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後日談の後日談 前編 ※
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「アリサ、目が真っ赤だ」
「仕方ないじゃないですか。あんな事されたら泣いちゃいます」
寝室で指摘され、有紗はむっとむくれた。
サプライズで用意されたおままごとのような結婚式から邸に戻ると、使用人の皆が小さなパーティを開いてくれた。そんな事されたら誰だって泣くと思う。
そんな有紗をディートハルトは寝台に引き寄せ、ぎゅっと抱き寄せた。
「喜んでもらえて嬉しいよ。準備したかいがあった」
婚礼衣装は既に着替えて、ビアンカ達に大切に保存してもらうようお願いしてある。
刺繍が金と赤だったのはディートハルトの色彩だから。特に赤糸の刺繍は、王族だからこそ使用が許される貴色だから、この国ではとても特別な品物になるそうだ。
だから今有紗が身に着けているのは、ディートハルトと夜を過ごすための寝間着だった。
胸元が大胆に開いていて、普段なら着ない扇情的なデザインのネグリジェである。
「するんですか?」
「したい」
頬に手が伸びてきて、情欲に潤んだ赤い瞳と目が合う。
少しずつ秀麗な顔が近付いてきて、どちらからともなく唇が重なった。
啄むようなキスをしながら、ディートハルトは順序を追って有紗の体を蕩かせていく。
「ディート様、私もしたい、です」
はあ、と熱い吐息を吐きながら訴えると、ディートハルトはきょとんと目を見開いたあと、嬉しそうに目を細めた。
「いいよ、アリサの好きなように」
許可が出たので、有紗はディートハルトのシャツに手を伸ばした。
ボタンを一つ一つ外していくと、逞しい体があらわになる。大胸筋も腹筋もしっかり付いていて、かつ余分な肉が付いていない彼の体はとても綺麗だ。
ディートハルトは胸の先端は絶対に触らせてくれない。自分は有紗の胸を思う存分好きにするくせに不公平だと思う。
「こら」
小さな先端に手を伸ばしたら、いつもみたいに阻止されてしまった。
「ダメですか?」
「だめ。くすぐったいから」
有紗は恨みがましくディートハルトの胸をじっと見つめた。
男の人のそこは、女の子のものと違ってすごく小さくて慎ましい。
用途がないのになんで付いてるんだろう。
「触るならそっちよりもこっち」
手が取られ、下半身に導かれた。
服の上からもわかる。そこは既に硬く勃ち上がっていた。
有紗の体はこちらの人に比べると凸凹が寂しい。それでも自分で反応してくれていると思うと嬉しかった。
思い切って下着ごとトラウザーズをずらすと、大きなものがまろび出てきた。
いつ見てもディートハルトのものは体格に見合ったサイズでびっくりする。
有紗の中に全ておさまるいうのが信じられない。
これはいつも有紗を気持ちよくしてくれるもの。大好きな人のもの。
性器の先端は先走りの雫が浮いていた。
そこにちょん、と触って、指先で塗り広げてみる。
「口で……」
「ん?」
「口で、最後までしてもいいですか?」
じっと見上げながら聞くと、ディートハルトはわずかに息を飲んだ。
「してくれるの?」
「はい。今日は最後までしたいです」
「……無理だと思ったらすぐやめていいから」
頭が優しく撫でられた。
◆ ◆ ◆
アリサの見た目は幼い。だから、彼女に奉仕されると、とてつもなくいけない事をしている気分になる。
寝台に座った自身の前に跪き、欲の象徴に口付けるアリサを観察しながら、ディートハルトは彼女の髪を撫でた。
随分と黒い部分が増えてきた有紗の髪は、真っ直ぐで触り心地がいい。
この黒い髪に自分の欲をぶちまけてやったら、どんなに征服欲が満たされるだろう。
でも、今日は口で受け止めると言った。
この小さな赤い唇で。
本気だろうか。本当に受け止めてくれるのなら、今日は上にも下にもディートハルトの白いものを存分に注ぎ込んでやる。
凶暴な獣が目覚めそうになる反面で、優しく慈しみたいという想いも湧き上がる。
ディートハルトにはアリサしかいないのと同時に、この国で彼女を一番安全な揺籃で守ってやれるのは自分しかいない。
他の誰にも出来ない。ディートハルトにしか。
