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終幕 8
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「レイシール様は確かに影を使いますが、それは我々にも詳らかにされておりました。
スヴェトランと通じているならば、それを我々に隠していたならば、影の存在をあんな風に晒しはしないでしょう。
これは全て事実無根。でっち上げも甚だしい!レイシール様は…………」
ホライエン伯爵様の方を向いていたヘイスベルトは、いち早く気付いた。
勢い良く発せられていた言葉が、尻すぼみに消えてゆき……最後に微かに聞こえたのは、え……? という、疑問の音。
同じく先んじて気付いていた者が存在した。
俺たちを取り囲んでいた住人たちから「なんだ?」「膨れてる……?」と、不可解への問い掛け。
俺も、広の視点に切り替えていなければ、気付けなかったかもしれない。
それは、静かな変化だったから。
「っ⁉︎ ウォルテール、駄目だ!」
咄嗟にそう叫んだけれど……。
彼は止まらなかった。
ほんの数度瞬きする程度の時間に、陛下の眼前で、ウォルテールは獣化していた。
ただでさえボロボロだった衣服は、膨らんだ彼の筋肉と四肢の伸縮で千切れ落ち、ホライエン騎士二人に掴まれていた腕も、脚へと変貌を遂げる。
「うわっ⁉︎」
「なん……っ」
微動だにしていなかったはずの、打ちのめされた獣人……その腕を掴んでいたホライエン騎士の二人は、皮膚の隙間から急激に生えてゆく体毛や。盛り上がっていく筋肉の動きを、直接掌で感じていたことだろう。
だが俺はそれよりも……。
変化の途中で顔を上げ、俺を見たウォルテールが、涙を溢していたことに気を取られていた……。
白銀の大狼となった彼は、この街で冬を越したことのある者には馴染みのある姿…………。
幼子を背に乗せ、雪の中で共に戯れていた、あの大狼だと、分かる者には分かってしまったことだろう。
そして……。
「認めたな……。名を呼んだな、この獣人の名だな、ウォルテールと言うのだな!」
そう叫んだホライエン伯爵様は、更に「陛下!」と、言葉を続けた。
「これでお分かりいただけたか! 此奴はあの狼の名を呼びました。配下だと、認めましたぞ!」
◆
クロードが俺を見ていた。
ヘイスベルトやアーシュは、眼を見開き、口を開け、ウォルテールを凝視している。
門の外では、ジークも……唖然と口を開き、見知った狼へと変貌を遂げたウォルテールを見ており、侍祭殿は無表情で、狼となったウォルテールを睥睨していた。
住人らも固まっていたけれど、ウォルテールがこちらを見て、大きく咆哮したことで、呪縛が解かれ!
「じ、獣人だあああぁぁぁ‼︎」
「獣だ、狼……っ、逃げろ!」
「化け物になった、化けた!」
一瞬のうちに阿鼻叫喚、叫び、逃げ惑う人々で場は乱れた。
そして俺にも衝撃ッ⁉︎
よろめいたけれど、踏みとどまって顔を上げた。それどころではなかった。
住人らの動きに統一性は無く、とにかく化け物から離れようと、逃げられる場所を探して無秩序に走る。
当然その人の波は、陛下の方へも向かっていたのだ。
「っ、陛下‼︎」
臨月の、しかも陣痛の始まっていただろう陛下が、あんな人混みに揉まれてしまえばどうなる……っ!
押しかける人を避けるなんて無理であったろうし、リヴィ様やディート殿がついていたとしても、防ぎ切れるものではない。
そう思った一瞬のうちに「サヤ‼︎」と、叫んでいた。
疾風のように動いたサヤが、陛下を掬い上げるのが人混みの隙間から一瞬だけ見え、次の瞬間に大きく跳躍!
