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終幕 15
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その、二つ目の橋を使ってアヴァロンの外に出て、そのまま雑木林の中へ紛れる。交易路へ続く街道へも、ここからの方が近い。
「肩の傷は」
「問題無い」
痛みはあるが、使えないわけじゃない。多少投擲の精度は落ちるかもしれないが。
そう言うと、こくりと頷くアイル。
「奥方らは、神殿騎士らを撒くのに手間取っている。これなら先回りできる」
「屋根の上は逃げやすいけど、見つかりやすいんだな」
「そこを使って時間を稼ぐよう指示したからな」
成る程。アイルさんの英断でしたか。
「だがそろそろ逃げてもらおう……あまり時間をかけると、脱出まで難しくなる。
資材置き場の方も、執行されるようなら妨害するよう指示したが、こちらはまだ準備に手間取っている。
…………土建組合と揉めているようだな」
「あぁ……彼らはアヴァロンの騒ぎを知らないのかも。
結構早くから石材の加工とか、建築資材の加工とかを始めるみたいだったから」
とはいえ、狼のウォルテールを見たらどんな反応になるか分からない……。足場の悪い雑木林にちょっとイライラしながら、とにかく急いだ。
途中でアイルは数度笛を使い、また誰かに合図を送っているようだ。ここまでずっと走りながらで、更に笛を吹いても息が上がらないのだから……体力あるなと思う。
ハインも全然平気そうだし、こんなところにも、人と獣人の差というのはあるのかもしれない。
ある程度音もやむなしと急いで進んできたけれど、アヴァロンの東側……外門沿いに出たところで音を殺して進むこととなった。
「……影が配されている可能性も考えていたが……いないな」
ボソリとそう呟いたのはオブシズ。こくりと頷くシザー。
前に外堀から侵入された経験があるから、街の中だけというのは確かに違和感がある。
「……気配等は感じないけどな……」
とはいえ、俺たちに気配を察知される影は二流だろう。
アイルらにも確認したが、やはりそれらしき気配はしないそう。
「…………」
何となく違和感は感じつつ、それでも今更足を止めるわけにはいかない。
サヤがいれば……何か不審な音を聞き分けられたかもしれないが……。
そこで慌てて思考を振り払った。サヤを危険に晒したくはない……。
そうだ、考えても仕方ないことは考えまい。思っていた以上に順調で、疑心暗鬼に駆られているのだろう。良いならば良い。とにかく今は、ウォルテールを救い出すことだけに集中しよう。
木々の間を縫うように進んだ。
そうしてやっと視界に資材仮置き場が見えてくると、通り沿いをアヴァロンに向かって戻っていく土建組合員たちが見えた。
何かに憤慨しているのか……肩を怒らせていて、先頭を大股で歩くルカの姿は、髪の色合い的にも良く目立った。
「話つけたらすぐ戻んぞ。仕事場で殺生なんざ許さねぇ!」
「大体あの狼、本当に去年のやつなのか?」
「知らねっすよ……」
「でも似てたよなぁ」
「犬っころの見た目なんざ大体一緒だろ、区別つくかよ!」
「だけどあんなにでかいのはそうそういねぇじゃん?」
「去年うじゃうじゃいたわ! それが全部獣人だってか⁉︎ そんなわけあるか!」
それなりに離れてるのに聞こえてくる会話……。
元々がなり合うように話す者たちだし、普通の会話でも声が大きいから、怒りのあまり余計声を張り上げてしまっているのだろう。
全員獣人だと知ったら……。
彼らは何を思うのだろうか……。
今の怒りがそのままこちらを向くのだろうか……。
クロードの最後の視線を思い出し、ルカたちが同じ目をこちらに向けることを想像したら、苦しくなった。
獣人の血は、お前たちの中にだって流れてるんだと、叫んでしまいたい……。
だけどそうしたところで理解はしてもらえないだろうし、証明する手段も無いのだからな……。
とにかく見えなくなるまで彼らを見送る前に、足を進めることにした。
資材の仮置き場まで到着すると……。
すぐに分かった。神殿騎士らに取り囲まれた、白い毛山。
一部の騎士らは穴を掘っている。あそこに殺したウォルテールを放り込むつもりなのだろうか?
