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5話
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ハッと起きるとタオルケットを被っていた。時間を見ると2時間くらい経っていてびっくりして急いで物音のする台所へ向かう。
「ごめんなさい寝ちゃってた!!」
「おはようありさ。疲れが溜まってたのね。ゆっくり寝れたみたいで良かったわ。もう少ししたらいつもお世話になってる双子ちゃんとさっきありさを迎えに来てくれたそのお父さんが今日取れた魚を持ってきてくれるの。ありさのためにBBQしようって言ってくれてね。」
それでまた後でっ。だったんだ。
「え、今日取れた魚ってあの人漁業の人なの?」
「鎌田さんは趣味で釣りをしてるだけよ。鎌田さんのところとは長い付き合いでねぇ。鎌田さんの本業は小説家なんですって。双子ちゃんの小さい頃にお母さんがご病気になって、それを機にこっちの方に引っ越してきてね、それからはすぐお母さんが亡くなってしまって……。父子家庭だから締め切り前とかはよく双子ちゃんを預かったりしてたの。今は逆に私達がお世話になってるけれど。」
あの人たちはおばあちゃんにとっては家族同然の人たちだったんだ。
それであの健って子はずっと会ってなかった孫が来て威嚇してきたってわけね。
なんだ。おばあちゃん達思いの良い奴なんじゃん。
ピンポーン
「あ、鎌田さん達が来たみたい。ありさ、悪いけど今手が離せないから出てくれる?」
「はーい。」
扉を開けるとお父さんと双子2人が立っている。
「先程はありがとうございました。さっきおばあちゃんから鎌田さんとの仲を聞いて…いつもおばあちゃん達の様子をみてくれてありがとうございます。」
「いやいや、僕達の方こそいつも助けてもらってます。今日もおばあちゃんがお孫さんが来るからって喜んでいたからみんなでBBQ出来たらなって。勝手にこちらで騒いでしまってせっかくの家族団欒に混ざってしまってごめんね。ほら、2人も挨拶しなさい」
鎌田さんの後ろにいる健と言われる子はムスッとして外を眺めている。透という子はそれを見て少し複雑そうによろしくねとニッコリこちらを見る。
「いえ、おばあちゃんから話を聞いて鎌田さん達がいたからここで楽しく過ごせてきたのかなって。改めて、ここにいる間よろしくお願いします。」
「そうだといいけどね。こちらこそ改めてよろしくね。そうだ!今朝川釣りしてきて鮎が沢山釣れたんだよ!ほら、健!」
鎌田さんがそう言うと健は黙ってタックルボックスを開き見せた。
「わあぁすごいですね!!こんな新鮮な鮎を食べるのは初めてです~。」
「だよねだよね!!ぼくもこっちに来て初めて鮎を食べて感動したんだよ。健と透は小さい頃から食べてるから分からないだろうけどきっとお孫ちゃんも感動するよ」
「楽しみにしてます。あ、名乗るの遅くなっちゃってすみません。松原ありさって言います。立ち話しすぎちゃいましたね。どうぞどうぞ」
「ははは。ありがとう。ありさちゃん」
お邪魔しますと言う健がそそくさと居間へ入っていく。
「おばあちゃん!来たよ!お孫さん来てくれて良かったね!!」
健がおばあちゃんに嬉しそうに話しかける。
こんな顔もするんだ。とぽかんと玄関から見つめていると後ろから鎌田さんが
「ごめんね。ありさちゃん…。さっきの事透から聞いて。アイツほんとおばあちゃんが好きなんだけどまさか本当のお孫さんと張り合おうなんてバカらしい真似を……」
と言いながら呆れ返っている
「あはは……大丈夫ですよ。今までおばあちゃんに何もしてこなかった私に対して敵意が湧く気持ちはなんとなく分かりますから」
「いや本当にすまない。。健にはきちんと言い聞かすよ…。」
「父さん。あの頑固な健を言い聞かすなんて言い切って大丈夫?」
「いや。言い聞かすしかない」
フンッと気合いをいれて居間の方に向かって歩くお父さんに透は呆れてる。
わたしはきっとこの親子はいつもこんな感じなんだろうなとぼーっと見つめた。
そして出迎えただけなのにひと嵐吹いたようななんとなく、居間へ向かうタイミングを逃した気がする。
