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05.将来への不安
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「誰ですかそれ………………あぁ!」
「…………リズ?」
疑問を口に出してから気が付いた。そんな私にお兄様は信じられないと言った表情でこちらに視線を向けたのだが……。
うん、ずっとロドル王国王太子って言っていたから、フルネームで言われても一瞬誰だか分からなかっただけです。
手紙も十割代筆ですからね!直筆で送った事なんてない。
読むには読むけれど、そこから「こういう内容でお返事書いておいてね」って指示するだけで、私自ら筆を取るなんて事はしていない。
だって、手紙という名の書類ですもん。
そして、問題はそこではない。
「なんてこと!!」
「おぉ!リズでも怒るのか!」
「やっと娘が人間らしく……」
あまりの事に、私は思わず声を荒げてしまった。そんな私をお兄様は意外だと驚き、お父様に至っては涙目になっているが、私がいつ人間でなくなったのかと問いたい。が、今はそこではない。
「私ののんびりした生活はどうなるの!?属国とは言え、王族に嫁げば安泰だったのに!」
「…………」
「………………リズ…………」
私の言葉に、お父様は白目を剥いて一瞬、意識を消失したようだ。直ぐに気を取り直したのか、頭を振った後に、その頭を抱えて蹲っていた。お兄様に至っては、もう死んだような目をして私の名前を呼んだだけだった。
別におかしな事を言ったつもりはない。
むしろ、おかしいでしょ!帝国皇女が婚約者なんて、どれだけ誉な事だと思っているのか!まさか流行りの婚約破棄をするつもりじゃないでしょうね!?
「ありえないわ……皇女が婚約者なのに、親しい女性を作るとか、そんなに脳足らずだなんて……属国として皇女の価値を見誤っているわ」
「リズよ……他に言う事はないのか……」
更に深く項垂れるお父様と違い、お兄様は何とか突っ込みを入れる事を忘れない。
しかし!今何を言われても、私の思考は怒りに染まっている!そう!私の将来に暗雲があっては嫌なのよ!
「私は王族として人に指示出している方が性に合っているのよ。馬鹿に任せては優先順位を間違い、時間ばかりかかってしまうではないですか!だから属国の王妃として君臨する事しか考えていません」
私は一口紅茶を飲んで口を潤わせてから続ける。
「書類や指示以外の苦労をする気はないのですよ。人が一日かかる仕事を五時間で終わらせて、あとは悠々自適な生活を望みます。その為には夫が馬鹿では困りますし、愛人との対立や面倒ごともお断りですし、婚約破棄なんて泥を塗るような真似は許しません」
サラッと吐露した私の本音に、お父様とお兄様は魂の抜けたような顔をしていて、思わず小首を傾げてしまった。私の本音や本性なんて、とっくに二人は知っていると思っていたのだけれど、違ったのかしら。
他の国へ嫁ぐとしても、王太子の年齢が近い所はあったかしら……否、それより今から他国の歴史を学ぶのも大変ね……。
「……聞こえているぞ。リズが賢いのは兄である俺もよく理解しているし、仕事が早いのも認めるし、確かに自分が指揮を取る方が早いのも分かる……が、そこまでして悠々自適な生活に固執していたのか……」
「……残っているマトモな国で、リズの年齢に合う王子が残っている国は……ない」
口にしていたのかと、思わず舌打ちが漏れ、お父様とお兄様は更に深いため息をついた。
本当に二人が忙しい時は、私も執務のお手伝いをする為、仕事に対する能力が高い事や早い事も理解してくれてはいるけれど……年齢に合う王子が居ないのは辛い。
妙齢な男性に嫁いだら、跡継ぎを作るのが苦痛どころの話じゃなくなりそうだ。
むしろ跡継ぎが出来なかったら、それこそ嫁ぐ意味すらない。
「…………リズ?」
疑問を口に出してから気が付いた。そんな私にお兄様は信じられないと言った表情でこちらに視線を向けたのだが……。
うん、ずっとロドル王国王太子って言っていたから、フルネームで言われても一瞬誰だか分からなかっただけです。
手紙も十割代筆ですからね!直筆で送った事なんてない。
読むには読むけれど、そこから「こういう内容でお返事書いておいてね」って指示するだけで、私自ら筆を取るなんて事はしていない。
だって、手紙という名の書類ですもん。
そして、問題はそこではない。
「なんてこと!!」
「おぉ!リズでも怒るのか!」
「やっと娘が人間らしく……」
あまりの事に、私は思わず声を荒げてしまった。そんな私をお兄様は意外だと驚き、お父様に至っては涙目になっているが、私がいつ人間でなくなったのかと問いたい。が、今はそこではない。
「私ののんびりした生活はどうなるの!?属国とは言え、王族に嫁げば安泰だったのに!」
「…………」
「………………リズ…………」
私の言葉に、お父様は白目を剥いて一瞬、意識を消失したようだ。直ぐに気を取り直したのか、頭を振った後に、その頭を抱えて蹲っていた。お兄様に至っては、もう死んだような目をして私の名前を呼んだだけだった。
別におかしな事を言ったつもりはない。
むしろ、おかしいでしょ!帝国皇女が婚約者なんて、どれだけ誉な事だと思っているのか!まさか流行りの婚約破棄をするつもりじゃないでしょうね!?
「ありえないわ……皇女が婚約者なのに、親しい女性を作るとか、そんなに脳足らずだなんて……属国として皇女の価値を見誤っているわ」
「リズよ……他に言う事はないのか……」
更に深く項垂れるお父様と違い、お兄様は何とか突っ込みを入れる事を忘れない。
しかし!今何を言われても、私の思考は怒りに染まっている!そう!私の将来に暗雲があっては嫌なのよ!
「私は王族として人に指示出している方が性に合っているのよ。馬鹿に任せては優先順位を間違い、時間ばかりかかってしまうではないですか!だから属国の王妃として君臨する事しか考えていません」
私は一口紅茶を飲んで口を潤わせてから続ける。
「書類や指示以外の苦労をする気はないのですよ。人が一日かかる仕事を五時間で終わらせて、あとは悠々自適な生活を望みます。その為には夫が馬鹿では困りますし、愛人との対立や面倒ごともお断りですし、婚約破棄なんて泥を塗るような真似は許しません」
サラッと吐露した私の本音に、お父様とお兄様は魂の抜けたような顔をしていて、思わず小首を傾げてしまった。私の本音や本性なんて、とっくに二人は知っていると思っていたのだけれど、違ったのかしら。
他の国へ嫁ぐとしても、王太子の年齢が近い所はあったかしら……否、それより今から他国の歴史を学ぶのも大変ね……。
「……聞こえているぞ。リズが賢いのは兄である俺もよく理解しているし、仕事が早いのも認めるし、確かに自分が指揮を取る方が早いのも分かる……が、そこまでして悠々自適な生活に固執していたのか……」
「……残っているマトモな国で、リズの年齢に合う王子が残っている国は……ない」
口にしていたのかと、思わず舌打ちが漏れ、お父様とお兄様は更に深いため息をついた。
本当に二人が忙しい時は、私も執務のお手伝いをする為、仕事に対する能力が高い事や早い事も理解してくれてはいるけれど……年齢に合う王子が居ないのは辛い。
妙齢な男性に嫁いだら、跡継ぎを作るのが苦痛どころの話じゃなくなりそうだ。
むしろ跡継ぎが出来なかったら、それこそ嫁ぐ意味すらない。
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