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戦友は一時休戦、家族団らん
10P
しおりを挟む「美味しいわよ?ユエさんの味付けのおかげでキノコ独特の臭みもないし、少しだけでも食べてみたら?」
「そうよね。皆、美味しそうに食べているからあたしも…………って思うんだけど。見たでしょ?ちょっと入っただけでもあぁなるの。恥ずかしいわ」
「んー?エノキならつくね、シイタケなら人参と一緒に食べるといいよ。脱、好き嫌い。嫌い嫌いきらーい、好き嫌いする団長なんか大っ嫌ぁーい」
「んぐっ!!俺は好き嫌いなんかしないだろっ!?」
意外なところから救世主が登場?まだアキラさんで遊んでいるらしいユエさんが、こっちも見ずにそんなことを言った。
一瞬はあたしと同じでキョトンとしていたティンさんが、菜箸をつかんだ。つくねをお椀に入れて、ピタリと止まる。
菜箸の先におつゆが染みて茶色くなっているエノキ。ジッと見つめて、ガタガタ震えながらも数本のエノキをお椀に入れることができた。
待って。親の仇の鬼を前にしてるみたいな怖い顔になってるんだけど。つくねとエノキをお箸で一緒につかんで持ち上げて、残像が見えるくらい震えてるわ。
いつの間にか、皆が見てる。頑張れって。無言で応援。1分?2分?湯気も消えて冷たくなっちゃったでしょうに、ティンさんは心の葛藤ののちにパクッと口に入れたわ。
思わずみんな「おぉ」と声が出た。モグモグモグ。モグ………………モグ、モグモグ。ゴックン。食べた!
「た、食べられたわ。それに、美味しい。あれくらいの量なら、食べられそう。ありがとうございます、ユエさ――」
「はーーーーぁあ?去年の夏に作ってやったオレンジゼリーの皮、全部残したでしょ?オレンジの皮を器にしたやつっつっつー」
話が終わってなかったの!?せっかくティンさんが苦手なキノコを食べられたのに、ユエさんのおかげなのに。ラファルガ君なんてパチパチ拍手してくれているのに。
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