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第二章
二つのパーティー
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三月の末。年度末を迎えた。
王宮では爵位授与式が行われていた。
新しい爵位をいただいた者。
家督を継承した者。
その中に [ウーラノス•ドゥラーク]がいた。
現ドゥラーク辺境伯は齢75を超えたため、甥であるウーラノスに爵位を譲って引退した。
ドゥラーク領は直系相続ではなく血族の中で一番優れている者が相続する。
いつも闘いと共にある為の生き残る手段なのだ。
ウーラノスは、長い間 王宮の軍指南役としてて務めて来た。
教えを受けた者たちから大きな祝福のエールが上がった。
マリアベルを助けてくれた男。
本当はもっと高い爵位と褒美を与えたい。
しかし、ウーラノスは辞退した。
「私はたまたま通りがかっただけの事。
何もしておりませんよ、そもそも何も無かったのですから」
大柄の美丈夫はウィンクをして言った。
欲が無いのか、欲に縛られたくないのか、、、
あでやかな男だ。女共が騒ぐのも無理はない。
私とて この様な生き方に憧れをもってしまう。
闘いの中、常に生と死と隣り合わせ。
命が一番の宝だと知っている人間だ。
私は、兄を失い、叔父を失い、息子まで失う事になるのだろうか、、、、
その時が来たら決断が出来るだろうか、、、
私は、華やかな爵位授与式のパーティーを見ながらボンヤリと考えていた。
「陛下、お疲れですかな?」
目の前に 新ドゥラーク辺境伯となったウーラノスが挨拶に来ていた。
「おお、ウーラノス殿、ちとな 熱気に当たってしまったようだ。」
「私の弟子達が さぞかしうるさかったでしょう。ご迷惑をお掛けしました。」
「其方の指南役引退で軍は大騒ぎだ、早く次の算段を付けろと。
そして、軍から、ウーラノス殿の嫁御の世話をしろ、とせっつかれておる。」
「私の嫁ですか? アイツら要らぬ世話を、、、」
「ソナタが1人身では、熟女がみんな砂漠に行ってしまうではないか!
パーティーに綺麗処が居なくなるのは痛手だぞ。」
ハハハ!と笑い合った。
「ところで、あれから姫はお元気でしょうか?」
「相変わらず、魅力を振りまいている。
今日は学園の卒業パーティーで楽しんでおるはずだ。
相変わらず元気一杯だ。安心いたせ。」
「それは ようございました。」
色とりどりのドレスの軍団に呼ばれた 紺色の美丈夫は、漆黒のマントを翻し 女の群れの中に入って行った。
来年の今、私は笑っている事が出来るのだろうか、、、
私の思考はまた元へと戻っていった。
*********
お嬢様、お可愛いらしいですわぁ!
ノーザンコートよりローラさんが応援に、来てくれた。
ガブリエルはと言うと、、、
珍しく、ドレスを来てフルメイクをしている。
「教員枠での参加なので、侍女服とはいきませんので•••」
ガブリエル••、綺麗!
ガブリエルって美女だったのね!!!
スタイルも抜群だし。
いゃぁー、福眼 福眼
「ガブリエル、綺麗になってお婿さんを探しましょうね。」
ローラさん、そうは言っても 学園だから子供しかいませんわよ。
来年はガブリエルの為にフリルの少ないドレスをプレゼントしてあげたいなぁー
大人のいるパーティーは初めてだから どんなドレスが流行りなのか参考にしないとだわ。
王宮の正式なパーティーではないのでコルセットとハイヒールは着用しなくてもよいのだそうだ。
楽々ドレスに3センチヒールの靴。
しかし装飾品が多い。
皆とお揃いのネックレスとお祖父様からの真珠のネックレス。
両叔父からのブレスレットにアンクレット。
王様からの三連リンクもどき。
それに加えて、小さな光るイヤリングに髪留め。
魔道具尽くめだ。
これだとソフィア様達、私が分からないかも?
「そんな心配はごさいませんよ!
ソフィア様方は既にお嬢様を認識出来ておりますので心配御無用でごさいます。」
視覚認識の誤認とは、
道端に花が咲いていたとします。
そこは霧が掛かっていて、よく見えない状態だとします。
ずぅーと気が付かなかったが、ある日ふと[そこに花があると言う事]に気がついてしまった。
その後、道を通る事に花を確認出来てしまう。
そんな感じなのですよ。
色々な誤認の魔法がございます。
詳しい事はモーリス様にお聞きになるとよろしいですよ。
朝から晩までご教授していただけますわ!
ご教授は要らないから、今度 透明人間になる魔法を教えもらおう。
楽しそうだわぁ。
私、とっても可愛い。
私って言うより、マリアベルちゃんね。
ありがとう、こんなに可愛い身体を譲ってくれて、、、
私は心の中で手を合わせた。
「私は~ 子供~ 、可愛い~ 子供~
ヒラヒラ~ ドレスが~ 似合う~」
(マイフィアレディの[踊り明かそう]に合わせて)
歌を歌いながらクルクルと回っていたら、ソフィア様がお迎えに来た。
さあ、お嬢様。いってらっしゃいませ。
初めてのパーティーに行って来まーす!