ざっと見渡して十名程度。その中に一人紛れる小柄な法服姿は、あの侍祭殿だろう。
「ウォルテール……」
積み上げられた石材で半ば隠れていたけれど、白に近い毛並みの大狼は、黒い玄武岩に良く映え、美しくすらある。
太い綱で両脚を括られ横たえられているが、意識はあるのだろう。括られたままの脚を動かし、やはり括られた口吻部を激しく振っていたけれど、拘束が解ける様子は無かった。
その光景を見たアイルが眉根を寄せて視線を四方に飛ばし……。
「少し、様子を見る。良しと言うまで動かないでくれ」
こくりと頷いたけれど、気持ちは急いていた。
十人程度ならば、この人数で何とかできるんじゃないか。
確かに縛られたウォルテールを運ぶとなればことだけれど……。
あんなもの……獣化を解けば外せるだろうに……。
狼になると頭の働きが鈍くなると言っていたけれど、生きたいという本能的なものを、殺してしまうようなものではないと思う……。
そうなるとやはり、獣化を解くことを主に禁じられているのだろうか……。
そんな風に考えていたら、あまりに暴れるウォルテールを煩わしく思ったのか、神殿騎士の一人が近付いてきて……。
「っ、やめっ……!」
叫びそうになった口をオブシズに塞がれた。
そしてここまで届く、鈍い音が何度も続く。
鞘ごと引き抜いた剣で、ウォルテールをめった打ちにする光景に、身が震えた……っ。
あんまりだ。
抵抗できない、やめてとも言えない。打たれた箇所を庇うこともできないのに!
冷酷無惨にも程がある仕打ちに身を震わせていたら、侍祭殿が気付き、剣を振り上げていた騎士に声を掛けると、その動きが止まった。
ほっと胸を撫で下ろしたけれど、ウォルテールはぐったりと動かず、意識を飛ばしてしまったのかもしれない……。
侍祭殿は動かなくなったウォルテールに歩み寄り、その頭の少し手前でしゃがみ込んで、顔を近付けた。
すると、ぐったりとしていたウォルテールは、それに微かに反応し……聞こえるか聞こえないかという、微かな音でクーン……と……今まで彼から聞いたことのない、物悲しい、弱々しい声をあげ……。
侍祭殿は……だけどそれに、ニタリと笑って返して……。
少しだけ首を上げ、鼻を寄せようとしたウォルテールから、汚いものを避けるように、身を引いて……。
あぁ。
狼の姿であったけれど、ウォルテールがそれに、酷く傷付いたのは、充分過ぎるほど理解できた。
それまで必死で持ち上げていた頭が、力なく地に落ちて、ピクリとも動かない。
もう先細りの道すら途絶えてしまうのだと、彼は理解していた。
死を受け入れたのだ…………っ!
オブシズの腕を無理やり引き剥がして。
「もう待てない」
そう吐き捨てたら、先程、侍祭殿に押し留められた騎士が、進み出てきた。
薄ら笑いを浮かべたまま、侍祭殿の横に並び、今度は鞘から、剣を引き抜く。
「アイル……っ」
間に合わなくなる!
