異界娘に恋をしたら運命が変わった男の話〜不幸の吹き溜り、薄幸の美姫と言われていた俺が、英雄と呼ばれ、幸運の女神と結ばれて幸せを掴むまで〜

春紫苑

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神の祝福 ー終幕ー

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 五年前、春の会合を終えてから、やっとセイバーンの地に足を踏み入れたのは、夏も間近という頃だった。

 結局、半年以上領地を空け、役職を放棄していたに等しかったのだけど、クロードはその間もきちんとセイバーンを管理し、守っていてくれていたのだ。
 正直、彼らに秘密を抱えていたことを、なんと言って詫びようかと悩んでいた。
 獣人らの秘密は、確かに繊細な問題だったけれど、結局のところ俺が、部下を信用していなかったということでしかなく。
 だから、何故言ってくれなかったのかというヘイスベルト達に、謝るしかなかったのだけど……。
 最後まで部屋の隅で、強張った表情のまま立ち尽くしていたクロードは、恐ろしいものに必死で立ち向かうような表情で、なんとか俺の前まで進み出てきた。
 そうして、申し訳なかったと詫びる俺に対し、その場で膝をつき、震える両の手で、俺の左手を取った。

「不甲斐ない部下で、面目次第もございません。
 ……貴方が私に語れなかったのは……貴方が正しく、私を見極めていたからでしょう」

 公爵家の直径であるクロードは当然、それに相応しい教育を受けてきた。
 だからこそ獣人を恐れ、嫌悪する感情が育まれている。ただ獣人が獣人であるというだけで、自分は嫌悪感を抱いてしまう。相容れぬものだと決め付けてしまう。

「ですが私は、彼らを獣人と知らない時は、こんな感情を抱かなかった!」

 俺が去った後、今まで当然のように接してきた者らから、己は獣人であるという申告が相次いだ。
 ガウリィを筆頭とする、この村に職人として入っていた獣人らが、仲間の暴走を詫び、俺の名誉を汚さないために嘆願に来たのだという。
 俺には逃げろと指示された。けれど、元々自分たちは、この時のためにここに住まわせてもらっていたのだから、その役割を果たすのだと、言ったそうだ。
 代表として名乗りを上げたガウリィとは、今まで何度も言葉を交わしていた。職人の心意気に、尊敬の念すら抱いていた……はずだった。

 なのにまるで汚物を前にしたようなこの嫌悪感はなんだと、クロードは必死でそれを押し殺そうとしたそう。
 だがやはり、ガウリィはそれを感じ取っていて……受け入れた。

「当然だろう。俺たち自身、そう思って生きてきた」

 今だってその思いを捨て切れているわけじゃないと、ガウリィは苦笑したという。

「だけどあの方が、そうじゃねぇと言う……。口先だけじゃなく、行動で示してくれる。
 地位も名誉も捨てる覚悟で、俺たちを囲って、いざって時にも、結局切り捨てなかった……。
 それに俺たちが、命で報いたいって思うのは、別に、おかしなことでもなんでもないと、思いやせんかね」

 このまま囚われて、殺される覚悟でここに来たのだと、その言葉は語っていた。
 ガウリィは、獣人だと名乗った以外は、今まで通り、何も変わっていなかったという。

「あの人は、兇手でいるしかなかった俺たちに、まともな職と環境を与えてくれただけだ。あの方はなんも、神に叛いた行いをしちゃいない。
 人並み以上に、慈悲深かった。愛情深い方だったからよ、獣人すら捨て置けなかった。切り捨てられなかったんだ。
 保身に走るくらいしてくれりゃ、もっと都合良かったのにとすら思う……。俺らは主と決めた彼の方には、どんな仕打ちをされたってかまわねぇってのに」

 そういう習性なんだと、知ってるくせに、結局こうだ。と、彼は言って笑ったそうだ。

 そうしてアーシュが、俺の部屋から陛下への報告書を見つけてきて、残された皆でそれに目を通した。
 真偽を疑ったけれど、娘が救われたと同じものが、獣人を苦しめたままであると知り、愕然としたそう。
 これを、握り潰すことはできなかった。それは、娘を裏切るのと同じこと。

