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第二章

第九話「狙われた桜」

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「玲奈ー!! 玲奈―!!!」

 桜は林の中をくまなく探していく。

(どこかで怪我してない? 迷子になっちゃった? 早く……早く……)

 夕日も見え始め、林の中はゆっくりと闇を深めていく。

「玲奈ー!!」


「一ノ宮桜さんですね?」

 声のしたほうを振り返るとそこには、紫の着物を着た青年がいた。

「誰……?」

 桜が警戒するのも無理はなかった。
 小鬼や少年の鬼の襲撃頃から、桜は鬼の気配をわずかながら察知できるようになっていた。

「私は霧哉きりやと申します。あなた様をお迎えにあがりました」

「どういうこと?」

「あなた様には尭鬼ぎょうき様の元に来てもらいます」

「断るっていったら……?」

「この娘を殺します」

 そうして霧哉が「この娘」と紹介したほうを見ると、霧で今まで隠れていた少女が現れた。

「玲奈!?」

 玲奈は意識を失っており、桜の声は届かない。

「さぁ、どうしますか? あなたはお友達を見捨てて逃げますか?」


(どっちの方法も取りたくない。何か方法は……)

 桜が切り株に目を向けると、そこにはサバイバルナイフのような小さめのナイフがあった。

(ナイフ……! 戦える! けど、一人だと玲奈の命まで守れないかも)

 すると、桜は霧哉の後方に三琴を発見した。

(でもこれ以上目で合図したら、敵にバレる。なら……)


 桜は一気に駆けだすと、ナイフのほうへと向かって行った。

「逃げるのかいっ?!」

 霧哉が桜に攻撃を手から放つが、その攻撃を三琴が攻撃ではじく。

「何?!」

 三琴は一気に霧哉に詰め寄ると、とどめを刺すように霧哉の腹部を刀で貫いた。

「玲奈!」

 一瞬の戦闘によって、無事に生還した玲奈を抱きしめる桜。

 三琴は灰になって消える霧哉を眺めていた──
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