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第九話【暗雲】前
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俺が冬真とのPlayで見事二度目のサブスぺに入ったあの日、意識をはっきりさせるまで抱きしめてくれていた冬真に次回作についての話をした。
重要人物となる高校生の兄役と言う、ベストポジションの募集があると教えると、絶対モノにすると意気込んだ。
思った通り、演技力もインパクトもある冬真は監督のイメージにもあったみたいで、話は顔合わせを含めたオーディションまで進んだ。
アイドルの子の都合上、最終候補者は1人ずつ少しだけ顔合わせをすることになった。
そして当日、少人数での撮影の日、メインの役者さんたちしかいないなか、顔合わせを含めた冬真のオーディションになった。
オーディションと言っても、アイドルの子との相性を見るための物で、ほぼ決定しているらしい。
「初めまして、マミと言います。よろしくおねがいします」
大人しそうな童顔の少年は、恥ずかしそうにそうはにかみ、胸の前でぎゅっと握った手も細身の体も庇護欲をそそるだろう物だった。
(Subだ)
初めて会ったけど、すぐに分かった。マミは俺と同じSubで、俺とは全く違うタイプの子だと。
多くのDomが選ぶだろう、典型的なSubのタイプ。【DPV】でも多くがこのタイプだった。もちろん、冬真が相手をしていたのも…。
「兄役候補の冬真です。よろしくお願いします」
多少緊張していた冬真もそのことに気づいたみたいで、少し表情が柔らかくなった。マミの方も、同じく気づいたらしく冬真をじっと見つめている。
(相性よさそうだな)
派手めの冬真と大人しそうなマミは見た目的にもバランスが取れていて、DomとSubのパートナーと言われても違和感がなかった。
「どうした?」
「いえ、その…」
見つめ合っている二人に監督が不思議そうに尋ね、マミの視線が冬真と監督の間をキョロキョロと行きかう。
「ああ、そうか。二人はダイナミクス持ちだったな、その所為か」
「はい、俺がDomで」
「僕はSubです」
「なるほど、ちょっと冬真は待っててくれ」
そう言った監督は冬真とマミを離し、少し離れたところにいた俺の方をみた。
「力也!こっち来てくれ」
「はい!」
言われて走り寄れば、監督はマミに俺を紹介してくれた。なぜ俺を呼んだのか不思議そうにしているマミに俺もSubだと説明する。
「そうなんですね」
「Sub同士の方が話がしやすいこともあるだろう。力也相談にのってやってくれるか」
「はい」
何を聞けばいいのかなんとなくわかったから、俺は安心した表情になったマミを連れてその場を離れた。
「で、単刀直入に聞くけど、Domが相手でも大丈夫?」
「うん。あの人…冬真さんだよね。あの人なら怖くない」
一番心配していた過去のトラウマによるDomへの恐怖などはなさそうだ。それがあると、冬真がいくら優しくしてもどうにもならない可能性がある。
マミは俺よりもランクの低いSubで、冬真は俺と近いランクだ。その場合ランクの差によって委縮してトラウマが悪化することもある。
「よかった。うん、冬真は優しいから大丈夫だと思うよ。なにかあったら俺も相談のるし」
「ありがとうございます」
人懐こい子犬みたいな笑顔を浮かべるマミに笑い返し、監督を呼び大丈夫だと説明した。
監督は安心したらしく、冬真を呼び改めて打ち合わせを始めた。
その後、探偵役の将人さんも含め三人で、演技合わせが始まった。
メインと言っても絡みがすくない俺たちは、それを遠目に見ながら、今後の打ち合わせに入る。スタントブルの俺は孝仁さんとの関りが一番多いから、2人で打ち合わせすることが多い。
「かわいい子だね」
「孝仁さんもそう思います?」
「そりゃね。大丈夫?彼と相性よさそうだけど」
「相性が悪くて外されるよりいいっすよ」
「力也君ほんといいこ」
一緒に演技の確認をしていた孝仁さんが、俺の頭をいつも通り撫でてくれる。くしゃくしゃと髪をかき混ぜられる感覚に、喜んでいると不意に孝仁さんの手が止まった。
「うっわ」
「どうかしたんすか?」
「ううん、なんでもない」
小さくつぶやいたその声にどうかしたのかと聞けば、孝仁さんはにっこりと笑い返した。
「それより、ここなんだけど…」
「はい」
指さされた台本を覗き込み、俺たちはしばらく打ち合わせに没頭した。
二人は兄弟役としても、相性がよかったらしく、結局その日のうちに冬真は兄役として本決まった。
皆の前で改めて挨拶する冬真の嬉しそうな様子に俺も嬉しくなった。
冬真が兄役と決まったその日、監督の思い付きで親睦会が開かれることになった。
親睦会と言っても急遽決まったから、ただの飲み会なんだけど、監督が古馴染みの店とかいうところに声をかけてくれて貸し切りにしてくれた。