 結局皆で覚悟を固め、陛下に謁見を望み、俺の遺書として、それを差し出した。
 そうしなければ、陛下に目を通してもらえないと思ったという。
 そのお陰で、俺の処遇は据え置かれ、吠狼やロジェ村の処遇も、保留になったのだ。
 彼らのこの決断がなければ、どれだけの民を失っていたろう……。
 獣人を恐れる住人らが揉めた時も、仲介に尽力してくれたのだと、ガウリィにも聞いている。

「……身に染み付いているものだから、覆すのは難しい……。
 それでもクロードは、俺の手を取ってくれた。知りたいと言ってくれた。
 あれは俺の救いだったし、今もその決意を示してくれている」

 ハインにも、新たに従者となったウォルテールにだって、まだ少なからず嫌悪感を持っていると思う。
 それでもクロードは、彼らを受け入れようと日々、努力してくれていた。

「大丈夫。ちゃんとそのうち、分かり合える。だって俺たちは、みんな同じものだから。
 人型同士だって、誤解したり喧嘩したり、意見が衝突したりだってするんだし」

 敢えて軽くそう言うと、クロードは笑ってくれた。
 それに、その日が来ること自体は、疑っていないのだ。
 だってクロードは、もう出自の垣根を越えたという実績があるのだから。

「そうだ。今回の視察、良かったら獣の皮剥ぎに挑戦してみる?
 彼ら、頑ななようで素直な性質だから、クロードが努力してるのは感じてると思うし、一緒に何かすれば、また一歩近付けると思うんだけど」
「うーん……商品を駄目にしてしまう気がするのですが……」
「大丈夫大丈夫。努力は認めてくれる」
「裏目に出ませんか……」
「…………まぁ、その時はまた考えよう」

 彼ら、案外笑ってくれそうな気がするけどね。


 ◆


 それから半月を荒野で過ごした。
 そしてその最中に、大司教の巡歴にも遭遇した。
 枢機卿への推薦を辞退し続けているこの方は、常に各地を巡り、ひとところに長居しない変わり者だ。
 秩序を正すためとはいえ、同志を訴え出たことの責任として、これ以上の地位には就かないし、特定の神殿にも身を置かないと、自ら宣言している。
 ……まぁ、表向きは。

 実際のところは、常に命を狙われているため、所在をはっきりさせないように努めているのだろう。
 狂信者の残党は然程多くないとは思うのだが、何せ元が秘密裏な集団なので、なんとも規模が読みにくい。
 切らなければ切られていたとはいえ、仲間の命を売り渡したに等しいことをしているのだから、それも当然。
 そして敵は、そんなかつての仲間だけではない。

「レイシール様、お久しゅうございます」
「アレク、息災なようで良かった」

 完璧に制御された表情からは、内心を絶対に読み取らせない。
 大司教となってもアレクは、居丈高にならず、丁寧に人と接し、贅沢もしない。
 各地を巡り、貧民と同じものを、同じ鍋から食べ、共に眠る。完璧な聖職者となっている。
 その柔和な立ち居振る舞いからは、かつて信仰を正し、徹底的に汚職を糾弾した苛烈な姿は見受けられない。
 清貧なその暮らしぶりに、民からの人気は鰻登りだった。

 俺の前で綺麗に微笑むアレクは、もうとっくに傷も癒えているのだが……。俺に会う度、左腕が小刻みに震えている。
 そして、俺を二度と、レイとは呼んでくれなかった。

「本日はどちらにお泊まりで?」
「信徒の方に、部屋をお貸しいただけることになっております」
「たまにはうちにお越しいただきたいのにな」
「ご冗談を。そのような暇なお身体ではございませんでしょう?」

 お互い忙しい身で、会う時間を確保するのがやっと……。
 そんな風に演じている。
 この短い会合が、お互いの生存確認であり、戦いであり、旧友との大切な時間だった。

「荒野に本当に街を作ってしまわれましたね」
「礼拝堂も設けたし、小さいが神殿としての機能も備えている。
 ブンカケンにも近いので、どうか立ち寄った際には、顔を見せてほしい」