陛下のつば広帽子が宙に飛び、車椅子が壊されたのか、バキバキという音。
サヤは、陛下を抱えたまま、長屋の軒の上に飛び上がっていた。
その常人を超えた動きにまた悲鳴。人の流れが逆流し、ぶつかり合い、更に混乱に拍車が掛かる。
それに合わせたかのように「悪魔だっ!」という誰何の声が飛んだ。
「見つけた、人の姿で人でない動き、伝承通りである! その女が悪魔だ! 獣人を統べる王! やつが討伐対象ぞ!」
その叫びにサヤは傷付いたみたいに表情を歪めたけれど、すぐ陛下を横抱きにしたまま、軒の上を走り出した。続いて幾つかの影が更に軒に移り、サヤを守るように周りを警戒しつつ追っていく。
元々吠狼の警護を念頭に作られた街並みは、サヤや吠狼のような、秀でた運動神経の者らには移動しやすく作られているから、登ってしまえば後は早い。
人の波に揉まれる騎士らを置き去りに、あっという間に姿を消した。
「陛下が悪魔の手に落ちた!」
「お助けしろ、追え!」
大司教殿とホライエン伯爵様の怒鳴り声。
サヤを追ったその声に気持ちは急いたけれど、俺は動けずにいた。
右肩の痛み……。どこからともなく飛来した小刀が、俺の肩に突き立っていたのだ。
直前で気付いて身を捻ったけれど、陛下のことと、避ければ他の誰かに当たるのではという懸念が脳裏に過り、反応が遅れた。万が一、子供でもいたらと考えてしまったのだ。
「レイ様!」
よろめいた俺に、慌てたシザーの声。しかし彼も、ハインも、押し寄せた神殿騎士やホライエン騎士を俺へ向かわせぬよう押し留めており、手を回す余裕は無い。
神殿騎士らの剣は稚拙で、若者を寄せ集めただけなのかもしれないと思える程度。だから一人一人への対処は然程の手間でなかったものの、ひっきりなしに押し寄せられて圧されていた。
クロードやヘイスベルトたちは人混みに紛れてしまい、安否も確認できない……。衛兵たちも、場を収めるどころの話ではないのだろう。
まぁ……例え見える場所にいたとしても……もう、頼るわけにはいかなかったろうな……。
最後のクロードの瞳……俺に裏切られたと、そう……思ったろうから。
そうしているうちに「ぎゃぁっ!」「な、なんだよっ誰だ⁉︎」と、混乱した声が次々に上がりだした。
至る所で衝突が起きているのか?
そう考えたけれど、それは違うのだと直ぐに理解した。
人の波を逆流するようにすり抜けて、眼前に迫ってきた、見知らぬ人物。
町人の服装ではあったけれど、町人ではないと一目で分かった。俺を標的と定めた冷たい瞳が、手に握られた短剣が、彼を兇手だと教えてくれたから……。
あぁ。
やばいこれは。
これを仕掛けた相手は、もう俺を生かしておく気なんて無いのだろう。
これは、確実に俺とサヤを仕留めるために仕組まれた罠だ……。
避けられないと思った。
しかしそれも、路地から飛び出してきた影の体当たりで軌道が逸れる。
「させない!」
高い声。聞き覚えのある声は、イェーナ。
紺の装束に身を包んだ彼女は、町人風の男の首を、握った刃で掻き切った。
容赦無く剣を振るい、血を撒き散らしたことに、また悲鳴が上がる…………。
「良くやった」
次にすぐ横手で別の声が。
いつの間にやらそこには、アイルと複数人の吠狼がいた。
俺を囲み、隠すように短剣を構える。
住人らは俺たちから遠去かろうと必死で、近づこうとしてくるのは神殿騎士と町人に扮した間者らしき者ばかり。
ただ呆然とその様子を瞳に映していたら、腕をぐいと引かれ、路地に引き込まれた。
「逃げるぞ」
「…………?」
