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第1章
74どうしてこうなった*②
しおりを挟む「それで私に話すこと、話したいことはある?」
「…………話すこと」
直接訊ねられ、声が震える。
動揺に心臓がどきどきと早鐘を打ち、それに耐えかねてレオラムは瞼を閉じた。
一人で考える時間が長かった。ずっと今まで耐えてきて耐え抜いて、これ以上は悪くならないと思うからこその余裕もあって、なら余計に頼るべきではないという気持ちが増す。
冒険者をしていたからこそ、魔王討伐や被害を少なくするために動いてくれている人たちの邪魔に自分がなるのは嫌なのだ。
年月をかけて教会や防護壁に魔法陣を施し、現在は王都でそれらを維持し国を守ってくれている第二王子は、実際に討伐に行く勇者や聖女たちとともに、これからのこの国の未来に必要不可欠な人であることは子どもでもわかることである。
そんな人に、個人的なことで甘えること自体考えられないし、そもそもレオラムは甘え方がわからない。
それに、ムカつくし大金は必要だけど、ダニエルという協力人がいるのでなんとかなっている。
妹になにやら吹き込んだらしいダニエルは会ったらシメるし問い詰めるけど、それとこれとは別だということはわかっている。
何より、話すとはどこまで話せばいいのか。
ひとつ話せば奥底に閉じ込めてあることも暴かれそうで怖い。
なので、王子がというよりは、これはレオラムの問題だ。身内である妹にも話せない。
レオラムが必死に蓋をして奥へ奥へと閉じ込めてはいるが、潜むそれが口を閉ざすことを選んでしまう。
──何が起こっても、思うような結果にならなくても、ひとりでしたことならばその全てを自分だけで抱え込んだらいいだけだから……。
臆病なレオラムは、行動でも感情でも人を巻き込むことが何よりも怖いのである。
ずっと、カシュエル殿下が話すのを待ってくれているのは知っていた。
知っていて、レオラムの様子を見て引いてくれているのに甘えて、怖さから、甘やかされることから逃げたくなって時に行動してしまう。
そういった心の動きさえ敏い王子は見透かしていそうで、レオラムはぎゅっと瞼に力を入れた。
「はぁ……。ギルドに行くことは別にいい。だけど、いつまで私は待てばいい? いつになったらレオラムは私を受け入れてくれる? いい加減、我慢の限界なんだけど?」
「カ、カシュエル殿下」
とん、ともう一度胸を叩かれ、くるりと身体を回され背後から抱きしめ直され甘く低い声が耳をくすぐる。
慌てて目を開けて抵抗するが、顔が見えないことで、敏感に声や温もりを感じ取り肌が粟立つ。
「違う。カシューでしょ」
ぱくっと耳たぶを舐めかじられて、「何回言わせるの?」と咎められる。
「あっ」
「レオ」
「カシュっ」
「ね、レオは誰のものかわかっていない。私がどれだけ必要としているかしっかり刻み付けてわからせないとね」
蕩けるような甘い声で、恐ろしいことを告げられる。
もう十分に刻みつけられている。
こんなに内側まで浸透してきた人は初めてなのだ。そう、たどたどしく訴えてみるが、足りないと言われさわさわと服の上を這っていた手はあっさりと中に侵入を果たし、レオラムの小さな胸の尖りをキュッとつまんだ。
「ひぁっ」
「ふふっ、レオ。可愛い声出してどうしたの?」
キュッキュッとつまんだかと思えば、かすめる程度で両方を行き来し、爪の先でピンッと弾かれる。
それを何度も繰り返され、その度に快楽に弱い身体はぴくぴくと律儀に反応した。
「っんん、…やぁ」
「ほら、こんなことくらいで感じちゃうのに私から離れてどうしようっていうのかな?」
「…や、ちがっ」
「何が違うの? ほら、ちょっと触っただけで尖ってきて、私に食べてっていってるようだよ」
「そんなっ、んあぁー、アッ……」
否定する度に、強弱をつけて胸を責められ逃さないというように腰に押し当てられる。
ぐいっぐいっと主張する殿下の大きな熱に煽られて、こんな高貴で綺麗な人がと、何度欲望の対象なのだと見せられても、戸惑いが勝って素直に認めないレオラムの反応を楽しむかのようにさらに押し付けられた。
ぐりっ、と布越しに亀頭が擦り付けられたのがわかる。
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