恋人以上、永遠の主人

戦友は一時休戦、家族団らん

１１P

　ユエさんが、キレた。もう皆、アキラさんとユエさんを放っといてティンさんに「おめでとう」って褒めてる。


　よかったわ。これを機に少しずつでも食べられるようになれば。すごいわね、苦手克服できる味付けができるユエさんって。


　でもユエさん。さすがにオレンジの皮は、好き嫌いじゃなくても食べられないと思うんだけど。食べる人なんて、滅多にいないでしょ？


「食材への感謝は大事。毒以外は全て残さず食べるのが礼儀。あのオレンジの皮だって、ちゃんと食べられるように甘く煮ていた。ボクが食べていたの、見てなかったんだんだんだんだぁーーっ！！もう２度と作ってやらんっ！飢え死にしろぃっ！」


「待てユエ、それは困るっ！！ユエっ！」


　あ、ユエさんが退室。追って、アキラさんも退室。やっぱりあの２人ってデキてるのかしら？って思うくらいの、痴話喧嘩っぷり。


　でも、違うのよね。ただの昔なじみで、アキラさんの掃除とユエさんの手料理で利害が一致しているだけ。


　それにしても必死だったわね。さすがユエさん、アキラさんの胃袋をガッチリつかんでいらっしゃる。もう皆、何も言わないで何事もなかったかのように食べてるけど。


　皮まで食べられるように甘く煮て器にした、オレンジのゼリーかぁ。それくらいなら、作り方を教えてくれるかしら？マクベス、甘いものも好きだし。


　って、渋々自分で盛ったらしいマクベスのお椀の中が、お肉だらけ。問答無用でお箸を伸ばして、マクベスのお椀の中からお肉を拝借。


「お肉ばっかじゃなくてご飯も食べなさいよ」


「肉泥棒！ご飯も食べてるよ。けど、ご飯はもうないみたいだよ？」