王宮では爵位授与式が行われていた。
新しい爵位をいただいた者。
家督を継承した者。
その中に [ウーラノス•ドゥラーク]がいた。
現ドゥラーク辺境伯は齢75を超えたため、甥であるウーラノスに爵位を譲って引退した。
ドゥラーク領は直系相続ではなく血族の中で一番優れている者が相続する。
いつも闘いと共にある為の生き残る手段なのだ。
ウーラノスは、長い間 王宮の軍指南役としてて務めて来た。
教えを受けた者たちから大きな祝福のエールが上がった。
マリアベルを助けてくれた男。
本当はもっと高い爵位と褒美を与えたい。
しかし、ウーラノスは辞退した。
「私はたまたま通りがかっただけの事。
何もしておりませんよ、そもそも何も無かったのですから」
大柄の美丈夫はウィンクをして言った。
欲が無いのか、欲に縛られたくないのか、、、
あでやかな男だ。女共が騒ぐのも無理はない。
私とて この様な生き方に憧れをもってしまう。
闘いの中、常に生と死と隣り合わせ。
命が一番の宝だと知っている人間だ。
私は、兄を失い、叔父を失い、息子まで失う事になるのだろうか、、、、
その時が来たら決断が出来るだろうか、、、
私は、華やかな爵位授与式のパーティーを見ながらボンヤリと考えていた。
「陛下、お疲れですかな?」
目の前に 新ドゥラーク辺境伯となったウーラノスが挨拶に来ていた。
「おお、ウーラノス殿、ちとな 熱気に当たってしまったようだ。」
「私の弟子達が さぞかしうるさかったでしょう。ご迷惑をお掛けしました。」
「其方の指南役引退で軍は大騒ぎだ、早く次の算段を付けろと。
そして、軍から、ウーラノス殿の嫁御の世話をしろ、とせっつかれておる。」
「私の嫁ですか? アイツら要らぬ世話を、、、」
「ソナタが1人身では、熟女がみんな砂漠に行ってしまうではないか!
パーティーに綺麗処が居なくなるのは痛手だぞ。」
ハハハ!と笑い合った。
「ところで、あれから姫はお元気でしょうか?」
「相変わらず、魅力を振りまいている。
今日は学園の卒業パーティーで楽しんでおるはずだ。
相変わらず元気一杯だ。安心いたせ。」
「それは ようございました。」
色とりどりのドレスの軍団に呼ばれた 紺色の美丈夫は、漆黒のマントを翻し 女の群れの中に入って行った。
来年の今、私は笑っている事が出来るのだろうか、、、
私の思考はまた元へと戻っていった。
*********
お嬢様、お可愛いらしいですわぁ!
ノーザンコートよりローラさんが応援に、来てくれた。
ガブリエルはと言うと、、、
珍しく、ドレスを来てフルメイクをしている。
「教員枠での参加なので、侍女服とはいきませんので•••」
ガブリエル••、綺麗!
ガブリエルって美女だったのね!!!
スタイルも抜群だし。
いゃぁー、福眼 福眼
「ガブリエル、綺麗になってお婿さんを探しましょうね。」
ローラさん、そうは言っても 学園だから子供しかいませんわよ。
来年はガブリエルの為にフリルの少ないドレスをプレゼントしてあげたいなぁー
大人のいるパーティーは初めてだから どんなドレスが流行りなのか参考にしないとだわ。
王宮の正式なパーティーではないのでコルセットとハイヒールは着用しなくてもよいのだそうだ。
楽々ドレスに3センチヒールの靴。
しかし装飾品が多い。
皆とお揃いのネックレスとお祖父様からの真珠のネックレス。
両叔父からのブレスレットにアンクレット。
王様からの三連リンクもどき。
それに加えて、小さな光るイヤリングに髪留め。
魔道具尽くめだ。
これだとソフィア様達、私が分からないかも?
「そんな心配はごさいませんよ!
ソフィア様方は既にお嬢様を認識出来ておりますので心配御無用でごさいます。」
視覚認識の誤認とは、
道端に花が咲いていたとします。
そこは霧が掛かっていて、よく見えない状態だとします。
ずぅーと気が付かなかったが、ある日ふと[そこに花があると言う事]に気がついてしまった。
その後、道を通る事に花を確認出来てしまう。
そんな感じなのですよ。
色々な誤認の魔法がございます。
詳しい事はモーリス様にお聞きになるとよろしいですよ。
朝から晩までご教授していただけますわ!
ご教授は要らないから、今度 透明人間になる魔法を教えもらおう。
楽しそうだわぁ。
私、とっても可愛い。
私って言うより、マリアベルちゃんね。
ありがとう、こんなに可愛い身体を譲ってくれて、、、
私は心の中で手を合わせた。
「私は~ 子供~ 、可愛い~ 子供~
ヒラヒラ~ ドレスが~ 似合う~」
(マイフィアレディの[踊り明かそう]に合わせて)
歌を歌いながらクルクルと回っていたら、ソフィア様がお迎えに来た。
さあ、お嬢様。いってらっしゃいませ。
初めてのパーティーに行って来まーす!
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