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第1章 守護龍の謎
第17話 守護龍の秘密を知りました
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「……え?」
俺は一瞬、耳を疑った。今の言葉は聞き間違いじゃないのか?
「本当は……こんなことしたくなかった……あなたにはマリオンのようになって欲しくなかった……でも」
「フラ……ウ……?」
フラウの目尻から一粒の雫がこぼれ落ちる。それが彼女の顔を伝って俺の顔に落ちた瞬間、突然俺の身体が光り輝いた。
「な、なんだ!?」
俺は慌てて自分の姿を確認する。すると、服の上から白い鎧のようなものが装着していた。それは、龍鎧の進化系のように見えた。ガントレットには龍の鉤爪のようなものが付いており、背中からは龍の翼が、尻からは龍の尻尾が伸びている。まるで、フラウと一体化しているかのようだった。
そして、俺の身体はさっきとは比べ物にならないくらい軽かった。麻痺して動かなかったのが嘘のようだ。
「まさか……契約はまだ完全じゃなかったのか?」
そう問いかけるも、目の前のフラウは意識を失っているようで、何も答えてくれない。
「やれやれ、少し荒療治でしたが。──どうやら『至れた』ようですね」
フリーダが満足げに微笑んだ。
「お前、まさかフラウにこれを使わせるために俺たちと戦ってたってわけかよ!」
「えぇ、その通りです。あなたは確かに強い。でも、伝説のドラゴンライダーであるマリオンには遠く及ばない。──それでは女神は倒せない」
フリーダはそう言うと、杖を異空間の中に仕舞いこんでしまった。
「お前は女神に従ってるんじゃなかったのかよ?」
「そんなこと言いました? 私は誰の味方でもありません。そして、私の計画に復活間近の女神の存在は邪魔なのです。あなた方よりもね」
「……」
馬鹿な俺にはフリーダの言っていることがよく分からない。でも、彼女が明確に俺たちに敵対している訳ではないことと、どうやら俺たちは弄ばれているってことは分かった。
「用が済みましたので私は帰りますね。女神信徒さんたちによろしく言っておいてください」
そう告げると、フリーダの姿が忽然と消えてしまった。
「クソッ! 待て!」
俺は急いで後を追いかけようとするが、フラウが俺の腕を掴んだ。いつの間にか目を覚ましていたようだ。
「ダメです、ロイ……。今のあなたはまだドラゴンライダーの力を使いこなしていない。今あの人と戦うのは愚策です」
「離してくれ、あいつは俺たちを弄んだんだぞ? わけわからん計画のために他人を振り回して……一度ぶん殴ってやらないと気がすまない」
「落ち着いてください。私も気持ちは同じです。でも、今のまま戦っても勝ち目は薄い。それに、私はあなたの命が大事なんです」
フラウはそう言って俺を見つめた。そういえばさっきフラウは俺の事を身を挺して守ってくれた。その想いを踏みにじるわけにはいかなかった。
「そうだな……。悪かった」
俺は深呼吸をして心を落ち着かせる。鎧を解除して冷静になると、フラウのことが心配になった。あれだけ大怪我をしていて、今は立っているだけでも辛そうなのに大丈夫なのか? 俺は彼女の顔を覗き込む。すると、彼女は恥ずかしそうに笑みを浮かべた。
「私の心配はしなくても大丈夫ですよ。見た目ほど重傷じゃないですから」
そう言いながらもフラウは俺に寄りかかってきた。そして、俺の胸元に手を当てると、ゆっくりと口を開いた。
「私、ずっと怖かったんです。いつかまた、あなたを失うんじゃないかって……」
「フラ……んっ!?」
俺が声をかけようとした時、突然フラウに唇を奪われた。柔らかくて甘い香りがするキスだ。そして、少し血の味もした。
「……ロイ、私まだロイに秘密にしてることがあったんです」
フラウはそう呟くと、俺の身体に手を回し、強く抱きしめてきた。彼女の柔らかい感触が俺の身体に伝わってくる。
「さっきロイに施したのは、私の──守護龍としての力をロイが完全に使うことができるようになる完全契約です」
「え……?」
「でも、守護龍の力は人間には手に余るものです。……その力はやがて使用者を破滅に追い込んでしまう」
俺はフリーダが言っていた言葉を思い出していた。かつてのドラゴンライダーであるマリオンは、俺よりも断然強かったという。彼も『完全契約』をしていたとすれば、フラウの言う『破滅』というのはきっと……
「本当はロイとは完全契約をするつもりはなかったんです。でも、あの時あのままじゃロイが死んでしまうと思って、つい……」
フラウは俺の身体から離れると、真剣な眼差しで俺を見た。そして、頭を下げた。
「勝手なことをして申し訳ありません! 全部私のわがままです」
「いや、あの時は確かにああするしかなかったかもしれない。俺の事を考えて行動してくれたんだろ? フラウは悪くないよ」
俺の言葉を聞いたフラウは安心したように微笑んだ。
「ありがとうございます。でも、私はパートナーとしてロイにはいなくならないでほしい。……私も全力でロイを守ります」
「ありがとな。でも、まずはその大怪我を治療しないとな」
俺はフラウを優しく抱き寄せると、彼女をお姫様抱っこで抱え上げた。
「ちょ、ちょっとロイ!」
「いいからじっとしててくれ。早く手当てしないとその綺麗なお肌に傷跡が残るぞ」
「もう、バカ……」
フラウは顔を赤くしながら大人しくされるがままにされていた。俺はフラウを宿の中に運び込み、他の村人たちと一緒に手当をした。
フラウの怪我はやはり重傷で手当に手間取ってしまい、一息ついた頃にはすっかり夜になっていた。
どっと疲れが出てくる。
俺は空いているベッドに横になると、そのまま深い眠りに落ちていった。
俺は一瞬、耳を疑った。今の言葉は聞き間違いじゃないのか?