 えぇ、是非。と、笑っていない瞳が、憎悪を燃やす。
 それに紛れて見えるのは、恐怖。俺の本当の感情が見えないという恐れだ。
 あの日の俺を、アレクは今日も身に刻む。
 腕の骨を踏み砕き、それでもなお体重を掛けて、抉り、踏み躙り、心を売れと告げて、顔色ひとつ変えなかった俺を。
 今、再開を喜び、安堵している。このような苦境に追いやったことを、申し訳ないと感じている。そんな演技の真意を見極めようとしている。

 ……演技じゃなく、本心なのだけどね。
 でも、俺は今日も、お前の悪魔であれているよう。そんな歪な柵であっても、繋がっていることを嬉しく思う。
 生きていてくれることを、俺も、昨年来世に旅立たれたエルピディオ様も、嬉しく思っているよ。

「サヤ様は、ご不在ですか? よもやご懐妊……?」
「あー……ううん。共にいれる時間も少ないし、なかなかね……」

 そう言って頭を掻くと、アレクの視線がちろりと流れる。
 異界の民の彼女と、俺は、種が違うから……子はできないだろうと、サヤは言っていた。
 何度も身を重ねて、胤を注いで、愛を育んでいるけれど、こればかりはな……。

「神の祝福が、あなた方の元にも巡ってくることを、願っております」
「ありがとう。心強いよ」

 後五年、子に恵まれなければ、養子を得るつもりでいる。
 セイバーンには親戚筋も無いし、あまり強すぎる柵の無い家からとしたいのだけど、これもなかなか難航しそうだ。
 いっそのこと、孤児からならどうだろうかと、最近は考えている。

「さて、来春予定している新しい無償開示品の候補に、神殿で是非お試しいただきたいものがある」
「拝見させていただきます」


 ◆


 その日の業務を終え、屋敷に戻ってきたのだけど……いつもバタついている館内が、バタつくというより、混乱していた。

「レイシール様!」

 急ぎ走り寄ってきたのはオブシズ。
 この第二のアヴァロンに移り住む予定で、家族ごとこちらに移住の準備を進めていた彼が、強張った表情で駆けて来た。

「どうした、また何か揉め事か?」
「いや……あのな、気を確かに持って、聞いてほしい。
 先程早駆けの速達が届いて、サヤ様がその……お倒れになったと……」

 血の気が引いた。

「夏バテなんて時期でもないのに、最近、食が細くなってらっしゃったそうなんだ。
 顔色も優れなかったけれど、ここのところ忙しくて、疲れが溜まっているのだろうと……。
 そう言っていた矢先、メバックで……」

 退任されたリヴィ様を迎える準備に出向いていたのだそう。
 そろそろ到着という頃合いに、前触れもなく崩れるように座り込んでしまったらしい。

「幸い意識はすぐ戻ったそうだ。言動もしっかりしてらっしゃるが、お前には連絡するなと言われたらしくてな……。
 でも、ことがことだし、一応伝えるだけはと……」

 気をきかせたハインが連絡してくれたということだった。

「熱は微熱程度だったそうだ。荊縛にはまだ早い時期だし……もう、十日前のことだから、日常に戻っていらっしゃるかもしれないが……」

 どうする? と、オブシズ。
 無論、飛んで帰りたい!
 しかし、こちらの業務は、まだ半分近く残っている。

 十日前……。今更戻っても、更に十日経つわけで、俺に、何ができるというわけでもない……。

 だからサヤの言う通りにすべきなのだろう。彼女を不安にさせないためにも、仕事はちゃんとしなければ。でも、とにかく前倒して、少しでも早く…………。
 そう、言葉を口にしようと、開いたのに。

「荷の準備はできております。供は引き続きシザー、ウォルテールに任せました。
 吠狼にも連絡しましたら、アイル・ジェイドが影に徹するとありましたので護衛面はご安心を」

