので……。」

「思うに、園枝さんは、面倒や厄介事を嫌う性格なのでは? また、そうならないように立ち回る器用さもある。たくさんの女性と浮き名を流しながらも、婚約者には桜子さんを選ぶあたり、いかにも無難な選択をしているように思います。」

「それは……そうかもしれません。」

 同調したのは、トワだった。

「有朋さんは私の見た目と、それに反する従順な性格ーーー要は物分りが良いところが好きだ、と言っていましたから。」

 新伍が頷く。

「家の中の者に手を出したら、揉めたときに面倒だ。園枝さんは、多分、そんなことはしないでしょう?」

 園枝の老家令も「その通りだと思います。」と頷いた。

「では、なぜ貞岡さんは、園枝さんが女中に手を出すと思ったのか。僕は逆から考えてみることにしました。つまり、『園枝さんが女中に手を出した』のではなく、貞岡さんが『園枝さんが手を出した女のことを、園枝家の女中だ』と、思った。」

「だから、そこに何の違いがあるのさ?」

 しを乃は、新伍の持って回ったような言い方に、やや苛ついていた。

「さて。それでは、どうしてトワさんを女中だと思ったんでしょう?」

 謎掛けのように言ったあと、トワのほうを向いて、

「トワさん、あなたが園枝家の女中の格好をしたのは、いつですか?」
「夜会のための臨時雇ですから、その準備のための数日と夜会当日。あとは……温室で有朋さんと話したときに着物を拝借したときだけです。」
「夜会の準備のとき、園枝邸以外の人に会いましたか?」
「いいえ。あのときはずっと館の奥にいて、限られた園枝家の使用人の方以外にはお会いしていません。」

 園枝の老家令が、「臨時雇いの女中なら、そうだろうと思います。」とトワの証言を裏付けた。

「ありがとうございます。」

 礼を言った新伍は、今度はしを乃に、

「さて、貞岡さんは、トワさんが女中の格好をしているのを、いつ見ましたか?」

 新伍の問いかけに、しを乃は明らかに狼狽していた。

 トワの話が正確なら、女中服の彼女を見る機会は、2回しかない。夜会の当日か温室に行った、あの日。

「それは……夜会のときだね。」
「おかしいですね。僕も夜会に行きましたが、僕はあなたを夜会で見ていない。」
「それは、あんたの記憶にないだけだろう?」
「僕は、かなり記憶力がいいのですが…まぁ、それを差し引いて、念のため芳名録もみましたが、貴女の名前はありませんでしたよ。」
「書き漏らしたのさ。慌てていて。」
「招待状は?」
「なくても入れるだろう? 今をときめく、貞岡しを乃だもの。」

 どう考えても平行線だ。しを乃は、永遠に行ったと主張すればいいし、行かなかったことを証明するのは難しい。新伍の記憶に頼るだけでは無理がある。

「なるほど。」

 ポリポリと黒い髪をかいた新伍は、

「それでは貞岡さんは、あの場にいたとして、どうしてトワさんが園枝の女中だと思ったんですか?」
「そりゃあ、分かるに決まっているだろう? みんなと同じ着物をきていたんだから。」

 新伍がぺろりと唇を舐めた。まるで、獲物を捉えたかのように。

「変だな?」

 藤高貢が呟いた。

「私は夜会に行ったが、着物を着ている女中なんて見なかったが……あんた、本当に夜会に行ったのか?」

 新伍や貢だけじゃない。トワも桜子も、勿論、園枝の老家令も気づいている。知っている。あの日、園枝の女中は、トワを除いて全員、洋装だった、と。

「あの………私はあの日、確かに着物を着ていましたが、それは合う大きさの洋服がなかったからです。私以外の女中は、皆さん洋装でした。」

「………なッ?!」

「そもそも、厄介事を嫌う園枝有朋さんが、婚約を臨むお嬢さまやその家族が来る場所にあなたを入れるはずないでしょう?」

 新伍が、園枝家の老家令を見る。老家令は、新伍の証言を肯定するように、頷いた。

「お坊っちゃまから事前に、使用人たちに、招待状のない女は絶対にいれるな、と指示がありました。」

 しを乃がわなわなと震える。

「あんッ……た、最初ッからソレ知ってて……」
「さて、もう一度聞きますよ? あなたは、女中の姿のトワさんを、どこで見ましたか?」

 新伍の質問に、青ざめた顔で押し黙った。

「答えられませんか? では、僕が答えましょう。」

 新伍が言った。

「園枝さんに対する独占欲が相当強いあなたは、園枝さんと子までもうけた女のことが許せなかった。だから、ずっとトワさんの存在を探っていたのでしょう。それこそ、男装までしてね。」