「すみません本当に。…母さんが亡くなってからおばあちゃん達が僕たちに元気をくれたから…。健は母さんがいた時も母さんが僕に構うだけでヤキモチ妬いてたんです。慣れるまできっと時間が掛かると思うんですが大目に見てやってください……。」
透は気まずそうに謝る。
「あ、いやいや大丈夫よ!おばあちゃんに鎌田家との関係性も聞いたし。おばあちゃん達が元気なのはこうやって賑やかなおかげだもん。いつもありがとうね…。」
「いや、こちらこそ…子供の頃は健がよく怪我をして帰ってきては手当してもらったり、よく面倒を見てもらってたんです」
「なんか、想像つくけど健くんはそんなに喧嘩っぱやいんだ?」
「はは。きっと想像とは違いますよ。ありささんにあんな態度だからそう思われておかしくないけど…(笑)僕たちが父子家庭になって少しして、父さんは小説で追い込まれてるし 。締め切り前とか自分たちである程度こなすしか無くて。それでも子供だけでってなると上手くいかなくてちょっとしたきっかけで僕がよく友達にいじめられてたんです。その度に健が暴れてはおばあちゃんが手当してくれて…。そのあとは健が喧嘩する理由をおじいちゃんに話す機会があって…父さんもおばあちゃんとおじいちゃんに甘えさせてもらうようになって…」
「そっかぁ。色々あったんだね。なんか納得。私が健くんの立場でもきっと自分の方がおばあちゃんを大事にしてる孫だー!!って健くんが私に張り合うわ(笑)」
「あっいや。張り合う必要がそもそも…」
「ふふふっ。兄弟でお母さんの取り合いもしてたんでしょ?今度は孫達でおばあちゃんの取り合いねっ(笑)」
【⠀よし!火の準備が整ったぞ~】
鎌田さんが玄関の方に向かって叫んだ。
「「はーい」」
お互い返事をすると目を合わせ私は行きましょっとニコッと微笑み裏の縁側の方へ小走りして向かった。
「よぉーし!!みんな揃ったところで乾杯と行きますか!あっお前らはジュースだぞ?」
「分かってるよ。おばあちゃんの前で俺たちがお酒なんか飲むわけないだろ?ってそもそも不良じゃねーわ」
健がムスッとしながら言う
「はははっおばあちゃんの前だけでいい子ぶってもなぁ。」なんて言いながら缶ビールを片手に持ち
「改めて!!ありさちゃんようこそー!!」
「ごめんなさい寝ちゃってた!!」
「おはようありさ。疲れが溜まってたのね。ゆっくり寝れたみたいで良かったわ。もう少ししたらいつもお世話になってる双子ちゃんとさっきありさを迎えに来てくれたそのお父さんが今日取れた魚を持ってきてくれるの。ありさのためにBBQしようって言ってくれてね。」
それでまた後でっ。だったんだ。
「え、今日取れた魚ってあの人漁業の人なの?」
「鎌田さんは趣味で釣りをしてるだけよ。鎌田さんのところとは長い付き合いでねぇ。鎌田さんの本業は小説家なんですって。双子ちゃんの小さい頃にお母さんがご病気になって、それを機にこっちの方に引っ越してきてね、それからはすぐお母さんが亡くなってしまって……。父子家庭だから締め切り前とかはよく双子ちゃんを預かったりしてたの。今は逆に私達がお世話になってるけれど。」
あの人たちはおばあちゃんにとっては家族同然の人たちだったんだ。
それであの健って子はずっと会ってなかった孫が来て威嚇してきたってわけね。
なんだ。おばあちゃん達思いの良い奴なんじゃん。
ピンポーン
「あ、鎌田さん達が来たみたい。ありさ、悪いけど今手が離せないから出てくれる?」
「はーい。」
扉を開けるとお父さんと双子2人が立っている。
「先程はありがとうございました。さっきおばあちゃんから鎌田さんとの仲を聞いて…いつもおばあちゃん達の様子をみてくれてありがとうございます。」
「いやいや、僕達の方こそいつも助けてもらってます。今日もおばあちゃんがお孫さんが来るからって喜んでいたからみんなでBBQ出来たらなって。勝手にこちらで騒いでしまってせっかくの家族団欒に混ざってしまってごめんね。ほら、2人も挨拶しなさい」
鎌田さんの後ろにいる健と言われる子はムスッとして外を眺めている。透という子はそれを見て少し複雑そうによろしくねとニッコリこちらを見る。
「いえ、おばあちゃんから話を聞いて鎌田さん達がいたからここで楽しく過ごせてきたのかなって。改めて、ここにいる間よろしくお願いします。」