少女めいた貌、細く華奢な体、ほんの少しディートハルトが魔力を込めるだけでも息絶えてしまいそうな脆弱な異世界人。
それなのに彼女は、この地において、ディートハルトの欲を全て受け止めることのできる奇跡の存在だ。
ちゅ、と先端に口付けられた。
赤い唇から濡れた舌がのぞき、先走りを舐めとる。
男のものを口にするなんて、ディートハルトには信じられない行為なのに、アリサはためらわず、むしろどこか溶けた眼差しでディートハルトのものを口にする。
上から下まで舌と唇で愛されて、快感よりも視覚の暴力が凄い。
排泄にも使う穢らわしい男の欲を、進んで口にしてくれるアリサに、愛おしさが込み上げる。
思い返せば彼女の存在が、お気に入りの所有物から変化したのは、恐らく初めて彼女に口淫された時だ。
あの時は、理想の女奴隷としての振る舞いをしようとするアリサに無性に腹が立ったけれど、今は純粋に嬉しい。
「咥えてみて」
指示を出すと従順に従う。アリサはディートハルトのものをぱくんと咥えて、上目遣いでこちらを伺ってきた。
「……っ」
舌で一生懸命奉仕され、小さなうめき声が漏れた。
◆ ◆ ◆
ディートハルトのものは大きいから、歯を立てないように気を付けると、顎がすぐ苦しくなってしまう。
それでも上目遣いで彼の様子を伺うと、気持ちよさそうな表情をしているから、頑張らなきゃと思える。
もっともっと、自分の奉仕で感じて欲しい。
初めて口にした時のような嫌悪感も抵抗感ももうない。
だってこれは大好きな人のものだ。
有紗を毎回気持ちよくしてくれるものだから、せめてものお返しに舌と唇で気持ちよくなって欲しい。
この大きなものが、いつも自分の中に入っているなんて信じられない。
これで奥をいじめられるのが好き。大好き。
奉仕しているだけで、自分の性器がこれを求めてはしたなく潤んでくるのがすごく恥ずかしい。
種が違う。子供は出来ない。
だからディートハルトと有紗の行為は、純粋にお互いの快楽を求める為のものだ。
それはなんて淫らでいやらしいんだろう。
早く奥に欲しい。でも、その前に口で気持ちよくなって欲しい。
今日は上にも下にも注いでもらうって決めたのだ。
大好きな人のものだから口にしてみたい。
舐めてみた時は、正直全然美味しくなかった。
青臭くて、えぐみがあって、それでいていやらしい味がした。
飲めるかどうかはわからないけれど、こちらで受け止めてみたい。
ああ、でも顎が疲れてきた。
有紗は限界まで口の中に迎え入れたディートハルトのものを口から出すと、はあはあと息をついた。
「つらい? もう終わりにしても……」
有紗はふるふると首を振ると、ディートハルトのものに再び口付けた。
それは、有紗の唾液でふんだんに濡れてテラテラと光っている。
忠誠を誓うように口付けて、裏の血管がボコボコと浮いた所の感触を確かめるように舌を這わせる。
気持ちよくなって欲しい。その一心で顎を休めながら、有紗は口での愛撫を続けた。
(もう一回)
顎の疲れがだいぶマシになってきたので、有紗は再び男性器を咥え込む。
「んっ……」
舌を這わせながら頭を上下させ、前回を思い出しながら唇で彼のものを扱く。
前の時はディートハルトが有紗の頭を動かした。
その時のような速度は自力では出せなくて悔しくなる。
じゅぶじゅぶといやらしい水音をたてて頑張っても、ディートハルトの表情にはまだ余裕が伺えた。
彼をイカせるよりも先に、また有紗の限界が訪れた。
「アリサ、もう入れたい」
ちゅぽん、と音を立て、一度性器から口を離すと、欲情に潤んだ眼差しで囁かれた。
「まだダメです。今日はこっちで最後までしたいんです」
イケないのは有紗が下手だからだ。
それが悔しくて涙目で訴えると、ディートハルトが生唾を飲み込むのが見えた。
「ごめんなさい、私が上手にできないから」
「…………」
ディートハルトの顔が怖い。怒ったのだろうか。
「俺が動かしてもいい?」
「下手でごめんなさい……」
「何で謝るの? 別に怒ってない。たどたどしいのが逆に凶悪なんだけどな……」
「え……?」
「いい、こっちの話。それよりアリサはいいの? 俺にお口をそういうオモチャみたいに使われるってことだけど」