「男装ですってッ?」

 桜子は、思わず声を上げた。新伍がそれに答えるように頷く。

「貞岡さん、園枝家にいた『僕と同じくらいの背格好で、かなり洒落た様子で洋服を着こなす男の人』のことを、そんな男は絶対に出てこないから好きなだけ探れば良いと言っていましたね? あんなに自信満々に断言できるのは、その男が貴女だからですか?」

 新伍の言葉に、しを乃は黙っていた。目が血走っているのは、何か反論するための言葉を探しているのかもしれない。

 しかし新伍が、その隙を与えない。

「立っている状態の園枝さんを、いくら僕と同じくらいの体格でも、女性が鉢植えで殴り殺すのは、難儀するはずです。」

 確かに、かなり逞しく力にも自信があると言っていたトワならともかく、しを乃が鉢を自分より高く持ち上げて昏倒するほど殴るのは至難の技だ。

「だから、女性が犯人の場合、有朋さんに低い姿勢をとってもらう必要がある。例えばーーー直前に誰かに殴られて、床に伏している……とかなら、可能でしょうかね?」

 トワに殴られ、うつ伏せに倒れている有朋に、しを乃がーーー確かに、それなら辻褄は合う。

「ここからは僕の勝手な想像ですが、貞岡さんが温室を訪れたとき、まだ園枝さんは生きていたのでは?」

 しを乃が、床についた手をギュッと握りしめた。

「それで園枝さんは、あなたに話しかけましたか? ひょっとしたら、トワさんに話しかけるつもりで………」

 ダンッと床を叩く音。しを乃が、握った拳を打ち下ろしていた。

「そうッ……よ。あの人は……有朋は、生きていた。最初は気を失っていたから、揺すったら、頭を振ったんだ。そして、私に向かって呼びかけたーーートワ、と。」

 しを乃が、悔しそうに唇を噛んだ。

「あの男は、あたしのことを、そこの女中だと思って、語りかけたんだ。」

『トワ……トワ………すまない。どうか、私から離れていかないでくれ。私は君が大事だ。君が欲しい…私が本当に心から欲している女は君だけなんだ……』

 しを乃は、ボタボタと涙を溢した。

「あの男は……あたしの有朋は、あの女中を請うたんだ。あたしがどれだけ願っても、手に入れられなかった、あの男は………だから……」

 近くに置いてあった菊の鉢を手にとって、頭の上から落とした。

「鉢植えを落としたとき、目の前に、西洋蘭が咲いていてね……」

 しを乃は、その花を見て、思ったという。

ーーー西洋蘭に焦がれたアンタだったのに、結局、菊の花に殺されるのね。

「ザマァミロ、と思った。あたしの手に入らない……あたしのものにならない、あの男を………」

 全身に纏わりつくような激しい しを乃の烈情に、桜子の背筋がぞわりと泡たった。あの日見た舞台とは、全然違う。しを乃の、本物の底知れぬ情念。

 ふとトワに目をやると、しを乃を見ながら静かに涙を流していた。

 園枝の老執事が、天井に向かって、何か呟いたようだが、何を言っているのかは聞こえなかった。

 部屋には嗚咽とすすり泣きの音が響く。

 そのドロドロとした愛憎を断ち切るように、パンと乾いた音が響いた。

 新伍が手を叩いたのだ。

「さぁ、これで分かりましたね。園枝有朋さんを殺害した犯人がーーー」

 新伍が勝川警部補のほうに向かって言った。

 これが新伍の言う、トワを捕らえたら分からなくなるかもしれない真相。

「勝川警部補、あとはお任せしますよ。」

 言った瞬間、しを乃が動いた。静かに涙を流すトワめがけて。

「あんたも道連れだッ!!」

 髪を振り乱す。手の先がキラリと光った。刃物を持っている。

 新伍は一瞬出遅れた。しを乃とトワの間に入り、次の瞬間ーーーカランと刃物の落ちる音。

 しを乃は、藤高貢に押さえつけられて、新伍はーーー?