「主をここで死なせるわけにはいかない。もうこうなった以上、弁明も無理だろう。
だが、命は必ず救う。頭の指示だが、俺たちの総意でもある」
「……ローシェンナ、戻ったのか」
「いや…………前々から、そう決めてあった」
スヴェトランと通じているならば、それを我々に隠していたならば、影の存在をあんな風に晒しはしないでしょう。
これは全て事実無根。でっち上げも甚だしい!レイシール様は…………」
ホライエン伯爵様の方を向いていたヘイスベルトは、いち早く気付いた。
勢い良く発せられていた言葉が、尻すぼみに消えてゆき……最後に微かに聞こえたのは、え……? という、疑問の音。
同じく先んじて気付いていた者が存在した。
俺たちを取り囲んでいた住人たちから「なんだ?」「膨れてる……?」と、不可解への問い掛け。
俺も、広の視点に切り替えていなければ、気付けなかったかもしれない。
それは、静かな変化だったから。
「っ⁉︎ ウォルテール、駄目だ!」
咄嗟にそう叫んだけれど……。
彼は止まらなかった。
ほんの数度瞬きする程度の時間に、陛下の眼前で、ウォルテールは獣化していた。
ただでさえボロボロだった衣服は、膨らんだ彼の筋肉と四肢の伸縮で千切れ落ち、ホライエン騎士二人に掴まれていた腕も、脚へと変貌を遂げる。
「うわっ⁉︎」
「なん……っ」
微動だにしていなかったはずの、打ちのめされた獣人……その腕を掴んでいたホライエン騎士の二人は、皮膚の隙間から急激に生えてゆく体毛や。盛り上がっていく筋肉の動きを、直接掌で感じていたことだろう。
だが俺はそれよりも……。
変化の途中で顔を上げ、俺を見たウォルテールが、涙を溢していたことに気を取られていた……。
白銀の大狼となった彼は、この街で冬を越したことのある者には馴染みのある姿…………。
幼子を背に乗せ、雪の中で共に戯れていた、あの大狼だと、分かる者には分かってしまったことだろう。
そして……。
「認めたな……。名を呼んだな、この獣人の名だな、ウォルテールと言うのだな!」
そう叫んだホライエン伯爵様は、更に「陛下!」と、言葉を続けた。
「これでお分かりいただけたか! 此奴はあの狼の名を呼びました。配下だと、認めましたぞ!」
◆
クロードが俺を見ていた。
ヘイスベルトやアーシュは、眼を見開き、口を開け、ウォルテールを凝視している。
門の外では、ジークも……唖然と口を開き、見知った狼へと変貌を遂げたウォルテールを見ており、侍祭殿は無表情で、狼となったウォルテールを睥睨していた。
住人らも固まっていたけれど、ウォルテールがこちらを見て、大きく咆哮したことで、呪縛が解かれ!
「じ、獣人だあああぁぁぁ‼︎」
「獣だ、狼……っ、逃げろ!」
「化け物になった、化けた!」
一瞬のうちに阿鼻叫喚、叫び、逃げ惑う人々で場は乱れた。
そして俺にも衝撃ッ⁉︎
よろめいたけれど、踏みとどまって顔を上げた。それどころではなかった。
住人らの動きに統一性は無く、とにかく化け物から離れようと、逃げられる場所を探して無秩序に走る。
当然その人の波は、陛下の方へも向かっていたのだ。
「っ、陛下‼︎」
臨月の、しかも陣痛の始まっていただろう陛下が、あんな人混みに揉まれてしまえばどうなる……っ!
押しかける人を避けるなんて無理であったろうし、リヴィ様やディート殿がついていたとしても、防ぎ切れるものではない。
そう思った一瞬のうちに「サヤ‼︎」と、叫んでいた。
疾風のように動いたサヤが、陛下を掬い上げるのが人混みの隙間から一瞬だけ見え、次の瞬間に大きく跳躍!
