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第7話 杏奈は猫耳族
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森を何事もなく出ると、十キロ先くらいに外壁に囲まれた街が見えた。遠くからでも大きい街なのがわかる。
森の方を見ると、山脈が近くにあった。街のさらに奥にも見えるので、ここは盆地なのだろうか。
「もう少しで街に着くよ!」
杏奈が振り返って、そう言った。
森の獣道から、草原の街道になり、歩きやすくなった。ノジャは相変わらず普通に歩いている。
「のう。この格好は目立つかの?」
ノジャは少し心配そうに杏奈に聞いた。
杏奈やリンの地味な色合いの布の服を見て、そう思ったのだろう。ノジャは和装で、杏奈たちは……異世界の旅人風だ。
「大丈夫よ。別の国や星でよく見るもの」
「良かったのじゃ!」
俺たちが着いた街の名は、デクストラタウン。大きな外壁に囲まれていて、カラフルな壁の建物が多い街。
杏奈から聞いたのは、モンスターから身を守るために街の中心にモンスター避けの装置があることだ。だから、安心して過ごせると言われた。外壁も高く、丈夫なので、万が一モンスターが襲ってきても大丈夫らしい。
「僕は頭蓋骨を騎士団に届けてきます。杏奈さんたちは先に拠点へ帰っていてください」
リンがそう言うと、俺たちは頷き、その拠点へと向かうことにした。
リンが言っていた拠点は、街のカラフルな建物とは反対に、白い外壁をしていた。周りの建物と同じ大きさだが、白い外壁のせいでとても目立っていた。
「私たちのギルドにようこそ! さ、入って」
杏奈たちはギルドに所属していると聞いた。この世界には地球以外にも人が住める惑星があるらしく、それらにも拠点があるみたいだ。
中に入ると、受付があり、女性が座って何人かの人と話している。入口近くの壁には紙がたくさん貼られていて、杏奈はここに依頼が貼られていると言った。
「応接室があるから、そこで話しましょう」
杏奈に連れられて、受付横の部屋に向かった。
応接室は、黒のソファと木のローテーブルが置いてあり、両壁を本棚が埋めつくしている。
「伊吹の話を聞いた限りだと、私が知っている世界から来た感じではなさそう」
俺たちはソファに座り、杏奈が出してくれたハーブティーを飲んだ。
「帰るのは難しそうか?」
「うーん。私はそんなに異世界に行ったことがないからなあ。ギルド長が、異世界に詳しいからギルド長に会う……か。それとも、あいつに頼むか」
杏奈はうんうんと唸りながら、考え込み始めた。頭の上に付いている三角の耳がピコピコと動いている。
「気になっていたんだけど、杏奈のその耳って本物?」
「ん? 本物だよ! 私は猫耳族っていう種族なの」
俺が知っている普通の人間ではないってことか。
「リンは?」
「リンは……種族名はないのよね」
そんな事ってあるのか?