 足早にやって来たアーシュがそう言い、俺の肩に外套を掛ける。

「え、いや……」
「こちらはお任せください。クロード殿もおりますから、どうとでもします」
「だ、だけど……っ」
「何のための夫婦ですか」

 ピシャリと言われてしまった。

「お帰りください。妻の大事より仕事を優先しない!
 我々の幸せには、あなた方の幸せが不可欠なのですよ」

 そんな言葉まで添えられた。

 そのまま来た方向に押し返されて、馬車に詰め込まれた。
 極力速くと考えたのか、御者もウォルテールが兼任。四人乗りの小型馬車なのに、二頭立て。

「これをお持ちください」

 更に、急使の証書を渡された。
 全力で飛ばし、馬は変えろ。費用は惜しむな。という無言の圧力。

「…………ありがとう」

 その言葉以外が無く、感謝しかなかった。シザーも馬車に乗り込み、出発となった。


 ◆


 通常ならば、十日の距離。
 交易路を急使として、夜も交代で馬車を走らせ、進めるだけ進んだ結果、七日目の朝方、アヴァロンの門を叩いた。
 駆け込んだ俺に、ナジェスタの診察を受けていたサヤが慌ててはだけた衣服を整える仕草をし、どこが悪いんだと詰め寄った俺に視線を彷徨わせる。
 潤んだ瞳を困ったように伏せるから、正直絶望した。それほどの病を患っていたなんて、気付きもしなかった自分を呪い殺そうかと思った。

「大丈夫だ。絶対に大丈夫。治るさ、例えどんな薬だって手に入れる!」

 必死でそう言って抱きしめる。
 抱え上げて寝台まで運ぼうとしたら、やめてくださいっ、恥ずかしいっ! と、暴れるものだから、巫山戯るなと怒った。

「安静にしてなさい!」

 けれどそこで、困ったように割って入ったのはナジェスタの声。

「……あ、レイ様あのね? そこまでしなくて大丈夫なの。そこまでじゃ、ないから……」

 昨年誕生日の祝いに贈った小ぶりな耳飾りが、真っ赤になった耳たぶを飾っている。
 何だ、俺の早とちりか……。不治の病かなにかではないようで、それにはホッと、胸を撫で下ろしたが。

「でも……」
「うん。無理しちゃいけないのはその通りよ。特にこの時期は。鍛錬も控えてくれないと駄目。
 食欲無いと思うけど、まだ取れるもの取ってりゃ大丈夫だから、そんなに不安にならなくて良いからね?」

 言い聞かせるようにナジェスタが言い、腕の中のサヤがこくこくと頷く。
 そしてその様子ににっこり笑ったナジェスタは……今度は俺に怖い顔を向けた。むしろお前が自重しろよ。という、圧。

「良い? 当面、仲良し禁止!」

 …………は?

「病人にそんな無茶するはずないだろうが⁉︎」

 俺を何だと思ってる⁉︎

 しかし俺のその反論に、ナジェスタどころか周りの皆まで溜息を吐いた。

「いや……そうじゃなくてね。ちょっと長い禁欲生活になるから、大丈夫かなと思って。
 レイ様三年我慢できた人だから、そこはほら、信用したいんだけど……したいんだけどねぇ……」

 ここのところが信用ならんと言いたいのかっ!

「お腹に影響あるといけないから、とりあえず、最低ふた月は我慢しようか。その後は様子見しつつだから、とりあえずそこまでね」

 ……なんか、どうも状況が見えてないのが俺だけって雰囲気なんだけど……。

 困惑した俺の表情に、サヤが困ったように眉を寄せる。
 どう切り出したものかといった、けれと、サヤの思考も定まらない様子。まだ、信じて良いものかと、疑っているような……?
 すると、黙って部屋の隅に待機していたハインが、埒が明かないと思ったのだろう。

が訪れました」

 遠慮を捨てた。


 ………………………………え?



     終


◆これにて終幕となります。長らくご覧いただきありがとうございました。
◆今後、不定期となりますが、後日談等が書き上がりましたら、アップしていこうと思います。
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