異界娘に恋をしたら運命が変わった男の話〜不幸の吹き溜り、薄幸の美姫と言われていた俺が、英雄と呼ばれ、幸運の女神と結ばれて幸せを掴むまで〜

春紫苑

文字の大きさ
355 / 1,121

父の軌跡 4

しおりを挟む
 翌日の準備は、大慌てで進めた。
 サヤとハインは馬車に積み込む荷物の準備に大わらわだ。カーク殿も同行することとなるため、その荷物も積み込まなければならない。
 行程を決め、基本は街で宿を取ることにしているけれど、一度どうしても野宿となる場所があった。急がなければ、半日ほど街でゆっくりすれば良いのだけれど、極力急ぐ方針だったので、そこは仕方ないとなったのだ。
 なので馬車も六人乗りの大きなものを確保することとなった。馬も三頭だから、飼葉も沢山積まなければならないし、どれだけ荷物を詰めるかと、二人で悪戦苦闘していた。
 で、俺はというと、ディート殿を護衛に、書類仕事に専念していた。
 まずロビンに書簡を出す。ロビンのことをすっかり失念していたのだ。
 作品ができたら、ウーヴェでも受け取れるように処置すると伝えたけれど、そのウーヴェがメバックに行った。だから、メバックでそのまま手渡し可能なのだ。
 ロビンの仕事はきっちりしているし、不備のあるものを提出してくるとも思えないから、そのままウーヴェに渡せば良いと記し、あとサヤの腕輪をもう一組用意してほしいと注文書も添える。もう急がないから、こちらはゆっくり進めて貰えば良い。
 あと、素晴らしい品だったと、作業場の皆にも、伝えてほしいと綴った。
 そしてそのウーヴェへの書簡。
 ロビンのことを頼む内容と、もうひとつ。
 暫く西へ行くこと。拠点村の視察が行えないから、その間は申し訳ないが、拠点村の方の確認もお願いするとしたためた。
 急なことで申し訳ないけれど、他の誰に頼むより、ウーヴェが良いと思ったのだ。現場の皆も、その方が喜ぶと思う。

 さて、問題のマルだが。
 彼は夕刻ぎりぎりに、奇跡的な帰還を果たした。もう少しでジェイドが留守番に確定してしまうという、直前に。

「旦那……遅すぎンだよ」
「どこかで野垂れ死んだのだと思っていました」
「えええぇぇ、酷い!    僕、結構しっかり仕事してきたんですよぅ?」

 ジェイドに責められ、ハインに死んだことにされていたのだが、そんな風に悪びれもせず答えたマルは、少々食事を疎かにしたのか、若干痩せた気はするものの、まだ許容範囲だろう。
 まずそこにホッとしたのだが、何故か一人ではなかった。
 二人の男を連れて戻ってきたのだ。

「……えっと……そちらは?」

 一人は目の下のくまが凄い……。今にも気絶しそうに顔色がくすんだ、四十路程の男。
 ずっと何かをぶつぶつと呟き続けている……眠そうな半眼で、ずっとだ。……なんか、怖い。
 もう一人はというと、随分背が高く、ガッチリとした体格ながら、その全身を外套で隠してしまっている。
 ご丁寧に、深く頭巾を下ろし、口元まで布で覆って。
 腰のあたりに膨らみがあり、剣を携えているのだと分かった。護衛の傭兵か……?
 俺の視線にビクリと跳ねて、どこかオドオドと慌てた様子を見せるのが、なんとも意味不明だった。
 体格的には、ディート殿よりも恵まれているだろう。ギルほどに上背がある。
 常に意識は周りに向いているようで、俺にビクつきつつも、隙を見せているわけではない……なんだろう、この不一致感……。
 たぶん、かなりの手練れだと思うのだが……。
 だけどなんか……懐かしい気がするのだから、不思議だ。

「とりあえず、僕の仕事の報告をしますね。
 まずこのぶつぶつ言ってる人ですけど、コダンさんと言います。変人さんです」
「……マル、君に変人扱いされるのは不本意なんじゃないかな」