行こうと促したけれど、アイルは険しい表情で場を見つめて動かない。
何か違和感を感じているのか、視線は四方に巡らされたままで、ウォルテールの状況を見ていないかのようなその仕草に苛立ちが募った。
「アイルっ」
「待て、もう少し……」
「無理だ!」
俺の言葉に呼応するかのように、シザーも身を乗り出し、アイルを見た。その向こう側には、両手を握りしめ、瞳を見開くイェーナ。
「………………っ、主がまだ定められない。
いないならば良いが、いた場合、ウォルテールは意識を縛られる」
「あれは俺の推測だ。前もって命令を下していたのかもしれないだろ」
「それはそうだが……」
焦ったようなアイルの表情。
だけど剣を抜いた騎士がそれを振り上げ、ウォルテールが微かに前脚を動かしたそこが、アイルにも限界だった。
「出よう」
「あの腕を止める!」
俺は即座に懐から小刀を引き抜き、振りかぶられた腕に狙いを定める。
放ち、突き立った瞬間が、突撃の合図となった。
「肩の傷は」
「問題無い」
痛みはあるが、使えないわけじゃない。多少投擲の精度は落ちるかもしれないが。
そう言うと、こくりと頷くアイル。
「奥方らは、神殿騎士らを撒くのに手間取っている。これなら先回りできる」
「屋根の上は逃げやすいけど、見つかりやすいんだな」
「そこを使って時間を稼ぐよう指示したからな」
成る程。アイルさんの英断でしたか。
「だがそろそろ逃げてもらおう……あまり時間をかけると、脱出まで難しくなる。
資材置き場の方も、執行されるようなら妨害するよう指示したが、こちらはまだ準備に手間取っている。
…………土建組合と揉めているようだな」
「あぁ……彼らはアヴァロンの騒ぎを知らないのかも。
結構早くから石材の加工とか、建築資材の加工とかを始めるみたいだったから」
とはいえ、狼のウォルテールを見たらどんな反応になるか分からない……。足場の悪い雑木林にちょっとイライラしながら、とにかく急いだ。
途中でアイルは数度笛を使い、また誰かに合図を送っているようだ。ここまでずっと走りながらで、更に笛を吹いても息が上がらないのだから……体力あるなと思う。
ハインも全然平気そうだし、こんなところにも、人と獣人の差というのはあるのかもしれない。
ある程度音もやむなしと急いで進んできたけれど、アヴァロンの東側……外門沿いに出たところで音を殺して進むこととなった。
「……影が配されている可能性も考えていたが……いないな」
ボソリとそう呟いたのはオブシズ。こくりと頷くシザー。
前に外堀から侵入された経験があるから、街の中だけというのは確かに違和感がある。
「……気配等は感じないけどな……」
とはいえ、俺たちに気配を察知される影は二流だろう。
アイルらにも確認したが、やはりそれらしき気配はしないそう。
「…………」
何となく違和感は感じつつ、それでも今更足を止めるわけにはいかない。
サヤがいれば……何か不審な音を聞き分けられたかもしれないが……。
そこで慌てて思考を振り払った。サヤを危険に晒したくはない……。
そうだ、考えても仕方ないことは考えまい。思っていた以上に順調で、疑心暗鬼に駆られているのだろう。良いならば良い。とにかく今は、ウォルテールを救い出すことだけに集中しよう。
木々の間を縫うように進んだ。
そうしてやっと視界に資材仮置き場が見えてくると、通り沿いをアヴァロンに向かって戻っていく土建組合員たちが見えた。
何かに憤慨しているのか……肩を怒らせていて、先頭を大股で歩くルカの姿は、髪の色合い的にも良く目立った。
「話つけたらすぐ戻んぞ。仕事場で殺生なんざ許さねぇ!」
「大体あの狼、本当に去年のやつなのか?」
「知らねっすよ……」
「でも似てたよなぁ」
「犬っころの見た目なんざ大体一緒だろ、区別つくかよ!」
「だけどあんなにでかいのはそうそういねぇじゃん?」
「去年うじゃうじゃいたわ! それが全部獣人だってか⁉︎ そんなわけあるか!」
それなりに離れてるのに聞こえてくる会話……。
元々がなり合うように話す者たちだし、普通の会話でも声が大きいから、怒りのあまり余計声を張り上げてしまっているのだろう。
全員獣人だと知ったら……。
彼らは何を思うのだろうか……。
今の怒りがそのままこちらを向くのだろうか……。
クロードの最後の視線を思い出し、ルカたちが同じ目をこちらに向けることを想像したら、苦しくなった。
獣人の血は、お前たちの中にだって流れてるんだと、叫んでしまいたい……。
だけどそうしたところで理解はしてもらえないだろうし、証明する手段も無いのだからな……。
とにかく見えなくなるまで彼らを見送る前に、足を進めることにした。
資材の仮置き場まで到着すると……。
すぐに分かった。神殿騎士らに取り囲まれた、白い毛山。
一部の騎士らは穴を掘っている。あそこに殺したウォルテールを放り込むつもりなのだろうか?
