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「褒めこそすれ、残念なことなんて考えて――」
「内容を教えてもらっても?」
 ニコニコ、ニコニコと楽しそうに膝を折ってアシェルを見上げながら、どうかその誉め言葉を聞かせてほしいと強請った。
 年若く、最高位の公爵で、名誉ある第一連隊の隊長。見目よく、文武両道で、横柄ではなく紳士的。そんな彼は他者からの称賛など浴びるほど貰っているだろうに、なぜそんなに楽しそうなのだろう?
「流石はモテる公爵だから、令嬢の相手に慣れてるな、と」
 不思議そうに首を傾げるアシェルに、ニコニコと言葉を待っていたルイは不自然なほどに一瞬固まり、はぁぁぁ、と長いため息をついてアシェルの手に額をつけるよう俯いた。
「それは……、褒めて、ますか?」
「好意を沢山よせられているというのは、褒めているのでは? 少なくとも僕は一度も誘ってほしいと言われたことは無いし、もし万が一いわれたとしても上手く断ることもできないから」
 もっとも、アシェルはこのように華やかな場には滅多に出てこず、出たとしても壁の花を決め込んだところで誰も何も思わない気軽な立場であるので、ルイの気持ちは微塵もわからないが。少なくとも貶してはいないと思う。
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