久々に耳にしたディートハルトの下品な言葉に、かぁっと頬が紅潮した。
「……いいです」
むしろ使って欲しい。
身分上は奴隷で寵姫。前はその不安定さが嫌で嫌でたまらなかったけれど、今はそれでも構わない。
この人が好きだから。不安定な立場への不安と同時に、被虐的な昏い悦びを覚えてしまう。
奴隷、穴、ペット。
そんな言葉今のディートハルトは絶対に使わないけれど、有紗の中の被虐的な自分は、ディートハルトに好きに使って欲しいという欲望を持っている。
対等でありたいと思う一方で、彼に無茶苦茶にされたい。今のディートハルトは、有紗を一人の人間として、女性として扱ってくれるから、有紗の中の全てを捧げたいと思えるのかもしれない。
「歯、立てないようにだけしてくれたらいいから。苦しかったら教えて」
情欲をはらんだ深紅の眼差しが有紗を射抜く。
有紗はこくりと頷くと、口を目一杯開けて再びディートハルトのものを口腔内に迎え入れた。
「限界まで咥えて」
指示を出す声は掠れている。彼もまた興奮しているのだ。
「そこがアリサの限界?」
ここより先は嘔吐いてしまう。
そう思われる場所までディートハルトのものを飲み込むと、有紗はこくりと頷いた。
「動かすよ」
囁きとともに頭が掴まれ、様子を伺うように動かされる。
その動きは少しずつ早くなっていって、『使われている』感覚に仄暗い歓喜が湧き上がる。
少し苦しいけど我慢する。こちらでもディートハルトを受け止めてみたいから。
「ん……ぅん……」
じゅぷじゅぷという唾液の音とともにくぐもった声が喉から漏れる。
ディートハルトには知られたくないけれど、有紗の下半身はどろどろだ。
口を道具のように使われて、それが嬉しくてはしたなく濡らしてるなんて、自分はいつからこんなに淫らになってしまったんだろう。
お腹の奥が疼く。早くこの口の中のものを埋めて欲しい。
でも今日は絶対に口に出してもらう。
その一心で苦しさに耐える。
顎が苦しい。息も。
でもそれが嬉しい。この我慢が彼に快感を与えていると思うと満たされる。
衣食住の全てを与えてくれる彼に、自分にも返してあげられるものがあると実感する。
「アリサ、そろそろ出すよ……」
はあ、と息をつくディートハルトはとても色っぽい。
潤む深紅の瞳も、紅潮した頬も、男性的な色気に溢れている。
「っ、く……」
小さなうめき声と同時に、口の中のものがふるりと痙攣した。
そして口の中に青臭いものが吐き出される。
性器が痙攣するたびに鈴口から白濁が溢れ、口の中に広がった。
飲み込まなきゃ。噎せちゃう。
ごくん、と一口飲み下すと、抵抗感は驚くほど薄れた。
こくん、こくんと性器の脈動に合わせて嚥下する。
射精ってこうなんだ。
痙攣の度にびゅるびゅると精液が出てくる事を初めて知った。
射精が終わったら、感謝の気持ちを込めてちゅうっと残滓を吸い出す。
ご苦労様。そんな気持ちを込めて、最後の一滴まで飲み下す。
精液は、えぐくて苦くてやっぱり美味しくなかった。黙って立っていると彫像めいているディートハルトも、ただの人で男なんだと、その生臭さから実感する。
「……全部飲んだの?」
「ダメでしたか?」
首を傾げて尋ねると、体が持ち上げられ、ぎゅっと抱き締められた。
「ディート様?」
「どうしよう、滅茶苦茶嬉しい」
そんなに喜んでもらえると、こちらも嬉しくなってしまう。
「こんなもの、自分から進んで飲むなんて、君はホントに……」
ホントに、何だろう。
「そんなに嬉しいものですか?」
「自分なら死んでも飲みたくないからね」
「そこまでですか?」
そういえば前に排泄物と同じって言ってた気がする。そこまで汚いとは思わないけれど、これは男性ならではの感覚なのかもしれない。
「平気な顔で飲んじゃうアリサも凄いんだよ」
ディートハルトの指先が有紗の唇に触れた。
浄化の魔術を使われたみたいだ。口の中に残る後味が消えていく。
「今日は悪いけどキスは無しで」
「そこまでですか」
浄化したのに。
「気分的にちょっと……ごめんね」
酷い。いつか口移しで飲ませてやろうか。
むっとむくれた有紗の体を、ディートハルトは優しくベッドに押し倒した。
「それよりもこっちでもしよう。こっちにも注ぎたい」
