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第1章
75どうしてこうなった*③
しおりを挟む「可愛いレオ。私のは君がこんなに欲しいと熱くなっているのに、レオはいつになったら素直に欲しがってくれるの?」
「でも、お、私は男です」
自分が男であることは歴然とした事実であるし、こういうことをする相手が同性であること、それに対してはそれほど抵抗はない。
その相手がカシュエル殿下であるからだというのは、レオラムの中ではっきりしている。
だけどそれと同時に、この国の偉大な第二王子であるからこそ、王子の相手が自分でいいのか、男でいいわけがないと、身体が蕩けても心が溶けきってしまえない。
だから、これだけ愛情を注がれて、頼ればきっとすべてを包み込んでくれると思えるのに、すべてを吐き出してしまえないのだろうかとさえ思う。
「知っているよ。たくさん見たからね。それにこの国は同性婚だって認められているのだから今更の話だよね」
「でも、カシュエルで、ひ、アァァー、いた、痛いです、うっ、んぁ」
「カシューだと言っているでしょう」
鋭い声で咎められ、ついでとばかりに力いっぱい抓られた。
「あっああーーっ。……カシュー、さま」
「さまはいらない。今は二人だけだ」
「でも、……やぁぁーっ、いたい、いたいっ」
「ちゃんと呼んで? それに痛いだけじゃないでしょう?」
あっという間に衣服を脱がされ、揉みしだくように触られる。
ジンジンと熱を持ち出した胸の突起は、抓られれば痛いのだけどそのあとはもっと刺激が欲しいとばかりに赤く熟れだしていた。
王子は鼻先を首元にすりつけぺろりと舐めると、くにくにと色づきぷくり上を向いた乳首を弄ぶ。
いろいろ考えなければと思うのに、カシュエル殿下に抱きしめられ熱を伝えられるとそのまま身を任せたくなる。
「ほら、おいしそう。ね、レオ。いつものように食べて欲しい?」
「んんっ、やぁ」
王子の声が、手が、レオラムを溶かしていく。
くるりと向き合うように体勢を変えられ胸元に顔を寄せて話されると、敏感になったところに吐息がかかり期待に下腹部までが兆し出す。
先端はとろりと雫が漏れ、隠すことのできないそれはぷるりと震える。
「素直じゃないね。ほら、レオの身体は正直だ。下も私に触ってっていってるよ」
ちろっと舐められ、するりと降りた手にやわやわと掴まれると、甘い期待と急所を掴まれたことに身体がびくりと固まった。
触ることをためらうほどのカシュエルの美しい銀糸の髪がさらさらとレオラムの肌をかすめ、それさえも悪いことをしているようだと背徳感を煽る。
「んんっ、でも……」
この国の第二王子たるカシュエル殿下にこんなことをさせているだなんて、信じられない思いでイヤイヤと頭を振る。
夜ならまだいい。一緒に気持ちよくなるのは、お互いがそれでいいのならとも思う。
だけど、今は昼間だ。本来なら公務をしている時間なのにと思うと、申し訳なさでいっぱいいっぱいになった。自分なんかに、時間を取らせていい相手ではない。
レオラムはギルド内で浮きまくっていた嫌われヒーラーだったのだ。
そこそこ実力があったから、最終的に勇者パーティーに入ることができていた。愛想の欠片もない、必要なことしか動かない無気力ヒーラーというのが共通の認識だ。
国の悲願である聖女召喚も無事終え、レオラムの個人的な目的もようやく果たし、これで田舎に引っ込めると思ったら王子のもとから抜け出せない現状は素直に喜べるものではない。
本気で抜け出そうなんて計画的に行ったわけでもないのに、レオラムの衝動的な行動に対して、カシュエル殿下はそれ以上の熱意を持って引きとめようとする。
宣言通り、言葉で行動で刻み付けてくる。
──ほんと、どうして??
今の状況も、今まで続く状況もどうしてこうなったのだろうかと疑問だらけだと、快感にぼんやりとする頭で自分を構う王子の口づけを受けた。
「……んっ、んーっ、ふぁ」
「ほら、前に教えたでしょう。鼻で息をして」
キスの合間にそう告げると、容赦なく咥内を貪られた。
体格差からか舌の長さも厚さも違い、官能を引き出すように動く舌使いにあっという間に思考が散漫になる。
「……っ、ふぁ」
くちゅりと互いの唾液でいっぱいになると、「飲んで」と甘くささやかれわけがわからないうちにこくりと飲み込む。
「おいしいね」と頬を撫でながら言われると美味しいんだと感じて、いつのまにか「もっと」とレオラムからキスをねだっていた。
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