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34.末路
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「リズが無事で安心した……というか……報告書を見たけれど、叔母の所も同じようなものだったのか……」
「文字だけでは判断つきにくいですね……やはり実際見てもらう事が重要になりそうですね」
「リズから話を聞けるから、かなりしっかり理解出来るが……各属国へ誰か派遣しておく位の事はしないといけないか」
ロドル王国王城の中庭にある豪華な東屋で、兄と一緒に紅茶を楽しみながら話す。
こんな豪華な東屋を知らなかったのだけれど、そこはベルがしっかりと熟知していたらしい。まぁ、私も王城をウロウロと歩いて誰かに出会うとか嫌なので部屋に籠っていたようなものだから仕方ないのだけれど。特に王太子とは会いたくなかったし。
「ま、処分処遇はリズの言った通りで良い。判断は確かだからな」
「しっかりと向こうの非を貯め込んでおきましたからね」
卒業パーティからは早かった。
既にロドル王国へ仕掛けようとしていた兄は準備を終えていた為、私の知らせを聞いた後は兵士達ではなく文官達と護衛の兵士と共にすぐロドル王国までやってきた。
帝国の人間が王城を占領し、私に不貞を働いたとして陛下と王妃、そして王太子は幽閉。他の貴族達もベルとジェンが残した私への対応についての書類にて検討して罰金や罰則を追加している。
ちなみに王弟殿下一家はお咎めなしだけれど、次の国王筆頭は王弟殿下だ。
そして一番重罪になる帝国皇女の嘘偽りを広めた、王太子の恋人である伯爵令嬢の家は爵位取り上げとなった。
「……婚約破棄……かぁ」
「辺境の邸はいつ頃できますか?一生面倒見て下さいね、お兄様」
にっこりと微笑んで言えば、お兄様は手で顔を覆って項垂れた。
書面はしっかり残してある。今になって駄目だとは言えない事をお兄様もしっかり理解はしているし、お父様も玉座で崩れ落ちていそうだ。
「婚約破棄と言い出される事を待っていたおかげで、しっかりこの国の無教育さや不敬を貯め込む事が出来ましたよ!」
「そこ……我慢する所じゃない……てか、怖い妹だよ、本当に。……敵に回したくない」
しみじみと言う事ではないと思う。
それに私としても家族に対して愛されているだけでなく私からの愛情もあるわけで……余程ではない限り、見放すなんて事は出来ない。
「お嬢様、レスター男爵がお見えですよ」
「……誰だ?」
「レストルズ商会のオーナーです」
「なんだと!?」
約束の時間より少し早い。まぁ遅れてはいけないというガルムの気持ちだろう。私はお兄様へ断ってガルムの元へ行こうと席を立った。
「……囲いこみたい……いや、いっそもうお前そいつと結婚してくれないかなぁ……せめて嫁いでくれ……誰でもいいから」
そんなお兄様の声が後ろから聞こえたが……失礼ではないだろうか。まぁ、高位貴族とか他国とか言われず、悠々自適に暮らせる事が出来るのであれば、流石に私も否とは言わないけれど。
既に婚約破棄で条件は満たしている。わざわざ面倒な事をする必要はない。
「お待たせ」
「いや、待ってはない……かな」
私へ視線を投げるわけでもなく、ガルムは手に持っている書物を必死に呼んでいる。むしろ私の声なんて聞いていなくて、生返事をしただけでないかとさえ思える程の集中力を発揮していそうだ。
今日ガルムを王城へ招待したのは、全ての報告と商会への交渉……そして、王城の図書室にある大量の書物が気になると言っていた為に招待したのだけれど……。
「文字だけでは判断つきにくいですね……やはり実際見てもらう事が重要になりそうですね」
「リズから話を聞けるから、かなりしっかり理解出来るが……各属国へ誰か派遣しておく位の事はしないといけないか」
ロドル王国王城の中庭にある豪華な東屋で、兄と一緒に紅茶を楽しみながら話す。
こんな豪華な東屋を知らなかったのだけれど、そこはベルがしっかりと熟知していたらしい。まぁ、私も王城をウロウロと歩いて誰かに出会うとか嫌なので部屋に籠っていたようなものだから仕方ないのだけれど。特に王太子とは会いたくなかったし。
「ま、処分処遇はリズの言った通りで良い。判断は確かだからな」
「しっかりと向こうの非を貯め込んでおきましたからね」
卒業パーティからは早かった。
既にロドル王国へ仕掛けようとしていた兄は準備を終えていた為、私の知らせを聞いた後は兵士達ではなく文官達と護衛の兵士と共にすぐロドル王国までやってきた。
帝国の人間が王城を占領し、私に不貞を働いたとして陛下と王妃、そして王太子は幽閉。他の貴族達もベルとジェンが残した私への対応についての書類にて検討して罰金や罰則を追加している。
ちなみに王弟殿下一家はお咎めなしだけれど、次の国王筆頭は王弟殿下だ。
そして一番重罪になる帝国皇女の嘘偽りを広めた、王太子の恋人である伯爵令嬢の家は爵位取り上げとなった。
「……婚約破棄……かぁ」
「辺境の邸はいつ頃できますか?一生面倒見て下さいね、お兄様」
にっこりと微笑んで言えば、お兄様は手で顔を覆って項垂れた。
書面はしっかり残してある。今になって駄目だとは言えない事をお兄様もしっかり理解はしているし、お父様も玉座で崩れ落ちていそうだ。
「婚約破棄と言い出される事を待っていたおかげで、しっかりこの国の無教育さや不敬を貯め込む事が出来ましたよ!」
「そこ……我慢する所じゃない……てか、怖い妹だよ、本当に。……敵に回したくない」
しみじみと言う事ではないと思う。
それに私としても家族に対して愛されているだけでなく私からの愛情もあるわけで……余程ではない限り、見放すなんて事は出来ない。
「お嬢様、レスター男爵がお見えですよ」
「……誰だ?」
「レストルズ商会のオーナーです」
「なんだと!?」
約束の時間より少し早い。まぁ遅れてはいけないというガルムの気持ちだろう。私はお兄様へ断ってガルムの元へ行こうと席を立った。
「……囲いこみたい……いや、いっそもうお前そいつと結婚してくれないかなぁ……せめて嫁いでくれ……誰でもいいから」
そんなお兄様の声が後ろから聞こえたが……失礼ではないだろうか。まぁ、高位貴族とか他国とか言われず、悠々自適に暮らせる事が出来るのであれば、流石に私も否とは言わないけれど。
既に婚約破棄で条件は満たしている。わざわざ面倒な事をする必要はない。
「お待たせ」
「いや、待ってはない……かな」
私へ視線を投げるわけでもなく、ガルムは手に持っている書物を必死に呼んでいる。むしろ私の声なんて聞いていなくて、生返事をしただけでないかとさえ思える程の集中力を発揮していそうだ。
今日ガルムを王城へ招待したのは、全ての報告と商会への交渉……そして、王城の図書室にある大量の書物が気になると言っていた為に招待したのだけれど……。
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