 君だって相当なものだよと言ってやりたい。
 だけど、その変人だと紹介されたコダンは、全く人の話を聞いている様子が無い。ずっとぶつぶつを続けている。
 うん…………確かに、只人ではないんだなって分かった。

「僕、オーストへ行ってきたんですよ。
 それで、この人オーストの人だったなーって思ったので、ついでに寄ってきたんです。
 ほら、いつかサヤくんが言っていたでしょう?    土の成分の話。あの、変人さんですよ。
 いやぁ、意思疎通図るのに時間かかっちゃって」

 あっけらかんとそんな風に言うもので、一瞬言葉の意味が理解できなかった。
 しばらく意味を考えて……。

「っ、えっ⁉︎」

 物凄い、重要人物だよ⁉︎

「正解でしたよ。この人、土に混ぜ物をして、作物の出来方が変わることを研究しているのですって。
 ただまぁ、見ての通りの方ですし、色々地域との摩擦も凄いみたいだったんですよ。本人全く気にしてなかったんですけどね、周りの拒否反応がもう……」

 そう言って苦笑するマル。
 まあ、今の様子を見てもそれは、なんとなく伝わる……。

「なので、うちで思う存分研究してもらえますよって、呼んじゃいました。村の人らも出て行ってくれるって大歓迎で。
 拠点村の試験畑の管理者……は、無理だと思うので、研究員ですね。
 暫くは、この村に滞在させます。空き家がありますし、世話は村人に駄賃を払えばある程度構ってもらえるでしょうし。
 拠点村に移れるようになったら、移しますねぇ」

 物凄い適当にそう言うマル。だけどコダンは気にした様子が無い。…………なんだろう、この妙な焦燥感は……それで良いのか……。

「で、コダンさんはもののついでの方なんで、本題ですよぅ」

 ついで……、重要人物なのに、酷い。

「まずこれ報告書です。結果から申しますと、セイバーンの領地、若干拡張しましたから」

 またあっさりと、とんでもないことを言う⁉︎

「マルッ⁉︎」

 とっさに肩を掴んで言葉を止めた。えっと、まずコダンとこのもう一人の人物に聞かせて良い話⁉︎
 だってそもそも、領地問題とか、そんな簡単に結論出る話じゃないし、一体どこに増える要素があった⁉︎
 焦った俺の様子に、マルはすぐ意図に気づいた様子であったけれど、問題無いですって。と、軽くあしらう。

「コダンさん聞いてないですし。こっちはわざわざ喋らないでしょうし」

 そう言ってから、持ってた書類鞄から書類の束を取り出した。
 領地譲渡に関する規約。その書類の束。マジでそう書いてある。えええぇぇぇ⁉︎

「まずこの書類をどうぞ。
 えっとですね。ようはオーストに申請していた件で、出向いてたんです。
 ホセ親子の村ですけどね、ホセの言う通り、オーストでは存在しないことになっていました。
 なので、村名もありませんでした。
 あの村一帯をセイバーン領とするよう打診してきたのですが、特に揉めることもなく了承を得られましたよ。
 というわけで、セイバーンの領地が若干拡張されました」

 口を半開きにして、マルを凝視する羽目になった……。
「マルはやればできる男だったのだなぁ……」と、ディート殿。

「んっふっふ。ちょっと文官してきちゃいましたぁ。
 一人だと怪しいので、彼に協力して頂いたんですよ。それっぽく見えるように武官役としてねぇ。
 レイ様の名代の使者ってことで地方行政官って名乗っちゃったんで、何かあったら口裏合わせてくださいねぇ。
 いやぁ、のらりくらりしようとするから、ちょっと本気出しちゃいましたよ僕。なにせ人命かかってますし、あまり時間取れないですもんねぇ。
 あ、それでですね、ロジェ村って名前にしておきましたし、書類等も制作しておきましたから、王都に送っておきますね。
 納税義務は発生しますけど、こちらの保護も可能になりますから、まあトントンでしょうかね。
 今度村人の人数確認がてら、ちょっと覗きに行かなきゃと思うんですが……」
「ちょっと⁉︎    領地拡張って何⁉︎
 それそんな簡単に、問題無く進む話じゃないよな⁉︎」

