【完結】可愛い義妹のためならば 〜超絶シスコン兄貴の異世界無双〜

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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アルフ先生の道徳教育

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 テントの中、寝袋に包まれた夜を過ごした翌朝。

 朝食を食べ終えて後片付けを済ませたら、テントと寝袋を村長に返却。
 世話になった旨を告げて、俺とシャルは再びベルク山道へ足を踏み込む。

 今日の昼過ぎ辺りに、サダルスウドへ到着予定だ。

 ここからは基本的に下り道。
 意外に思うかもしれないが、山道は登りより下りの方が足腰を酷使するのだ。
 加えて、足元にも厳重注意だ。
 滑って転んだらそのまま真っ逆さまだからな。
 シャルが転ばないか心配だが、俺自身も気を付けなければな。

「シャル、大丈夫か?」

「わたしなら大丈夫です。お兄様も気を付けて」

 振り返ってみれば、シャルの顔はまだまだ元気そうだ。
 うんうん、山道にも慣れてきたみたいだし、徐々に体力も付いてきたのだろう。
 ちゃんと食べられる時間がある時は、栄養のある食事を心掛けているからな。

 もうしばらく下り道を降りて、ようやく平らな道が見えてきた。
 そろそろこのベルク山道も終わりのようだが、ここらで一度休憩だな。

「よし、ここで一度休憩するか」

「ふぅ、お腹空きました……」

 適当に座れそうな場所を見繕い、そこに腰を下ろせば、お待ちかねのサンドイッチだ。
 まぁ、食パンの耳を切り落としたものに、軽く火で炙ったハムとチーズ、野菜をいくつか挟んだだけの簡素品だ。

「「いただきます」」

 二人隣り合って座り、手を合わせていただきますを告げる。

「……そう言えばお兄様。いただきますをする時、いつも手を合わせていますけど、これってどんな意味があるんですか?」

 ふと、手を合わせながらシャルがそんなことを聞いてきた。
 いつも無意識にやってることだから、いざその意味を問われると、少し認識が変わる。

「ん?これはな、食べ物への感謝を表しているんだ」

「感謝、ですか?」

 うーん、こんな道徳的なことを言うのは小学校以来だな。
 あの頃はよく分からないまま道徳の授業を聞いて、「そういうもの」だと思っていたが、大人になって色々と見聞知るようになってから改めて思い返す。

「例えばこのサンドイッチのパン。小麦を作っている小麦農家の方々や、この小麦を加工してパンを焼き上げた人への感謝。野菜も同じだ。ハムは、家畜の豚を犠牲にして生産している。これは命そのものへの感謝だ」

「犠牲に……」

 犠牲、なんて言葉は小学校の授業では使わないよな。
 あの時の先生は、これをどう教えていたんだろうな。

「……かくいう俺も、食べる度に毎回深々とした感謝なんて意識しているわけじゃないがな。ほとんど習慣みたいなものだよ」

 食べながら犠牲がどうかとか考えたら、食べられない。
 だから、普段はこんなこと考えちゃいけない。

「感謝は忘れちゃいけない。でも食べる時は遠慮なく残さず。食べるからには、俺達は生きる義務があるんだよ」

 でも、時々は思い出すべきだと、俺はそう思う。

 前世では大きな社会問題になっていた、フードロス。
 このハイファンタジーな異世界に来てから、それが重く心にのしかかるようだ。

「…………いただき、ます」

 シャルはもう一度手を合わせて、いただきますを告げた。
 彼女なりに、思ったところがあるんだろう。
 その気持ちを忘れるなよ、シャル。
 もちろん、俺自身もだ。
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