お腹を撫でられ、優しい目で見つめられると、そんな気持ちも溶けていく。
「私もしたい、です」
有紗はディートハルトの体に腕を回した。
「仕方ないじゃないですか。あんな事されたら泣いちゃいます」
寝室で指摘され、有紗はむっとむくれた。
サプライズで用意されたおままごとのような結婚式から邸に戻ると、使用人の皆が小さなパーティを開いてくれた。そんな事されたら誰だって泣くと思う。
そんな有紗をディートハルトは寝台に引き寄せ、ぎゅっと抱き寄せた。
「喜んでもらえて嬉しいよ。準備したかいがあった」
婚礼衣装は既に着替えて、ビアンカ達に大切に保存してもらうようお願いしてある。
刺繍が金と赤だったのはディートハルトの色彩だから。特に赤糸の刺繍は、王族だからこそ使用が許される貴色だから、この国ではとても特別な品物になるそうだ。
だから今有紗が身に着けているのは、ディートハルトと夜を過ごすための寝間着だった。
胸元が大胆に開いていて、普段なら着ない扇情的なデザインのネグリジェである。
「するんですか?」
「したい」
頬に手が伸びてきて、情欲に潤んだ赤い瞳と目が合う。
少しずつ秀麗な顔が近付いてきて、どちらからともなく唇が重なった。
啄むようなキスをしながら、ディートハルトは順序を追って有紗の体を蕩かせていく。
「ディート様、私もしたい、です」
はあ、と熱い吐息を吐きながら訴えると、ディートハルトはきょとんと目を見開いたあと、嬉しそうに目を細めた。
「いいよ、アリサの好きなように」
許可が出たので、有紗はディートハルトのシャツに手を伸ばした。
ボタンを一つ一つ外していくと、逞しい体があらわになる。大胸筋も腹筋もしっかり付いていて、かつ余分な肉が付いていない彼の体はとても綺麗だ。
ディートハルトは胸の先端は絶対に触らせてくれない。自分は有紗の胸を思う存分好きにするくせに不公平だと思う。
「こら」
小さな先端に手を伸ばしたら、いつもみたいに阻止されてしまった。
「ダメですか?」
「だめ。くすぐったいから」
有紗は恨みがましくディートハルトの胸をじっと見つめた。
男の人のそこは、女の子のものと違ってすごく小さくて慎ましい。
用途がないのになんで付いてるんだろう。
「触るならそっちよりもこっち」
手が取られ、下半身に導かれた。
服の上からもわかる。そこは既に硬く勃ち上がっていた。
有紗の体はこちらの人に比べると凸凹が寂しい。それでも自分で反応してくれていると思うと嬉しかった。
思い切って下着ごとトラウザーズをずらすと、大きなものがまろび出てきた。
いつ見てもディートハルトのものは体格に見合ったサイズでびっくりする。
有紗の中に全ておさまるいうのが信じられない。
これはいつも有紗を気持ちよくしてくれるもの。大好きな人のもの。
性器の先端は先走りの雫が浮いていた。
そこにちょん、と触って、指先で塗り広げてみる。
「口で……」
「ん?」
「口で、最後までしてもいいですか?」
じっと見上げながら聞くと、ディートハルトはわずかに息を飲んだ。
「してくれるの?」
「はい。今日は最後までしたいです」
「……無理だと思ったらすぐやめていいから」
頭が優しく撫でられた。
◆ ◆ ◆
アリサの見た目は幼い。だから、彼女に奉仕されると、とてつもなくいけない事をしている気分になる。
寝台に座った自身の前に跪き、欲の象徴に口付けるアリサを観察しながら、ディートハルトは彼女の髪を撫でた。
随分と黒い部分が増えてきた有紗の髪は、真っ直ぐで触り心地がいい。
この黒い髪に自分の欲をぶちまけてやったら、どんなに征服欲が満たされるだろう。
でも、今日は口で受け止めると言った。
この小さな赤い唇で。
本気だろうか。本当に受け止めてくれるのなら、今日は上にも下にもディートハルトの白いものを存分に注ぎ込んでやる。
凶暴な獣が目覚めそうになる反面で、優しく慈しみたいという想いも湧き上がる。
ディートハルトにはアリサしかいないのと同時に、この国で彼女を一番安全な揺籃で守ってやれるのは自分しかいない。
他の誰にも出来ない。ディートハルトにしか。
少女めいた貌、細く華奢な体、ほんの少しディートハルトが魔力を込めるだけでも息絶えてしまいそうな脆弱な異世界人。