 領地の境というのは問題になりやすい。特に、オーストとセイバーンは特別な交流もなく、どちらかというと一方的に睨まれているような間柄なのだ。
 それというのも、オーストは土地が痩せている。地質が指し示すように、農耕地に適した場が少ない。
 だから、すぐ隣に隣接しておきながら、豊富に麦を得られるセイバーンが、少々気に触るのだ。
 その代わり、玄武岩が採取できるのだけれど、冬場の食糧不足はオーストにとって結構大きな問題となっている。まあ、だからこそ……捨場などというものが、いまだに存在するのだろうが……。

「問題無くするしかないように仕向けたのでねぇ。
 だって、あちらにも損は無いんですよ。受け入れるに決まってます」

 サヤが用意してくれたお茶を手に取って啜りながら、マルは平然としている。

「ただでさえ食糧不足のオーストに、非人道的な捨場がある。それを他領に知られ、更に住人から助けを請われたわけですよ。
 凄く不名誉なことですよね、オーストとしては。
 村人から、この村はオーストの領域ではないと明確に言われたという証言も得ていますしね。
 つまり、このままでは明らかに管理者の落ち度です。その捨場を領地として認めるしかないわけなんですよ。捨場になるくらい、役に立たない土地の、本来いないはずの住民を受け入れ、保護せねばなりません」

 出費しかありませんよねそれ。と、マル。
 だけど、本来あるべき責務を蔑ろにしていたのだから、それは仕方のないことだ。

「なので、うちが引き受けますよって話をつけに行ってきたんですよ。食糧事情的にも、うちは受け入れ可能ですよぅってね。
 レイ様が地方行政官に任命され、国命で交易路を作るんです。その捨場の玄武岩を利用することで、経費も浮く。ちょうど玄武岩が入り用だから、あの村周辺をくれるなら、ついてくる村人もこちらで面倒見ますよって。
 どうせ採取できない少量の石で、今後の面倒を引き受けてくれるならお安い御用ってことで、受け入れていただきました。
 国に恩も売れますからねぇ。あちらとしてもそう悪い話じゃないってことです」

 長々帰ってこないと思ったら…………なんてことをしてるんだ⁉︎
 頭を抱えてしばし懊悩してから、もうちょっと先に報告とかしてくれないかな⁉︎    と、言おうと思って顔を上げた。すると、マルの襟に何時ぞや渡した襟飾があって、それで結局、脱力した。
 俺の配下だって、自分で認めて行動してくれたなら……まあ、嬉しいし……俺が責任取らなきゃいけないんだろうな……。

「分かった。ではそれで処理してくれ。
 にしても、ロジェ村って……」
「洒落がきいているでしょう?」

 ニコニコと笑顔のマルに、このことをホセらに伝えたら、どんな顔をするだろうなと考えたら、俺も笑ってしまった。
 うん……悪いことじゃない。彼らが安心できるし、気兼ねなく関わっていくことができる。良かった。
 ハラハラと話を聞いていたサヤも、ホッと息を吐いた。そうして、残る謎の人物に、皆の視線が集中する。
 その人物は、ビクリと、慄いた……。大きいのに、小動物みたいだな……。

「それでですね。この人は、レイ様へのお土産ですよ」

 また変なことを言われた。
 それはその人にも失礼じゃないかな。そう口にしようとして、俺の視線にまたビクリと反応したその人を見て、つい、言葉が止まる。

 …………既視感……?

 執務机を回って、その人物の前に立った。
 オドオドと狼狽える仕草。顔を俯け、口元まで布で隠し、腕も何もかも、外套の中にしまい込んでいる。
 記憶にあるその人より、小さく感じるのは……俺の背が、伸びたからか?

