「これを見ずして薬師マックは語れない」『【トレ】薬師マックスレ【名物】』

朝陽天満

文字の大きさ
上 下
46 / 57

『残念タイミングwww』

しおりを挟む


「今日は久々にセィ城下街で薬師マックと門番さんを見かけたぞ」

「マジか。辺境辺りに出現しないかと思って張ってたのに」

「なんか揉め事があったらしいな」

「揉め事……薬師マックが活躍した想像しかつかない」

「活躍したのは門番さんだ。セィの雑貨屋の可愛い子に馬鹿なことをしでかそうとしたプレイヤーがいてさ、それを門番さんがかっこよく捕まえてた。で、衛兵に渡してたから、あいつらBANまっしぐらだね」

「何やってんだか。街の人に手を出すなんて、今時やってる奴らいるんだなあ」

「合意ならいいからってんでナンパでもしてるんじゃないかな。この間砂漠都市でも花屋の子に言い寄ってる奴ら見かけたし。すごく迷惑そうな顔してたから、こっそり衛兵呼んでみた」

「よくやった。それは素晴らしい人助けだ」

「もしかしてセィの雑貨屋の子もそういう感じなのかな。どこからか湧いてくるんだなあそういう輩。俺も見かけたら通報するか」

「っていうかセィの雑貨屋の子って、ユキヒラの絶賛片想い中の子じゃね?」

「なんだそれ。ユキヒラ絶賛片想い?」

「詳しくはユキヒラスレを見てくれ。詳しく書いてある。何なら、ナンパの言葉集まであったりするから結構面白いぞ。不器用な王子様って感じだ。今日もその王子様は白馬を飛ばして雑貨屋の子を助けに来たから。ちなみに、すでに門番さんが助けた後だけれども」

「タイミングwwwww」

「いいとこ取られてる」

「まあ、門番さんだし」

「門番さんには負けるよな」

「腕っぷしすら勝てるかわからないくらいだよな」

「門番さん強すぎか」

「とりあえずセィに来ても雑貨屋は開いてないことだけ教えておく。流石にさっきの今で店を開けるのは怖いだろ。悲鳴上げてたし」

「冗談で済ませられないレベルじゃねえか」

「ああ。だからこそ門番さんと薬師マックが動いたんだろ。衛兵とも知り合いみたいだったし。俺は申し訳ないけど見てるだけしかできなかったよ。なんかああいう馬鹿やるやつたまにいるんだよなあ、なんて気楽に考えてた。今も後悔してる」

「なんかさ、薬師マックのすごいところって、ゲームのはずなのにNPCに本気でぶつかっていく所だよな……形だけでも真似して恩恵を受けてる奴って結構多いと思うよ。かくいう俺もその一人」

「ここ覗いてる奴らなんて皆似たようなもんだろ。そして、さっきのやつみたいな馬鹿はしないやつらだって信じてるよ」

「もちろん信頼してくれていいぜ」

「俺も」

「僕も信頼して。絶対馬鹿しないから。砂漠都市の子と相思相愛になったし」

「なんだ……それ」

「薬師マックがあれだけ門番さんとラブラブになったんだもん。僕だってなれるんじゃないかなって思って、思い切って一目惚れした子にアタックしまくったんだ。ほんとその子可愛くてさ。仕事の休憩時間に顔を出すと『来てくれて嬉しい』って笑ってくれるんだよ。これも薬師マックのお陰」

「こんなところに門番ラッキーのおこぼれがあろうとは……俺も声掛けてみようかな。ADOってさ、NPCっていっても個性バリバリな。すげえよ。同じ人が二人といないっていうか。しかも好みとかもほんとばらっばら。よくできてるよ」

「もう別世界と思っちゃっていいんじゃない? だってそうとしか見えないっていうかそう思った方がしっくりくるし、相手に対しても敬意を払える」

「確かに。心の中でそう思っとく」

「それ楽しそうだな。いいな」

「うん。そしてNPCにはちゃんと敬意を払おう」

「お前いいこと言うな」

「ほんとにな」

「流石薬師マックだ」

「流石薬師マック」

「薬師マックパねえ」

「え、そういう流れだった……?」

しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

堕とされた悪役令息

SEKISUI
BL
 転生したら恋い焦がれたあの人がいるゲームの世界だった  王子ルートのシナリオを成立させてあの人を確実手に入れる  それまであの人との関係を楽しむ主人公  

ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜

古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。 かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。 その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。 ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。 BLoveさんに先行書き溜め。 なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。

いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。

えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな? そして今日も何故かオレの服が脱げそうです? そんなある日、義弟の親友と出会って…。

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

陛下の前で婚約破棄!………でも実は……(笑)

ミクリ21
BL
陛下を祝う誕生パーティーにて。 僕の婚約者のセレンが、僕に婚約破棄だと言い出した。 隣には、婚約者の僕ではなく元平民少女のアイルがいる。 僕を断罪するセレンに、僕は涙を流す。 でも、実はこれには訳がある。 知らないのは、アイルだけ………。 さぁ、楽しい楽しい劇の始まりさ〜♪

春を拒む【完結】

璃々丸
BL
 日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。 「ケイト君を解放してあげてください!」  大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。  ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。  環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』  そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。  オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。 不定期更新になります。   

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

処理中です...