 ポタッと床に赤黒いシミ。

 血だ。
 イツの悲鳴。

「新伍さんッ!!」

 桜子は、新伍に駆け寄る。新伍が身を屈めていたので、初めはどこを切られたのか分からなったが、傷は手首だった。

 新伍の左手首がさっくりと切れて、血がポタポタと落ちてくる。

 桜子は着物の袖で新伍の傷を押さえた。

「イツ!!」

 イツはすでに薬箱を取りに走っていた。その背に貢が声をかける。

「清潔な水を桶に汲んできてください」
「ぼ……僕も行きます。」

 樹がイツの後を追う。

 傷口を押さえている桜子の山吹色の着物に赤い血のシミが広がる。

(どうしよう……)

 そのシミがどんどん大きくなるのをみて、このまま止まらないんじゃないかと、ゾッとした。

(こんなにたくさん、血が出ている……もし…もし、新伍さんが、このまま失血死してしまったら……)

 新伍を諦める、と決めたのにーーー
 新伍を忘れて、藤高貢のもとに嫁ぐ……と、この人と添うことはないのだと、納得したはずなのにーーー

 新伍がいなくなる。
 そのことを考えただけで、この世のすべてが足元から崩れ落ちるように、恐ろしい。
 そのとき、

「どきなさい。」

 白髪の老人がすぐ側に立っていて、桜子に声をかけた。

「……先生。」

 湖城家お抱えの医師だった。桜子を診てくれたあと、トワと息子が対面するときに備えて待機していたのを、時津が呼んできたのだという。

「ちょっと診ようかね。」

 白髪の老医師は、丸メガネをくいっと押し上げた。桜子が、恐る恐る新伍の側を離れる。

 医師とともに水の入った桶を汲んできた樹と、包帯や薬箱を持ったイツ。

 老医師は、丸メガネの奥から傷を覗き込むと、

「あぁ、大したことはないね。」

 軽い調子でいった。

「もうほとんど、血は止まっとる。」
「え?」
「すぐに傷口を圧迫したのが良かったんだろう。でも、念のため、洗っておくか。」

 そう言うが早いか、手早く桶の水を使って傷を洗い、軟膏を塗って包帯をまいた。

「今夜は傷が痛んで、熱が出るかもしれんが……」

 新伍をちらりと見て、

「まぁ、あんたなら大丈夫じゃろ。」

 手当が済んだ老医師は、片付け終えると、さっさと戻っていった。

 貢は、いつの間にか、しを乃を勝川に引き渡している。

「おい、探偵気取り。」

 手当が終わるのを見計らって、勝川が新伍に呼びかけた。屋敷の外で待機していたという部下が傍らにいて、狂ったように悪態をついている しを乃を引き渡した。

「お前から、そこの女中と女優が怪しいから探れ、と言われていたにも関わらず、湖城のお嬢さんが拐かされたのは、こちらの手落ちだ。悪かった。」

「新伍さんが、勝川警部補のところに、そんな話を?」

 桜子が驚いて問うと、

「あぁ、お嬢さんが連れ去られる前の日だ。……だが、しかし、その手落ちを盾に、事件の全容を解き明かしてやるから、容疑者を屋敷に留めさせろ……なんて、無茶な要求をしてくれたもんだ。実際に解いちまったから、文句も言えんが。」

 困ったやつだと、ため息をついて髭をしごいた。

 あれほど反目しあっていたわりに、勝川の物言いは、どこか新伍のことを認めているようでもある。
 新伍が、いつもの飄々とした顔で「勝川警部補のおかげです」と、笑った。

 勝川は、「では、ご協力ご苦労。」と、新伍と桜子の父、湖城重三郎、藤高貢に挨拶をして、部屋を去った。

「あの……私もこれで。」

 勝川に続いて、園枝の老家令が皆に頭を下げる。

「もう、帰ってもよろしいですか? 奥さまと旦那さまにご報告申し上げたいので……。」

 老家令に、新伍が「どうぞ。」と許可を与える。

 老家令は、去り際、トワのところに行くと、

「私は、お坊っちゃまが産まれた頃からお世話をしておりますが、お坊っちゃまは小さい頃、身体が弱く、よく咳き込んでいました。いつか、お坊っちゃまの……」

 言いかけてから言葉を切って、

「トワさんの息子の剛くんに、お目にかかれれば、と思います。」

 と、律儀な家令は、言い直した。
 トワは黙ったまま、深くお辞儀した。


 園枝の老家令もいなくなると、応接室には一段落ついたような、緩んだ空気が流れた。

「さて、これで終わりですか?」

 尋ねたのは、貢。いつの間にか、元の壁際に戻って、腕を組んで立っている。

「五島さん。これで、貴方の推理は全て、おしまいですか?」

 尋ねる貢に、新伍は、

「いえ、まだです。」

 と、首を振った。

「まだ僕の話は続きがあります。」
「続き?」
「はい。」

 新伍が皆の顔を順に眺めながら言った。

「犯人は……もう一人いますから。」
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