聖女として誘拐されましたが、字幕の人はいい仕事をしてました!

隅野せかい

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家がいちばんいい!

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「……うん。町とか国とか文明とか丸ごと邪悪だったってことね」

 まぁ、誘拐を容認している連中の文明なんだから、当然かぁ。

 しかも、初犯どころか、字幕付き機能を作るくらいベテラン誘拐犯どもだったみたいだし。

 エネルギー量を見ると、

「うは。なにこれ!?」

 スンゴイことになってた。

 溢れかえってるらしくて、エネルギー表示のバーがピカンピカン光ってる。

 でも、どういうリクツなんだろ? 使えば減るでしょう普通。

 あたしは『用語解説』をもう一度見る。

『聖女。異界から召喚された存在。召喚元被害者の世界と、召喚先誘拐犯の世界のエネルギー落差により、魔族を滅ぼす聖なる力を発揮する。エネルギーを使い果たすと昇天消滅する』

 力を使うと、エネルギーはなくなっていくはず……。

「あ」

 解説よく見たら。

 魔族を滅ぼす力を発揮するとエネルギーが減るってことか。

 つまり、魔族を滅ぼす時にはエネルギーを使うけど、邪悪な相手を滅ぼす時には、それを吸収できるってこと?

「……魔族が邪悪じゃなくて、誘拐犯どもが邪悪だったってことかー」

 エネルギーを使わないと消せないんだから、魔族ってのは悪じゃないってことか。

 ゲス男どもとその仲間達が邪悪で、邪悪な奴らが魔族と呼んでた相手は、その反対ってことね。

 少なくとも異世界から人間をさらったりはしていないんだろう。

 うん。すっきり。

 消しちゃっても罪悪感とかほとんどなかったけどね。
 誘拐犯どもってば、CGだけよくできた映画やゲームの登場人物みたいだったから。

 オプション作った人はいい仕事してくれたけど、誘拐犯の一味にはちがいないもんね。


 つまり、これ正義!


「なのはいいけど……」

 どうやって帰ろうか……。

 こういうゲームとか小説とかアニメとかだと、スゴイパワーとかがあると帰れたりするんだよね。

 やれやれ。これからそのちからを集めて――

「って、あるじゃん!」

 エネルギーバーは満タンも大満タン!


 でも、どうやって帰ればいいんだろ?


 そういえば、あまぞーんで見た古い映画で、異世界から帰る時、なんかやってたな……。

 あ。思い出した! 『オズの魔法使い』だ!


 あたしは、映画で主人公がやっていた通りに、かかとを3回合わせて、念じた。

『家がいちばんいい!』
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