お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~

ひなの琴莉

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2『お仕置き決定』

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今日は、遅番で10時出勤だった。
通勤ラッシュが終わって空いている電車の中で、考える。
どんな顔をして千場店長と会話をすればいいのだろう。
千場店長にとってキスはあまり重要な事柄じゃないのかもしれない。
平凡に働いて過ごそうと思っていたのに、どうしてこんな展開になってしまったのだろう。
すっきりしない気持ちのまま出社をした。

更衣室で着替えを済ませて店に出て行くと、店長が目に入って息が止まりそうになった。
お客様に商品説明をしているようで、爽やか過ぎるスマイルを向けている。
「うちの料理教室でも使っているんですよ。大人気商品なんです」
鮮やかな緑色のトングを手に持ちながら、ニコやかに対応する姿はとっても好青年だ。見ているだけでいいなら、目の保養になる。
あんなに爽やかなのに、裏の顔は悪魔そのものだ。
前世は悪代官かなにかだったのではないだろうか。
「ネイルも綺麗にされている女性に、オススメなんですよ」
ふわふわパーマで品のよさそうな年配の奥様は「まあ」とか言いながら、店長の顔ばかり見ている。
お客様の手を見ると、たしかに綺麗なネイルアートがされていた。
店長ったら、よく見てるなぁと感心してしまう。
そう言う細かなところに配慮できるのは、大事なこと。
買い物をするお客様が買ってよかったと思える商品を提案することで、また次に繋がるのだと新入社員の時に教えてくれた。
「では、これをいただこうかしら」
「ありがとうございます。他にはよろしいですか?」
「そうねぇ」
迷いながらも店長に乗せられて調理雑貨が数点カゴに入っている。恐るべし、店長マジック。
しばらく店内を歩き回ったお客様と店長は、レジまで一緒にきた。
店長は、私をチラッと見て合図をする。
商品数が多いから袋に詰めろという意味だ。
店長はさっとレジに回って会計をする。
「43,059円です」
「カードで」
「お支払い回数はいかがいたしますか?」
「一回で」
高級そうな財布から出てきたカードで精算を終える間に、私はさっと袋に詰めた。
その袋を店長が持ちレジから出てきて、自動ドアの前まで持って行き、お客様に渡す。
私も関わった人間なので後ろからついて行く。
「ありがとうございました」
千場店長のきらきら輝くような眩しい笑顔に、お客様は頬を染めて上機嫌になった。
「ええ、また来るわね」
「お待ちしております」
お客様が見えなくなるまで、ふたりで深く頭を下げる。
入社当時にみっちりと教育されたおかげで、接客はだいぶ身についたと思う。これは本当に、店長のお陰で感謝している。
尊敬している部分ももちろんあるのだけど、性格に問題あり。なんて心で毒づいているが、なにか話しかけられたらどうしようかと物凄く動揺していた。
起き上がると視線を感じてゆっくり千場店長を見る。
店長は私を睨んでいた。
なにか、怒られるようなことしたかな。
「……おやすみメールくれなかったけど、どういうこと?」
「え?」
「お前のせいで寝不足なんだけど。責任取れよ」
そんなメールなんて……いちいち面倒くさい。
恋人じゃないのだから、おふざけもそこそこにしてほしい。
そもそも、どうして私にこだわるのだろう。
「あ。いま、面倒くさいって思った?……今日遅番かー……。ふたりになったら、お仕置き決定だな」
千場店長は、ぼそっと呟いて店内へ戻っていく。
お仕置きって……。
一体、なにをされるの?もう、勘弁してよ。