それなのに彼女は、この地において、ディートハルトの欲を全て受け止めることのできる奇跡の存在だ。
ちゅ、と先端に口付けられた。
赤い唇から濡れた舌がのぞき、先走りを舐めとる。
男のものを口にするなんて、ディートハルトには信じられない行為なのに、アリサはためらわず、むしろどこか溶けた眼差しでディートハルトのものを口にする。
上から下まで舌と唇で愛されて、快感よりも視覚の暴力が凄い。
排泄にも使う穢らわしい男の欲を、進んで口にしてくれるアリサに、愛おしさが込み上げる。
思い返せば彼女の存在が、お気に入りの所有物から変化したのは、恐らく初めて彼女に口淫された時だ。
あの時は、理想の女奴隷としての振る舞いをしようとするアリサに無性に腹が立ったけれど、今は純粋に嬉しい。
「咥えてみて」
指示を出すと従順に従う。アリサはディートハルトのものをぱくんと咥えて、上目遣いでこちらを伺ってきた。
「……っ」
舌で一生懸命奉仕され、小さなうめき声が漏れた。
◆ ◆ ◆
ディートハルトのものは大きいから、歯を立てないように気を付けると、顎がすぐ苦しくなってしまう。
それでも上目遣いで彼の様子を伺うと、気持ちよさそうな表情をしているから、頑張らなきゃと思える。
もっともっと、自分の奉仕で感じて欲しい。
初めて口にした時のような嫌悪感も抵抗感ももうない。
だってこれは大好きな人のものだ。
有紗を毎回気持ちよくしてくれるものだから、せめてものお返しに舌と唇で気持ちよくなって欲しい。
この大きなものが、いつも自分の中に入っているなんて信じられない。
これで奥をいじめられるのが好き。大好き。
奉仕しているだけで、自分の性器がこれを求めてはしたなく潤んでくるのがすごく恥ずかしい。
種が違う。子供は出来ない。
だからディートハルトと有紗の行為は、純粋にお互いの快楽を求める為のものだ。
それはなんて淫らでいやらしいんだろう。
早く奥に欲しい。でも、その前に口で気持ちよくなって欲しい。
今日は上にも下にも注いでもらうって決めたのだ。
大好きな人のものだから口にしてみたい。
舐めてみた時は、正直全然美味しくなかった。
青臭くて、えぐみがあって、それでいていやらしい味がした。
飲めるかどうかはわからないけれど、こちらで受け止めてみたい。
ああ、でも顎が疲れてきた。
有紗は限界まで口の中に迎え入れたディートハルトのものを口から出すと、はあはあと息をついた。
「つらい? もう終わりにしても……」
有紗はふるふると首を振ると、ディートハルトのものに再び口付けた。
それは、有紗の唾液でふんだんに濡れてテラテラと光っている。
忠誠を誓うように口付けて、裏の血管がボコボコと浮いた所の感触を確かめるように舌を這わせる。
気持ちよくなって欲しい。その一心で顎を休めながら、有紗は口での愛撫を続けた。
(もう一回)
顎の疲れがだいぶマシになってきたので、有紗は再び男性器を咥え込む。
「んっ……」
舌を這わせながら頭を上下させ、前回を思い出しながら唇で彼のものを扱く。
前の時はディートハルトが有紗の頭を動かした。
その時のような速度は自力では出せなくて悔しくなる。
じゅぶじゅぶといやらしい水音をたてて頑張っても、ディートハルトの表情にはまだ余裕が伺えた。
彼をイカせるよりも先に、また有紗の限界が訪れた。
「アリサ、もう入れたい」
ちゅぽん、と音を立て、一度性器から口を離すと、欲情に潤んだ眼差しで囁かれた。
「まだダメです。今日はこっちで最後までしたいんです」
イケないのは有紗が下手だからだ。
それが悔しくて涙目で訴えると、ディートハルトが生唾を飲み込むのが見えた。
「ごめんなさい、私が上手にできないから」
「…………」
ディートハルトの顔が怖い。怒ったのだろうか。
「俺が動かしてもいい?」
「下手でごめんなさい……」
「何で謝るの? 別に怒ってない。たどたどしいのが逆に凶悪なんだけどな……」
「え……?」
「いい、こっちの話。それよりアリサはいいの? 俺にお口をそういうオモチャみたいに使われるってことだけど」
久々に耳にしたディートハルトの下品な言葉に、かぁっと頬が紅潮した。
「……いいです」
むしろ使って欲しい。
身分上は奴隷で寵姫。前はその不安定さが嫌で嫌でたまらなかったけれど、今はそれでも構わない。
