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第6話 伊吹、野宿をする
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俺はリンと火の番をすることになった。
ノジャと杏奈はテントの中で仮眠を取っている。
「火の番をするってことは、またさっきみたいなモンスターが出るのか?」
俺は疑問に思っていたことをリンに聞いてみた。黙って火の番をするだけではつまらないし、少しでもここがどういう所なのか知りたかった。
「そうですね。先程みたいな中型モンスターはこの付近にはそんなにいませんが、小型は結構いますので」
「あれが中型!」
さらに大きいモンスターもいるのか。
俺は、異世界からやってきたという設定の動画配信者のことを思い出した。その配信者がいた架空の異世界でもモンスターがいたらしく、どうやって倒していたか話していたな。その話がもう懐かしかった。
「伊吹さんの世界の話を聞かせてください。元の世界に帰れるヒントになるかもしれないので」
「ん。……ああ」
俺は、どこから話したものかと思ったが、とりあえずモンスターや魔法はないことから説明した。
リンと話し込んでいると、杏奈とノジャが起きてきた。
「交代よ~」
杏奈は大欠伸をして、目をこすっていた。
「杏奈さんたちはもう少し寝てても良いですよ」
「そうはいかないわよ。伊吹もこっちに初めて来たのよね? 疲れているでしょ?」
「そうだな。眠くないけど、横にはなりたいかも」
「では、伊吹さんだけ寝ていてください。僕はまだ起きているので」
リンはそう言って、俺だけをテントに寝かしてくれた。気を使ってくれたのだろう。
テントの中はやっぱり、俺とリンの二人で寝るには狭そうだった。リンに感謝した。
眠くはないが、少し横になって目をつむることにし、何も考えないように務めた。
「伊吹! 起きるのじゃ!」
「ん?」
俺はいつの間にか寝ていたらしく、ノジャに起こされた。テントの入口から、ひょこりと顔を出したノジャと目が合った。
「あれ? 眩しい?」
「朝じゃぞー」
俺がテントの外に出ると、朝日が少し出ていた。まだ、少し寒い感じもするが、我慢できる程度だ。
「ごめん。寝すぎたか?」
俺がそう聞くと、杏奈は首を横に振った。
「ううん。疲れてるかなと思って寝てもらっていただけよ。リン以外はちょこちょこ寝てるよ」
「ありがとう」
ということは、リンは寝ていないのか。眠くないのだろうか。
「モンスターは出なかったのか?」
「大丈夫だったよ! 昨日、倒したモンスターのせいで他のモンスターがこの一帯からいなくなっていたのかも」
俺たちはテントと焚き火を片付けて、近くの街に行くために出発した。
ここは街にまだ近いらしく、一時間くらい歩けば街が見えるところに着くらしい。
ノジャは浮くのに疲れたと言って、草履のまま森の中を歩いていた。昨日はぬかるんでいたが、今日は地面が少し固まっているみたいで歩きやすかった。
俺たちは杏奈の後ろを歩き、俺たちの後ろにはリンがいた。モンスターが出た時に対処しやすいから、そう歩こうとなったのだ。
「ノジャちゃんは戦えないのよね?」
杏奈は前を向きながら、ノジャに問いかけた。
「戦うのは得意じゃないのじゃ。今は力もないしのう」
「時止めって言ってただろ。それはもう使えないのか?」
「当分、無理じゃのう」
ノジャは、はははっと笑いながらそう答えた。
いまいち、その時止めが理解できていないが、ノジャは俺と同じ立場で、守られる側なのだろうと思った。
ノジャと杏奈はテントの中で仮眠を取っている。
「火の番をするってことは、またさっきみたいなモンスターが出るのか?」
俺は疑問に思っていたことをリンに聞いてみた。黙って火の番をするだけではつまらないし、少しでもここがどういう所なのか知りたかった。
「そうですね。先程みたいな中型モンスターはこの付近にはそんなにいませんが、小型は結構いますので」
「あれが中型!」
さらに大きいモンスターもいるのか。
俺は、異世界からやってきたという設定の動画配信者のことを思い出した。その配信者がいた架空の異世界でもモンスターがいたらしく、どうやって倒していたか話していたな。その話がもう懐かしかった。
「伊吹さんの世界の話を聞かせてください。元の世界に帰れるヒントになるかもしれないので」
「ん。……ああ」
俺は、どこから話したものかと思ったが、とりあえずモンスターや魔法はないことから説明した。
リンと話し込んでいると、杏奈とノジャが起きてきた。
「交代よ~」
杏奈は大欠伸をして、目をこすっていた。
「杏奈さんたちはもう少し寝てても良いですよ」
「そうはいかないわよ。伊吹もこっちに初めて来たのよね? 疲れているでしょ?」
「そうだな。眠くないけど、横にはなりたいかも」
「では、伊吹さんだけ寝ていてください。僕はまだ起きているので」
リンはそう言って、俺だけをテントに寝かしてくれた。気を使ってくれたのだろう。
テントの中はやっぱり、俺とリンの二人で寝るには狭そうだった。リンに感謝した。
眠くはないが、少し横になって目をつむることにし、何も考えないように務めた。
「伊吹! 起きるのじゃ!」
「ん?」
俺はいつの間にか寝ていたらしく、ノジャに起こされた。テントの入口から、ひょこりと顔を出したノジャと目が合った。
「あれ? 眩しい?」
「朝じゃぞー」
俺がテントの外に出ると、朝日が少し出ていた。まだ、少し寒い感じもするが、我慢できる程度だ。
「ごめん。寝すぎたか?」
俺がそう聞くと、杏奈は首を横に振った。
「ううん。疲れてるかなと思って寝てもらっていただけよ。リン以外はちょこちょこ寝てるよ」
「ありがとう」
ということは、リンは寝ていないのか。眠くないのだろうか。
「モンスターは出なかったのか?」
「大丈夫だったよ! 昨日、倒したモンスターのせいで他のモンスターがこの一帯からいなくなっていたのかも」
俺たちはテントと焚き火を片付けて、近くの街に行くために出発した。
ここは街にまだ近いらしく、一時間くらい歩けば街が見えるところに着くらしい。
ノジャは浮くのに疲れたと言って、草履のまま森の中を歩いていた。昨日はぬかるんでいたが、今日は地面が少し固まっているみたいで歩きやすかった。
俺たちは杏奈の後ろを歩き、俺たちの後ろにはリンがいた。モンスターが出た時に対処しやすいから、そう歩こうとなったのだ。
「ノジャちゃんは戦えないのよね?」
杏奈は前を向きながら、ノジャに問いかけた。
「戦うのは得意じゃないのじゃ。今は力もないしのう」
「時止めって言ってただろ。それはもう使えないのか?」
「当分、無理じゃのう」
ノジャは、はははっと笑いながらそう答えた。
いまいち、その時止めが理解できていないが、ノジャは俺と同じ立場で、守られる側なのだろうと思った。
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