「本当は……こんなことしたくなかった……あなたにはマリオンのようになって欲しくなかった……でも」
「フラ……ウ……?」
フラウの目尻から一粒の雫がこぼれ落ちる。それが彼女の顔を伝って俺の顔に落ちた瞬間、突然俺の身体が光り輝いた。
「な、なんだ!?」
俺は慌てて自分の姿を確認する。すると、服の上から白い鎧のようなものが装着していた。それは、龍鎧の進化系のように見えた。ガントレットには龍の鉤爪のようなものが付いており、背中からは龍の翼が、尻からは龍の尻尾が伸びている。まるで、フラウと一体化しているかのようだった。
そして、俺の身体はさっきとは比べ物にならないくらい軽かった。麻痺して動かなかったのが嘘のようだ。
「まさか……契約はまだ完全じゃなかったのか?」
そう問いかけるも、目の前のフラウは意識を失っているようで、何も答えてくれない。
「やれやれ、少し荒療治でしたが。──どうやら『至れた』ようですね」
フリーダが満足げに微笑んだ。
「お前、まさかフラウにこれを使わせるために俺たちと戦ってたってわけかよ!」
「えぇ、その通りです。あなたは確かに強い。でも、伝説のドラゴンライダーであるマリオンには遠く及ばない。──それでは女神は倒せない」
フリーダはそう言うと、杖を異空間の中に仕舞いこんでしまった。
「お前は女神に従ってるんじゃなかったのかよ?」
「そんなこと言いました? 私は誰の味方でもありません。そして、私の計画に復活間近の女神の存在は邪魔なのです。あなた方よりもね」
「……」
馬鹿な俺にはフリーダの言っていることがよく分からない。でも、彼女が明確に俺たちに敵対している訳ではないことと、どうやら俺たちは弄ばれているってことは分かった。
「用が済みましたので私は帰りますね。女神信徒さんたちによろしく言っておいてください」
そう告げると、フリーダの姿が忽然と消えてしまった。
「クソッ! 待て!」
俺は急いで後を追いかけようとするが、フラウが俺の腕を掴んだ。いつの間にか目を覚ましていたようだ。
「ダメです、ロイ……。今のあなたはまだドラゴンライダーの力を使いこなしていない。今あの人と戦うのは愚策です」
「離してくれ、あいつは俺たちを弄んだんだぞ? わけわからん計画のために他人を振り回して……一度ぶん殴ってやらないと気がすまない」
「落ち着いてください。私も気持ちは同じです。でも、今のまま戦っても勝ち目は薄い。それに、私はあなたの命が大事なんです」
フラウはそう言って俺を見つめた。そういえばさっきフラウは俺の事を身を挺して守ってくれた。その想いを踏みにじるわけにはいかなかった。
「そうだな……。悪かった」
俺は深呼吸をして心を落ち着かせる。鎧を解除して冷静になると、フラウのことが心配になった。あれだけ大怪我をしていて、今は立っているだけでも辛そうなのに大丈夫なのか? 俺は彼女の顔を覗き込む。すると、彼女は恥ずかしそうに笑みを浮かべた。
「私の心配はしなくても大丈夫ですよ。見た目ほど重傷じゃないですから」
そう言いながらもフラウは俺に寄りかかってきた。そして、俺の胸元に手を当てると、ゆっくりと口を開いた。
「私、ずっと怖かったんです。いつかまた、あなたを失うんじゃないかって……」
「フラ……んっ!?」
俺が声をかけようとした時、突然フラウに唇を奪われた。柔らかくて甘い香りがするキスだ。そして、少し血の味もした。
「……ロイ、私まだロイに秘密にしてることがあったんです」
フラウはそう呟くと、俺の身体に手を回し、強く抱きしめてきた。彼女の柔らかい感触が俺の身体に伝わってくる。
「さっきロイに施したのは、私の──守護龍としての力をロイが完全に使うことができるようになる完全契約です」
「え……?」
「でも、守護龍の力は人間には手に余るものです。……その力はやがて使用者を破滅に追い込んでしまう」
俺はフリーダが言っていた言葉を思い出していた。かつてのドラゴンライダーであるマリオンは、俺よりも断然強かったという。彼も『完全契約』をしていたとすれば、フラウの言う『破滅』というのはきっと……
「本当はロイとは完全契約をするつもりはなかったんです。でも、あの時あのままじゃロイが死んでしまうと思って、つい……」
フラウは俺の身体から離れると、真剣な眼差しで俺を見た。そして、頭を下げた。
「勝手なことをして申し訳ありません! 全部私のわがままです」
「いや、あの時は確かにああするしかなかったかもしれない。俺の事を考えて行動してくれたんだろ? フラウは悪くないよ」
俺の言葉を聞いたフラウは安心したように微笑んだ。
「ありがとうございます。でも、私はパートナーとしてロイにはいなくならないでほしい。……私も全力でロイを守ります」
「ありがとな。でも、まずはその大怪我を治療しないとな」
俺はフラウを優しく抱き寄せると、彼女をお姫様抱っこで抱え上げた。
「ちょ、ちょっとロイ!」
「いいからじっとしててくれ。早く手当てしないとその綺麗なお肌に傷跡が残るぞ」
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