ざっと見渡して十名程度。その中に一人紛れる小柄な法服姿は、あの侍祭殿だろう。
「ウォルテール……」
積み上げられた石材で半ば隠れていたけれど、白に近い毛並みの大狼は、黒い玄武岩に良く映え、美しくすらある。
太い綱で両脚を括られ横たえられているが、意識はあるのだろう。括られたままの脚を動かし、やはり括られた口吻部を激しく振っていたけれど、拘束が解ける様子は無かった。
その光景を見たアイルが眉根を寄せて視線を四方に飛ばし……。
「少し、様子を見る。良しと言うまで動かないでくれ」
こくりと頷いたけれど、気持ちは急いていた。
十人程度ならば、この人数で何とかできるんじゃないか。
確かに縛られたウォルテールを運ぶとなればことだけれど……。
あんなもの……獣化を解けば外せるだろうに……。
狼になると頭の働きが鈍くなると言っていたけれど、生きたいという本能的なものを、殺してしまうようなものではないと思う……。
そうなるとやはり、獣化を解くことを主に禁じられているのだろうか……。
そんな風に考えていたら、あまりに暴れるウォルテールを煩わしく思ったのか、神殿騎士の一人が近付いてきて……。
「っ、やめっ……!」
叫びそうになった口をオブシズに塞がれた。
そしてここまで届く、鈍い音が何度も続く。
鞘ごと引き抜いた剣で、ウォルテールをめった打ちにする光景に、身が震えた……っ。
あんまりだ。
抵抗できない、やめてとも言えない。打たれた箇所を庇うこともできないのに!
冷酷無惨にも程がある仕打ちに身を震わせていたら、侍祭殿が気付き、剣を振り上げていた騎士に声を掛けると、その動きが止まった。
ほっと胸を撫で下ろしたけれど、ウォルテールはぐったりと動かず、意識を飛ばしてしまったのかもしれない……。
侍祭殿は動かなくなったウォルテールに歩み寄り、その頭の少し手前でしゃがみ込んで、顔を近付けた。
すると、ぐったりとしていたウォルテールは、それに微かに反応し……聞こえるか聞こえないかという、微かな音でクーン……と……今まで彼から聞いたことのない、物悲しい、弱々しい声をあげ……。
侍祭殿は……だけどそれに、ニタリと笑って返して……。
少しだけ首を上げ、鼻を寄せようとしたウォルテールから、汚いものを避けるように、身を引いて……。
あぁ。
狼の姿であったけれど、ウォルテールがそれに、酷く傷付いたのは、充分過ぎるほど理解できた。
それまで必死で持ち上げていた頭が、力なく地に落ちて、ピクリとも動かない。
もう先細りの道すら途絶えてしまうのだと、彼は理解していた。
死を受け入れたのだ…………っ!
オブシズの腕を無理やり引き剥がして。
「もう待てない」
そう吐き捨てたら、先程、侍祭殿に押し留められた騎士が、進み出てきた。
薄ら笑いを浮かべたまま、侍祭殿の横に並び、今度は鞘から、剣を引き抜く。
「アイル……っ」
間に合わなくなる!
行こうと促したけれど、アイルは険しい表情で場を見つめて動かない。
何か違和感を感じているのか、視線は四方に巡らされたままで、ウォルテールの状況を見ていないかのようなその仕草に苛立ちが募った。
「アイルっ」
「待て、もう少し……」
「無理だ!」
俺の言葉に呼応するかのように、シザーも身を乗り出し、アイルを見た。その向こう側には、両手を握りしめ、瞳を見開くイェーナ。
「………………っ、主がまだ定められない。
いないならば良いが、いた場合、ウォルテールは意識を縛られる」
「あれは俺の推測だ。前もって命令を下していたのかもしれないだろ」
「それはそうだが……」
焦ったようなアイルの表情。
だけど剣を抜いた騎士がそれを振り上げ、ウォルテールが微かに前脚を動かしたそこが、アイルにも限界だった。
「出よう」
「あの腕を止める!」
俺は即座に懐から小刀を引き抜き、振りかぶられた腕に狙いを定める。
放ち、突き立った瞬間が、突撃の合図となった。
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