昼休みを終えた後、千場店長に頼まれて同じビルの11階にある総務部へ書類を持って行く。
……が、パーティーションで区切られているフロアーは、広すぎてお目当ての次長さんが見当たらない。困ったな。顔と名前が一致しない。
誰かに聞こうと思うけど、面識のない人ばかりで、どの人に声をかけていいか、迷ってしまう。皆、忙しそうだし……。
「どうかしましたか?」
背後から男性の声が聞こえて振り返ると、私に声をかけてくれているようだ。185センチはあるだろうか?
黒縁眼鏡をしていて、綺麗な顔立ちをしている。切れ長の目は涼しげで素敵だ。……じゃなくて。
「天宮さん……。あぁ、来月からご一緒する天宮さんですね」
「え?」
「僕は、郷田鉄郎(ごうだてつろう)です。ご挨拶に伺おうと思っていたんですが。……どうされました?誰かお探しですか?」
うわ、敬語を崩さずに話しているなんて紳士!
眼鏡、黒髪、スーツ、敬語。
私のめちゃくちゃタイプだ。
裸眼、茶髪、俺様口調の店長とは大違いだ。
なんで、私の名前知ってるの?あ、そっか。名札をぶら下げているからか……。運命の出会いかと思ってしまった。落ち着け私ったら。
「総務次長に提出する書類がありまして。実はお顔がわからなくて」
「総務時であれば、あちらの席に座っている方ですよ」
手で「あちら」と方向を示してくれた。
指差して教えるわけじゃないのがツボだ。
「ご丁寧にありがとうございます。それと、来月からよろしくお願いします」
私が一礼をして顔を上げると、涼しい顔がちょっとだけほほ笑んでくれた。
総務次長に書類を渡して店舗へ戻る前に、郷田さんを見ると真剣な表情でパソコンを見つめている。
萌えだよ!まさに、萌。
ついに王子様が現れたかも。
胸キュンとはこういう時に使う表現なのかもしれない。
エレベーターに乗って郷田さんのことを思い出す。
ああ、やっぱり素敵だった。いっぱい仲良くなりたいけれど、私は消極的だ。
でも、少しずつ距離を縮めていきたい。
妙なテンションを隠しつつバックヤードに裏から入ると、ニヤついた私と店長の目が合ってしまった。
「おつかいありがとう。……なんで、ニヤニヤしてんの?」
「別に……なんでも」
「別にだと?」
ぷいっと顔を背け店頭に出て行くと、三浦さががレジに立っていた。
お客さんは数人入っている。
郷田さんか。
来月から楽しみだな。
店長がいなければ、もっと最高なんだけどな。
今日はいい気分で一日仕事ができそうだ。

「お先に失礼しまーす」
早番の三浦さんが帰ってしまった。
……ということは、閉店の19時まで店長とふたりきりになってしまう。
「お疲れ様でした」
愛想のいい声で見送る店長は、三浦さんの姿が見えなくなると目をキラリとさせた。
レジにふたりで立っているが、お客さんは入ってこない。
あと、一時間。我慢よ、我慢っ。
どうか、お客様来てくださいと強く願う。
お仕置きするって言ってたけど、なにをされるのだろうか。
静かな店内にはオルゴールが流れている。
気まずくなってレジから抜けた私は棚を拭き始める。
店長の視線を背中に感じていた。
「どうして、おやすみメールをくれなかったわけ?」
早速、束縛がはじまる。
面倒くさかったなんて言えず。
「眠ってしまいました」
店長を見ずに答える。
「寝る前になにしてたの?あ、小説書いてたとか?」
「そ、そうです」
イヤ、実はシャワーに入ってストレッチをしてました。のんびりしていました、なんて言ったらブチ切れるかもしれない。
「締め切りとかあるのか?」
「はい」
「……大変だな」
「いえ、好きなことなんで」
「そっか。無理するんじゃないぞ。でも、心配だからやっぱり、おやすみメールはすること」
あなたに心配していただく必要は、ありません。
心の中で毒づいた。
ポツポツと会話をしていると、数人お客様が入ってきたけど、なにも買わずに出て行った人ばかりだった。