「そうだといいけどね。こちらこそ改めてよろしくね。そうだ!今朝川釣りしてきて鮎が沢山釣れたんだよ!ほら、健!」
鎌田さんがそう言うと健は黙ってタックルボックスを開き見せた。
「わあぁすごいですね!!こんな新鮮な鮎を食べるのは初めてです~。」
「だよねだよね!!ぼくもこっちに来て初めて鮎を食べて感動したんだよ。健と透は小さい頃から食べてるから分からないだろうけどきっとお孫ちゃんも感動するよ」
「楽しみにしてます。あ、名乗るの遅くなっちゃってすみません。松原ありさって言います。立ち話しすぎちゃいましたね。どうぞどうぞ」
「ははは。ありがとう。ありさちゃん」
お邪魔しますと言う健がそそくさと居間へ入っていく。
「おばあちゃん!来たよ!お孫さん来てくれて良かったね!!」
健がおばあちゃんに嬉しそうに話しかける。
こんな顔もするんだ。とぽかんと玄関から見つめていると後ろから鎌田さんが
「ごめんね。ありさちゃん…。さっきの事透から聞いて。アイツほんとおばあちゃんが好きなんだけどまさか本当のお孫さんと張り合おうなんてバカらしい真似を……」
と言いながら呆れ返っている
「あはは……大丈夫ですよ。今までおばあちゃんに何もしてこなかった私に対して敵意が湧く気持ちはなんとなく分かりますから」
「いや本当にすまない。。健にはきちんと言い聞かすよ…。」
「父さん。あの頑固な健を言い聞かすなんて言い切って大丈夫?」
「いや。言い聞かすしかない」
フンッと気合いをいれて居間の方に向かって歩くお父さんに透は呆れてる。
わたしはきっとこの親子はいつもこんな感じなんだろうなとぼーっと見つめた。
そして出迎えただけなのにひと嵐吹いたようななんとなく、居間へ向かうタイミングを逃した気がする。
「すみません本当に。…母さんが亡くなってからおばあちゃん達が僕たちに元気をくれたから…。健は母さんがいた時も母さんが僕に構うだけでヤキモチ妬いてたんです。慣れるまできっと時間が掛かると思うんですが大目に見てやってください……。」
透は気まずそうに謝る。
「あ、いやいや大丈夫よ!おばあちゃんに鎌田家との関係性も聞いたし。おばあちゃん達が元気なのはこうやって賑やかなおかげだもん。いつもありがとうね…。」
「いや、こちらこそ…子供の頃は健がよく怪我をして帰ってきては手当してもらったり、よく面倒を見てもらってたんです」
「なんか、想像つくけど健くんはそんなに喧嘩っぱやいんだ?」
「はは。きっと想像とは違いますよ。ありささんにあんな態度だからそう思われておかしくないけど…(笑)僕たちが父子家庭になって少しして、父さんは小説で追い込まれてるし 。締め切り前とか自分たちである程度こなすしか無くて。それでも子供だけでってなると上手くいかなくてちょっとしたきっかけで僕がよく友達にいじめられてたんです。その度に健が暴れてはおばあちゃんが手当してくれて…。そのあとは健が喧嘩する理由をおじいちゃんに話す機会があって…父さんもおばあちゃんとおじいちゃんに甘えさせてもらうようになって…」
「そっかぁ。色々あったんだね。なんか納得。私が健くんの立場でもきっと自分の方がおばあちゃんを大事にしてる孫だー!!って健くんが私に張り合うわ(笑)」
「あっいや。張り合う必要がそもそも…」
「ふふふっ。兄弟でお母さんの取り合いもしてたんでしょ?今度は孫達でおばあちゃんの取り合いねっ(笑)」
【⠀よし!火の準備が整ったぞ~】
鎌田さんが玄関の方に向かって叫んだ。
「「はーい」」
お互い返事をすると目を合わせ私は行きましょっとニコッと微笑み裏の縁側の方へ小走りして向かった。
「よぉーし!!みんな揃ったところで乾杯と行きますか!あっお前らはジュースだぞ?」
「分かってるよ。おばあちゃんの前で俺たちがお酒なんか飲むわけないだろ?ってそもそも不良じゃねーわ」
健がムスッとしながら言う
「はははっおばあちゃんの前だけでいい子ぶってもなぁ。」なんて言いながら缶ビールを片手に持ち
「改めて!!ありさちゃんようこそー!!」
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