杏奈は言葉を考えているようだった。
「リンは別の世界から来ている人なの。異世界とは違うのだけど、説明が難しいから省くね!」
はぐらかされてしまったが、これ以上、混乱したくないので深く言及するのはやめておくことにした。
「あ、ああ。杏奈はリンが使っていたような魔法は使えないのか?」
「うん。無理! 私はこれ」
杏奈は両手を頭の高さまで上げた。そして、右手で左手首に、はめているピンクの輪を指した。両手首と両足首に付いている輪だ。
「身体能力を大幅に上げる装備なの。ちょっとした特別製のね」
杏奈はウインクをした。
「話を戻すけど、伊吹はどうしたい? その一、どこにいるかわからないギルド長を探して異世界について聞き出す。ただし、ギルド長が必ず答えを知っているわけではない。その二、私の友だちをストーカーしている異世界に絶対的に詳しいやつに会いに行く。ただし、友だちはこの世界を旅していてどこにいるかわからない。その三、この中で一番会いやすいけど、一番面倒臭いやつに聞きに行く。ただし、本当に面倒臭いわよ」
「その一とその二の人は、どこにいるかわからないんだろ」
「そうね。知り合いの所に行って、手当り次第探すしかないわね」
「それなら、俺は――」
森の方を見ると、山脈が近くにあった。街のさらに奥にも見えるので、ここは盆地なのだろうか。
「もう少しで街に着くよ!」
杏奈が振り返って、そう言った。
森の獣道から、草原の街道になり、歩きやすくなった。ノジャは相変わらず普通に歩いている。
「のう。この格好は目立つかの?」
ノジャは少し心配そうに杏奈に聞いた。
杏奈やリンの地味な色合いの布の服を見て、そう思ったのだろう。ノジャは和装で、杏奈たちは……異世界の旅人風だ。
「大丈夫よ。別の国や星でよく見るもの」
「良かったのじゃ!」
俺たちが着いた街の名は、デクストラタウン。大きな外壁に囲まれていて、カラフルな壁の建物が多い街。
杏奈から聞いたのは、モンスターから身を守るために街の中心にモンスター避けの装置があることだ。だから、安心して過ごせると言われた。外壁も高く、丈夫なので、万が一モンスターが襲ってきても大丈夫らしい。
「僕は頭蓋骨を騎士団に届けてきます。杏奈さんたちは先に拠点へ帰っていてください」
リンがそう言うと、俺たちは頷き、その拠点へと向かうことにした。
リンが言っていた拠点は、街のカラフルな建物とは反対に、白い外壁をしていた。周りの建物と同じ大きさだが、白い外壁のせいでとても目立っていた。
「私たちのギルドにようこそ! さ、入って」
杏奈たちはギルドに所属していると聞いた。この世界には地球以外にも人が住める惑星があるらしく、それらにも拠点があるみたいだ。
中に入ると、受付があり、女性が座って何人かの人と話している。入口近くの壁には紙がたくさん貼られていて、杏奈はここに依頼が貼られていると言った。
「応接室があるから、そこで話しましょう」
杏奈に連れられて、受付横の部屋に向かった。
応接室は、黒のソファと木のローテーブルが置いてあり、両壁を本棚が埋めつくしている。
「伊吹の話を聞いた限りだと、私が知っている世界から来た感じではなさそう」
俺たちはソファに座り、杏奈が出してくれたハーブティーを飲んだ。
「帰るのは難しそうか?」
「うーん。私はそんなに異世界に行ったことがないからなあ。ギルド長が、異世界に詳しいからギルド長に会う……か。それとも、あいつに頼むか」
杏奈はうんうんと唸りながら、考え込み始めた。頭の上に付いている三角の耳がピコピコと動いている。
「気になっていたんだけど、杏奈のその耳って本物?」
「ん? 本物だよ! 私は猫耳族っていう種族なの」
俺が知っている普通の人間ではないってことか。
「リンは?」
「リンは……種族名はないのよね」
そんな事ってあるのか?
杏奈は言葉を考えているようだった。
「リンは別の世界から来ている人なの。異世界とは違うのだけど、説明が難しいから省くね!」
はぐらかされてしまったが、これ以上、混乱したくないので深く言及するのはやめておくことにした。
「あ、ああ。杏奈はリンが使っていたような魔法は使えないのか?」
「うん。無理! 私はこれ」
杏奈は両手を頭の高さまで上げた。そして、右手で左手首に、はめているピンクの輪を指した。両手首と両足首に付いている輪だ。
「身体能力を大幅に上げる装備なの。ちょっとした特別製のね」
杏奈はウインクをした。
「話を戻すけど、伊吹はどうしたい? その一、どこにいるかわからないギルド長を探して異世界について聞き出す。ただし、ギルド長が必ず答えを知っているわけではない。その二、私の友だちをストーカーしている異世界に絶対的に詳しいやつに会いに行く。ただし、友だちはこの世界を旅していてどこにいるかわからない。その三、この中で一番会いやすいけど、一番面倒臭いやつに聞きに行く。ただし、本当に面倒臭いわよ」
「その一とその二の人は、どこにいるかわからないんだろ」
「そうね。知り合いの所に行って、手当り次第探すしかないわね」
「それなら、俺は――」
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