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第二章
卒業パーティー .1
しおりを挟む「卒業生の入場です」
四年生と、三年で卒業する生徒がドアから入ってくる。
在校生は拍手で出迎える。
手を振っている者、
照れている者、
戯けてポーズを取る者、
LoveLoveムード満点のカップルで入場の者、
既に泣いているのかハンカチで目を押さえている者、
こんなに沢山、先輩がいたんだなぁ。
これから社会の荒波に揉まれるのね。
「先輩方、頑張って!」
小さな声でエールを送った。
「あ、アルフレッド様よ!」
ソフィアが見つけて教えてくれた。
キャー キャー、と黄色い声が上がる。
アルフレッド様は以外と言っては失礼だが人気がある。
薄緑の髪に黄色の目。
女性的な線の細い柔らかな顔立ち。
温和な性格
そして、次代ウッドフィールド伯爵
ソフィアに言わせると優良物件と言うのだそうだ。
優良物件?それは土地建物じゃないの?人も物件なのかしら?
いつの時代も、若い子の使う言葉は難しいわね。
入場が終わると、ジェイコブ殿下が在校生代表で祝辞を述べた。
相変わらず高飛車な物言いであった。
在校生というより、まるで王様気取りのスピーチである。
誰か、ゴーストライターが文章書いて上げればよかったのに••••
殿下の退場と同時に照明が落ちた。
バッと明るくなったと同時に音楽が鳴る
何組かの卒業生が、フロアでダンスを踊り出した。
アビゲール様とアルフレッド様がいる。
アビゲール様、可愛いわぁ
深い緑の髪に沢山の小花が散らされ、淡い卵色のドレスがヒラヒラと舞う。
まるで、春の女神様のようだ。
ウットリとフロアを眺めていると、、、
脇でブツブツと声が聞こえる
「あら、シェリー様、ノートン様と•••
ミルズ様は幼馴染の方と婚約かしら?
あれ?あれはクレール卿の御子息と、まさか•••アネット様ぁ⤴︎」
最初のダンスは身内か、婚約者、又はそれに準ずる相手。
ソフィア様は情報収集にお忙しいようだった。
スタートのダンスが終了して、アビゲール&アフルレッド兄妹は両親と共に、私の元へやって来た。
「マリアベル様、わたくしの両親ですの。
是非、マリアベル様にご挨拶をと申しますので連れて参りました。」
「マリアベル様、この度子供達が大変お世話になっております。
そして、とても良いご縁をいただき領民共々大変喜んでおります。」
ウッドフィールド伯爵はとても丁寧な礼を私に取ってくれた。
「其方様はキングスバリー公ソフィア様ですわね。
娘が大変お世話になっております。」
私とソフィア様は一緒に礼を取った。
「私達も、アビゲール様には大変助けてられております。
とても親しくさせていただいております。」
ウッドフィールド伯の奥様は森の巫女様。
オットリとした仕草と髪と目がアビゲール様にソックリ。
「ほら、アビー、王子様のお迎えだぞ!」
アルフレッドは茶化したように言い、目を向けた。
その先には赤い髪を撫で付けてスーツを来たフレディがいた。
「ウッドフィールド伯爵、並びに夫人
ハワード侯爵長子フレディと申します。
アビゲール嬢にダンスの許可をお願い致します。」
アビゲール様は、お顔を紅葉色にされてフレディに腕を引かれフロアに向かって行った。
あっ、そー言う事?
そー言う事なのね!
そー言う事だ!
私とソフィア様は、アルフレッド様と目を合わせニッコリと微笑んだ。
「ところで、ソフィア嬢、
次の約束が無ければ、僕と踊っていただけませんか?」
アルフレッドは戯けて大袈裟な礼を取った。
「ふふ、では 森の王子様、参りましょうか!」
ソフィア様は腕を取りフロアに向かって行った。
私は伯爵夫妻とカカオの話をしていた。
「ノーザンコート伯爵より カカオの飲み物とカカオのクッキーをいただきました。
あの様に素晴らしいお味に変身するとは驚きました。」
「焙煎で味が大きく変わるのですね。
カカオは薬の位置付けでしたので、製品が上がってくるのを受け取るばかりでしたが、、
来年よりカカオを商品化の共同開発を研究する施設を作る事になりました。
マリアベル様のお掛けです。」
「カカオは旨味の塊。
あの、香りと味は他に類を見ない素晴らしい逸品だと思うのです。
沢山の可能性を秘めている食品ですわ」
私は声を大にして力説した。
カカオ談義に花が咲く
「ウッドフィールド伯爵。お話中に失礼致します。
わたくし、カーバンクル伯爵が娘フランシスと申します。
アルフレッド様とは魔術サークルでご一緒させていただいております」
「ご丁寧にありがとうございます。
先の外務大臣カーバンクル卿のお孫様ですわね。
大変優秀な方だとアルフレッドよりいつもお話は伺ってきますのよ。」
「まあ、過大評価ですわ。
お話の途中で申し訳ありませんが、マリアベル様をお借りしてもよろしいでしょうか?」
フランシスの後ろに、青い髪の男と紫の髪の男が控えていた。
「こちらは、アルビス公爵家スティーブン
ランディエール侯爵家ラヴィです。
マリアベル様とお話をしたいとの事なので お連れしました。」
スティーブンとラヴィは礼を取り挨拶をした。
私は伯爵夫妻に挨拶をしてフランシス様達とテーブルの脇に移った。
「ラヴィがマリアベル様に謝罪したいそうよ。」
フランシス様が切り出してくれた。
「この馬鹿、貴女にも意識操作したんですって?
子供よね、思い通りにならないとすぐ魔法を使うなんて••• ホント、お子様だわ!」
「ほら、謝りなさいよ!」そう言うとフランシス様はラヴィの背を押した
「マリアベル様、その節は、本当にすみませんでした。」
青白い顔をしたラヴィは深々と頭を下げた。
ホスト紫、顔色悪いわ。
ランディエール侯爵が言ってた[恋煩いの青年]とはラヴィの事かしら?
だったらマリアを作った私にも責任がある。
自分の都合で架空の人物を作り、都合が悪くなったから消す。
ラヴィも被害者かも知れない。
「ラヴィ様、ご自身のお気持ちに整理はつきましたの?」
私は聞いてみた。
「貴女に許していただけるのでしたら、私は、、、」
思春期の少年を余りいじめてはいけない。
だって子供だもの。
若い子が恋に悩むのは当たり前のこと。
青年よ!ドンドン悩んで大きくなるのだ。
「ラヴィ様、踊りましょう!踊って仲直りしましょう」
気取って手の甲を差し出した。
ラヴィは跪き手に口付けする仕草をして言った。
「私の女神、一生の忠誠を誓います。」
「大袈裟ですよ!」
私は笑って、手を取り2人でフロアに向かった。
「私達も踊りますか?」
スティーブンはフランシスを誘った
「君と踊るのは久しぶりだなぁー」
「そうですね、7、8年振り?かな?」
「えー、そんなになる?」
「そうですよ。」
スティーブンは幼馴染の手を取って答えた。
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