この人が好きだから。不安定な立場への不安と同時に、被虐的な昏い悦びを覚えてしまう。
奴隷、穴、ペット。
そんな言葉今のディートハルトは絶対に使わないけれど、有紗の中の被虐的な自分は、ディートハルトに好きに使って欲しいという欲望を持っている。
対等でありたいと思う一方で、彼に無茶苦茶にされたい。今のディートハルトは、有紗を一人の人間として、女性として扱ってくれるから、有紗の中の全てを捧げたいと思えるのかもしれない。
「歯、立てないようにだけしてくれたらいいから。苦しかったら教えて」
情欲をはらんだ深紅の眼差しが有紗を射抜く。
有紗はこくりと頷くと、口を目一杯開けて再びディートハルトのものを口腔内に迎え入れた。
「限界まで咥えて」
指示を出す声は掠れている。彼もまた興奮しているのだ。
「そこがアリサの限界?」
ここより先は嘔吐いてしまう。
そう思われる場所までディートハルトのものを飲み込むと、有紗はこくりと頷いた。
「動かすよ」
囁きとともに頭が掴まれ、様子を伺うように動かされる。
その動きは少しずつ早くなっていって、『使われている』感覚に仄暗い歓喜が湧き上がる。
少し苦しいけど我慢する。こちらでもディートハルトを受け止めてみたいから。
「ん……ぅん……」
じゅぷじゅぷという唾液の音とともにくぐもった声が喉から漏れる。
ディートハルトには知られたくないけれど、有紗の下半身はどろどろだ。
口を道具のように使われて、それが嬉しくてはしたなく濡らしてるなんて、自分はいつからこんなに淫らになってしまったんだろう。
お腹の奥が疼く。早くこの口の中のものを埋めて欲しい。
でも今日は絶対に口に出してもらう。
その一心で苦しさに耐える。
顎が苦しい。息も。
でもそれが嬉しい。この我慢が彼に快感を与えていると思うと満たされる。
衣食住の全てを与えてくれる彼に、自分にも返してあげられるものがあると実感する。
「アリサ、そろそろ出すよ……」
はあ、と息をつくディートハルトはとても色っぽい。
潤む深紅の瞳も、紅潮した頬も、男性的な色気に溢れている。
「っ、く……」
小さなうめき声と同時に、口の中のものがふるりと痙攣した。
そして口の中に青臭いものが吐き出される。
性器が痙攣するたびに鈴口から白濁が溢れ、口の中に広がった。
飲み込まなきゃ。噎せちゃう。
ごくん、と一口飲み下すと、抵抗感は驚くほど薄れた。
こくん、こくんと性器の脈動に合わせて嚥下する。
射精ってこうなんだ。
痙攣の度にびゅるびゅると精液が出てくる事を初めて知った。
射精が終わったら、感謝の気持ちを込めてちゅうっと残滓を吸い出す。
ご苦労様。そんな気持ちを込めて、最後の一滴まで飲み下す。
精液は、えぐくて苦くてやっぱり美味しくなかった。黙って立っていると彫像めいているディートハルトも、ただの人で男なんだと、その生臭さから実感する。
「……全部飲んだの?」
「ダメでしたか?」
首を傾げて尋ねると、体が持ち上げられ、ぎゅっと抱き締められた。
「ディート様?」
「どうしよう、滅茶苦茶嬉しい」
そんなに喜んでもらえると、こちらも嬉しくなってしまう。
「こんなもの、自分から進んで飲むなんて、君はホントに……」
ホントに、何だろう。
「そんなに嬉しいものですか?」
「自分なら死んでも飲みたくないからね」
「そこまでですか?」
そういえば前に排泄物と同じって言ってた気がする。そこまで汚いとは思わないけれど、これは男性ならではの感覚なのかもしれない。
「平気な顔で飲んじゃうアリサも凄いんだよ」
ディートハルトの指先が有紗の唇に触れた。
浄化の魔術を使われたみたいだ。口の中に残る後味が消えていく。
「今日は悪いけどキスは無しで」
「そこまでですか」
浄化したのに。
「気分的にちょっと……ごめんね」
酷い。いつか口移しで飲ませてやろうか。
むっとむくれた有紗の体を、ディートハルトは優しくベッドに押し倒した。
「それよりもこっちでもしよう。こっちにも注ぎたい」
お腹を撫でられ、優しい目で見つめられると、そんな気持ちも溶けていく。
「私もしたい、です」
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