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第2章

113だからじゃないよ②

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 レオラムが呆れているのにも関わらず、ミコトはふふふふっと自信満々に腰に手を当てた。
 とっても己の主張に満足しているらしい。

 こういう姿を見ると憎みきれないし、ミコトの主張に巻き込まれているので笑いごとではないのだが笑ってしまう。
 レオラムはその姿にふよっと笑みを浮かべた。

 国の頭脳と言われる宰相を説き伏せられるミコトのパワーはすごい。
 一貫して殿下の顔が大好きというのは変わらずで、内容はともあれずっと変わらない姿勢というのは頼もしい気もするし、宰相にまではっきり言い切ることができる信念はここまでくるとあっぱれだ。
 ミコトの立場があってということもあるが、それでもこの妙な熱意は呆れを通りこして感心するレベルである。

「ミコト様がお二人の邪魔をしたいのではなくむしろ応援しているのは伝わりましたが、足見せやレポートはダメです」
「レポートは……半分冗談よ」
「半分、本気だったんだ。俺はそんなもの書かないからね」

 これははっきり表明しておかないとまた言われるぞと釘をさすと、ミコトがてへっと舌を出した。

「わかってるって。ただ、ちょっと言ってみただけだし。実際レオラムといると殿下と遭遇する確率は高いし、話を聞いて妄想できてはいるし。レポートはあわよくばって思っただけだから」
「あわよくばって思ってたんだ……」
「だから半分冗談で半分本気なんだって。今は前より補給できてるし、これからも期待できるから悪くはないわ。癒しもあってレオラムは言わば私の幸運の友人ね」
「調子いいんだから」

 本当にわかってくれているのか微妙だが、ミコト本人が強制されることを嫌うので、人が本気で嫌がることまではさせないだろうとレオラムは肩を竦めた。

「ほら、宰相も。レオラムも嫌がってはいないし、スカートはやりすぎだったかもしれないけどこれからもあまり気にせず楽しい会話をする方が絶対有効よ!! あと殿下の顔をレオラムにくっついて拝むくらいは大目に見て欲しいわ。今までのように騒動起こさないだけマシでしょう?」
「はあ……。ミコト様が殿下のお顔が好きなのはよく伝わりました。この場合は顔のみでよかったと思うべきなのですね」
「そうよ!!」

 そこで自信満々にミコトは胸を張った。

「ミコト……」
「ははっ。どんだけ殿下の顔が好きなんだよ。話の主軸がずれていって、結局殿下の美貌の話って。途中どうなるかと思ったが、ミコト様は面白いな」

 渋い顔をして話を聞いていたアルフレッドが、次第に楽しくなってきたのか腹を抱えて笑い出している。


 ──というか、なんでこっちで膝詰めさせといて、そっちで盛り上がっているのだろうか?


 レオラム越しに会話をされ、もういいだろうかとレオラムは足を一度動かしてみたが、それが間違いだった。
 いつか来るとわかっていても、今ではなかった。

「…………ひっ、ひぃぃぃ~」
「レオラム様、どうされました?」

 びっくりするぐらい感覚がないし痺れてる。
 前にいるエバンズが手を差し伸べようとしてくれるが、片手を上げて触れてくれるなと手を上げた。自分のタイミング以外で動かすのが恐ろしすぎる。

 きつい。一度、血が通り出した足は驚くほどぴりぴりしている。
 片手を付いた状態でレオラムが左手を上げて待ったの姿勢で固まっていると、痺れている状態がよくわかっていないアルフレッドがぽんとレオラムの肩を叩いた。

「レオラム、大丈夫か?」
「ひぃぃぃぃぃぃぃーーーーっ、無理。触らないで!」
「おい」
「だからっ!!」

 触るなって。
 アルフレッドめ。話を聞けないのか?

「もしかして、痺れた?」

 それを見たミコトが、わきわきと手を動かしてレオラムを見下ろしてくる。

「そうなんだけど。ミコト、その手はなに?」
「えっ? 解すの手伝おうかと思って」
「結構です!! あっ、だめ。アルフレッドも!! 本当に触らないで」

 ミコトを真似してアルフレッドも手を前にかざして動かす仕草を見せてくるので、両手をベンチに置いて痺れをなんとか分散させながらレオラムは叫んだ。

「レオラム……。これはどういう状況かな?」

 一度血が通い出した足はじわじわとレオラムを苛んでくるのを必死で堪えていると、向こうが騒がしくなり側近を連れたカシュエルが姿を現した。


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