19時になり、閉店になった。
店長は、バックヤードへ行って今日の売上チェックして、集計作業をしている。真剣に画面を見つめる横顔は、できる男というオーラが出ている。
黙って仕事をしていると、カッコいいんだけどなぁ。
更衣室で着替えを済ませて出てくると、店長はパソコンをシャットダウンして、帰る準備をしていた。
「今日は、メモリースティック大丈夫か?」
「はい」
うわ。あえて聞いてくるところがわざとらしい。
店長は更衣室に入ったので、その隙に帰ろうとした。
「天宮」
呼び止められて、立ち止まる。
千場店長すぐに更衣室から出てきた。
「ちょっと」
恐る恐る手招きする店長に近づく。
腕をぎゅっと掴まれてしまった。
あー……これじゃあ、簡単に逃げられない……。
「な、なんですか?」
「キスしていい?」
「ダメです」
勢いよくノーの答えを言うと、店長は私から少し離れて悲しそうな顔をした。腕は掴んだままだ。
「どうしてダメなわけ?」
超絶イケメンなのに、どうしてセクハラ発言ばかりするの?
残念でならない。
「交換条件を破棄するってことか?」
不機嫌そうな表情に変わった店長は、私の腕を離してコートを羽織った。バックヤードの電気を消す。
非常口の緑の明かりのみで、かろうじて横顔が見える程度の薄暗さだ。
なぜかとても怒っているみたい。
私は千場店長に怒鳴りつける。
「店長、ちょっと待ってくださいっ。人の弱みにつけこんで……最低です!」
「天宮ってさ、どうしてそんなに俺を嫌うんだ?」
ものすごく悲しそうな声で言われる。
「嫌いとかじゃなくて……苦手なんです。誰からも好かれていて仕事もできて。私とは違う種類の人間だと思うので……」
言い終えるとじっと見つめられて、近づいてくる。後ずさる私はロッカーまで追い詰められた。
逃げ場を失って困惑していると顔の横に両手をついた。
(か、壁ドンっ!?)
ロッカーと千場店長に挟まれて逃げ場を失ってしまう。私は、まさかの胸キュンシチュエーションに目をキョロキョロさせる。
顔が近づいてきて唇が触れ合ってしまう。
弾力を確かめるような甘くて優しすぎるキスに動揺してしまう。
なんで……こんなに優しくするの?
キスをしたまま目が合う。
私はなぜかわからないけど泣きそうで、身体に力が入らない。
唇が離れると、髪の毛を指にからませてくる。
千場店長はくすっと笑うと私の髪の毛にキスをした。
音のない薄暗いバックヤードで、思い切り抱きしめてくる。温かくて良い香りがして目眩を起こしそう。
「千場店長……あのっ……離してくださいっ」
「嫌だ」
即答されて困っていると、今度は首筋にキスが落ちてくる。くすぐったくて身をよじるがさらに力を込められてしまい逃げられない。
「んっ」
小さな声だったのに、静まり返ったここには響いてしまう。
首筋に執拗に吸い付かれて、生暖かい舌でペロッと舐められた。
「いやぁ……んっ」
お腹の下が熱くなってくる。
こんな感覚初めて……。
千場店長は私の首筋を舐めながら、私のコートを開いて、中に着ているブラウスのボタンを器用に外していく。
そして、唇は鎖骨へと下がってきた。
私は、ゾクゾクと甘い痺れに身体が犯されていく。
声を出さないように必死だ。
ねっとりと私の肌に絡みつく感触は、くせになりそうで怖くなってくる。
これ以上続けられたら、おかしくなっちゃいそう。
わずかに残っていた力を振り絞って千場店長の頭を押し返す。
「嫌っ!」
動きを止めた千場店長は唇をペロッと舌なめずりをした。
「お仕置なんだけど」
まるで正しいことでもしているかの口調だ。
「こんなの……違います」
これはれっきとしたセクハラだ。
その対象がどうして私なの?
ボタンをかけようとするが、手が震えてうまくできない。
千場店長は震える私の手を掴んだ。
怖くて千場店長を怯える目で見つめる。
呆れたような……優しい瞳をしていた。
「俺がボタン……してやるよ……」
千場店長はボタンをひとつずつ止めてくれる。
綺麗な指だ。千場店長の指が止まり視線を感じた。
「なんでそんな顔するの?」
「……嫌がっている私なんかを狙う必要はないじゃないですか。店長にこういうことされたい人はいっぱいいると思います」
私から視線をそらした千場店長は悲しそうにそっぽを向く。
そして小さな声で呟いた。
「俺がしたい奴にしてなにが悪い?」
あえて私じゃなきゃ駄目と言われている気がして、ドキっとした。
顎を持って目を合わせられて射抜かれるように見つめられる。
「そ、そんな……自分の思い通りになんて人生なりませんよ!」
すると、千場店長はくすっと笑った。
「そうかもな。だから人生って面白いんだよな。でも、俺とお前は交換条件で繋がっているわけだ。くれぐれも忘れないように」
勝ち誇った顔で言われると、私はなにも言い返すことができなかった。
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