陛下のつば広帽子が宙に飛び、車椅子が壊されたのか、バキバキという音。
サヤは、陛下を抱えたまま、長屋の軒の上に飛び上がっていた。
その常人を超えた動きにまた悲鳴。人の流れが逆流し、ぶつかり合い、更に混乱に拍車が掛かる。
それに合わせたかのように「悪魔だっ!」という誰何の声が飛んだ。
「見つけた、人の姿で人でない動き、伝承通りである! その女が悪魔だ! 獣人を統べる王! やつが討伐対象ぞ!」
その叫びにサヤは傷付いたみたいに表情を歪めたけれど、すぐ陛下を横抱きにしたまま、軒の上を走り出した。続いて幾つかの影が更に軒に移り、サヤを守るように周りを警戒しつつ追っていく。
元々吠狼の警護を念頭に作られた街並みは、サヤや吠狼のような、秀でた運動神経の者らには移動しやすく作られているから、登ってしまえば後は早い。
人の波に揉まれる騎士らを置き去りに、あっという間に姿を消した。
「陛下が悪魔の手に落ちた!」
「お助けしろ、追え!」
大司教殿とホライエン伯爵様の怒鳴り声。
サヤを追ったその声に気持ちは急いたけれど、俺は動けずにいた。
右肩の痛み……。どこからともなく飛来した小刀が、俺の肩に突き立っていたのだ。
直前で気付いて身を捻ったけれど、陛下のことと、避ければ他の誰かに当たるのではという懸念が脳裏に過り、反応が遅れた。万が一、子供でもいたらと考えてしまったのだ。
「レイ様!」
よろめいた俺に、慌てたシザーの声。しかし彼も、ハインも、押し寄せた神殿騎士やホライエン騎士を俺へ向かわせぬよう押し留めており、手を回す余裕は無い。
神殿騎士らの剣は稚拙で、若者を寄せ集めただけなのかもしれないと思える程度。だから一人一人への対処は然程の手間でなかったものの、ひっきりなしに押し寄せられて圧されていた。
クロードやヘイスベルトたちは人混みに紛れてしまい、安否も確認できない……。衛兵たちも、場を収めるどころの話ではないのだろう。
まぁ……例え見える場所にいたとしても……もう、頼るわけにはいかなかったろうな……。
最後のクロードの瞳……俺に裏切られたと、そう……思ったろうから。
そうしているうちに「ぎゃぁっ!」「な、なんだよっ誰だ⁉︎」と、混乱した声が次々に上がりだした。
至る所で衝突が起きているのか?
そう考えたけれど、それは違うのだと直ぐに理解した。
人の波を逆流するようにすり抜けて、眼前に迫ってきた、見知らぬ人物。
町人の服装ではあったけれど、町人ではないと一目で分かった。俺を標的と定めた冷たい瞳が、手に握られた短剣が、彼を兇手だと教えてくれたから……。
あぁ。
やばいこれは。
これを仕掛けた相手は、もう俺を生かしておく気なんて無いのだろう。
これは、確実に俺とサヤを仕留めるために仕組まれた罠だ……。
避けられないと思った。
しかしそれも、路地から飛び出してきた影の体当たりで軌道が逸れる。
「させない!」
高い声。聞き覚えのある声は、イェーナ。
紺の装束に身を包んだ彼女は、町人風の男の首を、握った刃で掻き切った。
容赦無く剣を振るい、血を撒き散らしたことに、また悲鳴が上がる…………。
「良くやった」
次にすぐ横手で別の声が。
いつの間にやらそこには、アイルと複数人の吠狼がいた。
俺を囲み、隠すように短剣を構える。
住人らは俺たちから遠去かろうと必死で、近づこうとしてくるのは神殿騎士と町人に扮した間者らしき者ばかり。
ただ呆然とその様子を瞳に映していたら、腕をぐいと引かれ、路地に引き込まれた。
「逃げるぞ」
「…………?」
「主をここで死なせるわけにはいかない。もうこうなった以上、弁明も無理だろう。
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