急遽だからいけない人はいいって言ってくれたけど、俺はもちろんのこと、冬真も孝仁さんも、将人さんも、一番忙しそうなマミも参加に決まった。
重要人物となる高校生の兄役と言う、ベストポジションの募集があると教えると、絶対モノにすると意気込んだ。
思った通り、演技力もインパクトもある冬真は監督のイメージにもあったみたいで、話は顔合わせを含めたオーディションまで進んだ。
アイドルの子の都合上、最終候補者は1人ずつ少しだけ顔合わせをすることになった。
そして当日、少人数での撮影の日、メインの役者さんたちしかいないなか、顔合わせを含めた冬真のオーディションになった。
オーディションと言っても、アイドルの子との相性を見るための物で、ほぼ決定しているらしい。
「初めまして、マミと言います。よろしくおねがいします」
大人しそうな童顔の少年は、恥ずかしそうにそうはにかみ、胸の前でぎゅっと握った手も細身の体も庇護欲をそそるだろう物だった。
(Subだ)
初めて会ったけど、すぐに分かった。マミは俺と同じSubで、俺とは全く違うタイプの子だと。
多くのDomが選ぶだろう、典型的なSubのタイプ。【DPV】でも多くがこのタイプだった。もちろん、冬真が相手をしていたのも…。
「兄役候補の冬真です。よろしくお願いします」
多少緊張していた冬真もそのことに気づいたみたいで、少し表情が柔らかくなった。マミの方も、同じく気づいたらしく冬真をじっと見つめている。
(相性よさそうだな)
派手めの冬真と大人しそうなマミは見た目的にもバランスが取れていて、DomとSubのパートナーと言われても違和感がなかった。
「どうした?」
「いえ、その…」
見つめ合っている二人に監督が不思議そうに尋ね、マミの視線が冬真と監督の間をキョロキョロと行きかう。
「ああ、そうか。二人はダイナミクス持ちだったな、その所為か」
「はい、俺がDomで」
「僕はSubです」
「なるほど、ちょっと冬真は待っててくれ」
そう言った監督は冬真とマミを離し、少し離れたところにいた俺の方をみた。
「力也!こっち来てくれ」
「はい!」
言われて走り寄れば、監督はマミに俺を紹介してくれた。なぜ俺を呼んだのか不思議そうにしているマミに俺もSubだと説明する。
「そうなんですね」
「Sub同士の方が話がしやすいこともあるだろう。力也相談にのってやってくれるか」
「はい」
何を聞けばいいのかなんとなくわかったから、俺は安心した表情になったマミを連れてその場を離れた。
「で、単刀直入に聞くけど、Domが相手でも大丈夫?」
「うん。あの人…冬真さんだよね。あの人なら怖くない」
一番心配していた過去のトラウマによるDomへの恐怖などはなさそうだ。それがあると、冬真がいくら優しくしてもどうにもならない可能性がある。
マミは俺よりもランクの低いSubで、冬真は俺と近いランクだ。その場合ランクの差によって委縮してトラウマが悪化することもある。
「よかった。うん、冬真は優しいから大丈夫だと思うよ。なにかあったら俺も相談のるし」
「ありがとうございます」
人懐こい子犬みたいな笑顔を浮かべるマミに笑い返し、監督を呼び大丈夫だと説明した。
監督は安心したらしく、冬真を呼び改めて打ち合わせを始めた。
その後、探偵役の将人さんも含め三人で、演技合わせが始まった。
メインと言っても絡みがすくない俺たちは、それを遠目に見ながら、今後の打ち合わせに入る。スタントブルの俺は孝仁さんとの関りが一番多いから、2人で打ち合わせすることが多い。
「かわいい子だね」
「孝仁さんもそう思います?」
「そりゃね。大丈夫?彼と相性よさそうだけど」
「相性が悪くて外されるよりいいっすよ」
「力也君ほんといいこ」
一緒に演技の確認をしていた孝仁さんが、俺の頭をいつも通り撫でてくれる。くしゃくしゃと髪をかき混ぜられる感覚に、喜んでいると不意に孝仁さんの手が止まった。
「うっわ」
「どうかしたんすか?」
「ううん、なんでもない」
小さくつぶやいたその声にどうかしたのかと聞けば、孝仁さんはにっこりと笑い返した。
「それより、ここなんだけど…」
「はい」
指さされた台本を覗き込み、俺たちはしばらく打ち合わせに没頭した。
二人は兄弟役としても、相性がよかったらしく、結局その日のうちに冬真は兄役として本決まった。
皆の前で改めて挨拶する冬真の嬉しそうな様子に俺も嬉しくなった。
冬真が兄役と決まったその日、監督の思い付きで親睦会が開かれることになった。
親睦会と言っても急遽決まったから、ただの飲み会なんだけど、監督が古馴染みの店とかいうところに声をかけてくれて貸し切りにしてくれた。
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