「………………シザー?」

 その名を口から零すと、その人物はまた跳ねた。そして、ブルブルと震える。

「ご名答ですぅ。ええ、シザーを武官に取り立ててきましたよ」

 っ⁉︎

「駄目だろ⁉︎    シザーには身内が……っ」
「そうそう、その唯一のお身内、お爺様、今年の春に天寿を全うされたそうで、シザー一人だったんですよねぇ。
 だから丁度良いやと思って。
 彼自身も承諾してますよ。脅してませんから、安心してください」

 ブルブルするばかりのシザーの外套を、マルが遠慮なくよいしょと剥ぎ取ると、懐かしい褐色の肌が露わになった。

 糸みたいに細い目は、相変わらず開いているようにみえない。
 ツンツンの短い撫子色の髪は、後頭部だけ長く伸ばしてあり、記憶にあるよりもう少し長くなっている気がした。
 きっと真っ赤になっているのだろうけれど、肌の色が濃いから、それは正直分からない。
 だけど、まごうことなき、シザーだった。

「……学舎は……卒業したのか?」

 そう問うと、こくこくと、頭が縦に振られる。

「そうか、ちゃんと……おめでとう、シザー」

 懐かしくて、嬉しくて、つい、目頭が熱くなった。するとシザーも感極まったみたいに、ザッとその場で膝をつく。

「馬鹿、それじゃ顔が見れない。もう少しちゃんと見せてくれ」

 そう言って手を差し出すと、ガシッと掴まれた。でもって、すごく急いた動作で、唇が掌と甲に押し付けられ、あっという間に魂が捧げられてしまう。うぇ⁉︎    ちょっ⁉︎
 慌てる俺に、マルはニヨニヨと笑いつつ言った。

「レイ様、シザーに謝っておいてくださいよぅ。
 何も言わないで、知らない間に貴方が学舎から消えていて、捨てられたって、もの凄い傷付いたそうですよ。
 卒業した後も、必要とされていないかもしれないからって、怖くて自分からは来れなかったんですって。
 だから、次に再開できる機会があったら、貴方が彼を拒まなかったら、絶対にこうするって決めてたそうなんで、受け入れてあげてくださいねぇ。
 この大きな図体で泣かれて、誤解だって説明するの、大変だったんですよ、僕」

 その言葉通り、手にはぼたぼたと雫が落ちていて、胸が熱くなる。

「……すまなかった。何も言わなかったのは……俺の心が弱かったからで、シザーは何も、悪くないんだ。
 あんな風に不義理をしたのに……来てくれて、嬉しい。
 だけど、魂とかはもうちょっと考えてからにした方が……」

 ウーヴェの時も思ったけど、最愛の人ができた時に困ると思うんだよな……。そう言ったけれど、ブンブンと首を横に振られた。相変わらず、喋らない……。
 まさか、一日置きでまた魂を捧げられる羽目になるとは思わなかった……。
 そう思いつつ溜息を吐いたら、視界にサヤの驚愕の顔が入った。
 …………なに、その、信じられないって顔は……。

「…………サヤ?」
「…………お、男の人同士でも……魂、捧げはるの?」
「…………うん、そうだね」
「⁉︎」

 …………?…………っ⁉︎    あ、もしかして⁉︎

「違うよ⁉︎    これは忠誠的なヤツであって、そういう風に捧げたりもするんだよ⁉︎」
「え?    待って、分からへん……」
「レイ殿はウーヴェにも捧げられていたぞ」
「えっ⁉︎」
「何を驚く?    よくあることだと思うが……」

 首をこてんと傾けて、ディート殿がさも当然のように言うが、サヤは混乱の極みといった様子だ。
 そしてディート殿の言葉にマルが食いついた。

「えっ⁉︎    ウーヴェが魂捧げたですって⁉︎
 とうとうやりましたか!    ちょっとその状況詳しく話してください!」
「ちょっと今は待って!    それ優先順位低いから!    それより明日の支度とか、報告とか、重要なことがまだたくさんあるから!」
「ウーヴェの魂は重要でしょう⁉︎」
「いやそうだけどそうじゃなくて!」

 そんなやりとりの最中も、コダンは一人で延々ぶつぶつを続けていた。

 なんだろう……なんか急に、色々がいっぱいいっぱいだ。なんでこんなことになってるんだ⁉︎
しおりを挟む
感想 192

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

番(つがい)と言われても愛せない

黒姫
恋愛
竜人族のつがい召喚で異世界に転移させられた2人の少女達の運命は?

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...